労働安全衛生法11労働安全衛生法

社労士 労働安全衛生法 問11:労働安全衛生法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

労働安全衛生法に規定する危険有害業務の就業制限と、免許・技能講習・特別教育の区分に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 就業制限業務(安衛法第61条)とは、クレーン・ボイラー等の危険な業務について、都道府県労働局長の免許を受けた者または都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者でなければ、その業務に就かせてはならないと定める制度である。
  • 技能講習は、都道府県労働局長の登録を受けた機関が実施するものであり、修了試験に合格した者には技能講習修了証が交付される。技能講習修了では就業制限業務に就くことができるが、修了証の更新制度(有効期限)はない。
  • 特別教育(安衛法第59条第3項)は、クレーン・高所作業車・フォークリフト等の業務のうち、技能講習修了を要しない軽微な危険業務(例:つり上げ荷重0.5トン以上1トン未満のクレーン等)について事業者が自社で実施するものであり、特別教育実施記録は3年間保存の義務がある。
  • 免許取得が必要な業務(例:クレーン運転士免許・ボイラー技士免許)については、都道府県労働局長が免許を交付し、免許証の有効期限はない(免許は終身有効)。ただし、業務停止命令・業務禁止命令・免許取消処分が科せられることがある。
  • 雇入れ時教育(安衛法第59条第1項)および作業転換時教育(同条第2項)は、特別教育とは異なり、すべての業種・すべての労働者を対象とした基本的な安全衛生教育であり、特別教育と同様に安衛規則第38条により受講者・科目等の記録を作成して3年間保存することが法令上義務付けられている。正答
正答:雇入れ時教育(安衛法第59条第1項)および作業転換時教育(同条第2項)は、特別教育とは異なり、すべての業種・すべての労働者を対象とした基本的な安全衛生教育であり、特別教育と同様に安衛規則第38条により受講者・科目等の記録を作成して3年間保存することが法令上義務付けられている。

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正答はオ(誤っている記述)です。

安衛規則第38条は「特別教育」(安衛法第59条第3項)の記録について、受講者・科目等を作成し3年間保存する義務を定めていますが、雇入れ時教育・作業内容変更時教育(安衛法第59条第1項・第2項、安衛則第35条)には、法令上の記録保存義務は定められていません(行政指導上は記録の作成・保存が推奨されているが法令上の義務ではない)。オは「雇入れ時教育・作業転換時教育も第38条により3年保存義務がある」と拡張している点で誤りです。

アは正しく、就業制限業務の定義(免許または技能講習修了者のみ就業可)が正確です(安衛法第61条)。イは正しく、技能講習修了証に有効期限はありません(免許と同様)。ウは正しく、特別教育の記録3年保存義務があります(安衛則第38条)。エは正しく、免許証は終身有効(更新制度なし)で、取消・業務禁止処分は別途規定があります(安衛法第74条)。

標準試験対策の基準レベル

就業制限・特別教育・雇入時教育の三区分比較(安衛法第59条・第61条):

| 区分 | 根拠 | 資格要件 | 実施主体 | 記録保存 |

|---|---|---|---|---|

| 就業制限業務(免許) | 第61条・施行令第20条 | 都道府県労働局長の免許が必要 | 厚生労働大臣が指定する機関(試験センター) | 免許証(終身有効・取消あり) |

| 就業制限業務(技能講習) | 第61条・施行令第20条 | 技能講習修了が必要 | 都道府県労働局長登録機関が実施 | 修了証(有効期限なし) |

| 特別教育対象業務 | 第59条第3項・施行規則第36条 | 事業者による特別教育の受講 | 事業者自ら実施(外部委託可) | 3年保存(安衛規則第38条) |

| 雇入れ時・転換時教育 | 第59条第1・2項・施行規則第35条 | 受講義務(全労働者) | 事業者自ら実施 | 義務規定なし(推奨) |

就業制限業務の代表例(免許 vs 技能講習):

| 業務 | 免許(より高度)| 技能講習(下位) |

|---|---|---|

| クレーン運転 | つり上げ荷重5トン以上→クレーン運転士免許 | つり上げ荷重1トン以上5トン未満→小型移動式クレーン技能講習等 |

| ボイラー取扱 | 一定規模以上→ボイラー技士(特・1・2級)免許 | 小規模ボイラー→ボイラー取扱技能講習 |

| フォークリフト | 規定なし(技能講習のみ) | 最大荷重1トン以上→フォークリフト運転技能講習 |

特別教育:つり上げ荷重1トン未満のクレーン・最大荷重1トン未満のフォークリフトなど、技能講習より小規模の機械・業務が対象。

各選択肢の解説:

  • ア(正): 就業制限の定義(免許者または技能講習修了者のみ)が正確。
  • イ(正): 技能講習修了証に有効期限なし(スキルアップ講習の追加受講は任意)。
  • ウ(正): 特別教育の記録保存3年間(安衛規則第38条)・事業者自ら実施が正確。
  • エ(正): 免許証は終身有効(更新制度なし)。免許取消・業務禁止処分(第74条)は別途あり。
  • オ(誤・正答): 安衛則第38条の3年保存義務の対象は「特別教育」(安衛法第59条第3項)のみ。雇入れ時教育・作業内容変更時教育(同条第1・2項、安衛則第35条)には法令上の記録保存義務はない(行政指導上は推奨)。「特別教育と同様に第38条で3年保存義務」と拡張するオの記述は誤り。
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【就業制限制度の設計ロジック:三段階の能力保証体系】

労安衛法の就業制限体系は「免許→技能講習→特別教育」という三段階のピラミッド構造です:

1. 免許(最上位): 国家試験(厚生労働大臣指定機関・安全衛生技術試験センターが実施)に合格し、都道府県労働局長が交付。最も危険度が高い機械・業務に適用。

2. 技能講習(中位): 都道府県労働局長登録機関が実施・修了証交付。免許より危険度が低い機械・業務に適用。

3. 特別教育(下位): 事業者自ら(または外部委託)実施。さらに危険度が低い機械・軽微な危険業務に適用。

この三段階は、「危険の程度」×「機械・設備の規模・能力」で決まっています。同じ「クレーン」でも5トン以上(免許)→1〜5トン(技能講習)→1トン未満(特別教育)という切り分けが典型例です。社労士試験では「どの規模・業務がどの区分に該当するか」という問いが頻出です。

【技能講習修了証に有効期限がない理由と実務上の注意点】

技能講習修了証には有効期限がありません(免許証と同様)。しかし、この「終身有効」設計には実務上の問題があります:

  • 修了後10〜20年が経過すると法令改正・機械の技術進歩により修了時の知識が陳腐化するリスク
  • 特定の業種(建設業・港湾業等)ではスキルアップ講習(再教育)が業界団体により推奨されているが法令上の義務ではない
  • 労働災害が発生した際に「技能講習修了者であること」だけで安全管理義務の免責にはならない(民事賠償責任は別途発生)

社労士として顧問先の建設会社・製造業に対し「免許・技能講習修了者の台帳管理+定期的なスキルアップ講習の受講促進」を提案することが安全衛生コンサルティングの付加価値です。

【特別教育の実施と記録管理の実務(3年保存の意味)】

特別教育の記録保存義務(安衛規則第38条・3年保存)の実務的意義:

1. 労働災害発生時の記録証明: 災害発生後に「特別教育を実施していたこと」を証明するための記録が3年間必要

2. 監督署の臨検対応: 労働基準監督官の臨検で特別教育実施記録の提示を求められた際に3年分の実施記録を提示できること

3. 不法就業の防止証明: 就業制限業務・特別教育対象業務に従事した者全員の資格・受講記録が整備されていることで、無資格者の不法就業がなかった証明になる

記録に必要な項目:実施日時・実施場所・科目ごとの内容・教師の氏名・受講した労働者の氏名。

【近年の改正:電気関係特別教育の範囲拡大(2023年〜)】

2023年10月施行の改正安衛規則で、電気設備の低圧作業(電圧50ボルト以上の低圧充電電路の敷設または修理)への特別教育が新設・拡充されました。これは感電による死亡・重傷事故の増加を踏まえた対応であり、従来「特別教育不要」だった低圧電気工事の一部業務が新たに特別教育対象になりました。

社労士試験でも近年の安衛法改正(ストレスチェック全事業場義務化2028年予定・特別教育の追加等)は出題可能性が高いホットトピックです(ただし基準日2026-04-10時点で施行済みの改正のみが出題対象)。

根拠: 労働安全衛生法第59条(安全衛生教育・特別教育)・第61条(就業制限)・第72条(免許)・第74条(免許の取消等)、労働安全衛生規則第35条(雇入れ時教育)・第36条(特別教育科目)・第38条(特別教育記録3年保存)・第40条(就業制限の対象業務)、安衛令第20条(就業制限業務の列挙)。確認日2026-06-08。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法第59条(安全衛生教育)・第61条(就業制限)・第72条(免許)、労働安全衛生規則第35条(雇入れ時教育)・第36条(特別教育)・第38条(特別教育記録3年保存)・第41条(就業制限業務) <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 安衛則第38条は「特別教育」(安衛法第59条第3項)の記録3年間保存を定めるが、雇入れ時教育・作業内容変更時教育(同条第1・2項、安衛則第35条)には法令上の記録保存義務は明文化されていない(行政指導上は推奨)。したがって設問オの旧記述「保存義務なし」は法令上正しい(オが正答にならない)。これを「雇入れ時教育も特別教育と同様に第38条で3年保存義務」と誤って拡張する記述に修正し、正答「オ」として成立させた。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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