問題
労働安全衛生法に規定する元方事業者・特定元方事業者に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はイです。
建設業・造船業の特定元方事業者は、作業を行う場所に常時50人以上(下請労働者を含む全員)が作業する場合、統括安全衛生責任者を選任する義務があります(安衛法第15条)。
ウは誤りで、統括安全衛生責任者は「当該事業場において事業の実施を統括管理する者(工事現場の現場所長等)」から選任するものであり、安全管理者や衛生管理者から選任するものではありません。オも誤りで、元方安全衛生管理者(第15条の2)は関係請負人ではなく、統括安全衛生責任者を選任した建設業の事業者自身が選任します。
元方事業者・特定元方事業者の安全衛生管理体制:
| 用語 | 定義 | 適用業種 |
|---|---|---|
| 元方事業者 | 事業者で、一の場所において行う事業の仕事の一部を請負人に請け負わせているもの(請負契約が二以上あるときは、最も先次の請負契約における注文者)(第15条第1項) | 全業種 |
| 特定元方事業者 | 元方事業者のうち建設業・造船業に該当するもの | 建設業・造船業 |
| 統括安全衛生責任者 | 特定元方事業者が選任する、作業場全体の安全衛生統括者 | 建設業・造船業(50人以上の場合) |
| 元方安全衛生管理者 | 統括安全衛生責任者の統括管理すべき事項のうち技術的事項を管理する者(第15条の2) | 統括安全衛生責任者を選任した建設業の事業者が選任 |
| 安全衛生責任者 | 統括安全衛生責任者を選任すべき事業者以外の請負人が選任し、統括安全衛生責任者との連絡等を行う者(第16条) | 関係請負人側の義務 |
各選択肢の精査:
- ア(誤): 元方事業者は「事業者で、一の場所において行う事業の仕事の一部を請負人に請け負わせているもの」(第15条第1項)で、自らも仕事の一部を行う者。仕事を他の者から請け負わないで注文している「発注者」(第30条第2項)は含まれない。
- イ(正): 建設業・造船業の特定元方事業者→50人以上→統括安全衛生責任者の選任義務(安衛法第15条・安衛令第7条)。
- ウ(誤): 統括安全衛生責任者は「当該場所においてその事業の実施を統括管理する者をもつて充てなければならない」(第15条第2項)。安全管理者・衛生管理者から選ぶものではない。
- エ(誤): 元方事業者の義務は「必要な指導」と、違反を認めたときの「是正のため必要な指示」(第29条)であり、是正命令の権限はない(命令権は行政機関)。
- オ(誤): 元方安全衛生管理者(第15条の2)は統括安全衛生責任者を選任した事業者自身が選任する。関係請負人が選任するのは「安全衛生責任者(第16条)」。
【重層下請構造と安全衛生責任の「錯綜」問題】
建設業は元請・1次下請・2次下請・3次下請…という多重の重層下請構造を持ちます。この構造下では「誰が安全衛生の最終責任者か」が不明確になりがちです。安衛法は以下の多層責任構造でこの問題に対処しています:
1. 特定元方事業者(元請): 現場全体の安全衛生統括責任(統括安全衛生責任者選任・元方安全衛生管理者選任・協議組織の設置・作業間連絡調整・作業場所の巡視)
2. 関係請負人(1次・2次下請等): 各自の労働者に対する安全衛生管理(安全衛生責任者選任・安全衛生教育・保護具支給等)
3. 元方事業者の関係請負人への指導義務(第29条): 法令違反がないよう必要な指導・指示を行う義務(ただし行政命令権限はない)
【「50人以上」の計算方法:下請労働者のカウント】
統括安全衛生責任者の選任要件「50人以上」は、その作業場所で作業するすべての労働者数(元請労働者+1次下請労働者+2次下請労働者+…)を合計します。仕事により「ずい道等の建設の仕事」「橋梁の建設の仕事(作業場所が狭いこと等により安全な作業の遂行が損なわれるおそれのある場所として厚生労働省令で定める場所で行われるもの)」「圧気工法による作業を行う仕事」は常時30人以上という低い閾値が設けられており(安衛令第7条第2項第1号)、特に危険な工事では小規模でも統括管理が要求されます。
【元方安全衛生管理者と安全衛生責任者の混同防止】
試験で最も混同されやすいのが「元方安全衛生管理者」と「安全衛生責任者」の区別です:
| 元方安全衛生管理者 | 安全衛生責任者 | |
|---|---|---|
| 誰が選任するか | 特定元方事業者(元請) | 関係請負人(下請各社) |
| 役割 | 統括安全衛生責任者の技術補佐 | 自社労働者への安全衛生管理・元請との連絡 |
| 資格要件 | 安衛則で定める学歴・実務経験等 | 特になし(ただし安全衛生責任者教育の受講推奨) |
| 根拠条文 | 第15条の2 | 第16条 |
【社労士実務:建設業・製造業の重層下請と安全管理体制整備支援】
社労士が建設・製造業の多重下請企業を顧問先とする場合の実務ポイント:
1. 元請の体制確認: 統括安全衛生責任者・元方安全衛生管理者の選任状況・協議組織(定期会議)の実施状況
2. 下請の体制確認: 安全衛生責任者の選任・安全衛生教育の実施記録(特別教育・雇入れ時教育)
3. 労災発生時の責任帰属分析: 下請労働者に労災が発生した場合の保険適用事業場と損害賠償責任の整理
4. 重層下請契約と偽装請負の識別: 実態が雇用に近い請負契約(指揮命令関係の実態)は偽装請負として違法
根拠: 労働安全衛生法第15条・第15条の2・第16条・第29条・第30条、同法施行令第7条(統括安全衛生責任者の選任要件)。
- 労働安全衛生法第15条e-Govで原文を読む
- 労働安全衛生法施行令第7条e-Govで原文を読む
- 労働安全衛生規則e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法第15条(統括安全衛生責任者)・第15条の2(元方安全衛生管理者)・第16条(安全衛生責任者)・第29条(元方事業者の講ずべき措置)、同法施行令第7条 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

