社労士 労働安全衛生法 問15:労働安全衛生法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
労働安全衛生法に規定する作業環境測定に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア作業環境測定は、有害物質を取り扱うすべての事業場が実施義務を負うものであり、有害物質の種類・量にかかわらず使用している事業場は測定しなければならない。
- イ事業者は、作業環境測定を行ったときは、その結果を記録し、通常の有害業務については3年年間、石綿・特定化学物質等特定有害業務については30年年間保存しなければならない。正答
- ウ作業環境測定は、事業者が自ら行うか、作業環境測定士に行わせなければならず、作業環境測定機関への外部委託は認められていない。
- エ第1管理区分は最も有害物質の濃度が高い状態を示すものであり、この場合は直ちに作業を中止しなければならない。
- オ作業環境測定の結果が第3管理区分となった事業場の事業者は、産業医・労働衛生コンサルタント等の意見を聴かずに、直ちに自社判断で作業環境改善計画を策定し実施しなければならない。
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正答はイです。
作業環境測定の記録保存期間は測定対象による2段階があります。通常の有害業務については3年年間、石綿・特定化学物質等の特定有害業務については30年年間の保存義務があります。
エは誤りで、第1管理区分は「気中有害物質の濃度が管理濃度を下回る良好な状態」を意味します。第3管理区分が「管理濃度を超える改善が必要な状態」です。管理区分は数字が大きいほど有害状態が悪化します(第1が最良・第3が最悪)。
作業環境測定の評価区分(3段階):
| 管理区分 | 状態 | 対応措置 |
|---|---|---|
| 第1管理区分 | 気中有害物質濃度が管理濃度を下回る(良好・継続管理) | 現状維持・定期測定継続 |
| 第2管理区分 | 一部が管理濃度を超えるが平均は管理濃度以下 | 施設・設備の改善に努める(努力義務) |
| 第3管理区分 | 気中有害物質濃度の平均値が管理濃度を超える(問題あり) | 直ちに施設・設備の改善・保護具使用等の措置が必要(義務) |
記録保存期間(施行規則第51条・特化則第36条等):
| 対象物質 | 保存期間 |
|---|---|
| 通常の有害業務(粉じん・騒音等) | 3年年間 |
| 石綿・特定化学物質・放射線等の特定有害物質 | 30年年間 |
各選択肢の精査:
- ア(誤): 作業環境測定の義務は「安衛令第21条で指定された作業場・物質(有機溶剤・特定化学物質・鉛・粉じん等)」に限定。全有害物質取扱い事業場が対象ではない。
- イ(正): 通常3年・特定有害30年の二重基準→施行規則第51条・特化則等。
- ウ(誤): 作業環境測定機関(外部機関)への委託は認められている(第65条第2項)。
- エ(誤): 第1管理区分は「最良(管理濃度を下回る)」。第3が最悪(管理濃度超過)。
- オ(誤): 2022年4月施行改正で、第3管理区分事業場は「作業環境管理専門家(労働衛生コンサルタント等)の意見を聴く」ことが特化則等で義務化された。自社判断のみでの改善計画策定は法令違反。
【作業環境測定制度の体系:測定義務→評価→改善措置の一連フロー】
作業環境測定制度は「測定(第65条)→評価(第65条の2)→措置(第65条の3・4)」という一連のPDCAサイクルとして設計されています。
1. 測定: 指定作業場ごとに定期的に実施(頻度は物質により異なる。有機溶剤等は6か月以内ごと・特定化学物質は6か月以内ごと等)
2. 評価: 測定結果を管理濃度と比較し第1〜3管理区分に分類
3. 措置: 第3管理区分の場合は即時改善義務(設備改善・作業方法変更・有効な保護具使用・特殊健康診断の実施等)
【「30年保存」の立法趣旨:石綿・特定化学物質の「潜伏期間」への対応】
石綿(アスベスト)・特定化学物質の一部(ベンゼン・塩化ビニル等)は、曝露から疾患発症まで10〜40年の潜伏期間を持ちます。中皮腫(石綿曝露によるがん)は曝露から20〜50年後に発症することがあり、3年間の記録では「当時の作業環境が適切だったか」を証明できません。30年保存は「潜伏期間中でも労災申請・損害賠償請求時に証拠として活用できるようにする」ための設計です。
社労士実務での重要性:石綿関連疾患(中皮腫・肺がん)で労災申請をする際、元の職場の作業環境測定記録が重要な証拠となります。会社が廃業・倒産していても記録が残っていれば業務起因性の立証に使えます。
【第3管理区分への対応措置の詳細(第65条の4)】
事業者が第3管理区分となった際に講じなければならない措置(2022年改正で強化):
1. 直ちに取るべき措置: 有効な呼吸用保護具の使用(保護具着用管理責任者を選任)、施設設備の点検・改善計画の策定
2. 改善困難な場合: 専門機関による評価・改善相談
3. 改善確認: 改善措置後の再測定で第1または第2管理区分になるまで継続措置
4. 特殊健康診断の実施: 有害物質種類に応じた健康診断(6か月以内ごとの定期実施)
【2022年改正:作業環境測定結果の行政への報告義務化】
2022年4月施行の改正で、作業環境測定の結果が第3管理区分となった場合、一定の要件下で所轄労働基準監督署長への報告が必要になりました。また「作業環境測定士」の関与強化や「保護具着用管理責任者」選任が義務化されています。社労士はこの改正対応として、顧問先の化学物質管理体制の整備(GHS分類・リスクアセスメント・作業環境測定計画・保護具管理者選任)を支援する業務機会が拡大しています。
根拠: 労働安全衛生法第65条・第65条の2・第65条の3・第65条の4、同法施行規則第51条(記録保存3年)、特定化学物質障害予防規則第36条(記録保存30年)。確認日2026-06-08。
<!-- 最終監修 2026-06-08(legal-reviser・最終ゲート): 2022年4月施行の改正(第3管理区分事業場対策の強化・作業環境管理専門家への意見聴取義務化)の記述は厚労省告示・特化則改正と整合・正確。記録保存3年/30年・管理区分1〜3の定義・指定作業場限定・外部委託可いずれも安衛法・安衛則・特化則と整合。誤り検出なし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法第65条・第65条の2(作業環境測定)・第65条の3(評価・改善措置)、同法施行規則第51条、特定化学物質障害予防規則第36条 <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): ★2026-06-08修正:オの選択肢を再設計(旧オは「第3管理区分で直ちに改善措置」が実質的に正しい記述となり正答イと両立してしまうため、「産業医等の意見を聴かずに自社判断で改善計画策定」とする明確な誤り肢に書き換え)。2022年4月施行の改正で第3管理区分事業場は「**作業環境管理専門家(労働衛生コンサルタント等)の意見を聴く**」ことが義務化された(特化則・有機則・粉じん則等の改正)。自社判断のみでの改善策定は法令違反。イが正しい。施行規則第51条・特化則第36条で通常業務3年・石綿等特定有害業務30年の保存義務→正しい。ア「すべての有害物質取扱事業場」→誤り。安衛令第21条の指定作業場に限定。ウ「外部委託不可」→誤り。作業環境測定機関への委託可能(第65条第2項)。エ「第1管理区分が最も高い濃度」→誤り。第1管理区分は濃度最良(管理濃度以下)、第3管理区分が最も有害。正答イで一意性確保。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。