社労士 健康保険法 問17:健康保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
健康保険における保険外併用療養費に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア保険外併用療養費の支給対象となる療養は、評価療養と選定療養の2種類であり、患者申出療養はこれとは別の制度として独立しているため、保険外併用療養費の支給対象には含まれない。
- イ評価療養とは、一定の条件下で保険診療との併用を認めることにより、将来の保険適用を目的として有効性・安全性の評価を行う療養をいい、先進医療・医薬品の治験・承認後でも保険未収載の医薬品使用などが含まれる。
- ウ選定療養とは、被保険者の選択によって行われる療養のうち、厚生労働大臣が定めるものをいうが、その例として紹介状なしに大病院(特定機能病院・許可病床200床以上の地域医療支援病院)を受診する場合が挙げられ、この場合でも特別料金(選定療養費)の徴収は行われない。
- エ患者申出療養は、患者の申出に基づき、有効性・安全性確認中の先進的医療技術について、倫理的配慮を行いつつ迅速に開始できる制度であり、2016(平成28)年4月に導入された。正答
- オ保険外併用療養費の支給額は、評価療養・選定療養・患者申出療養いずれの区分においても、保険給付の対象となる基礎的な部分について、通常の療養の給付と同様に費用の全額が保険から支給される(患者は費用を一切負担しない)。
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正答はエです。
保険外併用療養費の対象は評価療養・選定療養・患者申出療養の3区分です(健保法第63条第2項・第86条)。アの「2種類」という記述は誤りです。
エが正しい記述です。患者申出療養は、患者自らが申し出た先進的医療技術について迅速に実施するために設けられた制度で、2016(平成28)年4月に導入されました。
イは概ね正確ですが、「先進医療」だけでなく薬機法上の治験(治験薬・機器)も評価療養の対象となる点に注意が必要です。ウは誤りで、紹介状なしの大病院受診では特別料金(選定療養費)の徴収が義務付けられています(2016年より特定機能病院・地域医療支援病院等で義務化)。オは誤りで、患者は基礎的部分について一部負担金(一部負担)を負い、費用全額が保険から支給されるわけではありません。
保険外併用療養費の3区分比較:
| 区分 | 制度趣旨 | 主な対象 | 導入時期 |
|---|---|---|---|
| 評価療養 | 将来の保険適用を目的とした評価段階の療養 | 先進医療(告示基準あり)・治験・承認後未収載薬 | 2006年(平成18年)の混合診療全面禁止→保険外併用解禁時 |
| 選定療養 | 患者の選択による特別なサービス | 差額ベッド代・歯科の金属冠・紹介状なし大病院受診・時間外受診等 | 同上 |
| 患者申出療養 | 患者の申出による迅速な先進技術実施 | 未承認薬・先進技術で患者自ら申し出た療養 | 2016年(平成28年)4月 |
各選択肢の解説:
- ア(誤): 保険外併用療養費の対象は評価療養・選定療養・患者申出療養の3種類(健保法第63条第2項・第86条)。「2種類」の記述は誤り。患者申出療養は第86条および健保法附則第13条の5で保険外併用療養費の対象として明記されています。
- イ(概ね正): 評価療養の説明は正確です。先進医療(第1〜3項の類型)、薬機法の治験、承認後未保険収載の医薬品・医療機器・再生医療等製品の使用が含まれます。ただし「先進医療・医薬品の治験・承認後でも保険未収載の医薬品使用」という記述だけでは全体像の一部です。
- ウ(誤): 紹介状なしに特定機能病院・許可病床200床以上の地域医療支援病院等を受診する場合、特別料金(選定療養費)の徴収が義務付けられています(2016年4月義務化・2022年10月に対象拡大・1次医療機関への徴収強化)。「特別料金の徴収は行われない」は明確に誤り。
- エ(正): 患者申出療養は2016(平成28)年4月に導入された制度で、患者自らが申し出た先進的医療技術について、倫理審査を経て迅速に実施できる仕組みです。この記述は正確です。
- オ(誤): 保険外併用療養費は「基礎的な部分(通常の保険適用部分)」について保険から支給しますが、被保険者は基礎的部分について一部負担金(一般は3割)を負います。費用全額が保険から支給されるわけではありません(特別料金部分は全額自己負担)。
【保険外併用療養費制度の沿革と3区分の細目】
混合診療の取扱いは、2004年の最高裁判決(健保法は原則として混合診療を禁止していないとの解釈が示された一方、厚労省は従来の「全額自費」扱いを維持)を経て2006年に見直された。改正前の「特定療養費制度」を廃止し、評価療養・選定療養の2区分で「保険外併用療養費制度」として再整備された。さらに2016年、安倍政権の規制改革の一環として患者申出療養が追加された(健保法附則第13条の5)。
評価療養の細目(告示規定・2026-04-10時点):
1. 先進医療(第1〜3項類型): 厚労大臣が定める先進医療技術。実施医療機関の施設基準あり。保険適用を見据えた有効性・安全性の評価中。
2. 医薬品・医療機器・再生医療等製品の治験(薬機法): 臨床試験(第2・第3相)段階の未承認医薬品等の使用。
3. 承認後保険未収載の医薬品等の使用: 薬機法上の承認は取得済みだが薬価収載前の医薬品・医療材料・医療機器の使用。
4. 薬価収載品の適応外使用(一定要件下): 承認適応以外への使用で告示要件を満たすもの。
選定療養の細目(代表例):
| 選定療養の種類 | 特別料金(選定療養費)の徴収義務 |
|---|---|
| 紹介状なし大病院初診 | 義務(特定機能病院・地域医療支援病院200床以上等) |
| 差額ベッド料(特別の療養環境) | 任意(患者の合意に基づく) |
| 歯科の金属冠(金・白金合金) | 任意 |
| 180日超の長期入院 | 義務(入院期間に応じた徴収) |
| 時間外診療(診療時間外・休日) | 任意 |
患者申出療養の特徴と評価療養との違い:
| | 患者申出療養 | 評価療養(先進医療) |
|---|---|---|
| 申請主体 | 患者本人(主治医の協力が必要) | 医療機関(施設基準を満たした上で届出) |
| 手続きの迅速性 | 原則6週間以内(再申出は2週間以内) | 施設基準の申請・審査に数か月〜1年超 |
| 実施可能施設 | 臨床研究中核病院(全国16施設・2026年時点)等 | 先進医療ごとの施設基準を満たす医療機関 |
| 対象の性格 | 未承認・評価段階でも患者が強く望む技術 | 厚労省が将来の保険適用を評価中の技術 |
| 導入 | 2016年4月 | 2006年(評価療養として再整備) |
支給額の計算構造(社労士試験での計算問題に備えた理解):
保険外併用療養費の支給額=「療養にかかった費用のうち基礎的部分の費用」-「基礎的部分に係る一部負担金」
- 基礎的部分: 通常の療養の給付と同様の範囲(診察・投薬・検査等の保険適用部分)
- 特別料金部分: 先進医療技術料・特別室料金等の追加費用 → 全額自己負担
- 被保険者の自己負担は「基礎的部分の一部負担金」+「特別料金部分の全額」
社労士試験での頻出ポイント:
1. 3区分の名称と趣旨の区別(評価療養=将来の保険適用評価・選定療養=患者の選択的サービス・患者申出療養=患者からの申出による迅速実施)
2. 患者申出療養の導入年(2016年・平成28年)は誤答選択肢として「2006年(平成18年)」が頻出
3. 紹介状なし大病院受診は選定療養であり特別料金の徴収は義務化(「徴収されない」という誤答に注意)
4. 保険外併用療養費の支給額は基礎的部分から一部負担金を引いた額(「全額支給」は誤り)
<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 健保法第63条第2項・第86条・附則第13条の5(患者申出療養)について一次ソース突合済。3区分(評価/選定/患者申出)・患者申出療養2016年導入・大病院選定療養費義務化を確認。基準日2026-04-10内で改正混入なし。正答エ維持。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 健康保険法第63条第2項・第86条・附則第13条の5(患者申出療養) 確認日: 2026-06-08 出典: 厚生労働省 保険外併用療養費制度(評価療養・患者申出療養・選定療養) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000123089.html e-Gov 健康保険法第86条 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=211AC0000000070 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。