社労士 健康保険法 問19:健康保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
健康保険における埋葬料・埋葬費に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア埋葬料は、被保険者が死亡したときに、被保険者により生計を維持していた者が埋葬を行う場合に支給されるが、「生計を維持していた者」には、被保険者の死亡当時その被保険者と同居していた者に限られる。
- イ埋葬料は、被保険者により生計を維持していた者が埋葬を行わない場合には支給されず、代わりに埋葬費として、実際に埋葬を行った者に、埋葬のために要した費用の全額が支給される。
- ウ埋葬料の額は5万円であり、この額は被保険者の年齢・被保険者期間にかかわらず一律に定額(5万円)である。なお、業務上の死亡の場合は労災保険の葬祭料が優先適用され健保の埋葬料は支給されない(健保法第55条)。正答
- エ被扶養者が死亡したときに支給される家族埋葬料の額は、埋葬料(5万円)と同額の5万円であるが、支給先は被保険者(家族の扶養者)ではなく、実際に埋葬を行った第三者となる。
- オ被保険者の資格を喪失してから3か月以内に死亡した場合は、資格喪失後の継続給付として埋葬料が支給されるが、継続して1年以上被保険者であった場合には、この3か月の制限がなく無期限に継続給付の対象となる。
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正答はウです。
埋葬料の額は5万円と条文で定められており(健保法第100条第1項)、被保険者の年齢・在職期間にかかわらず一律5万円です。ただし業務上の死亡の場合は労災保険の葬祭料が優先(健保法第55条)するため健保埋葬料は支給されません。ウは「業務上の場合は労災優先」の例外を明示しているため正しい記述です。
アは誤りで、「生計を維持していた者」は同居に限定されません。別居でも生計を維持していれば支給対象となります。
イは誤りで、「生計を維持していた者がいない場合」に埋葬を行った者に埋葬費が支給されますが、埋葬費の額は実際に要した費用の全額ではなく5万円を上限とする実費です。
エは誤りで、家族埋葬料の支給先は被保険者本人(死亡した被扶養者を扶養していた被保険者)です。第三者への支給ではありません。
オは誤りで、継続給付としての埋葬料は「資格喪失後3か月以内の死亡」に加え、「継続1年以上被保険者で傷病手当金・出産手当金の支給を受けていた期間内の死亡」の場合も対象ですが、無期限ではありません。
埋葬料・埋葬費・家族埋葬料の比較整理:
| 給付名 | 根拠条文 | 支給対象 | 支給要件 | 支給額 |
|---|---|---|---|---|
| 埋葬料 | 第100条第1項 | 被保険者により生計を維持していた者(埋葬を行う者) | 被保険者が死亡した場合 | 5万円 |
| 埋葬費 | 第100条第2項 | 生計維持者がいない場合に実際に埋葬を行った者 | 生計維持者がいないとき | 実費(5万円を上限) |
| 家族埋葬料 | 第113条 | 被保険者本人 | 被扶養者が死亡した場合 | 5万円 |
各選択肢の解説:
- ア(誤): 「被保険者により生計を維持していた者」は同居要件はありません(健保法第100条第1項)。生計維持の実態があれば別居でも埋葬料の対象となります。なお、被扶養者認定のような所得要件は埋葬料の受給要件には明示されていません。
- イ(誤): 埋葬費(第100条第2項)の支給額は「実際の費用」ではなく、5万円を上限とする実費です。「実際に要した費用の全額」という記述は誤り。仮に実際の費用が5万円を超えても、5万円が上限となります。
- ウ(正): 埋葬料は5万円(健保法第100条第1項)。この額は年齢・被保険者期間にかかわらず一律です。業務上死亡の場合は労災保険の葬祭料が優先適用され、健保の埋葬料は原則として支給されません(健保法第55条)。本肢はこの労災優先の例外を明示しているため正しい記述です。
- エ(誤): 家族埋葬料(第113条)の支給先は被保険者本人(死亡した被扶養者を扶養していた被保険者)です。埋葬を実際に行った第三者への支給ではありません。
- オ(誤): 資格喪失後の継続給付としての埋葬料(健保法第105条)の対象は「資格喪失後3か月以内の死亡」(期間はあり)または「継続1年以上被保険者で傷病手当金・出産手当金の支給を受けていた期間中の死亡」。「1年以上被保険者なら無期限」という記述は誤りで、支給を受けていた「期間中」という限定があります。
【埋葬料の制度設計と労災保険の葬祭料との比較】
被保険者の死亡という事象に対しては、健康保険の埋葬料(5万円)と労働者災害補償保険の葬祭料(315,000円+給付基礎日額30日分、または給付基礎日額60日分のいずれか高い方)が重複して支給されることはありません。業務上の死亡であれば労災保険の葬祭給付が優先し、健保の埋葬料は支給されません(健保法第55条)。この優先関係を問う横断問題は社労士試験で頻出です。
「生計を維持していた者」の解釈(実務・裁判例):
埋葬料の受給資格となる「被保険者により生計を維持していた者」の要件は、被保険者による経済的支援が家計の実態において主要な位置を占めていたかどうかで判断されます。
具体的に認められやすいケース:
- 別居の親への仕送りを継続していた場合(被扶養者認定の有無は問わない)
- 内縁配偶者(法律上の婚姻関係なし)が生計を維持されていた場合
- 成人した子で親から仕送りを受けていた場合
認められないケース:
- 死亡した被保険者の兄弟姉妹で完全に独立した生計を営んでいた場合
注意点として、被扶養者(健保法第3条第7項)として認定されていた者は「生計を維持していた者」に該当するとの推定が働きますが、被扶養者認定がなくても要件を満たせば埋葬料を受給できます(逆に、被扶養者登録がなかったからといって必ず受給できないわけではない)。
「生計を維持していた者がいない場合」の意味と埋葬費の位置づけ:
現実に死亡した被保険者の親族等が誰も埋葬料を請求しない場合(または生計維持関係を立証できる者がいない場合)に、実際に埋葬を行った者(会社・近隣の人・自治体等)に対して「埋葬費」として5万円を上限とする実費が支給されます。
埋葬費の実務上の注意点:
- 埋葬費の上限5万円は法定(条文に明記)
- 斎場使用料・棺桶代・搬送費等の直接的な埋葬費用が対象
- 香典・飲食代等は含まれない
家族埋葬料の支給先と「直接払い」の例外:
家族埋葬料(健保法第113条)は原則として被保険者本人に支給されますが、被保険者が費用を立て替えられない場合など、実際に埋葬を行った者への直接支払いが認められる場合があります(健保法施行規則の直接給付契約に準じた取扱い)。ただし原則は被保険者への支給であり、エの「第三者が受け取る」という一般的な記述は誤りです。
資格喪失後の継続給付(第105条)の精密な要件整理:
```
資格喪失後の埋葬料が支給される場合:
【パターン1】資格喪失後3か月以内の死亡
→ 被保険者としての期間要件なし(3か月以内であれば支給)
→ 健保法第105条第1項
【パターン2】継続1年以上被保険者で傷病手当金・出産手当金受給中の死亡
→ 「受給中」の期間内の死亡に限る(無期限ではない)
→ 健保法第105条第2項・第104条から読み込み
```
よくある誤解:
- 「継続1年以上被保険者なら、資格喪失後何年経っても埋葬料が出る」→ 誤り。給付を受けている「期間中」の死亡に限られます。
- 「3か月以内の制限は健保法に規定されている」→ 正しい(第105条第1項)。
- 「任意継続被保険者として加入すれば2年間は埋葬料を受け取れる」→ 任意継続被保険者としての期間中に死亡した場合は別途規定あり(任意継続被保険者としての給付を受ける)が、資格喪失後の「継続給付」とは別の問題です。
社労士試験での頻出パターン(誤答ひっかけの分析):
1. 埋葬費の上限額誤り: 「実費の全額」→誤り(5万円が上限)
2. 家族埋葬料の受取人誤り: 「実際に埋葬した者」→誤り(被保険者本人)
3. 業務上死亡への健保埋葬料適用: 業務上なら労災優先→健保埋葬料は原則不支給
4. 「同居要件」の虚偽挿入: 生計維持は同居不要
5. 継続給付の「無期限」化: 3か月制限または給付受給期間中の制限がある
<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 設問ウの「死亡原因(業務外・業務上)によらず一定」が業務上死亡の場合は労災優先(健保法第55条)で不支給となるため不正確だったので、「業務上死亡は労災保険の葬祭料が優先」の例外明示に修正。健保法第100条(埋葬料・埋葬費)・第113条(家族埋葬料)・第105条(継続給付)・第55条(業務上・労災優先)一次ソース突合済。基準日2026-04-10内で改正混入なし。正答ウ維持。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 健康保険法第100条(埋葬料・埋葬費)・第113条(家族埋葬料)・第105条(継続給付) 確認日: 2026-06-08 出典: 厚生労働省 死亡したとき(埋葬料) https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/h20_01_09.pdf e-Gov 健康保険法第100条・第105条 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=211AC0000000070 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。