社労士 健康保険法 問21:健康保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
健康保険における標準賞与額に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア標準賞与額の上限は、1回の賞与ごとに150万円とされており、年度(4月1日から翌年3月31日)内に複数回賞与が支払われても、1回につき150万円を超える部分は標準賞与額に算入されない。
- イ健康保険の標準賞与額の年度累計上限額は {{KENPO_HYOJUN_SHOYO_NEAR}} であり、年度累計がこの上限を超えた場合、超えた部分は保険料が徴収されず、超えた部分に対応する保険給付(傷病手当金等の計算)も行われない。正答
- ウ健康保険と厚生年金の標準賞与額の年度累計上限額は同一であり、ともに年度累計573万円が上限として設定されている。
- エ標準賞与額は、実際に支払われた賞与の額(税引前)を1,000円未満切り捨てして算出されるが、賞与の一部を現物(食事・住宅等)で支給した場合には、現物部分は標準賞与額の算定から除外される。
- オ標準賞与額の年度累計の管理は事業主が行うのではなく、協会けんぽまたは健康保険組合が被保険者ごとに管理し、上限超過分が発生した場合には保険者が事業主に対して通知を行う義務を負う。
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正答はイです。
健康保険の標準賞与額は、1回の賞与支払ごとに1,000円未満を切り捨てた額ですが、年度(4月1日〜翌年3月31日)の累計に573万円という上限が設定されています(健保法第45条)。イはこの仕組みを正しく記述しています。
アは誤りで、「1回ごとに150万円が上限」というのは厚生年金の上限(1回150万円)の話です。健保は年度累計573万円であり、1回ごとの上限ではありません。
ウは誤りで、健保(年度累計573万円)と厚生年金(1回150万円)の上限は異なります。
エは誤りで、現物給与(食事・住宅等)は一定の方法で評価した上で賞与として算定に含まれます(全額除外ではありません)。
オは誤りで、年度累計の管理は事業主側の責任で行います(賞与支払届の提出等)。
健保の標準賞与額の仕組み(健保法第40条・第45条):
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 1回の賞与の算定 | 賞与の税引前支給額を1,000円未満切り捨て |
| 年度累計上限 | 573万円(健保法第45条)※{{KENPO_HYOJUN_SHOYO_NEAR}} |
| 上限超過分の取扱い | 超過部分は標準賞与額に算入されず、保険料も徴収されない |
| 年度の起算日 | 4月1日(4月1日〜翌年3月31日) |
| 保険給付への影響 | 傷病手当金等の計算に使用される標準報酬日額は月額のみで計算(賞与は直接使用しないが、上限超過分は給付計算上も算入されない) |
健保と厚生年金の標準賞与額の比較(ウの誤り根拠):
| | 健康保険 | 厚生年金 |
|---|---|---|
| 上限方式 | 年度累計573万円 | 1回につき150万円 |
| 根拠条文 | 健保法第45条 | 厚年法第24条の4 |
| 上限超過時 | 超過分を年度内の以降の賞与から控除 | 1回ごとに150万円超をカット |
この違いは社労士試験の頻出論点です。「健保も厚年も同じ上限」という誤りがウの肢で出現しています。
各選択肢の解説:
- ア(誤): 「1回ごとに150万円が上限」は厚生年金の仕組みです(厚年法第24条の4)。健保の上限は年度累計573万円であり、1回ごとの上限額は設定されていません(健保法第45条)。
- イ(正): 健保の年度累計上限573万円を超えた部分は標準賞与額に算入されないため、保険料の徴収も行われません(健保法第45条・第167条)。
- ウ(誤): 健保の年度累計上限573万円と厚生年金の1回上限150万円は異なる仕組みです。同一額という記述は誤り。
- エ(誤): 現物給与(食事・住宅等)は「通貨以外の賞与」として標準賞与額の算定に含まれます(健保法第45条・施行令第25条)。評価方法は厚労大臣が告示する現物の価額基準により算定します。「現物部分は除外」という記述は誤り。
- オ(誤): 年度累計の管理の主体について、年度内に複数回賞与を支払う場合、事業主(または健保組合・協会けんぽの届出処理を通じて)が累計額を管理します。保険者が積極的に通知義務を負うというよりも、事業主が賞与支払届を提出し、累計額が573万円を超えた場合には超過分を除いた額を標準賞与額として届け出ます。
【健保の年度累計573万円の設計根拠と実務での計算方法】
健保の標準賞与額上限が「年度累計573万円」という設計になっている背景には、賞与に対する保険料徴収の公平性と、賞与を恣意的に分割して保険料を回避することの防止があります。
厚生年金の「1回150万円」と健保の「年度累計573万円」という異なる設計は、以下の意図を反映しています:
- 厚生年金: 1回の賞与が高額であっても保険料の基数を150万円でキャップ(年金財政の安定化)
- 健保: 賞与支払回数を増やして1回あたりを少額にする節保険料策の防止(年度累計で管理)
年度累計573万円の実務計算(上限超過時の処理):
```
例: ある被保険者が同一年度に以下の賞与を受けた場合
4月賞与: 200万円(標準賞与額: 200万円・累計200万円)
7月賞与: 200万円(標準賞与額: 200万円・累計400万円)
12月賞与: 200万円(本来の標準賞与200万円・累計600万円→上限超過)
12月賞与の計算:
年度上限573万円 - 既積算400万円 = 残余173万円
12月の標準賞与額 = 173万円(200万円ではなく173万円)
200万円 - 173万円 = 27万円分は保険料徴収なし
```
実務上の注意:
- 年度途中で転職した場合、前の事業主での賞与支払い累計は引き継がれる(被保険者の年間累計のため)
- 事業主は被保険者台帳等で年度内の標準賞与額累計を管理し、上限に達した場合は標準賞与額を上限残余分に調整して届け出る義務
573万円の根拠(傷病手当金・出産手当金の計算との関係):
傷病手当金・出産手当金の計算では月額の標準報酬日額を使用し、賞与額は直接計算に使われません。ただし、標準賞与額が保険料の計算基礎となることで、保険財政全体に影響します。
573万円は健保法第45条の政令で定められた額であり、労使折半で保険料が課されます。被保険者の年間賞与上限573万円に対する健保料は、例えば全国平均料率9.90%では(1人あたり)最大 573万円×9.90%÷2(被保険者負担)≒28万3,635円となります。
社労士試験での混同パターンと識別ポイント:
| よくある誤答パターン | 正しい識別法 |
|---|---|
| 「健保も厚年も150万円上限」 | 健保=年度累計573万円、厚年=1回150万円。試験では「573万円」「150万円」の数字で区別 |
| 「健保も厚年も年度累計同額」 | 健保573万円、厚年は1回150万円(年間上限なし) |
| 「1,000円未満は四捨五入」 | 正しくは1,000円未満切り捨て |
| 「現物賞与は除外」 | 現物給与は評価額換算して算入 |
月給と賞与の標準報酬の制度的相違点(まとめ):
| | 標準報酬月額 | 標準賞与額 |
|---|---|---|
| 等級区分 | 第1級〜第50級(1,580円〜1,390,000円) | 等級なし(賞与支払額から直接算定) |
| 上限 | 第50級・1,390,000円 | 年度累計573万円 |
| 算定基礎 | 報酬月額を等級表に当てはめる | 賞与支払額を1,000円未満切捨て |
| 改定タイミング | 定時決定(毎年7月)・随時改定 | 賞与支払のたびに算定・届出 |
| 給付への影響 | 傷病手当金・出産手当金の計算に使用 | 傷病手当金等の計算には直接不使用(保険料のみ) |
<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 健保法第40条(標準報酬月額・標準賞与額の定義)・第45条(標準賞与額の年度累計上限573万円)・施行令第25条について一次ソース突合済。健保573万円/厚生年金1回150万円の違い・1,000円未満切捨て・現物給与の評価額算入を確認。VolatileBoxキーKENPO_HYOJUN_SHOYO_NEAR=573万円のマスタ追加投入を要請。基準日2026-04-10内で改正混入なし。正答イ維持。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 健康保険法第40条第2項(標準賞与額上限)・第45条(年度累計)・健康保険法施行令第25条 確認日: 2026-06-08 出典: 協会けんぽ 標準報酬月額・標準賞与額 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat330/sb3160/sbb3165/1962-271/ e-Gov 健康保険法第45条 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=211AC0000000070 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。