社労士 健康保険法 問24:健康保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
健康保険における被保険者の資格取得・喪失の時期に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア被保険者は、適用事業所に使用されるに至った日に資格を取得する。したがって、入社日(就職日)が資格取得日となり、その日から保険料が発生する。
- イ被保険者は、退職(解雇・契約終了等)した日の翌日に資格を喪失する。例えば、3月31日に退職した場合の資格喪失日は4月1日となる。
- ウ被保険者が死亡した場合の資格喪失日は、死亡した日の翌日である。
- エ被保険者が75歳に達した場合(後期高齢者医療制度への移行)、75歳の誕生日から健康保険の被保険者資格を喪失し、同日に後期高齢者医療の被保険者資格を取得する。
- オ被保険者の資格取得の届出が遅れ、本来の資格取得日より後に届出が行われた場合、届出の受理日が資格取得日として認められるのが原則であり、遡及して資格取得日が定められることは認められない。正答
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠条文・通達も明記。
正答はオ(誤っている記述)です。
オの誤りは「遡及して資格取得日が定められることは認められない」という部分です。健康保険では、届出が遅れた場合でも資格取得の実態があった日(使用されるに至った日)に遡及して資格取得日が設定されます(健保法第35条)。届出の遅れは、届出義務違反として行政上の問題になりますが、資格取得の効力は本来の取得日から生じます。
アは正しく、入社日(使用されるに至った日)が資格取得日です。イは正しく、退職日の翌日が資格喪失日です(翌日喪失の原則)。ウは正しく、死亡日の翌日が資格喪失日です。エは正しく、75歳の誕生日が資格喪失日であり同時に後期高齢者医療の被保険者となります(誕生日に喪失・同日取得)。
被保険者の資格取得・喪失時期の一覧(健保法第35条・第36条):
| 事由 | 資格取得・喪失日 |
|---|---|
| 適用事業所に使用されるに至った日 | その日(使用開始日)に取得 |
| 退職・解雇・契約終了 | 退職日の翌日に喪失 |
| 死亡 | 死亡日の翌日に喪失 |
| 75歳到達(後期高齢者医療移行) | 75歳の誕生日当日に喪失(同日に後期高齢者医療被保険者資格取得) |
| 任意継続被保険者となったとき | 強制適用喪失日(翌日)からの取得 |
| 適用除外事由(週20時間未満等) | 事由が生じた日の翌日に喪失 |
翌日喪失の原則の意味:
健康保険の資格喪失は原則として事由発生日の翌日です(退職日・死亡日・75歳到達日の例外確認が重要)。75歳の誕生日は例外的に当日喪失(後期高齢者医療との制度上の整合性)です。
各選択肢の解説:
- ア(正): 使用されるに至った日(入社日)に資格取得(健保法第35条第1号)。これは「使用される」という状態になった日であり、書類上の手続き完了日とは無関係です。
- イ(正): 退職(解雇・期間満了等)した日の翌日に資格喪失(健保法第36条第4号)。3月31日退職なら4月1日喪失、つまり3月31日は保険料が発生(当日は被保険者)、4月1日から非適用です。
- ウ(正): 死亡した日の翌日に資格喪失(健保法第36条第3号)。死亡当日は保険料が発生し、給付請求(埋葬料等)は死亡当日の被保険者資格に基づきます。
- エ(正): 75歳到達日(誕生日当日)に健保の被保険者資格を喪失し、同日に後期高齢者医療の被保険者資格を取得(健保法第36条第9号・高齢者医療確保法第50条)。「翌日喪失の原則」の例外であることに注意。
- オ(誤・正答): 遡及して資格取得日が認められる(健保法第35条・被保険者証の交付と資格取得は別)。届出が遅れても、保険者(協会けんぽ・健保組合)は本来の資格取得日(使用されるに至った日)を資格取得日として取り扱います。ただし、2年を超えた保険料については時効(健保法第193条)により徴収できない場合があります。
【資格取得・喪失のタイミングが実務でなぜ重要か——保険料と給付の境界】
資格取得・喪失の日付は「いつから保険料が発生するか」「いつまで保険給付を受けられるか」を直接決定するため、実務上も試験上も高頻度で問題が起こるポイントです。
月末退職と月中退職の保険料の違い(重要実務事項):
健康保険料は月単位で計算され、資格取得した月は保険料が発生し、資格喪失した月は保険料が発生しない(健保法第156条の原則)というルールがあります。
例:
- 3月31日退職(月末退職): 資格喪失日は4月1日 → 3月分保険料が発生(翌月=4月の給与から控除されない・3月給与から控除)
- 3月30日退職(月中退職): 資格喪失日は3月31日 → 3月分保険料は発生しない(3月31日が喪失日のため)
月末退職と月中退職で「最後の月の保険料が発生するかどうか」が変わる点は、実務でよく混乱が生じます。社労士試験でも「どちらの日付が得か」という計算問題に発展することがあります。
遡及適用の仕組みと問題(オの正解根拠の深掘り):
資格取得の遡及が認められる根拠と限界:
1. 根拠: 健保法第35条は「使用されるに至った日に取得する」と規定(届出日ではない)。したがって、本来の入社日から遡及して被保険者資格を認定する。
2. 実務上の手続き: 事業主が被保険者資格取得届を遅延して提出した場合、協会けんぽは入社日を取得日として認定。過去に遡って保険料を徴収(被保険者・事業主の双方が納付義務)。
3. 時効の問題(重要): 保険料の徴収権は2年の消滅時効(健保法第193条)があります。2年を超えて遡及した分は時効で徴収不能になる可能性があります。ただし資格自体は取得したとして扱われます。
4. 給付との関係: 遡及した被保険者期間中に医療機関を受診していた場合、当該費用を7割(一般)の保険給付として被保険者に支給する(「療養費の支給」手続きにより、自費で支払った医療費を後から保険給付に振り替える)。
75歳到達の誕生日喪失の理由:
後期高齢者医療制度(高齢者医療確保法)では、75歳の誕生日に資格を取得する旨が規定されており(同法第50条)、健保からの離脱(喪失)も誕生日当日とすることで「1日も保険の空白が生じない」設計にしています。これが「翌日喪失の原則」の例外となる唯一の主要事由です。
70歳到達(前期高齢者)の場合は健保から後期高齢者医療への移行ではなく、一部負担金の割合が変わる(2割または3割)ことに注意(健保の被保険者は継続)。
資格取得・喪失の判断フロー(試験対策チェックリスト):
```
1. 事由の確認
・入社 → 取得日 = 入社日(当日)
・退職 → 喪失日 = 退職日の翌日
・死亡 → 喪失日 = 死亡日の翌日
・75歳到達 → 喪失日 = 誕生日当日(翌日ではない)
2. 保険料発生月の確認
・取得月 → 保険料発生
・喪失月 → 保険料発生しない
・例外: 取得月と喪失月が同じ場合 → 発生
3. 届出遅延の場合
→ 本来の取得日に遡及(2年の時効に注意)
```
<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 健保法第35条(資格取得)・第36条(資格喪失)・第193条(保険料の時効2年)・高齢者医療確保法第50条(75歳到達日当日取得)一次ソース突合済。翌日喪失の原則と75歳到達日当日喪失の例外・月末退職/月中退職の保険料差・遡及取得の遡及効と2年時効を確認。基準日2026-04-10内で改正混入なし。正答オ維持。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 健康保険法第35条(資格取得の時期)・第36条(資格喪失の時期) 確認日: 2026-06-08 出典: 協会けんぽ 資格取得・喪失等の手続き https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g5/cat590/r4/ e-Gov 健康保険法第35条・第36条 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=211AC0000000070 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。