健康保険法25健康保険法

社労士 健康保険法 問25:健康保険法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

健康保険における一部負担金(窓口での患者負担割合)に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 被保険者が保険医療機関で療養の給付を受ける場合、原則として医療費総額の3割を一部負担金として支払う。小学校就学前の子については1割の一部負担金となる。
  • 70歳以上75歳未満の被保険者(前期高齢者)の一部負担金は一律2割であり、現役並み所得者(標準報酬月額28万円以上等の所得要件を満たす者)も含めて全員2割となる。
  • 75歳以上の者は後期高齢者医療制度に移行するため健康保険の被保険者ではなくなるが、その場合の後期高齢者医療の窓口負担割合は、原則として1割(現役並み所得者は3割・一定以上所得者は2割)である。正答
  • 被保険者が緊急の必要上、保険医療機関以外で療養を受けた場合(療養費)は、一部負担金の支払いが生じず、費用の全額を保険者から受け取ることができる。
  • 被保険者が保険医療機関の窓口で一部負担金を支払わなかった場合、保険医療機関は当該被保険者に対して直接訴訟(民事訴訟)を提起することはできず、保険者(協会けんぽ等)が代わりに被保険者から徴収する仕組みのみが法定されている。
正答:75歳以上の者は後期高齢者医療制度に移行するため健康保険の被保険者ではなくなるが、その場合の後期高齢者医療の窓口負担割合は、原則として1割(現役並み所得者は3割・一定以上所得者は2割)である。

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正答はウです。

75歳以上は後期高齢者医療制度に移行するため健保の被保険者ではなくなります。後期高齢者医療では、窓口負担は原則1割(現役並み所得者は3割、2022年10月から導入された「一定以上所得者」は2割)となります。ウは正確です。

アは誤りで、小学校就学前の子は2割(3割ではなく2割の一部負担金軽減が適用)です。1割という記述は誤り。

イは誤りで、70歳以上75歳未満の前期高齢者は原則2割ですが、現役並み所得者(標準報酬月額28万円以上等)は3割です。「全員2割」という記述が誤り。

エは誤りで、療養費の支給においても一部負担金相当額(3割等)は控除され、被保険者は負担します。費用全額が支給されるわけではありません。

オは誤りで、被保険者が一部負担金を窓口で支払わない場合、健保法第74条第2項により、保険者の処分(保険者徴収)の仕組みが用意されているほか、保険医療機関が民事手続で請求すること自体が排除されているわけではありません。「保険者代行のみ」と限定する記述は誤りです。なお、健保法第75条による一部負担金の端数処理は「10円未満四捨五入(5円未満切捨・5円以上10円未満切上)」が正しい運用です。

標準試験対策の基準レベル

年齢区分別の一部負担金割合(健保法第74条・高齢者医療確保法):

| 対象 | 年齢区分 | 一部負担金割合 |

|---|---|---|

| 小学校就学前 | 0歳〜就学前 | 2割 |

| 一般被保険者 | 就学後〜69歳 | 3割 |

| 前期高齢者(一般) | 70歳以上75歳未満 | 2割 |

| 前期高齢者(現役並み所得) | 70歳以上75歳未満・標準報酬月額28万円以上等 | 3割 |

| 後期高齢者(一般) | 75歳以上 | 1割(後期高齢者医療制度) |

| 後期高齢者(一定以上所得) | 75歳以上・年収200万円以上等 | 2割(2022年10月〜) |

| 後期高齢者(現役並み所得) | 75歳以上・現役並み所得 | 3割 |

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 小学校就学前の一部負担金は2割(健保法第74条第1項第1号・第3号)。1割という記述は誤りです。なお、0歳(乳幼児)でも2割の一部負担金が法定されており、市区町村の医療費助成(乳幼児医療費助成)は健保の給付とは別の自治体独自制度です。
  • イ(誤): 70歳以上75歳未満の前期高齢者の一部負担金は原則2割ですが、現役並み所得者は3割(健保法第74条第1項第2号・施行令第34条の2)。「全員2割」は誤り。現役並み所得の判定基準(標準報酬月額28万円以上等)は厚労省令で定められています。
  • ウ(正): 後期高齢者医療(高齢者医療確保法第67条)の窓口負担は原則1割・現役並み所得者3割・2022年10月から導入の「一定以上所得者」(年収200万円以上等)は2割。正確な記述です。
  • エ(誤): 療養費(健保法第87条)は保険医療機関等で療養の給付を受けられない場合等に、費用の7割(一般)相当が支給されます(被保険者は3割相当を自己負担)。「費用全額が支給される」は誤りです。
  • オ(誤): 被保険者が一部負担金を窓口で支払わない場合の救済手段として、健保法第74条第2項は「保険医療機関等が善良な管理者と同一の注意をもって徴収に努めたにもかかわらず、なお被保険者がこれを支払わないときは、保険者は当該保険医療機関等の請求に基づき、被保険者から一部負担金を徴収することができる」と定めています(保険者徴収)。これは保険医療機関側の救済手段の一つであり、保険医療機関による民事請求自体を禁じる規定ではありません。「保険者代行のみ」と限定する記述は誤りです。なお健保法第75条の端数処理は10円未満を四捨五入(5円未満切捨・5円以上10円未満切上)するのが正しい運用です。
上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【一部負担金制度の歴史的変遷と2022年10月改正】

一部負担金の割合は、医療費増大に伴い段階的に引き上げられてきました。社労士試験では「改正前」「改正後」の混同を狙った選択肢が頻出です。

主要な改正の経緯:

| 時期 | 改正内容 |

|---|---|

| 2003年4月 | 一般の一部負担金が2割→3割に引上げ(現在の3割の根拠) |

| 2006年10月 | 70歳以上の一部負担金が1割→2割(ただし経過措置で一時1割据え置き) |

| 2014年4月 | 70歳以上の2割を段階的に実施(2014年4月以降70歳到達者から2割) |

| 2022年10月 | 後期高齢者(75歳以上)の「一定以上所得者」2割導入(一定の収入がある後期高齢者の負担増) |

2022年10月改正「一定以上所得者2割」の詳細:

後期高齢者医療の「一定以上所得者」(2割負担)の判定基準:

  • 課税所得が28万円以上かつ年収が200万円以上(単身世帯)または320万円以上(2人以上世帯)
  • 「現役並み所得者」(年収383万円以上等・3割)には該当しない層が対象

導入経緯: 少子高齢化による後期高齢者医療費の増大と現役世代の負担軽減を目的として、2021年法改正(高齢者医療確保法改正)・2022年10月施行。社労士試験では2024年度以降の出題では「1割・2割・3割の3段階」として出題されます。

一部負担金の減免制度(高額療養費との連携):

一部負担金(窓口自己負担)が高額になった場合の救済:

1. 高額療養費制度(健保法第115条): 同一月内の一部負担金が自己負担限度額(区分ごとの額)を超えた部分を払い戻す(または事前に限度額適用認定証で窓口負担を限度額に抑える)

2. 高額介護合算療養費制度: 同一世帯内の健保+介護保険の自己負担合計が年間限度額を超えた場合に払い戻す

Wave2で扱った高額療養費5区分(ア〜オ・70歳未満の区分)との関係:

  • 区分ア: 標準報酬月額83万円以上(3割負担)
  • 区分イ: 標準報酬月額53〜79万円(3割)
  • 区分ウ: 標準報酬月額28〜50万円(3割)
  • 区分エ: 標準報酬月額26万円以下(3割)
  • 区分オ: 住民税非課税(3割)
  • ※なお、一般の3割負担者が高額療養費の適用を受けた結果、支払う自己負担は区分ごとの限度額(80,100円等)に抑えられる

「小学校就学前2割」の混同防止(アの誤り根拠の深掘り):

試験では「就学前は1割か2割か」が頻出の混乱ポイントです。

  • 健保法上の給付: 小学校就学前は2割(3割より軽減されているが1割ではない)
  • 自治体の助成: 乳幼児医療費助成(マル乳・マル子等の自治体制度)により実質的に無料または低額となる場合がある

社労士試験では健保法上の一部負担金の割合が問われるため、自治体助成と混同せず「2割」を答えることが必要です。

一部負担金の端数処理の詳細(健保法第75条):

健保法第75条は次のように規定します:「一部負担金の額に5円未満の端数があるときは、これを切り捨て、5円以上10円未満の端数があるときは、これを10円に切り上げるものとする」。

つまり実質的に10円未満の端数を四捨五入する処理(5円未満切り捨て・5円以上10円未満切り上げ)であり、1円単位での切り捨てではありません。これは社労士試験頻出論点です。患者・被保険者が窓口で支払う一部負担金は10円単位で表示されるため、医療費通知(明細)と窓口請求額に1円単位の差が出ることがあるのはこの規定による端数処理が理由です。

社労士試験頻出パターン(まとめ):

| よくある誤答 | 正しい答え |

|---|---|

| 就学前は「1割」 | 就学前は2割 |

| 前期高齢者は「全員2割」 | 現役並み所得者は3割 |

| 後期高齢者は「一律1割」 | 2022年10月から一定以上所得者2割・現役並みは3割 |

| 療養費は「全額支給」 | 一部負担金(3割等)は控除して支給 |

| 端数は「1円未満切捨」 | 健保法第75条で10円未満を四捨五入(5円未満切捨・5円以上10円未満切上) |

<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 健保法第74条(一部負担金)・第74条第2項(保険者徴収)・第75条(端数処理10円未満四捨五入)・高齢者医療確保法第67条一次ソース突合済。設問オの原文「1円未満切り捨て」は第75条に反するため、誤り選択肢の論点を「保険者徴収のみ」(実際は保険医療機関の請求権を排除しない)に書き換え。2022年10月施行の後期高齢者2割導入・前期高齢者の現役並み3割を確認。基準日2026-04-10内で改正混入なし。正答ウ維持(修正後選択肢で)。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 健康保険法第74条(一部負担金)・高齢者医療確保法第67条(後期高齢者窓口負担) 確認日: 2026-06-08 出典: 厚生労働省 医療費の自己負担について https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/h20_01_03.pdf e-Gov 健康保険法第74条 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=211AC0000000070 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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一部負担金の年齢区分——小学校就学前2割・70歳2割/3割・75歳後期高齢者頻出度A

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