社労士 健康保険法 問27:健康保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
健康保険における保険医療機関および保険医に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア保険医療機関の指定は、厚生労働大臣が行うが、保険医の登録は都道府県知事が行う。
- イ保険医療機関の指定の有効期間は6年であり、有効期間の経過によって失効する。ただし、保険医である個人開業の医師・歯科医師が開設する保険医療機関(病床を有する診療所を除く)については、指定の効力を失う日前6月から同日前3月までの間に別段の申出がないときは、指定の更新の申請があったものとみなす(みなし更新)。正答
- ウ保険医が2つ以上の保険医療機関に勤務する場合、主として勤務する保険医療機関のみに所属を限定して登録が行われ、副次的に勤務する施設では保険診療を行うことができない。
- エ保険医療機関が健康保険法上の義務(不正請求等)に違反した場合、厚生労働大臣は当該保険医療機関の指定を取り消すことができる。保険医療機関の指定を取り消された場合、当該施設に勤務する保険医はすべて自動的に保険医の登録も取り消される。
- オ保険医は、医師の免許を有する者が都道府県ごとに医師登録を行うことで保険診療を行うことができる医師としての資格を得るものであり、ある都道府県で保険医登録を行った医師は、その都道府県内の保険医療機関でのみ保険診療を行うことができる。
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正答はイです。
保険医療機関の指定の有効期間は6年であり、6年経過後は更新が必要です(健保法第68条第1項)。ただし、個人開業の保険医が開設する保険医療機関(病床を有する診療所を除く)は、失効日前6月から3月までの間に別段の申出がなければ更新申請があったものとみなされる(みなし更新・第68条第2項)。イはこの仕組みを正確に記述しています。
アは誤りで、保険医療機関の指定と保険医の登録はどちらも地方厚生局長(厚生労働大臣から権限委任)が行います。都道府県知事ではありません。
ウは誤りで、保険医は1つの保険医療機関に限定して登録するわけではなく、複数の保険医療機関に勤務することができます。勤務する医療機関に関係なく保険医として保険診療を行えます。
エは誤りで、保険医療機関の指定が取り消されても、そこに勤務する保険医の登録は自動的には取り消されません(保険医療機関と保険医は独立した制度)。
オは誤りで、保険医の登録は全国共通(都道府県ごとの縛りなし)であり、全国どこの保険医療機関でも保険診療を行うことができます。
保険医療機関と保険医の制度(健保法第65条〜第68条):
| 項目 | 保険医療機関 | 保険医 |
|---|---|---|
| 根拠条文 | 第65条(指定) | 第67条(登録) |
| 権限者 | 地方厚生局長(厚生労働大臣から権限委任) | 地方厚生局長(同上) |
| 有効期間 | 6年(更新制) | 期限なし(取り消されない限り有効) |
| 主な義務 | 保険診療の規則遵守・保険料の適正請求等 | 療養担当規則の遵守・適切な診療等 |
| 取消事由 | 不正請求・重大違反等 | 不正行為・医師免許取消等 |
| 相互の独立性 | 保険医療機関の取消は保険医の登録に影響しない | 保険医登録の取消は保険医療機関の指定に影響しない |
各選択肢の解説:
- ア(誤): 保険医療機関の指定・保険医の登録はどちらも地方厚生局長が行います(健保法第65条第1項・第67条第1項。厚生労働大臣の権限を地方厚生局長等に委任)。都道府県知事ではありません。
- イ(正): 保険医療機関・保険薬局の指定の有効期間は6年(健保法第68条第1項)。さらに第68条第2項では、個人開業の保険医による保険医療機関(病床を有する診療所を除く)について、「指定の効力を失う日前6月から同日前3月までの間に別段の申出がないときは、指定の更新の申請があったものとみなす」(みなし更新規定)と定められています。社労士試験では「全ての保険医療機関は更新申請が必要」という誤答パターンに対し、「個人開業医はみなし更新が適用される」という正確な知識が問われます。
- ウ(誤): 保険医は複数の保険医療機関で勤務・保険診療を行うことができます(医師として勤務する施設に縛りなし)。登録は1つに限定されません。
- エ(誤): 保険医療機関の指定取消と保険医の登録取消は独立した手続きです(健保法第80条・第81条)。保険医療機関の指定が取り消されても、そこの保険医の登録は自動的には取り消されません。逆も同様です。
- オ(誤): 保険医の登録は全国共通であり、都道府県ごとに登録が必要なわけではありません(健保法第67条)。登録した医師は全国どこの保険医療機関でも保険診療を行えます。
【保険医療機関・保険医の制度の詳細と指定・登録の法的性質】
保険医療機関の指定と保険医の登録は、それぞれ独立した行政処分です。この独立性を理解することがエの誤り(「保険医療機関の取消で保険医も自動取消」)を識別する核心です。
保険医療機関の指定の法的性質:
保険医療機関の指定(健保法第65条)は「申請に基づく行政処分」であり、指定を受けることで初めて療養の給付を担当できる保険医療機関となります。
指定申請の要件(第65条第2項に基づく取消理由の裏返し):
- 申請者が保険医療機関として著しく不適切な行為(不正請求等)をした事実がないこと
- 医療法その他の法律の定めに従い開設されていること
- 申請者が過去5年以内に指定取消を受けていないこと
指定更新(6年)の実務:
更新の仕組み(健保法第68条):
- 指定日から6年で有効期間満了(第68条第1項)
- 個人開業医(一人医師の診療所等)は失効日前6月〜3月の間に別段の申出なければ更新申請があったものとみなす(みなし更新・第68条第2項)→ 自動更新される
- 病院・病床を有する診療所はみなし更新の対象外(明示的に更新申請が必要)
- 指定の有効期間中でも指定取消・辞退(廃止)は可能
保険医の登録の法的性質:
保険医の登録(健保法第67条)は個人(医師・歯科医師)に対する登録であり、保険医療機関への所属とは独立しています。
登録の要件:
- 医師または歯科医師の免許を有すること
- 欠格事由(不正行為・免許取消等)に該当しないこと
登録後の効果:
- 全国どこの保険医療機関でも保険診療を行える
- 複数の保険医療機関での兼務・勤務が可能
- 保険医の登録は有効期間なし(取り消されない限り生涯有効)
指定・登録の取消事由(重要・試験出題可):
保険医療機関の指定取消事由(健保法第80条):
1. 保険医療機関として不正・著しく不適切な行為
2. 帳簿等の検査拒否
3. 療養担当規則・薬剤師療担規則の重大な違反
4. 不正な請求(診療報酬の詐取等)
5. その他法令違反
保険医の登録取消事由(健保法第81条):
1. 保険医として不正・著しく不適切な行為
2. 医師免許の取消
3. 保険医療機関での不正行為への関与
4. 帳簿等の検査拒否
保険医療機関と保険医の取消の独立性(エの誤り根拠・深掘り):
実際の事例(社会的問題になったケース):
- ある病院が診療報酬の不正請求で指定取消を受けた場合、当該病院に勤務していた保険医たちは別の保険医療機関に移れば保険診療を継続できます(保険医の登録は維持される)
- 逆に、ある保険医個人が不正行為で登録取消を受けた場合、その保険医が勤務していた保険医療機関の指定には原則として影響しない
この独立性は、患者・医療機関への影響を最小化しつつ、不正行為を行った主体(機関か個人か)に対して適切な制裁を加えるための設計です。
「地方厚生局長」の権限委任(アの誤り根拠・深掘り):
健保法上は「厚生労働大臣」が指定・登録を行う主体として規定されていますが(第65条第1項・第67条第1項)、実際には国家行政組織法・地方支分部局設置法等に基づき、各地方の地方厚生局長(関東信越厚生局・東海北陸厚生局等)に権限が委任されています。
試験では「都道府県知事が行う」という誤答選択肢がよく出ますが、都道府県知事(地方自治体)は保険医療機関の指定・保険医の登録には関与しません(医療法上の医療機関の開設許可は都道府県知事が行うため、混同しやすい)。
6年有効期間制とみなし更新の趣旨:
保険医療機関の指定は6年で有効期間が満了するのが原則ですが、個人開業医については「失効日前6月〜3月の間に別段の申出がなければみなし更新」(第68条第2項)の規定により、実務上は自動更新されます。これは個人開業医の事務負担を軽減しつつ、辞退申出の機会を確保する設計です。
社労士試験での頻出ポイント:
1. 指定・登録の条文上の権限者は厚生労働大臣(実務上は地方厚生局長へ権限委任)。都道府県知事ではない
2. 有効期間は6年・個人開業医はみなし更新あり(第68条第2項)
3. 保険医の登録は全国共通・有効期間なし
4. 指定取消と登録取消は独立した手続き(自動連動しない)
<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 健保法第65条(保険医療機関の指定)・第67条(保険医の登録)・第68条(指定の有効期間6年・第68条第2項みなし更新)・第80条/第81条(指定取消/登録取消)一次ソース突合済。【重要修正】イの原文「有効期間の満了日の前日までに更新申請」は誤り。健保法第68条第2項のみなし更新規定(失効日前6月〜3月の間に別段の申出なければ更新申請があったものとみなす)を反映した記述に修正。アの「指定・登録の権限者」は条文上は厚生労働大臣(実務上は地方厚生局長への権限委任)が正確で、解説中の「地方厚生局長」だけの表記は補足説明として整合。基準日2026-04-10内で改正混入なし。正答イ維持(修正後選択肢で)。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 健康保険法第63条第3項・第65条(保険医療機関の指定)・第67条(保険医の登録)・第68条(指定の有効期間) 確認日: 2026-06-08 出典: 厚生労働省 保険医療機関・保険薬局の指定について https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/hoken_iryou/index.html e-Gov 健康保険法第65条・第68条 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=211AC0000000070 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。