問題
健康保険の保険料の負担に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はオ(誤っている記述)です。
オは負担割合と納付方法の両方が誤りです。日雇特例被保険者の保険料は単純な折半ではなく、事業主は折半部分に加えて、その額に100分の31を乗じた額も負担します(健保法第168条第1項第1号ロ・第169条第1項)。また標準賃金日額に係る保険料は、事業主が使用する日ごとに、日雇特例被保険者手帳に健康保険印紙をはり、これに消印して納付します(第169条第2項・第3項)。「手帳から徴収して金銭で納付する」は仕組みと異なります。
アは正しく労使折半の原則(健保法第161条第1項)。イは正しく、健保組合は規約で事業主の負担割合を増加できるだけです(第162条)。ウは正しく任意継続被保険者は全額負担です(第161条第1項ただし書)。エは正しく、協会の一般保険料率は1000分の30〜1000分の130の範囲で支部被保険者を単位として協会が決定します(第160条第1項・第2項)。
健康保険の保険料負担割合の体系:
| 被保険者の種別 | 被保険者負担 | 事業主負担 | 根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 一般被保険者(協会けんぽ) | 1/2 | 1/2 | 第161条第1項 |
| 一般被保険者(健保組合) | 原則1/2(規約で減額可) | 原則1/2(規約で増額可) | 第162条 |
| 任意継続被保険者 | 全額(10/10) | なし(退職後のため) | 第161条1項ただし書 |
| 日雇特例被保険者 | 第168条第1項第1号イの額の1/2(+賞与額に係る額の1/2) | イの額の1/2+イ×31/100(+賞与額に係る額の1/2)。事業主が印紙貼付・消印で納付 | 第168条・第169条 |
各選択肢の解説:
- ア(正): 健保法第161条第1項本文は「被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料額の二分の一を負担する」と規定。折半が原則です(任意継続被保険者は同項ただし書で全額負担)。
- イ(正): 健保法第162条は、健保組合は規約で定めるところにより「事業主の負担すべき一般保険料等額又は介護保険料額の負担の割合を増加することができる」と定めています。認められているのは事業主負担を増やす方向だけで、被保険者の負担割合を増やす規定はありません(第161条第1項の折半が原則)。
- ウ(正): 「任意継続被保険者は、その全額を負担する」(健保法第161条第1項ただし書)。自己の負担する保険料を自ら納付する義務も負います(同条第3項)。事業主負担分はないため、同じ標準報酬月額なら在職中の被保険者負担分の2倍になります。
- エ(正): 協会が管掌する健康保険の一般保険料率は、1000分の30から1000分の130までの範囲内において、支部被保険者を単位として協会が決定し(健保法第160条第1項)、これを都道府県単位保険料率といいます(同条第2項)。参考として、令和8年度の全国平均は9.9%、全国一律の介護保険料率は1.62%、子ども・子育て支援金率は0.23%です(協会けんぽ公表)。
- オ(誤・正答): 日雇特例被保険者の保険料は、被保険者が第168条第1項第1号イの額の2分の1、事業主がその2分の1に加えてロの額(イ×100分の31)を負担するため、単純な折半ではありません(第169条第1項)。納付も、事業主が使用する日ごとに健康保険印紙を日雇特例被保険者手帳にはり、消印して行う(同条第2項・第3項)もので、「手帳から徴収して金銭で納付」は誤りです(金銭で納付するのは賞与額に係る保険料=同条第7項)。
【健保組合の保険料設定の自由度・任意継続の保険料計算・日雇印紙保険料方式の詳細】
健保組合の保険料設定に関する規約自治の範囲(第162条):
健保組合の規約と保険料の関係は、条文上次のとおりです:
| 事項 | 条文 |
|---|---|
| 事業主負担割合の増加 | 規約で、事業主の負担すべき一般保険料等額又は介護保険料額の負担の割合を増加できる(第162条)。被保険者の負担割合を増やす規定はない |
| 介護保険料率 | 介護納付金の額を介護保険第2号被保険者である被保険者の総報酬額の総額の見込額で除した率を基準として、保険者が定める(第160条第16項) |
| 保険料に関する事項 | 規約の必要的記載事項(第16条第1項第7号)。規約の変更は、省令で定める事項を除き厚生労働大臣の認可が必要(同条第2項) |
健保組合であっても、第162条が認めるのは事業主の負担割合の「増加」だけなので、被保険者の負担割合を事業主より高くする規約は定められません。
任意継続被保険者の保険料計算(第47条・標準報酬月額の特則):
任意継続被保険者の標準報酬月額は、次の2つのうちいずれか少ない額です(第47条第1項):
1. 資格を喪失したときの標準報酬月額
2. 前年(1月〜3月分は前々年)の9月30日における当該保険者の全被保険者の標準報酬月額の平均額を報酬月額とみなしたときの標準報酬月額(健保組合は、その平均額の範囲内で規約で定めた額があればその額)
ただし健保組合は、1が2を超える者について、規約で1(又は2を超え1未満の範囲で規約で定めた額)を標準報酬月額とすることもできます(第47条第2項)。原則の「少ない方」の仕組みにより、在職中の標準報酬月額が高かった人は、平均額を基にした標準報酬月額で任意継続することになります。
任意継続被保険者の保険料改正(2022年1月〜)の影響:
2022(令和4)年1月より、任意継続被保険者は保険料の納付期限までに保険料を納付しなかった場合(健保法第38条第3号)に加え、自分の意思で資格を喪失できる(第38条第7号・自主喪失申出)ようになりました。これにより、改正前は事実上「保険料を意図的に滞納する」しかなかった脱退ルートが、申出による正規ルートに整備されました。
協会けんぽの保険料構造(令和8年度):
| 保険料の種類 | 率(協会けんぽ全国平均) | 労使の負担 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 健康保険料(医療分) | 9.9% | 折半 | 都道府県別に異なる |
| 介護保険料 | 1.62% | 折半 | 40〜64歳のみ |
| 子ども・子育て支援金 | 0.23% | 折半 | 2026-04-01新設・hot_topic |
子ども・子育て支援金(2026-04-01施行)は、子ども・子育て支援法等の改正により、健保法第156条(保険料額に子ども・子育て支援金率を合算)・第160条の2(子ども・子育て支援金率)として健康保険の保険料と合わせて徴収されるもので、社労士試験の令和8年度hot_topicとして注目されています。
日雇特例被保険者の印紙保険料方式の詳細:
日雇労働者は複数の事業主の下で就労することを前提とした制度のため、事業主が使用する日ごとに「健康保険印紙」を被保険者の「日雇特例被保険者手帳」に貼り付け、消印する方式で保険料を納付します(健保法第169条。「日雇労働被保険者手帳」は雇用保険の手帳で別物)。条文上の流れ:
1. 手帳を所持する日雇特例被保険者は、適用事業所に使用される日ごとに手帳を事業主に提出する(第169条第4項)。事業主も使用する日ごとに手帳の提出を求めなければならない(同条第5項)
2. 事業主は、使用する日ごとに、その者と自己の負担すべきその日の標準賃金日額に係る保険料を納付する義務を負う(同条第2項)
3. 納付は、手帳に健康保険印紙をはり、これに消印して行う(同条第3項)
4. 事業主は被保険者負担分を賃金から控除でき、その旨を被保険者に告げなければならない(同条第6項)
5. 賞与額に係る保険料は、賞与を支払った日の属する月の翌月末日までに納付する(同条第7項)
保険料額は、標準賃金日額に平均保険料等率(子ども・子育て支援金率を含む)と介護保険料率を合算した率を乗じた額(イ)と、その100分の31(ロ)の合算額を基準に政令で算定されます(第168条第1項第1号)。ロの部分は事業主だけが負担します(第169条第1項)。
社労士試験での頻出パターン(まとめ):
| よくある誤答パターン | 正しい答え |
|---|---|
| 「健保組合は被保険者の負担を増やせる」 | 事業主負担は増やせるが被保険者負担を増やすことはできない |
| 「任意継続は退職時標準報酬で計算する(平均と比較しない)」 | 原則は退職時と平均のいずれか少ない額(健保組合は規約で退職時の額等も可・第47条第2項) |
| 「日雇の保険料は月払い」 | 使用する日ごと・印紙で納付(賞与分は翌月末日まで) |
| 「日雇の保険料は完全な労使折半」 | 事業主は折半部分に100分の31の上乗せを負担 |
| 「協会けんぽの料率は全国一律」 | 都道府県単位保険料率(1000分の30〜1000分の130の範囲で協会が決定) |
| 「日雇の印紙保険料は金銭納付」 | 印紙の貼付・消印で納付(金銭納付ではない) |
- 健康保険法第161条・第168条・第162条・第160条・第38条・第156条e-Govで原文を読む
- 子ども・子育て支援法e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 健康保険法第161条(保険料の負担及び納付義務・任意継続は全額負担)・第162条(健保組合の保険料の負担割合の特例)・第160条(都道府県単位保険料率)・第168条(日雇特例被保険者の保険料額)・第169条(日雇特例被保険者に係る保険料の負担及び納付義務=健康保険印紙の貼付) 確認日: 2026-06-08(条文は 2026-09-30 e-Gov で再確認。介護保険料率・子ども・子育て支援金率は協会けんぽ「令和8年度保険料率」ページで確認) 出典: e-Gov 健康保険法第160条〜第169条 https://laws.e-gov.go.jp/law/211AC0000000070 全国健康保険協会 令和8年度保険料率 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/about/business/insurance_rate/rate_prefectures/r08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

