問題
健康保険の被扶養者の認定基準に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はオ(誤っている記述)です。
健保の被扶養者認定には「年収要件」と「収入比較要件(同一世帯なら被保険者の年収の2分の1未満)」があります(昭和52年4月6日付けの厚生省通知)。オは「2分の1以上なら絶対に認定されない」と述べていますが誤りです。2分の1以上でも、年収が基準額未満で被保険者の年収を上回らず、世帯の生計の状況を総合的に勘案して被保険者が生計維持の中心的役割を果たしていると認められるときは、被扶養者に該当するものとして差し支えないとされています。
アは健保法第3条第7項第1号のとおり正しいです。イは正しく、令和7年10月1日から19歳以上23歳未満(配偶者を除く)は150万円未満です。ウは正しく、2020-04-01から国内居住要件が施行されました。エは施行規則第37条の2のとおり正しいです。
被扶養者認定の年収・収入比較要件の体系:
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 年収要件 | 年間収入130万円未満が原則(19歳以上23歳未満〔配偶者を除く〕は令和7年10月1日から150万円未満。60歳以上等の基準額は昭和52年通知) |
| 収入比較要件 | 同一世帯:被保険者の年間収入の2分の1未満/別世帯:被保険者からの援助に依る収入額より少ない |
| 同一世帯要件 | 第3条第7項第2号〜第4号の者(1号以外の三親等内の親族等)は同一世帯が必要 |
| 主として生計維持 | 被保険者が主として認定対象者の生計を維持していること(第3条第7項各号) |
「2分の1未満」要件の例外(昭和52年通知):
同一世帯の場合、年間収入が基準額未満で被保険者の年間収入の2分の1未満なら原則として被扶養者に該当します。この条件に当たらなくても、年間収入が基準額未満で、かつ被保険者の年間収入を上回らない場合には、世帯の生計の状況を総合的に勘案して、被保険者がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認められるときは、被扶養者に該当するものとして差し支えないとされています(「収入がある者についての被扶養者の認定について」昭和52年4月6日保発第9号・庁保発第9号。厚労省「19歳以上23歳未満の被扶養者に係る認定に関するQ&A」Q3で内容を確認)。つまり「2分の1以上=絶対に非該当」ではありません。
各選択肢の解説:
- ア(正): 健保法第3条第7項第1号は「被保険者の直系尊属、配偶者(事実婚を含む)、子、孫及び兄弟姉妹であって、主としてその被保険者により生計を維持するもの」と定め、同一世帯を要件にしていません(同一世帯が要件になるのは第2号〜第4号)。
- イ(正): 年収の基準額は法律・省令ではなく通知で定められています。原則は130万円未満ですが、令和7年7月4日保発0704第2号により、認定対象者(被保険者の配偶者を除く)が19歳以上23歳未満である場合は150万円未満として取り扱い、令和7年10月1日から適用されています(年齢はその年の12月31日現在で判定)。
- ウ(正): 2020-04-01施行の改正により、健保の被扶養者は「日本国内に住所を有する者」が原則要件となりました(健保法第3条第7項本文)。改正前は国内居住要件がなく、海外在住の親族も年収・生計維持要件を満たせば認定可能でした。
- エ(正): 国内居住要件の例外として認められる者(健保法第3条第7項本文・施行規則第37条の2):
- 外国において留学をする学生
- 外国に赴任する被保険者に同行する者
- 観光・保養・ボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者
- 被保険者の海外赴任中に身分関係が生じた者で、同行者と同等と認められるもの
- その他、渡航目的等を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者
- オ(誤・正答): 上述の通り、2分の1以上の収入があっても、被保険者の年間収入を上回らず、被保険者が世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認められるときは被扶養者に該当しうるため、「絶対的要件」「認定されることはない」という断定が誤りです。
【被扶養者認定の詳細・国内居住要件の条文の変化・2分の1基準の例外・実務上の注意点】
被扶養者の認定対象者の範囲(条文の整理):
健保法第3条第7項が定める被扶養者の対象は次のとおりです:
1. 第1号(同一世帯要件なし): 直系尊属(父母・祖父母等)、配偶者(事実婚を含む)、子、孫、兄弟姉妹
2. 第2号(同一世帯要件あり): 第1号以外の三親等内の親族(伯叔父母・甥姪・配偶者の父母等)
3. 第3号・第4号(同一世帯要件あり): 事実婚の配偶者の父母・子(配偶者の死亡後も引き続き同一世帯の場合を含む)
4. 共通要件: 主として被保険者により生計を維持されていること(年収の基準額は通知。原則130万円未満、19歳以上23歳未満〔配偶者を除く〕は150万円未満)。後期高齢者医療の被保険者等は除かれる(第3条第7項ただし書)
国内居住要件(2020-04-01施行)の条文の変化:
e-Gov の改正前版(2019年10月1日施行版)の第3条第7項柱書は「この法律において「被扶養者」とは、次に掲げる者をいう。」だけで、住所の要件はありませんでした。2020年4月1日施行版から「日本国内に住所を有するもの又は…日本国内に生活の基礎があると認められるものとして厚生労働省令で定めるもの」が加わっています。
改正の内容(健保法第3条第7項柱書):
- 原則: 日本国内に住所を有することが被扶養者の要件
- 例外: 施行規則第37条の2に掲げる者は国外在住でも被扶養者認定可
1. 外国において留学をする学生
2. 外国に赴任する被保険者に同行する者
3. 観光・保養・ボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者
4. 被保険者の海外赴任中に身分関係が生じた者で、同行者と同等と認められるもの
5. その他、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者
収入比較要件(2分の1未満)とその例外の根拠:
昭和52年通知(厚労省Q&Aで内容を確認)は、同一世帯の場合について次の2段階で定めています:
1. 原則: 年間収入が基準額未満で、かつ被保険者の年間収入の2分の1未満 → 原則として被扶養者に該当
2. 例外: 1に当たらなくても、年間収入が基準額未満で、かつ被保険者の年間収入を上回らない場合 → 世帯の生計の状況を総合的に勘案して、被保険者がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認められるときは、被扶養者に該当するものとして差し支えない
別世帯の場合は、年間収入が基準額未満で、かつ被保険者からの援助に依る収入額より少なければ、原則として被扶養者に該当します。さらに、これらによる認定が実態と著しくかけ離れ社会通念上妥当性を欠くときは、具体的事情に照らし最も妥当な認定を行うとされています。
年間収入の見込み方と一時的な収入増:
年間収入は、認定対象者の過去の収入、現時点の収入、将来の収入の見込みなどから今後1年間の収入を見込んで判定します(前記Q&A Q5)。月額に直すと、130万円÷12≒108,333円が目安になります。また、人手不足による残業などで収入が一時的に増えた場合は、事業主がその旨を証明することで引き続き被扶養者として認定を受けられる仕組みがあります(厚労省「年収の壁・支援強化パッケージ」)。
就職・退職・年収の増減時には被扶養者の異動の届出が必要です(被保険者が事業主を経由して5日以内に提出・健保法施行規則第38条)。
国民健康保険との比較(被扶養者制度の有無):
| 健康保険(健保組合・協会けんぽ) | 国民健康保険 | |
|---|---|---|
| 被扶養者制度 | あり(保険料追加なし) | なし(世帯員ごとに保険料計算) |
| 被扶養者の給付 | 家族療養費等(被保険者を通じて支給) | 世帯全員がそれぞれ被保険者として給付対象 |
| 扶養の収入要件 | 原則130万円未満等(通知) | なし |
健保の被扶養者制度は社会保険の大きな優位点の一つで、「共働き夫婦の一方が扶養に入る」「退職後の家族の加入」等の実務に直結します。FP試験・社労士試験双方で頻出の論点です。
社労士試験での頻出パターン(まとめ):
| よくある誤答パターン | 正しい答え |
|---|---|
| 「兄弟姉妹は同居が必要」 | 第3条第7項第1号に含まれ別居でも可 |
| 「2分の1以上の収入では絶対に認定不可」 | 被保険者の年収を上回らず生計維持の中心なら認定可(昭和52年通知) |
| 「年収要件は年齢にかかわらず130万円未満」 | 19歳以上23歳未満(配偶者を除く)は令和7年10月1日から150万円未満 |
| 「国内居住要件は2016年から」 | 2020-04-01施行 |
| 「海外留学中は被扶養者になれない」 | 留学は例外として認定可 |
| 「130万円未満の判断は前年の実績」 | 今後の見込み収入で判断 |
- 健康保険法第3条e-Govで原文を読む
- 健康保険法施行規則第38条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 健康保険法第3条第7項(被扶養者の定義・国内居住要件)・健康保険法施行規則第37条の2(国内居住要件の例外)・第38条(被扶養者届・5日以内)、年収基準・2分の1基準は厚生労働省の被扶養者認定基準通知(昭和52年4月6日付) 確認日: 2026-06-08 出典: 厚生労働省「19歳以上23歳未満の被扶養者に係る認定について」(令和7年7月4日保発0704第2号) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc9250&dataType=1&pageNo=1 厚生労働省「19歳以上23歳未満の被扶養者に係る認定に関するQ&A」(昭和52年通知の内容を記載) https://www.mhlw.go.jp/content/001678030.pdf e-Gov 健康保険法施行規則第37条の2・第38条 https://laws.e-gov.go.jp/law/215M10000008036 e-Gov 健康保険法第3条第7項 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=211AC0000000070 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

