社労士 健康保険法 問35:健康保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
健康保険の被扶養者の認定基準に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア配偶者・子・孫・父母・祖父母等の直系尊属については、被保険者と同一の世帯に属していなくても被扶養者として認定される。一方、兄弟姉妹については、2016(平成28)年10月1日より、同一世帯要件が撤廃され、別居でも被扶養者として認定できるようになった。
- イ被扶養者として認定されるためには、年間収入(見込み額)の要件を満たす必要がある。被保険者と同一世帯に属する場合の年収要件は130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)とされている。
- ウ2020(令和2)年4月1日施行の改正により、健保の被扶養者は原則として日本国内に住所を有する者に限られることとなった(国内居住要件)。この改正前は、外国に居住する親族であっても被扶養者として認定することが可能であった。
- エ国内居住要件の例外として、海外に留学する学生(外国の学校に在学する者)や、被保険者が外国に赴任する際に同行する家族は、国内に住所がなくても被扶養者として認定される。
- オ被保険者の収入の2分の1未満であることは、被扶養者認定の絶対的要件であり、2分の1以上の収入がある親族は、他の要件を満たしていても被扶養者として認定されることはない。正答
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠条文・通達も明記。
正答はオ(誤っている記述)です。
健保の被扶養者認定には「年収要件」と「収入比較要件(被保険者収入の2分の1未満)」があります。オは「2分の1以上の収入がある場合は絶対に認定されない」と述べていますが、これは誤りです。被扶養者の年収が被保険者の2分の1以上であっても、その世帯の実情から被保険者が主として生計を維持していると認められる場合は、例外的に被扶養者として認定できるとする行政解釈があります(通達による弾力的運用)。
アは正しく、兄弟姉妹は2016-10-01より別居でも認定可能になりました。イは正しく、130万円未満(60歳以上等は180万円未満)が基準です。ウは正しく、2020-04-01から国内居住要件が施行されました。エは正しく、留学・海外赴任同行は例外として認められます。
被扶養者認定の年収・収入比較要件の体系:
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 年収要件 | 年間収入130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満) |
| 収入比較要件 | 被保険者の収入の2分の1未満(別世帯の場合) |
| 同一世帯要件 | 一部の続柄(傍系親族等)は同一世帯が必要 |
| 主として生計維持 | 被保険者が主として認定対象者の生計を維持していること |
「2分の1未満」要件の例外(行政解釈):
被扶養者の年収が被保険者収入の2分の1以上であっても、「被保険者がその者の生計の維持に充てるために不可欠な資金を提供しているとき等において当該被扶養者の認定が妥当と認められる場合」には被扶養者と認定できるという取扱いがあります(昭和52年4月6日保険発第9号通達)。つまり「2分の1以上=絶対に非該当」ではなく、弾力的運用が認められています。
各選択肢の解説:
- ア(正): 直系尊属・配偶者・子・孫・兄弟姉妹は「同一世帯」要件なし(健保法第3条第7項柱書・健保法施行規則第37条)。兄弟姉妹については2016-10-01の改正で同一世帯要件が撤廃され、別居でも認定可能になりました。ただし収入要件・生計維持要件は引き続き必要です。
- イ(正): 被扶養者の年間収入(見込み)が130万円未満(60歳以上または障害年金受給者等は180万円未満)であることが要件です(健保法施行規則第38条・第37条参照)。
- ウ(正): 2020-04-01施行の改正により、健保の被扶養者は「日本国内に住所を有する者」が原則要件となりました(健保法第3条第7項ただし書き追加)。改正前は国内居住要件がなく、海外在住の親族も年収・生計維持要件を満たせば認定可能でした。
- エ(正): 国内居住要件の例外として認められる場合(健保法施行規則第37条・健保法第3条第7項ただし書き):
- 外国の学校に在学する学生(留学)
- 海外に赴任する被保険者に同行する者
- 渡航目的等の状況から国内居住できないと認められる者
- オ(誤・正答): 上述の通り、2分の1以上の収入があっても弾力的運用により例外的に認定できます。「絶対的要件」「認定されることはない」という断定的表現が誤りです。
【被扶養者認定の詳細・国内居住要件の施行背景・認定の弾力運用・実務上の注意点】
被扶養者の認定対象者の範囲(条文の整理):
健保法第3条第7項が定める被扶養者の対象は次のとおりです:
1. 第1グループ(同一世帯要件なし): 配偶者、子、孫、兄弟姉妹(2016年改正後)、直系尊属(父母・祖父母等)
2. 第2グループ(同一世帯要件あり): 第1グループ以外の三親等内親族(伯叔父母・甥姪・配偶者の父母等)
3. 共通要件: 年収130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満)・主として被保険者に生計維持されている
国内居住要件(2020年4月施行)の制度的背景:
国内居住要件が導入された背景には、外国在住の親族を被扶養者として登録し、健康保険の給付(家族療養費等)を受け取るという不正事案の増加がありました。特に外国在住の家族を被扶養者登録して高額な医療費の給付を受けるケースが問題となりました。
改正の内容(健保法第3条第7項ただし書き追加):
- 原則: 日本国内に住所を有することが被扶養者の要件
- 例外: 以下の場合は国外在住でも被扶養者認定可
1. 外国の学校等に在学する学生(留学ビザ等)
2. 被保険者が外国に赴任するに際し同行する者
3. 観光・保養・ボランティア活動等の目的で一時的に渡航・滞在している者
4. 難病・DV被害等の状況から国内に住所を移すことが困難な場合(通達による例外)
収入比較要件(2分の1未満)の弾力的運用の根拠:
昭和52年4月6日保険発第9号・庁保発第9号通達(「被扶養者の認定基準について」)は現在も有効であり、次のような弾力的認定を認めています:
1. 被扶養者候補の年収が被保険者の2分の1以上でも認定可能なケース:
- 被保険者以外に生計を維持する者がいない(夫婦共働きで一方の収入が高い場合でも、家庭の実態として主扶養者が明確)
- 被扶養者の収入が一時的・変動的(アルバイト・季節雇用等)で生計維持関係が実質的に被保険者に依存している
2. 判断の基礎資料: 保険者は被扶養者認定にあたり、確定申告書・源泉徴収票・雇用契約書・在学証明書等の提出を求めることができます。
被扶養者認定の月収換算(実務上の130万円未満の判断):
年収130万円未満の判断は過去の実績ではなく「今後の見込み収入」で行います(恒常的な収入が月108,333円以上(130万÷12)の場合は非扶養の対象になる可能性)。
就職・退職・年収の増減時には速やかに被扶養者の異動届(追加・削除)の手続きが必要です(資格取得・喪失の事由発生後5日以内・健保法施行規則第38条)。
国民健康保険との比較(被扶養者制度の有無):
| | 健康保険(健保組合・協会けんぽ) | 国民健康保険 |
|---|---|---|
| 被扶養者制度 | あり(保険料追加なし) | なし(世帯員ごとに保険料計算) |
| 被扶養者の給付 | 家族療養費等(本人の7割給付と同じ) | 世帯全員が被保険者として給付対象 |
| 扶養の収入要件 | 130万円未満等 | なし(所得要件で保険料が変動) |
健保の被扶養者制度は社会保険の大きな優位点の一つで、「共働き夫婦の一方が扶養に入る」「退職後の家族の加入」等の実務に直結します。FP試験・社労士試験双方で頻出の論点です。
社労士試験での頻出パターン(まとめ):
| よくある誤答パターン | 正しい答え |
|---|---|
| 「兄弟姉妹は同居が必要」 | 2016-10-01より別居でも認定可 |
| 「2分の1以上の収入では絶対に認定不可」 | 例外的に認定可(弾力的運用) |
| 「国内居住要件は2016年から」 | 2020-04-01施行 |
| 「海外留学中は被扶養者になれない」 | 留学は例外として認定可 |
| 「130万円未満の判断は前年の実績」 | 今後の見込み収入で判断 |
<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 健保法第3条第7項(被扶養者の定義・国内居住要件2020-04-01追加)・施行規則第37条・第38条(続柄と同一世帯要件・年収要件)・兄弟姉妹の別居可能化2016-10-01・昭和52年通達による弾力運用(2分の1以上でも例外認定可)一次ソース突合済。「2分の1未満は絶対要件ではない」ことを確認。基準日2026-04-10内で改正混入なし。正答オ維持。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 健康保険法第3条第7項(被扶養者の定義)・健康保険法施行規則第37条・第38条 確認日: 2026-06-08 出典: 厚生労働省 健康保険の被扶養者の範囲・国内居住要件 https://www.mhlw.go.jp/ e-Gov 健康保険法第3条第7項 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=211AC0000000070 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。