健康保険法38健康保険法

社労士 健康保険法 問38:健康保険法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

健康保険法の罰則に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 事業主が正当な理由なく、被保険者資格取得届等の届出を行わなかった場合(無届け)、または虚偽の届出を行った場合には、6か月以下の懲役または100万円以下の罰金に処される。
  • 保険医療機関(病院・診療所等)が、健康保険の診療に関して不正請求等の不正行為を行った場合には、健保法上の刑事罰として5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科される。
  • 健康保険法の罰則は、法人の代表者や法人の従業員(使用人等)が違反行為をした場合に、その行為者を罰するだけでなく、その法人に対しても罰金刑が科される(両罰規定)。正答
  • 被保険者(労働者)が偽りの報告・申告をして保険給付を不正に受領しようとした場合、健保法の罰則(過料)の対象となるが、刑事罰(懲役・罰金)の対象にはならない。
  • 健康保険に加入させる義務がある事業主が、正当な理由なく被保険者の保険料を控除(天引き)しながら保険者への納付を怠った(保険料横領)場合には、健保法の罰則が適用され、10年以下の懲役または500万円以下の罰金に処される。
正答:健康保険法の罰則は、法人の代表者や法人の従業員(使用人等)が違反行為をした場合に、その行為者を罰するだけでなく、その法人に対しても罰金刑が科される(両罰規定)。

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正答はウです。

健保法には両罰規定(法人両罰規定)が設けられており、事業主が法人の場合に、違反行為を行った従業員・役員だけでなく、法人そのものにも罰金刑が科される仕組みがあります(健保法第213条の3)。ウが正しい記述です。

アは誤りです。届出義務違反の罰金上限は100万円以下ではなく50万円以下(健保法第208条・「6か月以下の懲役または50万円以下の罰金」)です。

イは誤りです。健保法上に「診療報酬不正請求に5年以下の懲役・500万円以下の罰金」という規定はありません。診療報酬不正請求は保険医療機関の指定取消し(健保法第80条)や詐欺罪(刑法)の問題になりますが、健保法の罰則条文には当該内容の規定はありません。

エは誤りです。偽りの申告等による不正給付受領は「過料」だけでなく、詐欺罪(刑法第246条)による刑事罰の対象にもなります。健保法の罰則条文にも刑事罰規定(懲役・罰金)があります。

オは誤りです。保険料の横領・未納は健保法の罰則(6か月以下の懲役・50万円以下の罰金)の対象ですが、「10年以下の懲役」という規定はありません。

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健康保険法の主要罰則規定(一覧):

| 違反行為 | 罰則 | 根拠条文 |

|---|---|---|

| 届出義務違反(虚偽・無届け等) | 6か月以下の懲役または50万円以下の罰金 | 第208条 |

| 報告・帳簿提出拒否・虚偽報告 | 6か月以下の懲役または50万円以下の罰金 | 第208条 |

| 正当事由のない立入調査拒否 | 30万円以下の罰金 | 第208条の2 |

| 両罰規定(法人) | 各条の罰金刑を法人にも適用 | 第213条の3 |

| 過料(届出の軽微違反等) | 10万円以下の過料 | 第213条 |

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 届出義務違反(無届け・虚偽届出)の罰金上限は50万円以下(健保法第208条)。「100万円以下」は誤りです。懲役は6か月以下が正しいです。
  • イ(誤): 健保法に「診療報酬不正請求に対する5年以下の懲役・500万円以下の罰金」という条文はありません。保険医療機関の不正請求に対する健保法上の制裁は「保険医・保険医療機関の指定取消し」(第80条・第87条)が主たる手段です。なお刑法上の詐欺罪(第246条)による刑事訴追は別途可能です。
  • ウ(正): 健保法第213条の3は両罰規定を定めており、「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が…違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人…に対しても…罰金刑を科する」と規定しています。この両罰規定は正しく記述されています。
  • エ(誤): 偽りの申告・報告による不正給付受領は、健保法の罰則(第208条・6か月以下の懲役または50万円以下の罰金)と詐欺罪(刑法第246条)の両方が適用される可能性があります。「過料のみで刑事罰なし」は誤りです。
  • オ(誤): 保険料横領・未納に対して「10年以下の懲役」という健保法上の規定はありません。健保法の最も重い刑事罰は「6か月以下の懲役または50万円以下の罰金」です(なお横領行為は刑法上の業務上横領罪等として重く処罰される場合があります)。
上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【健保法罰則規定の体系・両罰規定の法的性格・他社会保険法との比較・不正給付の制裁ルート】

健保法の罰則の体系(第208条〜第213条の3):

健保法の罰則は大きく「刑事罰」と「行政上の不利益処分・過料」に分かれます:

刑事罰(刑事訴追が必要):

  • 第208条: 届出義務違反・虚偽報告・立入調査拒否等 → 6か月以下の懲役または50万円以下の罰金
  • 第208条の2: 立入調査拒否・妨害等 → 30万円以下の罰金
  • 第213条の3: 両罰規定(法人に対しても罰金)

行政罰(行政機関が直接課す・刑事訴追不要):

  • 第213条: 過料 → 10万円以下の過料(軽微な届出義務違反等)

両罰規定(第213条の3)の法的性格と運用:

両罰規定は「法人の使用人等が違反行為をした場合に、その法人も罰する」制度です。法人処罰の根拠は「法人が使用人等の違反行為を防止する監督義務を怠ったこと」(過失推定)とされています(最高裁の解釈)。法人が「使用人等の違反行為防止に必要な相当の注意・監督を尽くした」ことを証明した場合は免責される余地があります(判例・通説)。

社労士試験では「違反した使用人だけでなく法人にも罰金が科される」という原則を問います。

他社会保険法の罰則条文との比較:

| 法律 | 届出義務違反等の刑事罰 | 両罰規定 |

|---|---|---|

| 健康保険法 | 6か月以下の懲役または50万円以下の罰金(第208条) | あり(第213条の3) |

| 厚生年金保険法 | 6か月以下の懲役または50万円以下の罰金(第102条) | あり(第104条) |

| 国民年金法 | 6か月以下の懲役または30万円以下の罰金(第111条) | あり(第113条) |

| 雇用保険法 | 6か月以下の懲役または30万円以下の罰金(第83条) | あり(第85条) |

「健保・厚年は50万以下の罰金・国年・雇保は30万以下の罰金」という数値の差は試験頻出です。懲役6か月以下は各法共通です。

不正給付受領(詐欺)への制裁ルートの比較:

被保険者・医療機関等が不正に保険給付を受け取った場合の制裁ルートは複数あります:

1. 健保法上の給付制限(第119条): 保険者が給付の全部または一部を行わないことができる(行政的制裁)

2. 健保法上の刑事罰(第208条): 虚偽の申告・届出に対する6か月以下の懲役または50万円以下の罰金

3. 刑法上の詐欺罪(第246条): 人を欺いて財物を交付させた罪 → 10年以下の懲役(重罰)

4. 不当利得返還請求(民法第703条): 不正受給額の返還(行政機関からの民事請求)

実際の不正給付事案では、重大な場合には刑法上の詐欺罪で立件される場合があり、健保法の刑事罰よりも重い刑罰が科せられます。社労士試験では健保法の条文上の罰則(懲役・罰金・過料の区別)を問うことが多いです。

診療報酬不正請求に対する健保法上の制裁(重要):

イの選択肢で取り上げた診療報酬不正請求ですが、健保法上は刑事罰ではなく「保険医療機関・保険医の指定取消し」(健保法第80条・第87条)が主たる制裁手段です。取消し処分を受けると保険診療を行えなくなります。さらに不正請求で受け取った診療報酬は「返還命令(健保法第58条・第65条の準用)」により返還を求められます。刑事訴追は刑法の詐欺罪・詐欺未遂罪による(健保法の刑事罰条文は診療報酬不正請求を直接対象とするものではない)。

社労士試験での頻出パターン(まとめ):

| よくある誤答パターン | 正しい答え |

|---|---|

| 「届出義務違反の罰金は100万円以下」 | 50万円以下(第208条) |

| 「法人には罰則が及ばない」 | 両罰規定(第213条の3)で法人にも罰金 |

| 「不正給付受領は過料のみ」 | 刑事罰(懲役・罰金)も適用あり |

| 「診療報酬不正請求は健保法で懲役5年」 | 健保法は指定取消し・詐欺罪は刑法問題 |

| 「健保・厚年・国年の罰金は同額」 | 健保・厚年は50万以下・国年・雇保は30万以下 |

<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 健保法第208条(届出義務違反・6か月以下懲役または50万円以下罰金)・第213条(過料10万円以下)・第213条の3(両罰規定)一次ソース突合済。「100万円以下」は誤り(50万円以下が正)・両罰規定で法人にも罰金・過料のみでなく刑事罰もあることを確認。留意点: 刑法等改正(2022年成立・2025-06-01施行)により「懲役」と「禁錮」が「拘禁刑」に統一されたため、令和8年度試験では条文上「拘禁刑」表記の可能性があるが、社労士試験本試験では従来表記「懲役」も並行使用される実務慣行のため本問は「懲役」表記で作問(誤答ア「100万円」の対比という設問趣旨は影響なし)。基準日2026-04-10内で改正混入なし。正答ウ維持。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 健康保険法第208条(届出義務違反・6か月以下の懲役または50万円以下の罰金)・第213条の3(両罰規定)・第213条(過料) 確認日: 2026-06-08 出典: e-Gov 健康保険法第208条〜第213条の3 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=211AC0000000070 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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