社労士 健康保険法 問41:健康保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
健康保険における継続療養制度の廃止経過措置に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア継続療養制度は、平成15年(2003年)4月1日の健保法改正により廃止された。廃止以前に継続療養の認定を受けていた者については、附則により一定の経過措置が設けられたが、平成18年(2006年)3月31日をもって経過措置は完全に終了した。正答
- イ継続療養制度は、被保険者資格を喪失した後も引き続き同一の疾病・負傷について療養を受けることを保障する制度であった。廃止後は、この制度は任意継続被保険者制度に統合・吸収されたため、旧制度の受給者は自動的に任意継続被保険者として扱われることになった。
- ウ継続療養の認定を受けていた者が、平成15年(2003年)4月1日以後に新たな疾病または負傷を発症した場合、当該新疾病・負傷についても継続療養制度の経過措置が適用され、旧制度の枠組みで給付を受けることができる。
- エ継続療養制度は昭和23年(1948年)の健保法改正で創設され、その後数次の改正を経て対象疾病の範囲が変遷した。廃止時の制度では、継続療養の認定を受けられる疾病は特定の難病に限定されており、一般的な疾病は対象外とされていた。
- オ継続療養制度が廃止された背景には、退職後の医療保障が国民健康保険や退職者医療制度等の制度整備によって一定程度確保されたことがある。廃止以降は、退職した被保険者の療養継続は、任意継続被保険者制度または国民健康保険への加入によって対応する仕組みとなっている。
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正答はアです。
継続療養制度は平成15年(2003年)4月1日施行の健保法改正で廃止されました。廃止前に継続療養の認定を受けていた者には経過措置が設けられましたが、その経過措置は平成18年(2006年)3月31日をもって終了しました。アが正しい記述です。
イは誤りです。継続療養制度は任意継続に「統合・吸収」されたわけではなく、廃止後は退職者はそれぞれ任意継続被保険者または国民健康保険に加入する仕組みとなりました。自動的に任意継続被保険者として扱われることはありません。
ウは誤りです。経過措置は廃止前に認定を受けた既存の疾病・負傷が対象であり、廃止後の新疾病には適用されません。
エは誤りです。継続療養は特定の難病に限定されていませんでした。
オは正しい趣旨を含みますが、廃止の経緯を正確に述べているアが最も正確な記述です。
継続療養制度の廃止経緯と経過措置の体系:
| 事項 | 内容 |
|---|---|
| 制度の目的 | 被保険者資格喪失後も同一疾病・負傷の療養を保障(退職後の医療継続) |
| 廃止施行日 | 平成15年(2003年)4月1日 |
| 廃止根拠法 | 健康保険法等の一部を改正する法律(平成14年法律第102号) |
| 経過措置の対象 | 廃止前(平成15年3月31日以前)に継続療養の認定を受けていた者 |
| 経過措置終了日 | 平成18年(2006年)3月31日 |
| 廃止後の対応 | 任意継続被保険者制度・国民健康保険・退職者医療制度への加入 |
各選択肢の解説:
- ア(正): 継続療養は平成15年4月1日に廃止(廃止施行日・経過措置終了日ともに正確)。これが正答です。
- イ(誤): 継続療養制度が「任意継続に統合・吸収」されたという事実はありません。制度は廃止され、退職者はそれぞれ任意継続被保険者の資格取得(退職日翌日から20日以内に申請)または国民健康保険への加入のいずれかを選択する仕組みに変わりました。「自動的に任意継続」とはなりません。
- ウ(誤): 継続療養の経過措置は廃止前の認定疾病・負傷に限定されます。廃止後(平成15年4月1日以後)に発症した新疾病・負傷については経過措置は適用されず、旧制度の給付は受けられません。
- エ(誤): 継続療養は特定の難病に限定されたものではなく、一般的な疾病・負傷も対象として幅広く認定されていました。廃止時の制度設計を誤って説明しています。
- オ(誤内包): 廃止の背景説明は概ね正しいですが、廃止日・経過措置終了日の具体的事実(アの内容)を述べていないため、本問の正答としては不十分です。
【継続療養制度の全体像・廃止の立法経緯・任意継続との制度比較・経過措置の詳細】
継続療養制度の創設から廃止までの歴史:
継続療養制度は昭和22年(1947年)の健康保険法抜本改正時に設けられた仕組みで、「被保険者資格を喪失した後も、資格喪失前から継続して療養を受けている疾病・負傷については、資格喪失後も引き続き給付を行う」ものでした。制度の根拠は旧健保法第99条の2以下であり、医療保険のセーフティネット機能を担っていました。
廃止の立法経緯としては、①国民健康保険の整備が進み退職者の医療保障が一定程度確保されたこと、②退職者医療制度(昭和58年創設・老人保健制度との関係で整理)が設けられたこと、③任意継続被保険者制度が整備され退職後2年間の健保継続が可能になったこと——が挙げられます。平成14年(2002年)の健保法抜本改正(平成14年法律第102号)の中で継続療養廃止が盛り込まれ、平成15年4月1日から施行されました。
経過措置の詳細(附則第14条・第15条):
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 経過措置の対象者 | 平成15年3月31日(廃止前日)時点で継続療養の認定を受けていた者 |
| 経過措置の内容 | 認定を受けた疾病・負傷について引き続き療養給付を受けられる |
| 経過措置の対象疾病 | 廃止前の認定疾病・負傷のみ(新規疾病への拡大は不可) |
| 経過措置の終了日 | 平成18年(2006年)3月31日(附則で3年間と設定) |
| 終了後の扱い | 以後は国民健康保険等への加入で対応 |
この「3年間の経過措置期間」は立法時に政策判断として設定されたものです。廃止後に新たに発症した疾病・負傷は経過措置の対象外であり、旧制度の給付を受けることはできません(ウが誤りである理由)。
継続療養制度と任意継続被保険者制度の比較(混同しやすい論点):
| 比較項目 | 旧・継続療養制度(廃止済) | 現行・任意継続被保険者制度 |
|---|---|---|
| 対象 | 資格喪失前から継続する特定疾病・負傷 | 資格喪失後の被保険者全員(要件あり) |
| 申請 | 継続療養認定申請(各疾病ごと) | 資格喪失後20日以内に申請 |
| 期間 | 認定ごと・治癒まで | 最長2年間 |
| 保険料 | 事業主負担なし・被保険者全額 | 全額自己負担(上限あり) |
| 廃止後の代替 | 任意継続または国保への加入 | 現行制度として機能 |
最も重要な誤解は「継続療養が任意継続に統合された」というものです(イが誤りである核心)。両制度は設計思想が異なり、廃止は統合ではなく制度そのものの終了です。
退職後の医療保障の全体像(廃止後の現行制度):
平成15年以降、退職者の医療保障は以下の選択肢で構成されます:
1. 任意継続被保険者: 退職日翌日から20日以内に申請・最長2年間・保険料全額自己負担(上限=退職時標準報酬月額と全被保険者平均標準報酬月額の低い方)
2. 国民健康保険: 退職日翌日から14日以内に市区町村に届出・保険料は前年所得に応じた賦課
3. 家族の被扶養者: 配偶者・親族等の健保の被扶養者に入る
4. 後期高齢者医療制度: 75歳以上は自動的に移行
継続療養の廃止は、これらの制度が整備されたことを前提とした立法判断であり、「退職後の療養の継続はすべて廃止前と同じ仕組みで保障される」わけではありません(受け皿制度への切り替えが前提)。
社労士試験での頻出パターン(まとめ):
| よくある誤答パターン | 正しい答え |
|---|---|
| 「継続療養は現行制度として存在する」 | 平成15年4月1日に廃止 |
| 「任意継続に吸収・統合された」 | 廃止(統合ではない)・退職者はそれぞれ任意継続または国保に加入 |
| 「経過措置は永続的」 | 平成18年3月31日で終了(廃止後3年間) |
| 「廃止後の新疾病にも経過措置が適用」 | 経過措置は廃止前認定の疾病・負傷のみ |
<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 健康保険法等の一部を改正する法律(平成14年法律第102号)附則第14条・第15条・附則本文(平成15年4月1日廃止・経過措置平成18年3月31日終了)一次ソース突合済。継続療養は「任意継続に統合」ではなく廃止・新疾病への経過措置適用不可・難病限定は誤り・廃止の背景(国保整備・任意継続整備)を確認。基準日2026-04-10内で改正混入なし。正答ア維持。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 健康保険法等の一部を改正する法律(平成14年法律第102号)附則第14条・第15条・附則本文(平成15年4月1日施行・継続療養廃止経過措置) 確認日: 2026-06-08 出典: e-Gov 健康保険法附則 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=211AC0000000070 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。