健康保険法42健康保険法

社労士 健康保険法 問42:健康保険法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

健康保険組合が行う付加給付のうち、一部負担金払戻金に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 一部負担金払戻金は、健康保険組合のほか、全国健康保険協会(協会けんぽ)も組合規約に相当する内部規程を設けることによって実施することができる。協会けんぽの被保険者は規模が大きく財源が豊富であるため、法令上付加給付を行う権限が認められている。
  • 一部負担金払戻金は、健康保険組合の付加給付として実施される場合、その財源は事業主の掛金(事業主負担保険料)のみから充当しなければならず、被保険者から徴収した保険料を付加給付の財源として充当することは健保法上禁止されている。
  • 健康保険組合は一部負担金払戻金を行う旨を組合規約に定めることができるが、いったん定めた場合には財政状況に関わらず廃止することができず、廃止するためには国会の承認が必要となる。
  • 一部負担金払戻金は、健康保険組合が組合規約で定めた場合に被保険者本人の一部負担金(医療機関での自己負担額)のうち一定額を超える部分を払い戻す給付であり、被扶養者の自己負担分に相当する額を払い戻す給付は「家族療養費付加金」と呼ばれる別の付加給付として区別される。正答
  • 一部負担金払戻金は健保法の法定給付の一つとして定められており、健保組合はこれを省略することができない。健保組合が規約で払戻額の水準を設定するのは、法定給付の基準を上回る部分についての上乗せ額を決定するためである。
正答:一部負担金払戻金は、健康保険組合が組合規約で定めた場合に被保険者本人の一部負担金(医療機関での自己負担額)のうち一定額を超える部分を払い戻す給付であり、被扶養者の自己負担分に相当する額を払い戻す給付は「家族療養費付加金」と呼ばれる別の付加給付として区別される。

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正答はエです。

一部負担金払戻金は健康保険組合の付加給付(健保法第53条)の代表例です。被保険者が窓口で支払った一部負担金(自己負担)のうち、組合規約で定めた上限額を超えた部分を払い戻す制度です。

被扶養者の自己負担相当額を払い戻す給付は「家族療養費付加金」として区別されます。エが正しい記述です。

アは誤りです。付加給付を実施できるのは健康保険組合のみであり、協会けんぽ(全国健康保険協会)は付加給付を行う権限を有しません。

イは誤りです。付加給付の財源に「事業主負担のみ」という制限はなく、被保険者の保険料も財源に充当できます。

ウは誤りです。組合規約の変更(廃止・水準変更)は厚生労働大臣への認可申請で可能であり、国会承認は不要です。

オは誤りです。一部負担金払戻金は法定給付ではなく、組合の任意の付加給付です。

標準試験対策の基準レベル

健保組合の付加給付制度の体系(健保法第53条):

| 項目 | 内容 |

|---|---|

| 根拠条文 | 健康保険法第53条(付加給付) |

| 実施主体 | 健康保険組合のみ(協会けんぽは不可) |

| 設定方法 | 組合規約で定める(規約変更は厚労大臣認可) |

| 財源制限 | 法令上の制限なし(事業主・被保険者保険料双方から充当可) |

| 維持義務 | なし(財政状況に応じて変更・廃止可能) |

| 代表的な種類 | 一部負担金払戻金(本人)・家族療養費付加金(被扶養者)・出産付加金・埋葬付加金 等 |

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 健保法第53条の付加給付を実施できるのは健康保険組合に限られます。協会けんぽは法定給付の実施が主たる役割であり、付加給付を行う権限を有しません。「財源が豊富なら実施できる」という主張は法令上根拠がありません。
  • イ(誤): 付加給付の財源を「事業主掛金のみ」に限定する健保法上の規定は存在しません。健保組合の財源(事業主・被保険者双方の保険料)の中から付加給付費用を充当することは当然認められています。
  • ウ(誤): 組合規約は厚生労働大臣への認可申請・組合会の決議により変更(廃止・水準変更)できます。国会の承認は不要です。財政悪化時に付加給付を縮小・廃止することが可能な点が、付加給付が「任意の上乗せ給付」である本質を示します。
  • エ(正): 一部負担金払戻金(本人)と家族療養費付加金(被扶養者)の区別が正確に述べられています。多くの健保組合が両者をセットで実施しており、「本人分は一部負担金払戻金・被扶養者分は家族療養費付加金」という区別は社労士試験の頻出論点です。
  • オ(誤): 一部負担金払戻金は法定給付ではなく、健保組合が任意に定める付加給付です。実施しないこともでき、健保法は健保組合に対して一部負担金払戻金の実施を義務付けていません。
上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【健保組合の付加給付の全体構造・一部負担金払戻金と高額療養費の関係・協会けんぽとの制度的差異・組合規約変更の手続詳細】

健保法第53条(付加給付)の条文と立法趣旨:

健保法第53条第1項は「健康保険組合は、前章に規定するものの外、規約の定めるところにより、保険給付を行うことができる」と定めています。「前章に規定するもの」とは法定給付(療養の給付・高額療養費・傷病手当金・出産育児一時金等)を指し、付加給付はその「外」に位置する上乗せ給付です。

立法趣旨は健康保険組合(主に大企業の従業員等が対象)の自律性を尊重し、組合財政に余裕がある場合に被保険者への付加的保障を可能とする点にあります。これは組合の自主財政運営の原則(法定給付の強制 + 付加給付の任意)の表れです。

一部負担金払戻金と高額療養費(法定給付)の関係:

| 給付種別 | 根拠 | 支給基準の例(区分ウ・一般) |

|---|---|---|

| 高額療養費(法定) | 健保法第115条 | 月「80100+(医療費-267000)×1%円/月」超の部分 |

| 一部負担金払戻金(付加) | 健保法第53条・組合規約 | 月2万円超の部分(組合設定による) |

一部負担金払戻金の上限額は組合規約で自由に設定でき、高額療養費の法定上限よりも低い金額(例:月2万円)で設定することが多いです。その結果、被保険者の実質的な医療費自己負担は高額療養費の法定上限より大幅に低くなります。これが健保組合員の「医療費がほとんど無料に近い」と言われる所以です。

家族療養費付加金(被扶養者分)との比較:

| 比較項目 | 一部負担金払戻金 | 家族療養費付加金 |

|---|---|---|

| 対象 | 被保険者本人 | 被扶養者(家族) |

| 払戻の基準 | 本人の一部負担金(自己負担3割等)の組合規約設定額超過分 | 被扶養者の自己負担相当分(家族療養費の7〜9割給付後の残額)の組合規約設定額超過分 |

| 計算の起点 | 被保険者が実際に支払った金額 | 家族療養費として支給された後の残額(自己負担相当額) |

両給付をセットで設定する健保組合が多く、「本人は一部負担金払戻金・被扶養者分は家族療養費付加金」という区別が社労士試験での定番論点です。

協会けんぽが付加給付を実施できない理由(制度設計の本質):

協会けんぽ(全国健康保険協会)は、主として中小企業の被用者(健保組合を設立できない事業所の従業員)を対象とする保険者です。協会けんぽに付加給付権限がない理由:

1. 被保険者の均質性の要請: 協会けんぽは広域で多数の被保険者を抱える性格上、特定組合のような選別的な上乗せ給付を設けることが制度設計上困難です。

2. 財政構造の違い: 協会けんぽは都道府県単位で財政を管理し、国庫補助も受ける公的色彩が強い保険者であり、健保組合のような自主財政原則に基づく付加給付の設定には馴染みません。

3. 法令の明文: 健保法第53条は「健康保険組合は」と規定しており、協会けんぽを対象とした付加給付規定は存在しません。

この制度的差異により、健保組合員と協会けんぽ被保険者の間には医療費実質負担に大きな格差が生じています。

組合規約変更(廃止・水準変更)の手続:

付加給付の廃止または水準変更は以下の手続で行われます:

1. 組合会(代議員会)での議決: 組合の意思決定機関(代議員会)において規約変更案を議決

2. 厚生労働大臣への認可申請: 健保法第26条により、規約変更は厚労大臣の認可が必要

3. 認可後の周知: 組合員(被保険者・事業主)への規約変更の周知

国会の承認は不要(ウが誤りである理由)。財政状況の悪化を理由とした付加給付の廃止・縮小も可能であり、近年少子高齢化・医療費増加の影響で付加給付を縮小する健保組合が増加しています。

付加給付の種類と実務(全体像):

| 付加給付の種類 | 内容 |

|---|---|

| 一部負担金払戻金 | 本人の一部負担金超過分の払戻し |

| 家族療養費付加金 | 被扶養者の自己負担相当額超過分の払戻し |

| 出産付加金 | 出産育児一時金(50万円)への上乗せ |

| 埋葬付加金 | 埋葬料への上乗せ |

| 傷病手当付加金 | 傷病手当金への上乗せ |

| 高額療養費付加金 | 高額療養費の法定上限超過分の上乗せ(一部負担金払戻金と重複する組合も) |

社労士試験での頻出パターン(まとめ):

| よくある誤答パターン | 正しい答え |

|---|---|

| 「協会けんぽも付加給付を実施できる」 | 付加給付は健保組合のみ |

| 「財源は事業主負担のみ」 | 財源制限なし |

| 「廃止に国会承認が必要」 | 厚労大臣認可+組合会議決で廃止可能 |

| 「一部負担金払戻金は法定給付」 | 任意の付加給付(法定給付ではない) |

| 「被扶養者の自己負担払戻しも一部負担金払戻金」 | 被扶養者分は家族療養費付加金として区別 |

<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 健保法第53条(付加給付・健保組合のみ・組合規約・厚労大臣認可・財源制限なし・維持義務なし)一次ソース突合済。一部負担金払戻金(本人)と家族療養費付加金(被扶養者)の区別・協会けんぽは付加給付権限なし・廃止手続(厚労大臣認可・国会承認不要)を確認。基準日2026-04-10内で改正混入なし。正答エ維持。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 健康保険法第53条(付加給付) 確認日: 2026-06-08 出典: e-Gov 健康保険法第53条 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=211AC0000000070 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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