問題
健康保険組合が行う付加給付のうち、一部負担金払戻金に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はエです。
一部負担金払戻金は健康保険組合の付加給付(健保法第53条)の代表例です。第53条は「保険者が健康保険組合である場合においては、前条各号に掲げる給付に併せて、規約で定めるところにより、保険給付としてその他の給付を行うことができる」と定めており、エはこの条文どおりの記述です。
アは誤りです。第53条は「保険者が健康保険組合である場合」に限っており、協会けんぽ(全国健康保険協会)に付加給付の規定はありません。
イは誤りです。付加給付の財源を事業主負担分に限る規定は健保法にありません。
ウは誤りです。規約の変更は組合会の議決を経て(第19条第1号)、厚生労働大臣の認可(省令で定める事項は届出)で行います(第16条第2項・第3項)。国会承認は不要です。
オは誤りです。一部負担金払戻金は法定給付ではなく、組合の任意の付加給付です。
健保組合の付加給付制度の体系(健保法第53条):
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠条文 | 健康保険法第53条(付加給付) |
| 実施主体 | 健康保険組合のみ(協会けんぽは不可) |
| 設定方法 | 組合規約で定める(規約変更は組合会の議決=第19条第1号、厚労大臣の認可=第16条第2項。省令で定める事項は届出=同条第3項) |
| 財源制限 | 財源を事業主負担分に限る規定はない |
| 維持義務 | 実施を義務づける規定はない(「行うことができる」) |
| 代表的な種類 | 一部負担金払戻金(本人)・被扶養者の自己負担に対する付加金・出産や埋葬の付加金 等(名称は組合の規約による) |
各選択肢の解説:
- ア(誤): 健保法第53条は「保険者が健康保険組合である場合においては」と定めており、付加給付を実施できるのは健康保険組合です。協会けんぽについて付加給付を認める規定はありません。「財源が豊富なら実施できる」という主張は法令上根拠がありません。
- イ(誤): 付加給付の財源を「事業主負担分のみ」に限定する健保法上の規定は存在しません。「健保法上禁止されている」という記述は誤りです。
- ウ(誤): 規約の変更は組合会の議決事項であり(第19条第1号)、厚生労働省令で定める事項を除き厚生労働大臣の認可を受けなければ効力を生じません(第16条第2項)。国会の承認は不要です。付加給付は「行うことができる」給付なので、規約の変更により縮小・廃止することもできます。
- エ(正): 第53条は、健康保険組合が「前条各号に掲げる給付」(第52条の法定給付)に「併せて、規約で定めるところにより、保険給付としてその他の給付を行うことができる」と定めています。本人の一部負担金の一定額超過分を払い戻す一部負担金払戻金は、この付加給付の一つです。被扶養者の自己負担に対する付加給付をどう定めるか(名称を含む)は、組合ごとの規約によります。
- オ(誤): 一部負担金払戻金は法定給付ではなく、健保組合が任意に定める付加給付です。実施しないこともでき、健保法は健保組合に対して一部負担金払戻金の実施を義務付けていません。
【健保組合の付加給付の全体構造・一部負担金払戻金と高額療養費の関係・協会けんぽとの制度的差異・組合規約変更の手続詳細】
健保法第53条(付加給付)の条文と立法趣旨:
健保法第53条は「保険者が健康保険組合である場合においては、前条各号に掲げる給付に併せて、規約で定めるところにより、保険給付としてその他の給付を行うことができる」と定めています。「前条各号に掲げる給付」とは第52条の法定給付(療養の給付・高額療養費・傷病手当金・出産育児一時金等)を指し、付加給付はそれに併せて行う上乗せ給付です。
条文の要点は3つです。①主体は「保険者が健康保険組合である場合」に限られる、②「前条各号に掲げる給付に併せて」行う上乗せである、③「規約で定めるところにより」行い、しかも「保険給付として」行う(法定外の福利厚生ではなく保険給付の一部)。組合の自律性を尊重し、規約で上乗せを可能にした仕組みと説明されます。
一部負担金払戻金と高額療養費(法定給付)の関係:
| 給付種別 | 根拠 | 支給基準の例(区分ウ・一般。2026年8月1日改正後の額) |
|---|---|---|
| 高額療養費(法定) | 健保法第115条・施行令第42条 | 月「85,800円+(医療費−286,000円)×1%」超の部分 |
| 一部負担金払戻金(付加) | 健保法第53条・組合規約 | 規約で定めた額を超える部分(例:月2万円超。組合ごとに異なる) |
一部負担金払戻金の基準額は組合規約で定めるため、高額療養費の算定基準額より低い額で設定すれば、被保険者の実質的な自己負担は高額療養費だけの場合より小さくなります。なお、施行令第42条の高額療養費算定基準額は2026年8月1日施行の改正で通常の額が改められています(区分ウは85,800円+(医療費−286,000円)×1%)。
被扶養者分との比較:
| 比較項目 | 一部負担金払戻金 | 被扶養者の自己負担に対する付加給付 |
|---|---|---|
| 対象 | 被保険者本人 | 被扶養者(家族) |
| 法定給付との関係 | 療養の給付の一部負担金(第74条)の上乗せ払戻し | 家族療養費(第110条)で給付されない自己負担相当分の上乗せ |
| 名称・基準額 | 組合の規約で定める | 組合の規約で定める(名称も規約による) |
協会けんぽが付加給付を行わない根拠:
健保法第53条は「保険者が健康保険組合である場合においては」と規定しており、協会けんぽ(全国健康保険協会)を対象とした付加給付の規定は存在しません。協会けんぽの一般保険料率は支部被保険者を単位として協会が決定する都道府県単位保険料率であり(第160条第1項・第2項)、保険料の仕組みも健保組合(規約で事業主負担割合の増加が可能=第162条)とは異なります。
組合規約変更(廃止・水準変更)の手続:
付加給付の廃止または水準変更は以下の手続で行われます:
1. 組合会での議決: 規約の変更は組合会の議決を経なければならない(健保法第19条第1号)。組合会は、事業主側が選定する議員と被保険者である組合員が互選する議員の同数で組織される(第18条第3項)
2. 厚生労働大臣の認可: 規約の変更(厚生労働省令で定める事項に係るものを除く)は、厚労大臣の認可を受けなければ効力を生じない(第16条第2項)。省令で定める事項の変更は遅滞なく届出(同条第3項)
3. 規約の必要的記載事項: 組合会・役員・組合員・保険料などに関する事項は規約で必ず定める(第16条第1項)
国会の承認は不要(ウが誤りである理由)。付加給付は「行うことができる」給付であり、規約を変更して縮小・廃止することもできます。
付加給付の例(法定給付との対応):
| 法定給付(第52条) | 上乗せの付加給付の例(名称は規約による) |
|---|---|
| 療養の給付(一部負担金) | 一部負担金払戻金 |
| 家族療養費 | 被扶養者の自己負担に対する付加金 |
| 出産育児一時金・家族出産育児一時金 | 出産に関する付加金 |
| 埋葬料・家族埋葬料 | 埋葬に関する付加金 |
| 傷病手当金 | 傷病手当金への付加金 |
社労士試験での頻出パターン(まとめ):
| よくある誤答パターン | 正しい答え |
|---|---|
| 「協会けんぽも付加給付を実施できる」 | 付加給付は健保組合のみ |
| 「財源は事業主負担のみ」 | 財源を限定する規定はない |
| 「廃止に国会承認が必要」 | 組合会の議決(第19条)+厚労大臣認可(第16条第2項)で廃止可能 |
| 「一部負担金払戻金は法定給付」 | 付加給付(第53条。法定給付は第52条) |
- 健康保険法第53条・第115条・第19条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 健康保険法第52条(保険給付の種類)・第53条(健康保険組合の付加給付)・第16条第2項・第3項(規約の変更は厚生労働大臣の認可。省令で定める事項は届出)・第19条(規約の変更は組合会の議決事項) 確認日: 2026-06-08(条文は 2026-09-30 e-Gov で再確認) 出典: e-Gov 健康保険法第16条・第19条・第52条・第53条 https://laws.e-gov.go.jp/law/211AC0000000070 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

