社労士 健康保険法 問44:健康保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
健康保険の保険料免除に関する次のA〜Dの記述のうち、**正しいものの組合せ**はどれか。 **A.** 育児休業期間中(産後パパ育休を含む)は、被保険者負担分・事業主負担分ともに健康保険料が免除される。 **B.** 産前産後休業期間中は、被保険者負担分・事業主負担分ともに健康保険料が免除される。 **C.** 介護休業期間中は、被保険者負担分・事業主負担分ともに健康保険料が免除される。これは育児休業中の免除と同様の仕組みが介護休業にも適用されるためである。 **D.** 産前産後休業中の保険料免除は、被保険者が申し出た場合にのみ適用されるものであり、事業主からの申出では適用されない。
- アAとC
- イAとB正答
- ウBとC
- エCとD
- オAとD
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠条文・通達も明記。
正答はイ(AとB)です。
健康保険では育児休業期間中(産後パパ育休含む)と産前産後休業期間中はともに被保険者・事業主の両方の保険料が免除されます(A・Bともに正しい)。
C(介護休業中の免除)は誤りです。 介護休業中は健康保険料の免除制度がありません。育児休業・産前産後休業とは異なり、介護休業中は被保険者・事業主ともに通常どおり保険料を負担します。
D(被保険者の申出のみ有効)も誤りです。 産前産後休業の保険料免除の申出は事業主が行います(被保険者ではなく事業主からの申出が要件)。
AとBが正しい組合せであるイが正答です。
健康保険の保険料免除制度の比較(育休・産休・介護休業):
| 休業の種類 | 健保料免除 | 申出の主体 | 根拠条文 | 免除対象 |
|---|---|---|---|---|
| 育児休業(産後パパ育休含む) | あり | 事業主が申出 | 健保法第159条 | 被保険者・事業主の双方 |
| 産前産後休業 | あり | 事業主が申出 | 健保法第159条の3 | 被保険者・事業主の双方 |
| 介護休業 | なし | — | 規定なし | — |
各記述の解説:
- A(正): 育児休業中(産後パパ育休含む)の健保料は被保険者・事業主の双方が免除されます(健保法第159条)。免除期間は育児休業開始月から終了月の前月まで(終了日が月末の場合はその月まで)。産後パパ育休(出生時育児休業・令和4年10月新設)も対象に含まれます。
- B(正): 産前産後休業中の健保料も被保険者・事業主の双方が免除されます(健保法第159条の3・平成26年4月施行)。対象期間は産前42日(多胎98日)〜産後56日。申出は事業主が行う点がポイントです。
- C(誤): 介護休業中には健保料の免除規定が存在しません。「育児休業と同様の仕組みが適用される」という記述が誤りです。健康保険法にも厚生年金保険法にも介護休業中の保険料免除規定はありません。
- D(誤): 産前産後休業の保険料免除の申出は事業主が行います(「被保険者が申し出た場合のみ有効」は誤り)。育児休業の免除申出も同様に事業主が行います。
【育休・産休・介護休業の保険料免除制度の全体像・立法経緯・厚生年金との対比・介護休業免除不在の政策的背景と課題】
健保の保険料免除制度の立法経緯:
| 制度 | 施行年 | 立法の目的 |
|---|---|---|
| 育児休業中の健保料免除 | 平成7年(1995年)4月 | 育児・介護休業法制定に伴う改正。育休取得を経済的に支援 |
| 産前産後休業中の健保料免除 | 平成26年(2014年)4月 | 少子化対策・女性の職場復帰促進を目的とした健保法改正(第159条の3) |
| 介護休業中の健保料免除 | 未制定 | 現行法には規定なし(政策論議は継続中) |
産前産後休業免除は育児休業免除(1995年)より約20年遅れて実現しました。2014年改正の背景には「妊娠・出産・育休の連続した経済的支援により女性の継続就業を促進する」という政策目的があります。
介護休業中に保険料免除がない理由(政策的背景):
介護休業中の保険料免除が設けられていない主な理由:
1. 終了時期の不確定性: 育児休業は子の年齢(原則1歳・最長2歳)で期間が定まりますが、介護休業は介護の必要性がいつ終わるか予測が難しく(被介護者の死亡まで継続する場合も)、財政見通しが立てにくい。
2. 取得率の低さと政策優先度: 介護休業の取得率は育児休業(特に女性)より大幅に低く(厚生労働省調査で数%程度)、制度整備の優先度が相対的に低かった。
3. 介護保険制度との役割分担: 平成12年(2000年)に介護保険制度が施行され、介護サービスの社会的提供が整備されたため、「介護休業者の経済的支援は雇用継続給付(介護休業給付金67%)で対応・保険料免除は設けない」という政策判断がとられた。
ただし、少子高齢化・介護離職の深刻化(年間約10万人規模)を背景に、介護休業中の保険料免除や介護時短勤務への給付充実を求める政策提言は継続されており、今後の法改正の動向として注視が必要です。
厚生年金との比較(健保と完全に同様):
| 休業の種類 | 健保料免除 | 厚年料免除 | 根拠条文(厚年) |
|---|---|---|---|
| 育児休業 | あり | あり | 厚年法第81条の2 |
| 産前産後休業 | あり | あり | 厚年法第81条の2の2 |
| 介護休業 | なし | なし | 規定なし(健保と同様) |
健保と厚年は「育休・産休は免除あり、介護休業は免除なし」の点で完全に一致しています。「厚年は介護休業も免除」「健保のみ介護休業は免除なし」という誤った記述が試験に出ることがあるため注意が必要です。
産前産後休業免除(健保法第159条の3)の申出手続詳細:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申出主体 | 事業主(「被保険者が申し出る」は誤り・Dが誤りである理由) |
| 申出先 | 所在地の年金事務所または健保組合 |
| 対象期間 | 出産予定日前42日(多胎妊娠98日)〜出産後56日 |
| 免除対象 | 被保険者負担分・事業主負担分の双方 |
| 免除の効果 | 免除期間は保険料を徴収しない(保険給付額・年金の計算への影響なし) |
育児休業の免除申出(健保法第159条)も同様に事業主が年金事務所・健保組合に申出を行います。被保険者本人が直接申出する仕組みではありません。これが試験で「被保険者が申し出る」という誤りの選択肢として出題されるパターンです。
育児休業免除(健保法第159条)の月末在籍特例(2022年改正):
令和4年(2022年)10月の育児・介護休業法改正に伴い、健保・厚年の育児休業免除に関しても月末在籍の特例が追加されました:
| 育休の取得状況 | 免除の取扱い |
|---|---|
| 月をまたがない1か月未満の育休 | 原則として免除対象外(月末在籍なし) |
| 月をまたぐ育休・同一月中14日以上 | 月末在籍がある場合は免除対象 |
| 同一月内で14日以上の短期育休 | 賞与の保険料も免除対象に(令和4年10月改正) |
社労士試験での頻出パターン(まとめ):
| よくある誤答パターン | 正しい答え |
|---|---|
| 「介護休業中も育休と同様に健保料免除あり」 | 介護休業中は免除なし |
| 「産前産後免除は被保険者が申し出る」 | 事業主が申し出る |
| 「産前産後は被保険者負担のみ免除・事業主は負担」 | 被保険者・事業主ともに免除 |
| 「厚年は介護休業も免除・健保のみ免除なし」 | 健保・厚年ともに介護休業は免除なし |
| 「産後パパ育休(出生時育休)は免除対象外」 | 産後パパ育休も健保料免除の対象 |
<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 健保法第159条(育休保険料免除・産後パパ育休含む・事業主が申出)・第159条の3(産前産後休業保険料免除・平成26年施行・事業主が申出)・介護休業中の保険料免除規定は健保・厚年ともに存在しない点を一次ソース突合済。「介護休業も免除」「被保険者が申し出る」はいずれも誤り。厚年も同様(介護休業は免除なし)を確認。基準日2026-04-10内で改正混入なし。正答イ(AとB)維持。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 健康保険法第159条(育児休業中の保険料免除)・第159条の3(産前産後休業中の保険料免除)・介護休業中の保険料免除規定なし 確認日: 2026-06-08 出典: e-Gov 健康保険法第159条・第159条の3 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=211AC0000000070 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。