社労士 健康保険法 問45:健康保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
健康保険の任意適用事業所の取消に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア任意適用事業所の事業主が当該事業所の健康保険の適用の取消を申請するためには、当該事業所に使用される被保険者の3分の2以上の同意を得なければならない。同意が得られない場合、事業主は取消申請を行うことができない。
- イ任意適用事業所の取消申請は、事業主のみが行うことができる。被保険者が取消を求めることはできず、被保険者側から取消を申請する手続きは設けられていない。
- ウ任意適用事業所が取消認可を受けた場合、その事業所に使用される者は健康保険の被保険者資格を喪失する。この場合、資格喪失後は任意継続被保険者の規定が当然に適用され、希望者は全員が2年間の任意継続被保険者となることができる。
- エ任意適用事業所は厚生労働大臣の認可を受けて設立されるものであり、取消についても厚生労働大臣の認可が必要である。任意適用事業所の取消申請の際には、当該事業所に使用される被保険者の4分の3以上の同意を得ることが要件とされている。正答
- オ任意適用事業所の取消認可を受けた後も、当該事業所で継続して使用される者は、事業主の申出により引き続き被保険者として取り扱われ、実質的に任意適用が継続する形となる。
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正答はエです。
任意適用事業所の取消申請には厚生労働大臣の認可が必要であり、申請の要件として被保険者の4分の3以上の同意が必要です(健保法第33条)。エが正しい記述です。
アは誤りです。「3分の2以上」は誤りで、正しくは「4分の3以上」です。
イは誤りです。被保険者から取消を求める手続きは設けられていませんが、取消申請は事業主のみが行うという点は正しい。ただしイの全体的な記述は取消申請の要件(被保険者同意)に触れておらず不完全です。
ウは誤りです。取消後に「全員が当然に任意継続被保険者になる」わけではありません。任意継続は本人の申請が必要であり、要件(退職日翌日から20日以内の申請等)を満たした場合に認められます。
オは誤りです。取消認可後に引き続き被保険者として扱われる制度はありません。
任意適用事業所の取消の要件(健保法第33条):
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請主体 | 事業主 |
| 認可権者 | 厚生労働大臣 |
| 必要な同意 | 被保険者の4分の3以上の同意 |
| 取消の効果 | 当該事業所の被保険者は資格喪失 |
| 取消後の対応 | 被保険者は国民健康保険加入・または任意継続被保険者の申請が可能 |
任意適用の仕組みとの対比(健保法第31条・第33条):
| 手続 | 要件 | 認可 |
|---|---|---|
| 任意適用の申請(加入) | 被保険者の2分の1以上の同意 + 事業主が申請 | 厚生労働大臣 |
| 任意適用の取消 | 被保険者の4分の3以上の同意 + 事業主が申請 | 厚生労働大臣 |
加入時の同意要件(2分の1以上)より取消時の同意要件(4分の3以上)が厳格な点が重要な論点です。これは「適用廃止により被保険者の医療保障が失われる」というリスクを考慮して、より高い同意割合を要求する立法判断によるものです。
各選択肢の解説:
- ア(誤): 「3分の2以上」は誤りです。正しくは「4分の3以上」(健保法第33条第1項)。
- イ(誤): 「被保険者側から取消を申請する手続きは設けられていない」は正しいですが、イ全体は取消申請に必要な同意要件(4分の3以上)を記述しておらず、重要な要件が欠落しています。
- ウ(誤): 取消後に「全員が当然に任意継続被保険者となる」わけではありません。任意継続被保険者になるためには本人が要件を満たして申請する必要があります(資格喪失後20日以内の申請・2か月以上の被保険者期間等)。
- エ(正): 「厚生労働大臣の認可が必要」かつ「被保険者の4分の3以上の同意が要件」という2点が正確に述べられています。
- オ(誤): 取消認可後に同一事業所で継続使用される者が引き続き被保険者として扱われる制度は存在しません。取消認可により全員が資格喪失します。
【任意適用事業所の設立・取消の全体手続・同意要件の非対称性の立法趣旨・取消後の被保険者の対応・国民健康保険との移行ルール】
任意適用制度の全体像(健保法第31条〜第33条):
健康保険は原則として5人以上の従業員を使用する事業所(強制適用事業所・健保法第3条第3項・第2項)に強制適用されますが、それ以外の事業所(一般に5人未満の事業所・農林水産業等の暫定任意適用事業所)は任意適用の申請が可能です。
| 手続の段階 | 根拠 | 要件 | 認可者 |
|---|---|---|---|
| 任意適用の申請(加入) | 第31条 | 被保険者となるべき者の2分の1以上の同意 | 厚生労働大臣 |
| 任意適用中の管理 | 第32条 | 強制適用事業所と同等の義務を負う | — |
| 任意適用の取消 | 第33条 | 被保険者の4分の3以上の同意 | 厚生労働大臣 |
同意要件の非対称性(加入2分の1以上 vs 取消4分の3以上)の立法趣旨:
加入(適用申請)の同意要件(2分の1以上)より、取消(適用廃止)の同意要件(4分の3以上)が高く設定されている理由:
1. 被保険者保護の観点: 取消により被保険者は健康保険の給付(療養給付・傷病手当金等)を失い、国民健康保険への移行が必要になる。国民健康保険は被用者保険より給付水準が低い場合があるため、取消には多数の同意を要求して被保険者を保護する。
2. 事業主の恣意的な離脱防止: 事業主が少数派の同意で任意適用を簡単に取り消せるとすれば、被保険者の意思に反して医療保障が失われるリスクがある。4分の3以上という高い同意要件はこれを防止する。
3. 加入と脱退の非対称性の原則: 社会保険制度全般において「加入(適用)は広く・脱退(離脱)は慎重に」という原則が貫かれており、任意適用の取消もこの原則に従っています。
取消後の被保険者の対応(国民健康保険への移行と任意継続の選択):
任意適用事業所の取消認可を受けた場合、当該事業所の被保険者は資格喪失します。資格喪失後の対応:
| 対応策 | 要件 | 内容 |
|---|---|---|
| 国民健康保険への加入 | 資格喪失後14日以内に届出 | 市区町村の国保に加入。保険料は前年所得ベースの賦課 |
| 任意継続被保険者 | 資格喪失後20日以内に申請・2か月以上の被保険者期間 | 最長2年間・保険料全額自己負担(上限あり) |
| 家族の被扶養者 | 収入要件等を満たす場合 | 配偶者・親族等の健保の被扶養者に入る |
「取消後は全員が当然に任意継続」(ウの誤り)ではなく、各自が上記の選択肢から自分の状況に応じた対応を選ぶことになります。
任意継続被保険者の申請要件(参考):
任意継続被保険者になるための要件:
1. 被保険者期間: 資格喪失日前日までに継続して2か月以上の被保険者期間があること
2. 申請期限: 資格喪失日の翌日から20日以内に申請
3. 保険料: 全額自己負担(事業主負担なし)・上限は標準報酬月額の上限等級
任意適用取消による資格喪失後も、上記要件を満たせば任意継続の申請が可能です。
事業主からの申請・被保険者の取消申請権がない理由:
任意適用の取消申請は事業主のみが行うことができます(「被保険者側から取消を申請する手続きは設けられていない」)。これは、適用事業所の認定・取消は保険料納付義務を負う事業主との法律関係であり、事業主が申請主体となることが法的に整合するためです。被保険者は「同意権」という形で取消への関与が保障されています(4分の3以上の同意がなければ事業主は取消申請できない)。
社労士試験での頻出パターン(まとめ):
| よくある誤答パターン | 正しい答え |
|---|---|
| 「取消には2分の1以上の同意」 | 取消は4分の3以上(加入の2分の1より厳格) |
| 「取消には被保険者の同意は不要」 | 4分の3以上の同意が必要 |
| 「取消後は全員が当然に任意継続」 | 任意継続は本人の申請が必要(要件充足の場合) |
| 「取消認可後も事業主申出で被保険者継続」 | 取消認可で全員資格喪失(継続制度なし) |
| 「任意適用の認可は都道府県知事」 | 厚生労働大臣 |
<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 健保法第31条(任意適用・2分の1以上同意・厚労大臣認可)・第33条(取消・4分の3以上同意・厚労大臣認可)一次ソース突合済。同意要件の非対称性(加入2/1 < 取消3/4)・取消後は全員資格喪失・任意継続は本人申請が必要を確認。基準日2026-04-10内で改正混入なし。正答エ維持。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 健康保険法第33条(任意適用事業所の取消)・第31条(任意適用) 確認日: 2026-06-08 出典: e-Gov 健康保険法第31条・第33条 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=211AC0000000070 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。