問題
健康保険の高額療養費における世帯合算と多数該当に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。なお、2026年10月1日時点で施行されている制度を前提とすること。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はエです。
高額療養費の多数該当は、直近12か月以内に高額療養費の支給が3回あった場合、4回目から多数該当限度額(通常より低い上限)が適用される制度です。回数は世帯単位でカウントします。エが正しい記述です。
アは誤りです。70歳未満の場合は一部負担金が21,000円以上のものだけが世帯合算の対象となります(1円からではありません)。
イは誤りです。70歳未満の世帯合算の対象は1件21,000円以上の一部負担金です(施行令第41条第1項)。「30,000円以上」は誤りです。
ウは誤りです。多数該当の3回カウントは世帯単位(被扶養者の分も含む)で行われます。被保険者本人分のみではありません。
オは誤りです。多数該当限度額は通常限度額より低く設定されており、多数回の受診者の負担を軽減する制度です。
高額療養費の世帯合算と多数該当の体系:
世帯合算の仕組み:
| 対象者 | 合算の条件 |
|---|---|
| 70歳未満 | 一部負担金が21,000円以上のもののみ合算対象 |
| 70歳以上 | 一部負担金の金額にかかわらず全額合算対象(金額制限なし) |
70歳未満の世帯合算は、21,000円未満の一部負担金は合算対象外となります(アが誤りである理由)。同一世帯の被保険者・被扶養者の21,000円以上の一部負担金を合算し、世帯としての限度額を超えた場合に高額療養費が支給されます。
多数該当の仕組み:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| カウント期間 | 直近12か月以内 |
| カウント回数 | 3回(高額療養費の支給が3回あった後) |
| 4回目から | 多数該当限度額が適用 |
| カウント単位 | 世帯単位(被保険者+被扶養者の分を合算してカウント) |
| 多数該当限度額(区分ウ) | 月44,400円 |
多数該当限度額は通常限度額より低く設定されており、長期にわたって医療費が高額になる世帯の負担を軽減します(オが誤りである理由)。
各選択肢の解説:
- ア(誤): 70歳未満の世帯合算は「21,000円以上のもの」が対象。「1円からでも合算」は誤りです。
- イ(誤): 70歳未満の世帯合算の対象は1件21,000円以上の一部負担金です(施行令第41条第1項)。「30,000円以上」は誤りです。
- ウ(誤): 多数該当の3回カウントは世帯単位(被扶養者分を含む)。「被保険者本人のみ」は誤りです。
- エ(正): 施行令第42条は、「当該療養のあった月以前の十二月以内に既に高額療養費…が支給されている月数が三月以上ある場合」に多数回該当の額(区分ウ・エは44,400円)を適用すると定めています。高額療養費は被保険者と被扶養者の一部負担金等を合算して被保険者に支給されるため(施行令第41条第1項)、回数も被扶養者分を含めた世帯(被保険者単位)で数えます。
- オ(誤): 多数該当限度額は通常限度額より低く(軽減される)設定されています。「高く設定」「負担増加」は正反対の記述です。
【高額療養費の世帯合算・多数該当の全体設計・各区分の限度額・70歳以上との比較・長期入院ケーススタディ・2026年8月改正後の額の確認】
高額療養費制度の全体構造(70歳未満・2026年8月1日改正後):
| 区分 | 標準報酬月額の目安 | 通常限度額(1か月) | 多数該当限度額 |
|---|---|---|---|
| ア | 83万円以上 | 270,300円+(医療費−901,000円)×1% | 140,100円 |
| イ | 53万〜79万円 | 179,100円+(医療費−597,000円)×1% | 93,000円 |
| ウ(一般) | 28万〜50万円 | 85,800円+(医療費−286,000円)×1% | 44,400円 |
| エ | 26万円以下 | 61,500円 | 44,400円(区分ウと同額) |
| オ | 住民税非課税 | 36,900円 | 24,600円 |
※ 上表は2026年8月1日施行の施行令第42条第1項の改正後の額です(多数回該当の額は据え置き)。改正前の通常限度額は区分ア252,600円+(医療費−842,000円)×1%・区分イ167,400円+(医療費−558,000円)×1%・区分ウ80,100円+(医療費−267,000円)×1%・区分エ57,600円・区分オ35,400円で、令和8年度試験(基準日2026-04-10)は改正前の額が前提でした。令和9年8月には所得区分の細分化が予定されています。
世帯合算の詳細(70歳未満と70歳以上の比較):
| 区分 | 合算の条件 | 合算対象者 |
|---|---|---|
| 70歳未満 | 21,000円以上のもののみ | 同一世帯の被保険者・被扶養者(70歳未満) |
| 70歳以上 | 金額制限なし(1円から全額) | 70歳以上の高齢受給者全員 |
| 混合世帯(70歳未満と70歳以上が同居) | 70歳以上分を先に合算→70歳未満分(21,000円以上)を後から加算 | 世帯全員 |
施行令第41条第1項は、合算する一部負担金等を「被保険者…又はその被扶養者」のものとし、70歳に達する日の属する月以前の療養に係るものは「二万千円…以上のものに限る」と定めています(75歳到達時特例対象療養は10,500円以上)。
多数該当の計算例(長期入院ケース):
区分ウの被保険者が毎月高額療養費の支給を受けているケース:
| 月 | 高額療養費支給の有無 | 自己負担限度額 |
|---|---|---|
| 1月〜3月 | 支給あり(1回目〜3回目) | 通常:85,800円+(医療費−286,000円)×1% |
| 4月以降 | 支給あり(4回目〜) | 多数該当:44,400円 |
3回(12か月以内)の支給実績で4回目から多数該当限度額が適用され、被保険者の月自己負担が大幅に軽減されます。
多数該当のカウント詳細(世帯単位):
多数該当のカウントは「高額療養費の支給を受けた回数」で行われ、以下が重要です:
1. 世帯単位でカウント: 被保険者本人だけでなく被扶養者の分も含めてカウント(ウが誤りである理由)
2. 12か月以内: 療養のあった月以前の12月以内に高額療養費が支給されている「月数」を数える(施行令第42条)
3. 暦月単位: 数えるのは「月数」なので、同一月内の複数回受診は「1か月」としてカウント
4. 数える高額療養費の範囲: 施行令第41条第1項から第4項までの規定による高額療養費に限る(第42条の括弧書き)。保険者が変わった場合の通算の扱いは保険者に確認
高額療養費制度と世帯合算・多数該当の政策的意義:
高額療養費制度は「同一月内の医療費が一定額を超えた場合に、超過分を保険者が負担する」制度であり、被保険者の医療費負担を上限で抑える機能を持ちます。世帯合算はその発展形として「世帯全体の医療費負担が過大になった場合の救済」を目的とし、多数該当は「長期・継続的な高額医療を受ける世帯の負担を段階的に軽減する」目的で設けられています。
社労士試験での頻出パターン(まとめ):
| よくある誤答パターン | 正しい答え |
|---|---|
| 「70歳未満の世帯合算は1円から全額対象」 | 21,000円以上のもののみ合算 |
| 「多数該当は3回で適用(3回目から)」 | 4回目から多数該当限度額(3回がカウント基準) |
| 「多数該当のカウントは被保険者本人のみ」 | 世帯単位(被扶養者も含む) |
| 「多数該当限度額は通常より高い」 | 通常より低い(負担軽減が目的) |
| 「直近6か月以内の3回が多数該当の要件」 | 直近12か月以内の3回 |
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 健康保険法第115条(高額療養費)・健康保険法施行令第41条(支給要件・世帯合算・70歳未満は21,000円以上)・第42条(高額療養費算定基準額・多数回該当) 確認日: 2026-06-08(条番号は2026-09-30 e-Gov で再確認) 出典: e-Gov 健康保険法施行令 https://laws.e-gov.go.jp/law/215IO0000000243 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

