問題
健康保険の主な現金給付の支給期間に関する次のA〜Dの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。 A. 傷病手当金の支給期間は、支給を始めた日から通算して1年6か月に達するまでの期間である(令和4年1月1日施行の改正により通算方式に変更)。 B. 資格喪失後に継続して傷病手当金を受ける場合(継続給付)の支給期間は、資格喪失日を起点として最長1年間に限定される。資格喪失前の支給期間とは独立して1年間が設定される。 C. 出産手当金の支給期間は、出産日以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産日後56日までの間において、労務に服さなかった期間である。出産が予定日より遅れた場合は、予定日以前42日から実際の出産日後56日までが対象となり、予定日から出産日までの超過期間分も産前として加算される。 D. 傷病手当金と出産手当金が同一期間について重複する場合、両方を同時に受給することができる。いずれも健康保険法上の保険給付であり、目的が異なるため同時受給を禁じる規定はない。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はア(AとC)です。
A(正): 傷病手当金の支給期間は「支給を始めた日から通算して1年6か月」です。令和4年1月から通算方式に変更され、途中の職場復帰期間はカウントされません。
C(正): 出産手当金は産前42日(多胎98日)から産後56日まで。出産が予定日より遅れた場合は超過期間も産前として加算されます。
B(誤): 継続給付(資格喪失後の傷病手当金)は「資格喪失後最長1年」ではなく、支給始めから通算1年6か月を限度として継続されます。資格喪失後だけで「1年間」という独立した期間設定はありません。
D(誤): 傷病手当金と出産手当金が同一期間に重なる場合、出産手当金が優先支給され、傷病手当金は出産手当金の額が少ない場合にのみ差額が支給されます(同時受給は不可)。
健保の主な現金給付の支給期間比較:
| 給付種別 | 支給期間 | 根拠 |
|---|---|---|
| 傷病手当金 | 支給始め日から通算1年6か月 | 健保法第99条第4項(令和4年1月改正) |
| 出産手当金 | 産前42日(多胎98日)〜産後56日の労務不能期間 | 健保法第102条 |
| 継続給付(資格喪失後の傷病手当金) | 支給始めから通算1年6か月(資格喪失後限定の期間制限なし) | 健保法第104条 |
傷病手当金と出産手当金の同一期間における調整(健保法第103条):
同一期間について傷病手当金と出産手当金の双方に該当する場合:
- 出産手当金を優先支給
- 出産手当金の額が傷病手当金の額より少ない場合にのみ、その差額を傷病手当金として支給
- 同時に両方を満額受給することはできない(Dが誤りである理由)
出産手当金の支給期間の計算(予定日と出産日の関係):
| 出産の状況 | 産前支給期間 | 産後支給期間 |
|---|---|---|
| 予定日どおり | 出産の日以前42日(多胎98日) | 出産の日後56日 |
| 予定日より早い | 実際の出産の日以前42日の範囲(予定日を基準に休業に入っていた場合、休業開始が出産の日の42日前より遅くなり、支給日数が短くなる=産前短縮) | 出産の日後56日 |
| 予定日より遅い | 予定日以前42日 + 超過日数(産前延長) | 実際の出産の日後56日 |
各記述の解説:
- A(正): 傷病手当金の通算1年6か月・令和4年1月の通算方式変更を正確に述べています。
- B(誤): 継続給付の支給期間は「資格喪失後最長1年間」ではありません。支給始め日(資格喪失前から数える)から通算1年6か月が限度です。「資格喪失後1年」という独立した限定期間はありません。
- C(正): 出産手当金の産前42日(多胎98日)・産後56日、予定日より遅れた場合の超過分加算を正確に述べています。
- D(誤): 傷病手当金と出産手当金が同一期間に重なる場合、出産手当金が優先され、両者を同時に満額受給することはできません(健保法第103条)。
【傷病手当金の通算方式詳細・出産手当金の計算ルール完全版・継続給付の要件・傷病手当金と出産手当金の調整・他の現金給付との横断比較】
傷病手当金の支給期間(通算方式)の詳細(令和4年1月改正後):
| 比較項目 | 改正前(〜令和3年12月31日) | 改正後(令和4年1月1日〜) |
|---|---|---|
| カウント方法 | 支給開始日から暦日で1年6か月(職場復帰期間もカウント) | 支給を受けた日を通算して1年6か月 |
| 途中の職場復帰 | 復帰期間もカウント→残余期間が減少 | 復帰期間はカウントしない→復帰後再発しても残余日数あり |
| 条文 | 「その支給を始めた日から起算して一年六月を超えないものとする」(e-Gov 2021年6月11日施行版の第99条第4項) | 「その支給を始めた日から通算して一年六月間とする」(現行第99条第4項) |
| 改正の施行 | — | 令和4年1月1日(施行日前に支給が始まった傷病手当金への適用は改正法附則の経過措置による) |
改正前は「支給開始から暦日1年6か月」の計算で、傷病が一時的に回復して職場復帰した期間も1年6か月の中に含まれていました。改正後は実際に給付を受けた日数の通算となり、再発・再休職した際も残余日数の給付が受けられます。なお傷病手当金は、労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から支給されます(第99条第1項。任意継続被保険者は対象外)。
継続給付(資格喪失後の傷病手当金・健保法第104条)の要件と支給期間:
資格喪失後も引き続き傷病手当金を受けられる継続給付の要件:
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 被保険者期間 | 資格を喪失した日の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者・共済組合の組合員である被保険者を除く)であったこと |
| 給付状態 | 資格を喪失した際に傷病手当金又は出産手当金の支給を受けていること(「受けられる状態」を含むかは通知の取扱いによる) |
| 支給期間 | 「被保険者として受けることができるはずであった期間」継続して同一の保険者から受けられる=支給始めから通算1年6か月が限度(資格喪失後に独立した「最長1年」という限定はない) |
Bの誤りは「資格喪失後の支給期間が最長1年間」という点です。継続給付の支給期間は資格喪失前からの通算で1年6か月であり、「資格喪失後だけの独立した1年間」という設計ではありません。
出産手当金の計算ルール(完全版):
| 出産の状況 | 産前支給日数 | 産後支給日数 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 予定日どおり | 42日(多胎98日) | 56日 | 98日(多胎154日) |
| 予定日より2週間早い(予定日の42日前から休業していた場合) | 28日(産前短縮。休業開始が出産の日の28日前になるため) | 56日 | 84日 |
| 予定日より2週間遅い(予定日の42日前から休業していた場合) | 42日 + 14日(超過分)= 56日(産前延長) | 56日 | 112日 |
出産が予定日より遅れると産前期間が延長されます。これは「予定日前42日から休業に入っているにもかかわらず、出産が遅れて産後56日がさらに後ろにずれる」という実態に対応した制度設計です。
傷病手当金と出産手当金の調整(健保法第103条):
同一期間について傷病手当金と出産手当金の両方の支給事由がある場合:
1. 出産手当金を支給する場合は、その期間、傷病手当金は支給しない(第103条第1項本文)
2. 出産手当金の額 < 傷病手当金の額の場合: その差額を支給(同項ただし書)
3. 出産手当金を支給すべき場合に傷病手当金が支払われたとき: その傷病手当金(差額分を除く)は出産手当金の内払とみなす(同条第2項)
この調整規定(健保法第103条)は、同一期間に2つの現金給付が重複して支給されることを防ぐものです。傷病手当金の受給中に出産した場合のような場面で問題になります。
主な現金給付の支給期間横断比較(健保法):
| 給付 | 支給期間 | 起算点 | 条文 |
|---|---|---|---|
| 傷病手当金 | 通算1年6か月 | 支給を始めた日 | 第99条第4項(令和4年1月から通算方式) |
| 出産手当金 | 出産の日(予定日後の出産は予定日)以前42日(多胎98日)〜出産の日後56日のうち労務に服さなかった期間 | 出産の日・予定日 | 第102条第1項 |
| 資格喪失後の継続給付 | 被保険者として受けることができるはずであった期間 | 在職中の支給開始から | 第104条 |
社労士試験での頻出パターン(まとめ):
| よくある誤答パターン | 正しい答え |
|---|---|
| 「傷病手当金は支給開始から暦日1年6か月(改正前の知識)」 | 令和4年1月以降は通算1年6か月(職場復帰期間除く) |
| 「資格喪失後の継続給付は最長1年間」 | 支給始めから通算1年6か月(資格喪失後の独立した1年制限はない) |
| 「出産が遅れた場合の産前は予定日前42日のみ」 | 予定日前42日 + 超過日数分加算(産前延長) |
| 「傷病手当金と出産手当金は同時に満額受給可」 | 出産手当金優先・差額のみ傷病手当金 |
| 「多胎の産前は単胎と同じ42日」 | 多胎は98日 |
- 健康保険法第99条・第102条・第104条・第103条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 健康保険法第99条第4項(傷病手当金・通算1年6月)・第102条第1項(出産手当金)・第103条(傷病手当金と出産手当金の調整)・第104条(継続給付)・令和4年1月施行の通算方式 確認日: 2026-06-08 出典: e-Gov 健康保険法第99条・第102条・第103条・第104条 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=211AC0000000070 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

