社労士 国民年金法 問11:国民年金法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08)
第3号被保険者の不整合期間および特例追納に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア第3号被保険者としての届出が遅れたり届出を行わなかったりした期間(不整合期間)は、保険料が納付済とはならず、老齢基礎年金の額の計算においては合算対象期間(カラ期間)として扱われる。
- イ不整合期間を有する者は、特定期間該当届を提出することにより不整合期間を届出期間(第3号被保険者期間として正式に認定される期間)として処理することができ、これによって年金額の計算上算入されるようになる。
- ウ特例追納の申出は、不整合期間を有する者(特定期間該当届を提出した者)が、届出の日から起算して2年以内に行わなければならない。
- エ特例追納により不整合期間に対応する保険料を追納した場合、その期間は保険料納付済期間として扱われ、老齢基礎年金の額の計算の基礎に算入される。
- オ不整合期間は、特定期間該当届を提出せずに放置した場合であっても、当該期間が発生した日から10年以内であれば遡及して特例追納を行うことができる。正答
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正答はオ(誤っている記述)です。
オの誤りは「届出なしに10年以内であれば遡及して特例追納できる」という部分です。特例追納を行うためには、まず特定期間該当届を提出することが前提です。届出の手続きを踏まずに、単に10年以内だからといって特例追納を申し出ることはできません。特例追納の申出は特定期間該当届を提出した後、2年以内に行う必要があります。
ア〜エはいずれも正しい記述です。不整合期間は届出前はカラ期間扱い(ア)、特定期間該当届で届出期間に変換(イ)、追納申出は届出から2年以内(ウ)、追納後は保険料納付済期間として算入(エ)、これらは条文通りです。
不整合期間・特定期間該当届・特例追納の3ステップ(必須整理):
| ステップ | 手続き | 効果 |
|---|---|---|
| 発生 | 第3号としての届出漏れ・遅延が生じた | 不整合期間(カラ期間)として扱われ年金額に算入されない |
| 届出 | 特定期間該当届を年金事務所に提出 | 不整合期間が「届出期間(第3号被保険者期間)」として認定される |
| 追納 | 届出から2年以内に特例追納申出 | 保険料を納付することで保険料納付済期間として年金額に算入 |
各選択肢の解説:
- ア(正): 不整合期間は合算対象期間(カラ期間)として受給資格期間の算定には加算されるが、年金額の計算には反映されない。これが不整合期間の持つ実害(年金額が減る)です。
- イ(正): 特定期間該当届を提出することで不整合期間を「届出期間」として処理できます。ただしこの段階では保険料は支払っていないため、年金額への算入は特例追納後に確定します。
- ウ(正): 特例追納の申出期限は「届出の日から起算して2年以内」。この2年の期限を超えると特例追納はできなくなります。
- エ(正): 特例追納後は保険料納付済期間として計算の基礎に算入され、年金額が増えます。
- オ(誤・正答): 特例追納には必ず事前に特定期間該当届の提出が必要です。届出なしに「10年以内」という期間的要件だけで追納することはできません。10年という数字は、届出が遡及できる期間ではなく、不整合期間の存在する時期的な目安の議論に出てきますが、手続き上の要件として「届出→2年以内の追納申出」の順序が絶対条件です。
【不整合期間問題の制度的背景と2009年以降の経緯】
第3号被保険者の不整合期間問題は、2009年(平成21年)に会計検査院が大規模な届出漏れを指摘したことで表面化しました。具体的には、第2号被保険者(厚生年金加入者)の配偶者が就職・離婚・転居等で第3号の要件(生計維持関係・国内居住)を失ったにもかかわらず、種別変更届(第3号→第1号への種別変更)を提出せずに放置していたケースが多数存在していました。
この問題の深刻さは、不整合期間中に保険料を全く支払っていないにもかかわらず、制度的には「第3号被保険者として登録されている」という二重の矛盾にありました。本来は第1号被保険者として保険料を支払うべき期間が、実質的に「無拠出で基礎年金の資格期間に算入されていた」状態です。
【制度設計の仕組み:特定期間該当届と2年特例の位置づけ】
2012年(平成24年)改正(国民年金法等の一部を改正する法律)で「特例追納制度」が創設されました。この制度の仕組みは次の通りです:
1. 特定期間該当届の提出(前提要件): まず本人が年金事務所に不整合期間の存在を申告する届出を行う。これを経ないと次の追納申出ができない。
2. 届出期間への変換: 届出により不整合期間が「届出期間(国民年金法附則第9条の4の2に定める期間)」として法的に認定される。この段階では年金額への算入はまだない。
3. 特例追納申出(届出から2年以内): 届出期間について、2年以内に追納申出を行うことができる。通常の追納(10年以内)とは異なり、2年という短期の期限が設けられている。
4. 保険料の納付: 追納申出後に実際に保険料を納付することで、当該期間が「保険料納付済期間」に変換される。
【「10年」と「2年」の混同に注意】
社労士試験で頻出の混同ポイントは、通常の追納制度(国民年金法第94条)における「追納可能期間は承認を受けた月の翌月から起算して10年以内」という数字と、特例追納の「届出から2年以内」という数字の混同です。
| 制度 | 期間の起算点 | 期間上限 | 追納対象 |
|---|---|---|---|
| 通常の追納(94条) | 保険料免除等の承認月の翌月 | 10年以内 | 免除・猶予期間の保険料 |
| 特例追納(附則9条の4の4) | 特定期間該当届の提出日 | 2年以内 | 不整合期間(届出期間)の保険料 |
この区別が選択肢オの「10年以内であれば遡及できる」という誘導が機能する理由です。通常の追納の「10年」と特例追納の要件(届出の先行)を混同させる典型的な引っかけです。
【実務・上位資格接続:社労士が直面する不整合期間相談】
実務では、離婚後に元夫の会社を辞めた場合(第3号→第1号への種別変更未届)や、パート就労で収入が増えた場合(生計維持関係の消滅・届出漏れ)に不整合期間が生じます。社労士としての対応は:
- まず特定期間該当届を急ぐ: 届出が遅れると特例追納の2年期限が迫る。
- 保険料額の試算: 不整合期間が長期(最大で制度上限期間)にわたる場合、追納額が高額になることを説明し、老齢基礎年金の増額効果と費用対効果を試算する。
- 未納期間との違いの説明: 不整合期間は「届出手続きの漏れ」によるものであり、単純な保険料未納(申請免除の申出すら行っていない未納)とは法的性質が異なる。
2016年(平成28年)以降、日本年金機構は不整合期間を有する可能性のある者に個別通知を発送しており、「ねんきん定期便」でも不整合期間の存在が分かるよう表示されています。
<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 特例追納の根拠条文(附則9条の4の2〜4)・特定期間該当届前置・届出から2年以内の追納申出期限を一次ソース(厚労省特例追納PDF)で確認。通常追納(94条)の10年との混同が頻出の引っかけ。設問正答オ(誤り)確定。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法附則第9条の4の2(第3号被保険者の特定期間の届出)・附則第9条の4の4(特例追納)・厚生労働省 第3号被保険者の特例追納について(https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12512000-Nenkinkyoku-Jigyoukanrika/tokureituinou.pdf) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。