問題
振替加算に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
正答はエ(誤っている記述)です。
エの誤りは「すべての対象者が届出を提出しなければならない」という部分です。65歳到達時に振替加算の要件を満たしていれば、老齢基礎年金の請求(年金請求書)の手続きの中で加算されます。「老齢基礎年金額加算開始事由該当届」が必要なのは、老齢基礎年金を受けている人が65歳になった後に、配偶者の年金が加入期間240月以上の老齢年金などになった場合に限られます(日本年金機構)。
ア・イ・ウ・オは正しく、昭和41年4月1日以前生まれが対象(ア)、生年月日に応じた率で逓減(イ)、改定率連動の毎年改定(ウ)、昭和41年4月2日以後生まれは対象外の経過措置(オ)はいずれも正確です。
振替加算の基本構造(必須整理):
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度の位置づけ | 昭和61年の基礎年金制度導入に伴う経過措置 |
| 対象者 | 大正15年4月2日から昭和41年4月1日までの間に生まれた老齢基礎年金受給権者(主に配偶者側の妻) |
| 加算のタイミング | 配偶者が65歳に達して老齢基礎年金の受給権を取得した時(65歳到達後に要件を満たした場合は届出により加算) |
| 金額 | 改定率を反映した額×生年月日に応じた政令の率(経過措置政令第24条・1.000〜0.067) |
| 改定 | 国民年金法の改定率(1.9%等)に連動して毎年4月改定 |
| 昭和41年4月2日以後生まれ | 対象外(振替加算なし) |
各選択肢の解説:
- ア(正): 振替加算の対象は「昭和41年4月1日以前生まれ」の配偶者(老齢基礎年金受給権者)。根拠は昭和60年改正法附則第14条で、国民年金法本体の附則ではありません。
- イ(正): 経過措置政令第24条の表で、大正15年4月2日〜昭和2年4月1日生まれが1.000、昭和2年4月2日〜昭和3年4月1日生まれが0.973…と生年月日が新しいほど率が下がり、昭和36年4月2日〜昭和41年4月1日生まれはいずれも0.067です。基礎年金制度の導入時に年金加入期間が短くなりがちだった世代ほど補償が厚い設計です。
- ウ(正): 振替加算額は固定ではなく、国民年金法の改定率(1.9%)に連動して毎年4月に改定されます。「固定額」と誤認するのが典型的な誤りです。
- エ(誤・正答): 65歳到達時に要件を満たしていれば、老齢基礎年金の請求の中で加算されます。「老齢基礎年金額加算開始事由該当届」が必要なのは、65歳到達後に配偶者の年金が加入期間240月以上の老齢年金や1・2級の障害年金を受けられるようになった場合などに限られます(日本年金機構)。「すべての対象者が」提出しなければならないは誤りです。
- オ(正): 昭和41年4月2日以後生まれは対象外(日本年金機構の対象者の範囲は「大正15年4月2日から昭和41年4月1日までの間に生まれていること」)。若い世代が受給年齢に達するにつれ、新たに振替加算を受ける人はいなくなります。
【振替加算の立法趣旨:昭和61年改正の「経過措置」としての位置づけ】
振替加算は1986年(昭和61年)の基礎年金制度導入時に、昭和60年改正法の附則(第14条)に設けられた経過措置です。昭和61年3月以前、会社員・公務員の配偶者(主に専業主婦)は国民年金への加入が任意で、加入していない期間は老齢基礎年金の額に反映されません。
改正で国民年金が「全国民共通の基礎年金」として再編された際、昭和61年4月の時点で既に年齢が高かった世代は、基礎年金に加入できる期間が短く、老齢基礎年金の額が低くなる問題が生じました。これを補うために、「夫の老齢厚生年金に加算されていた加給年金額の対象であった妻が65歳になって自分の老齢基礎年金を受け取る時、加給年金額に代えて妻の老齢基礎年金に振替加算を付ける」という仕組みが設計されました。生年月日が古いほど率が高い(経過措置政令第24条)のはこのためです。
【振替加算と加給年金の連動・切り替えの仕組み】
配偶者の加給年金額は「夫の老齢厚生年金に加算・妻が65歳未満」の期間に加算されます。妻が65歳に達すると:
1. 夫側: 配偶者が65歳に達したときは加給年金額を加算しない(厚生年金保険法第44条第4項第4号。その月の翌月から年金額を改定)
2. 妻側: 振替加算が妻の老齢基礎年金に加算(昭和60年改正法附則第14条第1項)
この「切り替え」はほぼ同時に行われますが、妻が昭和41年4月2日以後生まれの場合は振替加算が発生しないため、夫の加給年金額が加算されなくなるだけです(妻の65歳到達で夫の加給年金額が消えるが、妻の振替加算もない)。この「昭和41年4月2日境界」は試験でも頻出です。
届出が必要な場面(エの論点): 妻が65歳になった後に、夫の年金が加入期間240月以上の老齢年金や1・2級の障害年金を受けられるようになった場合(夫の退職による改定で240月以上になった場合を含む)は、自動では加算されず「老齢基礎年金額加算開始事由該当届」が必要です(日本年金機構)。
【振替加算額の改定率連動(固定額誤認の防止)】
振替加算は固定額と誤解されやすいですが、毎年改定率に連動して改定されます。これは試験でも誤答の原因となる論点です。
日本年金機構が掲載している振替加算の額(2026-09-30確認)は次のとおりです:
| 配偶者(受給権者)の生年月日 | 政令で定める率 | 年額 | 月額 |
|---|---|---|---|
| 大正15年4月2日〜昭和2年4月1日(最高額区分) | 1.000 | 243,100円 | 20,258円 |
| 昭和2年4月2日〜昭和3年4月1日 | 0.973 | 236,536円 | 19,711円 |
| 昭和35年4月2日〜昭和36年4月1日 | 0.093 | 22,673円 | 1,889円 |
| 昭和36年4月2日〜昭和41年4月1日(最低額区分) | 0.067 | 16,335円 | 1,361円 |
【率の表の読み方(試験での問われ方)】
率は大正15年4月2日〜昭和2年4月1日生まれの1.000から、1年ごとに0.026〜0.027ずつ下がり、昭和35年4月2日〜昭和36年4月1日生まれで0.093、昭和36年4月2日〜昭和41年4月1日生まれは5年分まとめて0.067です(経過措置政令第24条)。試験では「生年月日が新しいほど少額」「昭和41年4月2日以後は対象外」「昭和36年4月2日以後の5年間は同率」の3点が問われます。
【根拠条文の位置づけと暗記ポイント】
試験で「振替加算の根拠条文」を問われた場合、昭和60年改正法(国民年金法等の一部を改正する法律・昭和60年法律第34号)附則第14条が根拠です。国民年金法本体の附則には振替加算の条はありません(e-Gov の国民年金法附則の条見出し一覧で確認)。「基礎年金を導入した改正の経過措置だから、その改正法の附則」という整理で覚えると混同しません。夫側の加給年金額が加算されなくなるのは厚生年金保険法第44条第4項第4号です。この2つの組み合わせが「振替加算の全体像」をカバーします。
- 国民年金法e-Govで原文を読む
- 厚生年金保険法第44条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法等の一部を改正する法律(昭和60年法律第34号)附則第14条第1項(振替加算。国民年金法本体の附則には振替加算の条はない)・国民年金法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令(昭和61年政令第54号)第24条(生年月日に応じた率・大正15年4月2日〜昭和2年4月1日生まれ1.000〜昭和36年4月2日〜昭和41年4月1日生まれ0.067)(https://laws.e-gov.go.jp/law/361CO0000000054・2026-09-30確認)、厚生年金保険法第44条第4項第4号(配偶者が65歳に達したとき加給年金額を加算しない)、日本年金機構「加給年金額と振替加算」(老齢基礎年金額加算開始事由該当届が必要な場合) 参照した数値: 国民年金 改定率(令和8年度・マクロ経済スライド調整後):1.9%(令和8年度+1.9%・振替加算は改定率連動で毎年改定)・2026-04-01発効(一次確認: 日本年金機構 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/kakyu-hurikae/20150401.html) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

