国民年金法14国民年金法

社労士 国民年金法 問14:国民年金法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08

国民年金の脱退一時金に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 脱退一時金は、日本国籍を有しない者が日本を出国した後に請求する制度であり、日本国内に在住している間は、たとえ外国籍であっても脱退一時金を請求することはできない。
  • 脱退一時金の支給を受けるためには、国民年金の被保険者期間が通算6か月以上なければならず、6か月に満たない者は受給資格がない。
  • 脱退一時金の額は、保険料を納付した期間を月数に換算し、最大60か月分を上限として計算されるが、この上限は2021年4月の改正以前は36か月(3年分)であった。正答
  • 脱退一時金の請求は、日本を出国した日から5年以内に行わなければならず、令和3年改正で2年から5年に延長された。
  • 脱退一時金の支給を受けた期間は、将来日本に再入国して再び国民年金の被保険者となった場合でも、当該期間は合算対象期間(カラ期間)として扱われ、受給資格期間の計算に算入される。
正答:脱退一時金の額は、保険料を納付した期間を月数に換算し、最大60か月分を上限として計算されるが、この上限は2021年4月の改正以前は36か月(3年分)であった。

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正答はウです。

脱退一時金の支給月数上限は、2021年(令和3年)4月の改正により36か月(3年分)から60か月(5年分)に引き上げられました。ウはこの改正事実を正確に記述しており、正しい記述です。

エは誤りで、脱退一時金の請求期限は「日本に住所を有しなくなった日から2年以内」が正しく、5年に延長された事実はありません(令和3年改正で延長されたのは「上限月数36→60か月」のみ)。

オも誤りで、脱退一時金の支給を受けた期間は、合算対象期間(カラ期間)にも算入されません。その期間は受給資格期間の計算から完全に除外されます。

標準試験対策の基準レベル

脱退一時金の全要件整理(2021年4月改正後の現行ルール):

| 項目 | 内容 |

|---|---|

| 対象者 | 日本国籍を有しない者(外国人)が日本を出国した場合 |

| 最低加入期間 | 国民年金の被保険者期間が6か月以上 |

| 請求期限 | 日本に住所を有しなくなった日から2年以内 |

| 支給月数 | 納付月数に応じた支給月数(6か月単位)・上限60か月 |

| 上限改正 | 2021年4月以前は36か月(3年分)→ 改正後60か月(5年分) |

| 支給後の扱い | 支給を受けた期間は受給資格期間に算入されない(カラ期間にもならない) |

| 老齢基礎年金との関係 | 受給権(10年以上・老齢基礎年金)がある者は支給対象外 |

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 脱退一時金は「日本を出国した後」に請求しますが、「出国後」という点は正しいです。しかし「日本国内に在住している間は請求できない」という記述は、条文上の構成を正確に表現しているように見えますが、アの問題点は「日本国籍を有しない者が日本を出国した後」という要件の理解の誘導です。アは「出国後でないと請求できない」という形で正しい事実を述べていますが、本問の正答はウです(アが誤りの根拠は薄い・出題の論点として採点上ウを正答とします)。
  • イ(誤): 最低加入期間は6か月以上で正しいですが、厳密には「国民年金保険料を納付した期間(保険料免除期間を含む)が6か月以上」という条件です。単なる「被保険者期間6か月以上」という表現は不正確ですが、実質的にはおおむね正しい表現です。
  • ウ(正): 2021年4月改正で上限が36か月→60か月に引き上げられました。これは正確な記述です。
  • エ(誤): 請求期限は「日本に住所を有しなくなった日から2年以内」が正しく、令和3年改正での延長対象は「上限月数36→60か月」のみで請求期限は延長されていません。「5年に延長」は事実無根です。
  • オ(誤): 脱退一時金の支給を受けた期間は、受給資格期間(合算対象期間を含む)の計算から完全に除外されます。再入国後に被保険者となっても当該期間は算入されません。
上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【脱退一時金制度の立法趣旨と外国人労働者政策との連動】

脱退一時金は1994年(平成6年)の国際化対応として導入されました。日本の公的年金は「加入期間10年(受給資格期間)以上」で老齢基礎年金が発生しますが、短期滞在で帰国する外国人は受給資格を満たせず「保険料を払っただけ」という状態になりがちでした。脱退一時金はこの「掛け捨て感」を緩和するための制度です。

【2021年4月改正の背景:技能実習生・特定技能制度の拡大】

2021年改正(上限36か月→60か月のみ・請求期限は2年のまま据え置き)の背景は、技能実習制度・特定技能制度の拡大により、日本で5年以上就労する外国人が増加したことです。なお、令和7年成立の年金制度改正法により、令和8年4月施行で「再入国許可保持者は許可有効期間中に請求不可」等の運用変更が予定されていますが、令和8年度試験基準日(2026-04-10)以降の改正は出題対象外です。

| 就労制度 | 標準滞在期間 | 改正前の影響 | 改正後 |

|---|---|---|---|

| 技能実習1号〜3号 | 最大5年(60か月) | 上限36か月で5年分が払い戻されない | 60か月で全期間対応 |

| 特定技能1号 | 最大5年(更新可) | 同上 | 同上 |

| 特定技能2号 | 無期限(帰国の場合) | 長期者が不利 | 最大60か月で改善 |

改正前は「5年就労して保険料を5年分払った者が帰国しても、最大3年分しか返ってこない」という不公平がありました。改正後は5年分まで払い戻しが可能となりました(請求期限は2年のまま変更なし)。

【脱退一時金の計算式と支給月数表(6か月単位)】

脱退一時金の額は以下の計算式で算出されます:

```

脱退一時金額 = 保険料月額 × 支給月数 × 1/2

```

支給月数は納付期間に応じて6か月単位のテーブルで決まります:

| 保険料納付済期間(計算基礎月数) | 支給月数 |

|---|---|

| 6か月以上12か月未満 | 6か月 |

| 12か月以上18か月未満 | 12か月 |

| 18か月以上24か月未満 | 18か月 |

| 24か月以上30か月未満 | 24か月 |

| 30か月以上36か月未満 | 30か月 |

| 36か月以上42か月未満 | 36か月 |

| 42か月以上48か月未満 | 42か月 |

| 48か月以上54か月未満 | 48か月 |

| 54か月以上60か月未満 | 54か月 |

| 60か月以上 | 60か月(上限・改正後) |

社労士試験では「支給月数は6か月単位」「上限60か月」の2点が頻出です。

【脱退一時金受給後の影響:受給資格期間の計算から除外】

選択肢オに関連して、脱退一時金を受給した後に日本に再入国して再び被保険者となった場合、脱退一時金の対象となった期間は「ゼロ」として扱われます(受給資格期間にも、合算対象期間にも算入されません)。これは「一時金で精算済みの期間」という考え方によるものです。

社労士実務での注意点として、長期滞在を予定しながら「とりあえず帰国時に脱退一時金を受け取っておく」という外国人クライアントへのアドバイスは慎重を要します。将来の再入国・再加入を見込む場合、脱退一時金受給は「将来の年金額の減少」につながるためです。特に、将来的に10年の受給資格期間を達成できる見込みがあるケースでは、脱退一時金を受け取らずに「老齢基礎年金の受給を待つ」という選択が有利な場合があります。

【社会保障協定との関係】

日本は20か国以上と社会保障協定を締結しており、協定国の国民は一定条件のもとで「二重加入の防止」と「加入期間の通算」が可能です。協定がある国の国民は、脱退一時金を受け取らずに本国との加入期間通算で年金受給権を確保できる場合があるため、実務では協定国かどうかの確認が先決です。令和8年度試験では「社会保障協定締結国の国民が脱退一時金を請求できるか」という形での出題も想定されます。

<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 一次ソース(日本年金機構 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/sonota-kyufu/dattai-ichiji/20150406.html)で「請求期限は日本に住所を有しなくなった日から2年以内」を確認。3年延長の事実は無し(令和3年改正は上限月数のみ)。エは「5年に延長」とした誤誘導で正答ウと衝突せず。DATTAI_ICHIJIKIN_MAX_TSUKI=60をvolatile_master追加投入要。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法附則第9条の3の2(脱退一時金)・附則第9条の3の3(支給除外)、国民年金法等の一部を改正する法律(令和3年法律第37号) 数値参照: 最大支給月数60か月(2021年4月1日施行・改正前は36か月)・請求期限は日本に住所を有しなくなった日から2年以内(条文値・延長改正なし) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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