問題
合算対象期間(カラ期間)に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
キーボード:1〜5で選択・Enterで次へ
答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
正答はウです。
ウの誤りは「合算対象期間に該当しない」という部分です。昭和61年3月31日以前において国民年金の任意加入対象者であった者(厚生年金の被保険者の配偶者など)が任意加入しなかった期間は、合算対象期間に該当します。
合算対象期間(カラ期間)は、国民年金制度が始まる前や制度の適用が不完全だった時代の未加入期間を「受給資格期間の算定にはカウントするが年金額には反映しない」という救済制度です。
アは正しい。合算対象期間は受給資格期間には算入されるが年金額には影響しません。イは正しい。昭和36年4月1日(国民年金の発足日)前の厚生年金期間は、昭和36年4月以後に公的年金の加入期間がある場合に合算対象です。エ・オも日本年金機構の合算対象期間の一覧どおりの正しい記述です。
合算対象期間(カラ期間)の主な類型(日本年金機構の一覧による):
合算対象期間に算入する期間は、主に昭和60年改正法附則第8条第5項に列挙され、国民年金法附則第9条で受給資格期間(10年)の判定に合算されます。
| 時期 | 類型 |
|---|---|
| 昭和36年3月31日以前 | 厚生年金保険・船員保険の被保険者期間(昭和36年4月以降に公的年金加入期間がある場合に限る) |
| 昭和36年4月〜昭和61年3月 | 厚生年金保険・船員保険・共済組合の加入者の配偶者で国民年金に任意加入しなかった期間 |
| 同上 | 学生(夜間制・通信制・各種学校を除く)で国民年金に任意加入しなかった期間 |
| 同上 | 厚生年金保険・船員保険の脱退手当金を受けた期間(昭和61年4月から65歳に達する日の前月までの間に保険料納付済期間(免除期間を含む)がある人に限る) |
| 同上 | 厚生年金保険・船員保険の被保険者・共済組合の組合員期間のうち、20歳未満または60歳以上の期間 |
| 昭和61年4月以後 | 日本人で海外に居住していた期間のうち国民年金に任意加入しなかった期間 |
| 同上 | 平成3年3月までの学生で国民年金に任意加入しなかった期間 |
| 同上 | 第2号被保険者としての被保険者期間のうち20歳未満または60歳以上の期間 |
ウの誤りの詳細解説:
昭和36年4月1日〜昭和61年3月31日の間、当時の国民年金制度では「任意加入できた者」が加入しなかった期間が合算対象期間です。昭和61年3月31日以前は、厚生年金被保険者の専業主婦(現在の第3号に相当)は任意加入の対象でしたが加入していない場合も多く、この期間がカラ期間になります。ウの文言「合算対象期間に該当しない」は正反対の誤りです。
受験上の重要ポイント:
オの海外在住期間は、日本年金機構の一覧では昭和61年4月1日以後の期間として掲げられています(オは「昭和61年4月1日以後の期間については」と限定して述べているので正しい)。昭和61年4月=国民年金の第1〜3号区分が整備された基礎年金制度施行日という区切りは頻出です。学生の任意未加入期間は平成3年3月までが対象で、区切りが違う点も注意します。
【合算対象期間制度の創設背景:1986年(昭和61年)基礎年金制度改革】
合算対象期間(カラ期間)は、1986年(昭和61年)4月1日施行の国民年金法全面改正(基礎年金制度の創設)に際して整備された経過措置的制度です。制度の本質を理解するには、なぜ「年金額には反映しないのに受給資格期間には算入するのか」という設計思想から入る必要があります。
【制度の設計思想:「受給権の保護」と「公平性」の両立】
昭和36年4月1日に国民年金制度が発足した時点では、すでに厚生年金・共済組合に長年加入してきた中高年世代が存在していました。この世代は国民年金に「加入できなかった」「加入できたが加入しなかった」という事情があり、将来の老齢基礎年金受給権を得るためだけに今から保険料を払っても25年分には達しない、という問題が生じました。
カラ期間制度は「保険料を支払っていない期間でも一定のものは受給資格期間に含める」という受給権保護の仕組みです。ただし無拠出期間を年金額に反映するのは保険原理に反するため、「算入するが年金額にはノーカウント」という折衷的設計がとられました。
【類型別の深掘り分析】
1. 昭和36年3月31日以前の厚生年金保険・船員保険の被保険者期間
国民年金制度発足前から厚生年金等に加入していた期間です。たとえば昭和25年から36年まで会社員だった者のその期間は、国民年金制度が存在しなかったので国民年金に加入できませんでした。この期間を完全にノーカウントにすると受給資格期間を達成できない者が多数出るため、昭和36年4月以降に公的年金加入期間がある場合に限りカラ期間として救済されます(イの論点)。
2. 任意未加入期間(昭和36年4月〜昭和61年3月など)
昭和61年3月31日以前は、厚生年金保険・船員保険・共済組合の加入者の配偶者(専業主婦等)や学生は国民年金に「任意加入できる」が「強制加入ではない」扱いでした。配偶者は昭和61年4月の基礎年金制度の導入で第3号被保険者として強制加入の対象になりましたが、学生の任意未加入期間は平成3年3月までがカラ期間の対象です(日本年金機構の一覧)。加入しなかった期間は保険料を支払っていませんが、当時の制度として任意だったのだから受給資格期間には算入する、というのがカラ期間の精神です。
3. 海外在住の任意未加入期間(昭和61年4月以後)
昭和61年4月以降も、海外に居住する日本人は第1号被保険者にはならず、任意加入(国民年金法附則第5条第1項第3号)の対象です。任意加入しなかった海外在住期間は合算対象期間となります(オの論点)。
社労士実務では、帰国後に相談に来る元海外勤務者の年金計算でこのカラ期間が重要になります。「海外にいた10年は全くゼロではなくカラ期間として受給資格期間に算入できる」ことを説明できることが求められます。
4. 厚生年金保険・船員保険の脱退手当金を受けた期間
「脱退手当金」は、かつての厚生年金保険・船員保険の一時金です(国民年金の制度ではない点に注意)。昭和36年4月から昭和61年3月までの期間のうち、脱退手当金の計算の基礎となった期間は、昭和61年4月から65歳に達する日の前月までの間に保険料納付済期間(免除期間を含む)がある人に限り、カラ期間になります(日本年金機構の一覧)。
【上位資格・実務への接続:年金コンサルティング場面での活用】
社会保険労務士が年金相談で最もカラ期間を活用する典型場面は次の通りです:
- 受給資格期間の充足確認: 保険料納付済期間だけでは10年(旧25年)に達しない依頼者でも、カラ期間を合算すれば達成できるケースの発見。
- ねんきん定期便の読み方指導: 「合算対象期間」欄に記載がある場合、「年金額には反映しないが受給資格は得られる」という説明。
- 20歳前・60歳以後の厚生年金期間の扱い: 第2号被保険者としての期間のうち20歳未満・60歳以上の期間は、老齢基礎年金の額の計算では保険料納付済期間に入らず、カラ期間として受給資格期間にだけ数えられる。会社員として長く働いた人の老齢基礎年金が満額にならない理由の説明に使います。
試験的には「合算対象期間は年金額に算入されない」という点と「どの期間がカラ期間に該当するか(昭和60年改正法附則第8条第5項等の列挙)」の両面が出題されます。特に海外在住期間の昭和61年4月1日という境界、学生の平成3年3月という境界、昭和36年4月前の厚生年金期間の「昭和36年4月以降に公的年金加入期間がある場合」という条件は頻出です。
- 国民年金法e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法附則第9条(老齢基礎年金等の支給要件の特例=保険料納付済期間・保険料免除期間・合算対象期間を合算して10年以上)(https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141・2026-09-30確認)、国民年金法等の一部を改正する法律(昭和60年法律第34号)附則第8条第5項(合算対象期間に算入する期間の列挙。e-Gov の経過措置政令(昭和61年政令第54号)の引用で条項を確認)、日本年金機構「合算対象期間」(期間別の一覧・2026-09-30確認) 確認日: 2026-09-30 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

