社労士 国民年金法 問20:国民年金法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
合算対象期間(カラ期間)に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア合算対象期間は、老齢基礎年金の受給資格期間の算定には算入されるが、老齢基礎年金の額の計算の基礎には算入されない。
- イ昭和36年4月1日前の厚生年金保険の被保険者期間は、合算対象期間に該当する。
- ウ昭和61年3月31日以前において、国民年金の任意加入対象者であった者が任意加入しなかった期間は、合算対象期間に該当しない。正答
- エ国民年金の被保険者でない配偶者(旧適用除外の妻等)の期間のうち、昭和36年4月1日から昭和61年3月31日の間で20歳以上60歳未満の期間は合算対象期間に該当する。
- オ日本国籍を有する者が20歳以上60歳未満の期間に海外に居住し、国民年金に任意加入しなかった期間は、昭和61年4月1日以後の期間については合算対象期間に該当する。
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正答はウです。
ウの誤りは「合算対象期間に該当しない」という部分です。昭和61年3月31日以前において国民年金の任意加入対象者であった者(厚生年金の被保険者の配偶者など)が任意加入しなかった期間は、合算対象期間に該当します。
合算対象期間(カラ期間)は、国民年金制度が始まる前や制度の適用が不完全だった時代の未加入期間を「受給資格期間の算定にはカウントするが年金額には反映しない」という救済制度です。
アは正しい。合算対象期間は受給資格期間には算入されるが年金額には影響しません。イは正しい。昭和36年4月1日(国民年金の発足日)前の厚生年金期間は合算対象です。エ・オも条文に沿った正しい記述です。
合算対象期間(カラ期間)の主な類型と根拠条文:
| 類型 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 旧厚年等加入期間 | 昭和36年4月1日前の厚生年金保険・共済組合等の被保険者期間 | 附則第9条第1号 |
| 任意未加入期間 | 昭和36年4月1日〜昭和61年3月31日に任意加入対象者が加入しなかった期間 | 附則第9条第2号等 |
| 旧適用除外の妻等 | 昭和36年4月〜昭和61年3月の間、第2号被保険者の被扶養配偶者が任意加入しなかった期間 | 附則第9条第3号 |
| 海外在住任意未加入 | 昭和61年4月1日以後、海外居住の日本人が任意加入しなかった20歳以上60歳未満の期間 | 附則第9条の2 |
| 脱退手当金受給期間 | 過去に脱退手当金を受給した期間(昭和36年4月1日〜昭和61年3月31日の一部) | 附則第9条第6号 |
| 20歳前・60歳後の厚年加入 | 20歳未満または60歳以上で厚生年金保険に加入していた期間 | 附則第9条第7号 |
ウの誤りの詳細解説:
昭和36年4月1日〜昭和61年3月31日の間、当時の国民年金制度では「任意加入できた者」が加入しなかった期間が合算対象期間です。昭和61年3月31日以前は、厚生年金被保険者の専業主婦(現在の第3号に相当)は任意加入の対象でしたが加入していない場合も多く、この期間がカラ期間になります。ウの文言「合算対象期間に該当しない」は正反対の誤りです。
受験上の重要ポイント:
オの海外在住期間は昭和61年4月1日以後のみが対象。昭和61年3月31日以前の海外在住期間については別途の救済規定があります。この施行日の区切り(昭和61年4月=国民年金の第1〜3号区分が整備された基礎年金制度施行日)は頻出です。
【合算対象期間制度の創設背景:1986年(昭和61年)基礎年金制度改革】
合算対象期間(カラ期間)は、1986年(昭和61年)4月1日施行の国民年金法全面改正(基礎年金制度の創設)に際して整備された経過措置的制度です。制度の本質を理解するには、なぜ「年金額には反映しないのに受給資格期間には算入するのか」という設計思想から入る必要があります。
【制度の設計思想:「受給権の保護」と「公平性」の両立】
昭和36年4月1日に国民年金制度が発足した時点では、すでに厚生年金・共済組合に長年加入してきた中高年世代が存在していました。この世代は国民年金に「加入できなかった」「加入できたが加入しなかった」という事情があり、将来の老齢基礎年金受給権を得るためだけに今から保険料を払っても25年分には達しない、という問題が生じました。
カラ期間制度は「保険料を支払っていない期間でも一定のものは受給資格期間に含める」という受給権保護の仕組みです。ただし無拠出期間を年金額に反映するのは保険原理に反するため、「算入するが年金額にはノーカウント」という折衷的設計がとられました。
【類型別の深掘り分析】
1. 昭和36年4月1日前の厚生年金等期間(附則9条1号)
国民年金制度発足前から厚生年金・共済組合に加入していた期間です。たとえば昭和25年から36年まで会社員だった者のその10年間は、国民年金制度が存在しなかったので当然国民年金に加入できませんでした。この期間を完全にノーカウントにすると受給資格期間25年を達成できない者が多数出るため、カラ期間として救済されます。
2. 任意未加入期間(附則9条2号〜5号)
昭和61年3月31日以前は、厚生年金被保険者の専業主婦・学生・海外居住者などは国民年金に「任意加入できる」が「強制加入ではない」扱いでした(昭和61年4月の制度改正で強制加入化)。加入しなかった期間は保険料を支払っていませんが、当時の制度として任意だったのだから受給資格期間には算入する、というのがカラ期間の精神です。
3. 海外在住任意加入期間(附則9条の2)
昭和61年4月以降も、海外に居住する日本人は第1号被保険者にはなれず「任意加入被保険者」の扱いです。任意加入しなかった20歳以上60歳未満の海外在住期間は合算対象期間となります。
社労士実務では、帰国後に相談に来る元海外勤務者の年金計算でこのカラ期間が重要になります。「海外にいた10年は全くゼロではなくカラ期間として受給資格期間に算入できる」ことを説明できることが求められます。
4. 脱退手当金受給期間(附則9条6号)
かつての国民年金制度では、被保険者が脱退する際に「脱退手当金」を受け取ると、その期間の保険料を返してもらう代わりに年金受給権を放棄する制度がありました(1985年で廃止)。脱退手当金を受け取った期間は保険料を返してもらっているため年金額計算から除外されますが、受給資格期間の算定には含めるカラ期間として扱われます。
【上位資格・実務への接続:年金コンサルティング場面での活用】
社会保険労務士が年金相談で最もカラ期間を活用する典型場面は次の通りです:
- 受給資格期間の充足確認: 保険料納付済期間だけでは10年(旧25年)に達しない依頼者でも、カラ期間を合算すれば達成できるケースの発見。
- ねんきん定期便の読み方指導: 「合算対象期間」欄に記載がある場合、「年金額には反映しないが受給資格は得られる」という説明。
- 遺族厚生年金等の25年問題との関係: 一部の年金制度では25年以上の保険料納付済期間等(≠受給資格期間)が要件になるケースがあるため、カラ期間が「受給資格はクリアするが別要件では使えない」という場面での的確な案内。
試験的には「合算対象期間は年金額に算入されない」という点と「どの期間がカラ期間に該当するか(附則9条の列挙)」の両面が出題されます。特に海外在住期間の昭和61年4月1日という施行日の境界と、任意加入対象者の未加入期間が該当することは頻出です。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法附則第8条・第9条(合算対象期間)・国民年金法附則第9条の2(海外在住期間の特例)(https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。