社労士 国民年金法 問21:国民年金法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
老齢基礎年金の支給要件、支給開始年齢および受給権者の届出に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア老齢基礎年金の支給を受けるためには、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年以上なければならず、合算対象期間(カラ期間)はこの要件を満たすために使用できない。
- イ老齢基礎年金の受給権は65歳に達した日に発生し、その翌月分から支給が開始されるが、受給権者は受給権取得後すみやかに厚生労働大臣に届出を行う義務がある。
- ウ老齢基礎年金を受ける権利は、受給権者が65歳に達したとき(繰上げ請求をしない限り)に自動的に発生するが、その支給を受けようとする者は裁定請求書を日本年金機構に提出する必要がある。正答
- エ老齢基礎年金は、65歳から支給されることが原則であるが、60歳以上65歳未満の者が希望すれば繰上げ受給の手続きをすることなく60歳から支給を受けることができる。
- オ死亡した受給権者の遺族は、未払の老齢基礎年金がある場合、死亡した受給権者の生計を維持していた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹の順位で請求できるが、請求期限はない。
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正答はウです。
老齢基礎年金を受け取るためには、受給権者が裁定請求書を提出する必要があります。65歳になれば自動的に年金が振り込まれるわけではなく、「裁定請求(年金の受給を申請する手続き)」が必要です。
各選択肢の誤りを確認します。アは誤り。合算対象期間(カラ期間)は受給資格期間の算定に算入されます。イは誤り。老齢基礎年金の受給権者が届出を行う義務については、特定の事由(住所変更など)が生じた場合のものであり、受給権取得後に一律に届出義務があるわけではありません。エは誤り。繰上げ受給をするためには繰上げ請求の手続きが必要です。自動的には60歳から支給されません。オは誤り。未支給年金の請求期限は5年です(国民年金法第102条)。
老齢基礎年金の支給に関する重要な仕組みの整理:
1. 受給権の発生と裁定請求
受給権(年金を受け取る法的権利)は65歳に達した日に自動的に発生します。しかし、その権利があるからといって自動的に年金が振り込まれるわけではありません。受給権者は日本年金機構(または事務組合・共済組合)に裁定請求書を提出する必要があります(国民年金法第16条)。裁定とは、厚生労働大臣(権限を委任された日本年金機構)が「この人は年金を受ける権利がある・受給額はいくら」と確認・決定する処分です。
2. 受給権者の届出義務(特定事由発生時)
受給権者は次の事由が生じたとき、すみやかに届出を行う義務があります(国民年金法第105条):
| 届出事由 | 主な例 |
|---|---|
| 受給権の消滅 | 死亡 |
| 年金額の改定事由 | 子の加算対象者の消滅・障害等級の変更等 |
| 住所変更 | 転居(マイナンバー収録者は一部省略可) |
「受給権取得後すみやかに一律届出」というルールはありません(イの誤り)。特定の事由が生じた場合のみ届出が必要です。
3. 未支給年金の請求(国民年金法第17条)
受給権者が死亡し、まだ支払われていない年金(未支給年金)がある場合、遺族は自分自身の権利として未支給年金を請求できます。
- 請求できる遺族の範囲と優先順位:配偶者>子>父母>孫>祖父母>兄弟姉妹(生計同一要件あり)
- 請求期限:5年(国民年金法第102条の消滅時効・オの誤りの根拠)
4. 繰上げ・繰下げ請求
- 繰上げ:60歳以上65歳未満の任意の時点で請求可。月0.4%減額。手続き(繰上げ請求)が必要(エの誤りの根拠)。
- 繰下げ:66歳以降75歳まで。月0.7%増額。手続きなしで最大75歳まで待機可能だが、受給するには繰下げ申出が必要。
【裁定請求制度の意義と実務の重要性】
老齢基礎年金における「裁定請求」と「受給権の発生」の区別は、社労士の実務において年金相談の根幹をなします。受給権は法律上の権利として自動発生しますが、それを現実の給付に変換するためには行政機関による「確認・決定(裁定)」という手続きが必要というのが年金法の建前です。
裁定請求の提出先と流れ:
1. 第1号被保険者期間のみ:日本年金機構(または市区町村)に裁定請求書を提出
2. 第2号被保険者期間を含む:日本年金機構に提出(厚生年金の老齢厚生年金と同時請求が通常)
3. 共済組合の加入期間を含む:共済組合にも同時請求
【「裁定請求=自動化されている部分」と「手続きが必要な部分」】
実務では、日本年金機構から65歳の誕生月3か月前に「年金請求書(はがき)」が届き、必要事項を記入して返送することで裁定請求が完了する仕組みが整備されています。ただし、記入・返送を忘れると年金は受給されません(受給権はあるが裁定請求がない状態)。この点を「年金は65歳から自動的にもらえる」と誤解している依頼者への説明が社労士の重要業務です。
さらに、65歳前から特別支給の老齢厚生年金(旧制度の経過措置)を受給していた場合は、65歳になると特別支給が停止して老齢基礎年金・本来の老齢厚生年金に自動的に切り替わる手続きが連動する場合もあるため、複合的な理解が必要です。
【未支給年金の制度趣旨と実務上の注意点(5年消滅時効)】
未支給年金制度(国民年金法第17条・厚生年金保険法第37条)は、「受給権者が死亡した月の分まで年金を受け取る権利はあるが、本人が死亡しているため本人では請求できない」という状況を解消するための制度です。
消滅時効5年の根拠:
国民年金法第102条は年金給付の請求権に5年の消滅時効を定めています。未支給年金の請求権も同様に5年の消滅時効が適用されます(死亡日の翌日から5年以内)。これを5年と知らずに放置した遺族が時効消滅で受け取れなくなるケースが実務では散見されます。
優先順位の実務的意味:
優先順位は「生計同一」が認定要件であるため、同順位の者が複数いる場合は代表者が請求します。最上位の配偶者が存在しても生計同一でなければ次順位の子が請求できる場合があります。離婚後に別居していた子など、「生計同一の実態」の立証が問題になるケースも実務では存在します。
【受給権者届出と住所変更の近年の取扱い(マイナンバー連携)】
国民年金法第105条の届出義務のうち「住所変更の届出」は、2021年の法改正によりマイナンバーが収録されている受給権者は原則として届出不要となりました(住民票の変更が自動連携)。社労士試験では「マイナンバー収録者は住所変更届が省略できる」ことが問われる可能性があります(kounen_17の論点と同様の延長線上にある知識)。
【老齢基礎年金と老齢厚生年金の裁定・振込の一体運用】
実務上、老齢基礎年金と老齢厚生年金は1通の年金請求書で同時請求するのが通常です。支給は「各月の15日払い(土日祝日の場合は繰上げ)、偶数月に2か月分まとめて支給」です。この支給サイクルも社労士試験・年金アドバイザー試験では問われる基本知識です。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法第26条(受給資格期間)・第27条(受給権の発生)・第16条(裁定請求)・第17条(未支給年金)(https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。