社労士 国民年金法 問25:国民年金法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
学生納付特例制度に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア学生納付特例の承認を受けた期間は、保険料納付済期間とみなされ、老齢基礎年金の額の計算の基礎に算入される。
- イ学生納付特例の承認を受けるためには、本人の所得要件のみが審査され、世帯主や配偶者の所得は問われない。
- ウ学生納付特例の承認を受けた者が保険料を追納しようとする場合、承認月の翌月から起算して10年以内に行う必要があり、加算額なしで追納できる。
- エ学生納付特例の対象となる「学生」には、大学院生・専修学校生・各種学校生(就学期間1年以上の課程)等が含まれる。
- オ学生納付特例の承認要件に係る本人の所得基準は、前年の所得が{{GAKUSEI_TOKUREI_SHOTOKU}}(128万円)に扶養親族等の数に1人につき38万円を加算した額以下であることである。正答
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正答はオです。
学生納付特例の所得基準は、前年の所得が128万円に扶養親族等の数に1人につき38万円を加算した額以下であることです。本人の所得のみが審査対象で、世帯主・配偶者の所得は問いません。
各選択肢の誤りを確認します。アは誤り。学生納付特例期間は受給資格期間の算定には算入されますが、老齢基礎年金の額の計算には算入されません(追納しないと年金額は増えない)。イは正しい記述ですがオの方が正確なため、正答としてはオを選びます。ウは誤り。追納は10年以内ですが、承認を受けた月の前月から起算して3年以上経過した月分については加算額がつきます。エは概ね正しい内容です。オが設問の意図する正確な記述です。
学生納付特例制度の完全整理:
概要:
20歳以上60歳未満の学生(第1号被保険者)が保険料を納付することが困難な場合、在学期間中の保険料納付を猶予する制度。本人の所得のみを審査し、親の収入は問わない。
所得基準(令施行令第6条の8):
前年の所得が「128万円 + 扶養親族等の数 × 38万円(+ 社会保険料控除等)」以下
承認後の年金への影響:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受給資格期間への算入 | ○(算入される) |
| 老齢基礎年金の額への算入 | ×(追納なしでは算入されない) |
| 追納 | 承認月の翌月から起算して10年以内に可能 |
| 追納時の加算 | 承認から3年超経過分については加算額あり |
追納の加算額(ウの誤りの根拠):
承認月の翌月から起算して3年を超えた月分から追納する場合は、物価スライドによる加算額が上乗せされます。つまり「早く追納するほど安い」ため、経済的に余裕ができたらなるべく早期に追納することが推奨されます(3年以内の追納は加算なし)。
学生の範囲(エの確認):
- 大学・大学院・短期大学
- 高等専門学校
- 専修学校(専門課程・一般課程)
- 各種学校(就学期間1年以上の課程のもの)
- 予備校(特定のものに限定)
高等学校は含まれません(高校生の20歳到達は稀で、通常20歳未満は国民年金の被保険者でない)。
納付猶予制度との比較(混同注意):
| 制度 | 所得審査の対象 | 対象年齢 |
|---|---|---|
| 学生納付特例 | 本人のみ | 学生の第1号被保険者(20〜59歳) |
| 納付猶予制度 | 本人+配偶者 | 50歳未満の第1号被保険者 |
世帯主の所得は両制度とも審査対象外。これが一般的な保険料免除(全額・一部免除)との大きな違いです(一般免除は世帯主・配偶者・本人の3者の所得を合算審査)。
【学生納付特例制度の創設背景と社会的意義】
学生納付特例制度は1999年(平成11年)4月1日に創設されました。創設前は学生も20歳になれば国民年金の第1号被保険者として保険料を支払う義務がありましたが、学生は通常収入がなく支払いが困難であり、保険料滞納・未納者が多発するという問題がありました。この問題に対応するため、「収入がないなら払わなくてよいが、将来的に追納する選択肢を与える」という設計で学生特例が導入されました。
【所得基準128万円の意味】
128万円という数字は、国民年金法施行令第6条の8に定められた基準値です。扶養親族がいない学生本人の場合:
- 基礎控除(国民年金法では所得税の基礎控除とは別の計算)を加味した実質的に年収換算で約200万円前後が収入の目安
扶養親族(配偶者等)が1人いる場合は128万円+38万円=166万円まで所得が許容されます。
なお、この128万円という基準は長年固定されており(物価連動なし)、物価上昇が続く現在においては「多くの学生がアルバイト収入をある程度持っていても特例を受けられる水準」となっています。
【追納制度の詳細:3年と10年の二段構え】
追納期間(10年)と加算額の有無(3年が境界)は混同しやすい重要論点です:
10年という期間:
承認月の翌月(正確には「保険料を追納することができることとなった月の翌月」)から起算して10年以内が追納可能期間です。つまり20歳で特例を受けた場合、30歳までに追納すれば老齢基礎年金の額が増加します。10年を超えると追納不可となり、その期間は永久に受給資格期間にのみ算入(年金額にはノーカウント)の扱いのままとなります。
3年という境界と加算額:
承認から3年以内は加算なしで追納できますが、3年を超えた月分からは当時の保険料額に加算額が上乗せされます。加算率は年度によって異なり、厚労省が毎年告示します。これは「長期間放置した追納には物価変動等を反映したコストを課す」という制度上の設計です。
実務的な追納の戦略:
社労士が就活後に初めて社会保険相談を受ける場面で、「学生時代の特例期間を追納すべきか」という相談は頻繁にあります。判断基準:
1. 追納の損得計算: 追納1か月分のコスト vs 老齢基礎年金への増額効果(1か月分の追納で年金額は約1,600円/年増加・概算)
2. 長生きリスク: 65歳から何年生きるかによって総受取額が変わる
3. 加算額の確認: 3年を超えた月分はいくらの加算額か
一般に「3年以内の早期追納は有利」「10年以内でも加算を加味した損得計算が必要」です。
【学生納付特例期間中の障害・死亡への対応】
学生特例期間中に障害状態になった場合または死亡した場合は、受給資格期間の算定に算入されるため、障害基礎年金・遺族基礎年金の受給権発生の可否(受給資格期間の充足)に影響します。これは学生特例の重要な保障機能です。若い世代が保険料を払っていなくても「受給資格は維持されている」という点が、未納(申請なし)とは決定的に異なります。
未納期間は受給資格期間にも算入されませんが、学生特例・納付猶予の承認を受けた期間は受給資格期間に算入されます。この差が実際の生活に直結する場面が、若年での障害・死亡という不幸な事態への対応です。
【上位資格(年金アドバイザー・FP)との接続】
FP2級では学生特例と納付猶予の比較、追納の計算が出題されます。年金アドバイザー2級では「学生時代の特例期間の追納vs繰下げ」どちらが老齢基礎年金を増やす上で有利かという複合計算が出題されます。社労士試験でも、法的根拠(国民年金法90条の3)と所得基準・追納要件の数値の正確な把握が求められます。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法第90条の3(学生納付特例)・第94条(追納・10年以内)・国民年金法施行令第6条の8(所得基準)(https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。