社労士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

社労士 国民年金法 問26|50歳未満納付猶予制度

問題

社労士 | 国民年金法 | 令和9年度(2027年度)試験対応・数値確認日 2026-10-01

国民年金の保険料の納付猶予制度(50歳未満の者に係る特例)に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は ウ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はウです。

ウの誤りは「3年以内」「3年を超えた月分は追納できない」という部分です。追納できるのは追納の承認を受けた日の属する月前10年以内の期間の保険料です(国民年金法第94条第1項)。3年は「加算額が付くかどうか」の目安であり、古い期間でも10年以内なら加算額付きで追納できます(同条第3項)。

ア・イ・エ・オはいずれも正しい記述です。本人と配偶者の所得審査(ア)、受給資格期間算入・年金額不算入(イ)、世帯主所得は審査対象外(エ)、納付期限から2年以内の過去の期間も申請できる(オ)は、日本年金機構の「納付猶予制度について」の記載どおりです。

50歳未満納付猶予制度の完全整理:

制度概要:

収入が少ない若年世帯の保険料負担を軽減するため、50歳未満の第1号被保険者に対して保険料の納付猶予を認める特例制度です。

所得審査の対象(一般の保険料免除との違い):

制度審査対象者
全額免除・一部免除世帯主・配偶者・本人(3者)
学生納付特例本人のみ
50歳未満納付猶予本人+配偶者(世帯主は除く)

年金への影響:

項目内容
受給資格期間への算入○(算入される)
老齢基礎年金の額への算入×(追納なしでは算入されない)
追納できる範囲追納の承認を受けた日の属する月前10年以内の期間の保険料(国年法第94条第1項)
加算額古い期間の分は、当時の保険料額に政令で定める加算額が付く(同条第3項)

申請方法(オの正しい根拠):

申請は本人が市区町村の窓口・年金事務所などに対して行います。日本年金機構の案内では、保険料の納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1か月前までの期間)であれば、過去の期間についても申請できます。

根拠法令の位置:

50歳未満の納付猶予は、国民年金法の本則ではなく、平成26年の改正法(平成26年法律第64号)の附則第14条に置かれた期限付きの特例です。「国民年金法附則○条」と書かれた教材を見たら、改正法の附則であることを確かめましょう。期限(いつまでの月分が対象か)は改正で延長されることがあるため、受験年度の日本年金機構・厚生労働省の公表で確認します。

【納付猶予制度の政策的背景:若年無業者・非正規雇用者への対応】

国民年金の保険料を未納のまま放置すると、老齢基礎年金の受給資格期間が不足したり、年金額が大幅に減少するリスクがあります。特に1990年代後半から2000年代にかけての就職氷河期世代は、正規雇用の機会を逃して収入が不安定な状況が長期化し、保険料未納が社会問題化しました。

学生を対象とする学生納付特例(国年法第90条の3)とは別に、学生以外の者を対象とする納付猶予が改正法の附則で設けられ、現在は50歳未満の第1号被保険者が対象です(平成26年法律第64号附則第14条)。40代の転職期・介護離職などで収入が落ちた時期にも使える制度になっています。

【世帯主所得が審査対象外という設計の意味】

一般の保険料免除(全額・一部免除)では本人・世帯主・配偶者の3者の所得を審査します(国年法第90条第1項)。これは「家族全体で支え合える環境にある者は自助努力を求める」という設計思想に基づきます。

一方、学生特例と50歳未満猶予では世帯主の所得は審査しません。なぜか:

学生特例: 親(世帯主)が高収入であっても、学生本人には収入がなく保険料を支払えないのは明らか。親に支払義務はない(学生本人が第1号被保険者)。

50歳未満猶予: 若年者が親元に同居していても(世帯主が高収入の親でも)、本人には収入がなければ本人の保険料を親に払う法的義務はない。若年者の保険料未納問題を解決するには本人所得のみで判断する必要がある。

この「世帯主所得を除外する」設計は、実際には「親が金持ちで同居している無職の若者も特例を受けられる」という問題をはらんでいますが、保険料未納よりも制度的に猶予を受けさせる方が将来的な受給資格維持につながるという政策判断がなされています。

【追納の優先順位と実務アドバイス】

一部だけ追納する場合の順序は国年法第94条第2項で決まっており、原則として先に経過した月の分から順番に行います(学生納付特例の期間を先にするなどの定めもある)。10年分の猶予期間があって経済的に一部しか追納できない場合に問題になります。追納が行われた日に、その月の保険料が納付されたものとみなされます(同条第4項)。

追納の費用対効果(試算例):

仮に1か月あたり令和8年度の保険料額(17,920円/月)で12か月分を追納したとすると(実際の追納額は対象月の年度の保険料額に加算額を足した額):

12か月×17,920円=215,040円

この12か月分で増える老齢基礎年金(令和8年度の満額は70,608円/月=年額847,300円):

847,300円×12か月÷480か月 ≒ 年21,180円

回収期間:215,040円÷21,180円/年 ≒ 約10.2年

65歳から約10年受け取れば元が取れる計算です。長生きリスクを考えると追納は一般的に有利ですが、家計の状況に応じた助言が必要です。

【猶予・特例と「未納」の決定的な違い】

社労士の実務で最も重要なのは「猶予を受けている」と「ただ未納」は全く異なるという説明です:

状態受給資格期間障害基礎年金の受給権老齢基礎年金の額
保険料未納(申請なし)算入されない未納期間は不利(直近1年特例も満たせないリスク)影響なし(元から算入なし)
猶予・特例の承認あり算入される承認期間中の障害は保護される追納なしでは増えない

この差を正確に説明できることが社労士の重要な能力です。特に若年被保険者への年金相談では「申請していれば保護される・申請しなければ保護されない」という明確なメッセージを伝える必要があります。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 政府管掌年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律(平成26年法律第64号)附則第14条第1項(50歳未満の納付猶予)・国民年金法第94条第1項〜第3項(追納・加算額)(https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141)/日本年金機構「納付猶予制度について」(https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150428.html) 確認日: 2026-09-30 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

この問題の関連トピック

  • 50歳未満納付猶予制度(本人+配偶者所得・追納10年・受給資格期間算入
  • 頻出度A

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