問題
障害基礎年金の併合認定および事後重症に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はイです。
既にある障害(前発障害)に新たな傷病(基準傷病)の障害が加わり、65歳に達する日の前日までに初めて併合して1級・2級に該当した場合の障害基礎年金(第30条の3)では、保険料納付要件は基準傷病に係る初診日の前日で判定します。
アは誤り。事後重症の請求に「障害認定日から1年以内」という制限はなく、65歳に達する日の前日までの期間内に請求します。ウは誤り。各等級の年金額を合算するのではなく、前後の障害を併合した障害の程度による障害基礎年金を支給します(第31条)。エは誤り。3分の2の判定は「請求日の前日」ではなく初診日の前日が基準です。オは誤り。「状態に至った日から3か月経過後」という待機はなく、65歳に達する日の前日までの期間内に請求できます。
障害基礎年金の3つの請求方法の比較:
| 請求類型 | 根拠条文 | 要件のポイント |
|---|---|---|
| 本来請求(障害認定日請求) | 30条 | 障害認定日(初診日から1年6か月後等)に障害等級1・2級 |
| 事後重症請求 | 30条の2 | 認定日は非該当だったが後に1・2級になった。65歳前に請求 |
| 基準傷病による障害基礎年金 | 30条の3 | 基準傷病以外の障害+基準傷病の障害を併合して、基準傷病の障害認定日以後65歳に達する日の前日までに初めて1・2級になる。保険料要件は基準傷病の初診日の前日で判定 |
| (受給権者の併合認定) | 31条 | 障害基礎年金の受給権者に更に支給事由が生じたら、前後の障害を併合した程度で支給 |
各選択肢の詳細分析:
ア(誤): 事後重症請求に「障害認定日から1年以内」という時的制限はありません。障害認定日後65歳に達する日の前日までに等級に該当した者が、その期間内に請求します(30条の2第1項)。
イ(正・正答): 第30条の3は、基準傷病に係る初診日において第30条第1項各号(被保険者等)に該当した者を対象とし、保険料納付要件(第30条第1項ただし書)を基準傷病に係る初診日の前日で判定します(同条第2項による準用)。前発障害の初診日で判定するのではない点が混同しやすいところです。
ウ(誤): 2以上の障害がある場合の年金額は「各障害等級の年金額を足す」のではなく、前後の障害を併合した障害の程度による障害基礎年金を支給します(31条1項)。
エ(誤): 事後重症の保険料納付要件は「初診日の前日時点において、保険料納付済期間+免除期間が全被保険者期間の3分の2以上(または直近1年特例)」です。「請求日の前日」ではなく「初診日の前日」が基準点。
オ(誤): 事後重症請求は「障害状態に至った日から3か月経過後」という待機要件はありません。65歳に達する日の前日までの期間内であれば、状態に至ったらすぐに請求できます。
【障害基礎年金3類型の設計思想と相互関係の深掘り】
本来請求(障害認定日主義)の意義:
国民年金法の障害給付は「初診日主義」と「障害認定日主義」の二本立て構造を取っています。初診日が保険料要件の基準日であり、障害認定日が障害状態の確認時点です。この二段構えは「保険料をしっかり払っていた時点で発病した傷病に限り保護する」という保険原理の表れです。
事後重症制度の必要性:
障害認定日(初診日から1年6か月後)時点では軽度だった障害が、その後に悪化して日常生活に支障をきたすケースは医学的に珍しくありません。この場合、「認定日では等級非該当だったから一生受給できない」とすると、被保険者の保護として不十分です。事後重症制度はこの問題に対応するための制度です。
65歳前請求要件の厳格な意味:
事後重症(30条の2)は「障害認定日後65歳に達する日の前日までに等級に該当し、その期間内に請求する」、基準傷病(30条の3)は「基準傷病の障害認定日以後65歳に達する日の前日までに初めて併合して等級に該当する」という形で、どちらも65歳前日までの期限が条文に置かれています。期限が「等級に該当する時点」にかかるのか「請求」にもかかるのかを、条文の文言で区別して覚えましょう。
【基準傷病による障害基礎年金の実践的理解】
基準傷病制度(国民年金法第30条の3)は、次の状況への対応です:
例:Aさんは25歳のとき右目に障害(単独では1級・2級に該当しない程度)を負った。55歳(国民年金の被保険者)で新たに左足の傷病(基準傷病)が発生した。基準傷病の障害認定日以後、65歳に達する日の前日までに、右目と左足の障害を併合して初めて2級に該当した。
この場合の確認ポイント:
- 基準傷病の初診日(55歳)に第30条第1項各号(被保険者等)に該当しているか
- 基準傷病の初診日の前日において保険料納付要件(3分の2または直近1年特例)を満たしているか
- 基準傷病の障害認定日以後65歳に達する日の前日までに、併合して初めて1級・2級に該当したか
前発障害(右目)の初診日では保険料要件を判定しません。前発障害だけでは受給できなかった人が、基準傷病の時点で保険料要件を満たしていれば受給できる、という設計です。
【保険料納付要件の2つのルール】
障害基礎年金の保険料納付要件は「初診日の前日」を基準日とするため、初診日以後にいくら保険料を払っても遡及的に要件を満たすことはできません。これが「未納が続いている状態で傷病が発生すると障害基礎年金を受けられない」という重大なリスクにつながります。
要件の2パターン:
1. 3分の2ルール: 初診日の前日において、被保険者期間のうち3分の2以上が保険料納付済・免除期間
2. 直近1年特例: 初診日の前日時点で、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料未納がない
直近1年特例は附則による期限つきの経過措置です(期限は令和18年3月31日まで)。本則の要件ではないので、期限の到来とともに見直しの対象になる点を押さえておきましょう。
【実務上の落とし穴:事後重症の「さかのぼり」問題】
事後重症は請求によって受給権が生じるため、「請求した月の翌月から支給」となります(国民年金法30条の2第3項・第18条第1項)。障害状態になった日にさかのぼって支給されるわけではありません。これは本来請求(障害認定日に遡及可能)との重要な違いです。
例:障害認定日(令和4年1月)に障害等級非該当→令和6年4月に悪化→令和8年6月に事後重症請求
→ 支給開始は令和8年7月分から(令和4年1月に遡及不可)
この「さかのぼり不可」の問題で損失を出さないために、社労士は依頼者に「障害状態になったらすぐに請求を」と強く促すことが実務上の重要な役割です。
- 国民年金法第30条の3・第30条の2e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法第30条第1項ただし書(保険料納付要件)・第30条の2(事後重症)・第30条の3(基準傷病による障害基礎年金)・第31条(併合認定)(https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141) 確認日: 2026-09-30 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

