社労士 国民年金法 問27:国民年金法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
障害基礎年金の併合認定および事後重症に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア事後重症による障害基礎年金の請求は、障害認定日から起算して1年以内に行わなければならない。
- イ前発障害(既存の障害)と基準傷病(新たな傷病)がある場合、基準傷病の初診日において65歳未満であれば、保険料納付要件を満たす限り併合認定の請求が可能である。正答
- ウ同一人に2つ以上の障害がある場合の障害基礎年金の額は、個々の障害について認定された各障害等級に対応する年金額を合算した額となる。
- エ事後重症による障害基礎年金の請求を行うためには、請求日の前日において、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が加入期間の3分の2以上あることが必要である。
- オ障害認定日において障害等級に該当しなかった者が、その後65歳に達する日の前日までに障害等級に該当した場合、その者はその状態に至った日から3か月を経過した日以後に、事後重症による障害基礎年金を請求することができる。
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正答はイです。
基準傷病(新たな傷病)による障害と前発障害を併合して請求する場合、基準傷病の初診日において65歳未満(かつ前発障害の初診日において保険料納付要件を満たす)であれば、65歳以降でも請求できます。
アは誤り。事後重症による障害基礎年金の請求期限は「1年以内」という制限はありません。ただし請求しないと受給できないため、障害状態に至ったらなるべく早く請求することが実務上重要です。ウは誤り。2以上の障害がある場合は合算するのではなく、併合した障害等級(最も重い状態を基準に重さを加算)に対応する年金額が支給されます。エは誤り。事後重症の保険料納付要件は「3分の2以上」ではなく、保険料納付済期間+免除期間が全被保険者期間の3分の2以上(または直近1年特例)が正確です。オは誤り。3か月経過後ではなく、65歳に達する日の前日までに請求することが要件で、「状態に至った日から3か月経過後」という期限はありません。
障害基礎年金の3つの請求方法の比較:
| 請求類型 | 根拠条文 | 要件のポイント |
|---|---|---|
| 本来請求(障害認定日請求) | 30条 | 障害認定日(初診日から1年6か月後等)に障害等級1・2級 |
| 事後重症請求 | 30条の2 | 認定日は非該当だったが後に1・2級になった。65歳前に請求 |
| 基準傷病による請求(併合認定) | 30条の3 | 前発障害+基準傷病の新規障害を合わせて1・2級になる。基準傷病の初診日に65歳未満・保険料要件を前発障害の初診日で判定 |
各選択肢の詳細分析:
ア(誤): 事後重症請求に「障害認定日から1年以内」という時的制限はありません。「65歳に達する日の前日まで」に請求することが要件です(30条の2第2項)。
イ(正・正答): 基準傷病による請求の「65歳未満」要件は、基準傷病の初診日において充足していれば、実際の請求が65歳以降であっても構いません。保険料納付要件は前発障害の初診日を基準に判定します。この2つの基準日が異なる点が重要です。
ウ(誤): 2以上の障害がある場合の年金額は「各障害等級の年金額を足す」のではなく、国民年金法施行令の併合認定表によって2つの障害を組み合わせた等級を決定し、その等級の年金額を支給します(2級+2級=1級相当等)。
エ(誤): 事後重症の保険料納付要件は「初診日の前日時点において、保険料納付済期間+免除期間が全被保険者期間の3分の2以上(または直近1年特例)」です。「請求日の前日」ではなく「初診日の前日」が基準点。
オ(誤): 事後重症請求は「障害状態に至った日から3か月経過後」という待機要件はありません。65歳前に請求することが必要なだけです。状態に至ったらすぐに請求可能です。
【障害基礎年金3類型の設計思想と相互関係の深掘り】
本来請求(障害認定日主義)の意義:
国民年金法の障害給付は「初診日主義」と「障害認定日主義」の二本立て構造を取っています。初診日が保険料要件の基準日であり、障害認定日が障害状態の確認時点です。この二段構えは「保険料をしっかり払っていた時点で発病した傷病に限り保護する」という保険原理の表れです。
事後重症制度の必要性:
障害認定日(初診日から1年6か月後)時点では軽度だった障害が、その後に悪化して日常生活に支障をきたすケースは医学的に珍しくありません。この場合、「認定日では等級非該当だったから一生受給できない」とすると、被保険者の保護として不十分です。事後重症制度はこの問題に対応するための制度です。
65歳前請求要件の厳格な意味:
事後重症・基準傷病の請求が「65歳に達する日の前日まで」に限定される理由は、65歳からは老齢基礎年金の受給権が発生するため、障害給付と老齢給付の調整を明確にするためです。65歳以降に新たに障害状態に達した場合は、老齢基礎年金を受給しつつ障害基礎年金を受けるという選択肢がないことを明確にしています。
【基準傷病(併合認定)の実践的理解】
基準傷病制度(国民年金法第30条の3)は、次の状況への対応です:
例:Aさんは25歳で右目の障害(前発障害・障害等級2級以下)を負ったが、老齢基礎年金を受けたことはない。55歳で新たに左足の傷病(基準傷病)が発生した。右目と左足を合わせると障害等級に相当する。
この場合、Aさんは:
- 前発障害の初診日(25歳):保険料納付要件を満たしているか確認
- 基準傷病の初診日(55歳):65歳未満かどうかを確認
この2つの要件をクリアすれば、65歳を過ぎた後であっても基準傷病による障害基礎年金の請求が可能です。これは「初診日が65歳前なら将来の請求権を保全する」という設計です。
【保険料納付要件の2つのルール】
障害基礎年金の保険料納付要件は「初診日の前日」を基準日とするため、初診日以後にいくら保険料を払っても遡及的に要件を満たすことはできません。これが「未納が続いている状態で傷病が発生すると障害基礎年金を受けられない」という重大なリスクにつながります。
要件の2パターン:
1. 3分の2ルール: 初診日の前日において、被保険者期間のうち3分の2以上が保険料納付済・免除期間
2. 直近1年特例: 初診日の前日時点で初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料未納がない(令和8年度以降も経過措置として継続)
直近1年特例は50年以上前から設けられている経過措置ですが、令和8年改正で期限が令和18年3月31日まで延長されました(`CHOKKIN_1NEN_TOKUREI_END`:2036-03-31)。
【実務上の落とし穴:事後重症の「さかのぼり」問題】
事後重症請求は「請求した月の翌月から支給」が原則です(国民年金法30条の2第3項)。障害状態になった日にさかのぼって支給されるわけではありません。これは本来請求(障害認定日に遡及可能)との重要な違いです。
例:障害認定日(令和4年1月)に障害等級非該当→令和6年4月に悪化→令和8年6月に事後重症請求
→ 支給開始は令和8年7月分から(令和4年1月に遡及不可)
この「さかのぼり不可」の問題で損失を出さないために、社労士は依頼者に「障害状態になったらすぐに請求を」と強く促すことが実務上の重要な役割です。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法第30条の2(事後重症)・第30条の3(基準傷病による障害)・第30条の4(20歳前傷病)・国民年金法施行令第4条の6(併合認定)(https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。