問題
国民年金基金に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
正答はエです。
エの誤りは「通常の国民年金保険料の納付義務が免除される」という部分です。国民年金基金に加入しても、通常の国民年金保険料の納付義務は免除されません。国民年金保険料(月額17,920円/月・17,920円)は引き続き納付する必要があり、基金の掛金はそれに加えて拠出するものです。
ア〜ウ・オは正しい記述です。基金には地域型と職能型の2種(ア)、掛金限度は月68,000円でiDeCoと合算(イ)、基金加入で付加保険料は納付不可(ただし既存の付加保険料の権利は失われない)(ウ)、基金は加入員であった者にも年金を支給(オ・第128条第1項)はいずれも正確です。
国民年金基金の完全整理:
基金の2種類:
| 種類 | 設立単位 | 加入資格 |
|---|---|---|
| 地域型 | 地区は一(吸収合併後に存続する基金は一以上)の都道府県の区域の全部(第118条の2) | 地区内に住所を有する第1号被保険者 |
| 職能型 | 同種の事業・業務につき全国で1個 | その事業・業務に従事する第1号被保険者 |
加入できる者:
- 第1号被保険者(第127条第1項)
- 任意加入被保険者のうち60歳以上65歳未満の者・在外邦人は第1号被保険者とみなされ加入できる(附則第5条第11項・第12項)
- 第2号・第3号被保険者は加入不可(第2号・第3号になると加入員の資格を喪失・第127条第3項)
掛金限度額と他制度との調整(イの根拠):
- 月額上限:68,000円
- この68,000円はiDeCo(個人型確定拠出年金)と合算した上限
例:iDeCoに月23,000円拠出している場合、基金の掛金は68,000円−23,000円=45,000円以下に制限される。
付加保険料との調整(ウの根拠):
国民年金基金に加入すると付加保険料を納付できなくなります(国民年金法第87条の2第1項)。ただし基金加入前に付加保険料を納付した月数に対応する付加年金の権利は保持されます(加入の遡及的影響なし)。
エの詳細(通常保険料との関係):
国民年金基金はあくまでも「上乗せ給付」の仕組みです。月額17,920円/月(17,920円)の通常の国民年金保険料は別途納付義務があります。基金の掛金は上乗せとして追加で拠出するものです。
オの詳細(加入員であった者への給付):
第128条第1項は、基金が「加入員又は加入員であつた者」に対して年金を支給すると定めています。加入員には任意に脱退する規定がなく、第2号・第3号被保険者になった、保険料の免除を受けることになった等の第127条第3項の事由で資格を喪失します。資格を喪失しても、加入員であった期間に応じた年金の支給対象であることに変わりはありません。
【国民年金基金の設立背景と1991年の制度創設】
国民年金基金は1991年(平成3年)に創設されました。創設の背景には、自営業者等の第1号被保険者は厚生年金に加入できず老齢基礎年金のみでは老後保障が薄い(会社員は老齢厚生年金という二階建て構造があるのに対して、自営業者は一階建て)という不公平感への対応があります。
自営業者の老後保障を厚くするための上乗せ給付として、確定拠出年金(iDeCo)と国民年金基金という2つの選択肢が整備されました。
【地域型・職能型の現状と全国国民年金基金への集約】
かつては各都道府県に地域型基金が設立されていましたが、加入員の減少・積立不足の問題から、2019年(平成31年)4月1日以降、全国国民年金基金に一元化されました。これにより各都道府県の地域型基金は全国基金に集約され、現在「地域型」の実体は全国基金の「地域型加入」として引き継がれています。
【掛金68,000円とiDeCo合算の仕組み】
68,000円という上限は、第1号被保険者がiDeCoで拠出できる最大額(月68,000円)と同じです。iDeCoを利用しない場合は68,000円すべてを国民年金基金の掛金に充てることができますが、iDeCoと国民年金基金を両方使う場合は合算で68,000円以内に抑える必要があります。
この設計の意図は「第1号被保険者の老後保障の上乗せは月68,000円という総枠の中で、基金とiDeCoを自由に組み合わせてよい」というものです。基金の掛金の上限そのものは国民年金基金令第34条(「一月につき六万八千円を超えてはならない」)に置かれており、法律本体(第134条)は政令に委ねています。
【確定給付型(基金)vs確定拠出型(iDeCo)の選択判断】
社労士が第1号被保険者に対して老後保障の上乗せを提案する際の比較:
| 項目 | 国民年金基金 | iDeCo |
|---|---|---|
| 給付の性質 | 確定給付(受取額が確定) | 確定拠出(運用成績により変動) |
| 運用リスク | 基金が負担(加入者にリスクなし) | 加入者が負担 |
| 受取方法 | 老齢年金(終身)が原則 | 年金・一時金・組合せを選択可 |
| 途中脱退 | 原則不可(解約・一時金返還なし) | 原則60歳まで引出し不可(ペナルティあり) |
| 税制優遇 | 掛金が社会保険料控除(全額) | 掛金が小規模企業共済等掛金控除(全額) |
| 付加保険料 | 基金加入中は付加保険料不可 | 付加保険料と両立可 |
確定給付を望む保守的な人・終身年金を希望する人は基金、運用成績次第で多くを受け取りたい人・一時金受取を希望する人はiDeCoが向いています。
【国民年金基金の財政問題(実務・試験双方の注意点)】
国民年金基金は加入員の減少と低金利による運用難から、財政的に厳しい状況が続いています。確定給付であるため、運用が目標に達しない場合は将来の給付が維持できなくなるリスクがあります。2019年の全国基金への集約も財政健全化の一環です。
社労士として基金への加入を提案する際は、この財政状況のリスクも説明義務の範囲として認識することが重要です(一方で法律上は国が最終的な給付保証者ではないため、破綻した場合のリスクは加入者が被ることになります)。
- 国民年金法第87条の2e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法第87条の2第1項(付加保険料・基金加入員を除く)・第115条の2(基金の種類)・第118条の2(地区)・第127条(加入員)・第128条第1項(基金の業務)・附則第5条第11項(任意加入被保険者の加入)(https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141)/国民年金基金令第34条(掛金の上限・月6万8千円)(https://laws.e-gov.go.jp/law/402CO0000000304) 確認日: 2026-09-30 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

