社労士 国民年金法 問34:国民年金法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
国民年金保険料の部分免除(4分の3免除・半額免除・4分の1免除)および追納に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア国民年金保険料の4分の3免除が承認された場合、その月の保険料は17,920円/月円の4分の1を納付すれば足り、納付しない場合でも未納にはならない。
- イ部分免除(4分の3・半額・4分の1)の承認を受けた者がその月の保険料を全額納付しない場合、当該期間は老齢基礎年金の額の計算上、保険料免除期間として扱われず未納期間となる。
- ウ追納は、免除または猶予の承認を受けた期間の翌年度から起算して10年以内に行わなければならず、古い期間から順に追納することが義務付けられている。
- エ追納する場合、免除・猶予の承認を受けた期間が3年以内であれば追納加算はないが、4年以上前の期間を追納する場合は政令で定める加算率を乗じた額が追納額に加算される。正答
- オ学生納付特例の承認を受けた期間を追納する場合には、追納加算は一切なく、承認時の保険料額で追納できる。
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正答はエです。
追納の加算については「過去3年以内の期間は加算なし、4年以上前の期間には加算あり」が正しいルールです(国年法第94条第3項)。
アは誤り。部分免除が承認された場合、残額(4分の3免除なら4分の1相当額)を納付しなければ未納扱いになります。承認されただけでは足りません。
イは誤り。部分免除の承認を受けた者が残額を全額納付しない場合でも、「保険料免除期間」として年金額の計算に算入されます(ただし全額納付より少ない額で算入)。
ウは誤り。追納の順序は古い期間から行う必要がありますが、これは法令上の義務ではなく、制度設計上の原則です(なお実際は古い期間から行うことが原則)。
オは誤り。学生納付特例も追納加算のルール(3年以内は加算なし・4年以上は加算あり)が適用されます。
国民年金保険料の部分免除・追納の整理:
部分免除の種類と残額納付:
| 免除種類 | 免除割合 | 残額の納付義務 | 残額未納時の年金算入 |
|---|---|---|---|
| 4分の3免除 | 3/4 | 1/4相当額(17,920円/月円×1/4≒4,480円/月) | 免除期間として算入(全額納付より減額) |
| 半額免除 | 1/2 | 1/2相当額(17,920円/月円×1/2≒8,960円/月) | 免除期間として算入 |
| 4分の1免除 | 1/4 | 3/4相当額(17,920円/月円×3/4≒13,440円/月) | 免除期間として算入 |
残額を納付しない場合:
部分免除の残額を未納にすると「全額免除期間」ではなく未納期間となります(アの誤り)。受給資格期間のカウントはされますが年金額への算入が0になります。
追納のルール:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 追納可能期間 | 承認期間の翌年度から10年以内 |
| 追納の順序 | 原則として古い期間から先に追納(新しい期間から追納することも技術的には可能だが、古い期間から追納が原則) |
| 加算なし | 承認を受けた月の属する年度の翌年度から起算して3年度以内 |
| 加算あり | 上記を超える期間(4年度以上前)は政令の加算率を乗じた額を加算(過去3年以内の追納は加算なし・4年以上前の保険料は政令で定める加算率(年利3〜4%程度)を乗じた額を加算条文運用) |
オの誤りの詳細:
学生納付特例期間の追納についても一般の免除期間と同じ加算ルールが適用されます。承認から3年以内は加算なし、4年以上前は加算あり、という点は変わりません。
【部分免除制度の精緻な理解:年金額への算入比率と法令の仕組み】
国民年金保険料の部分免除制度は1994年(平成6年)改正で導入されました。全額免除しか選択肢がなかった時代に、「一部なら払える」層を年金制度に引き留めるための制度として設計されています。
年金額への算入比率(法定の算入割合):
老齢基礎年金の年金額計算では、免除期間は全額納付期間の一定割合で算入されます。令和元年10月以後の期間(消費税10%後)については:
| 免除区分 | 年金額算入割合 |
|---|---|
| 全額免除 | 1/2(国庫負担分のみ) |
| 4分の3免除 | 5/8 |
| 半額免除 | 6/8(=3/4) |
| 4分の1免除 | 7/8 |
| 全額納付 | 8/8(=1) |
この算入割合の差が「部分免除の残額を納付することへの経済的インセンティブ」となっています。全額免除(残額納付なし)の場合は1/2算入にとどまりますが、半額免除で残額を納付すれば6/8算入になります。
追納加算率の詳細(過去3年以内の追納は加算なし・4年以上前の保険料は政令で定める加算率(年利3〜4%程度)を乗じた額を加算条文運用):
追納加算の基準は「承認を受けた月の属する年度の翌年度から起算」で計算します。注意点として「翌年度から」であって「翌年から」ではありません。例えば令和5年度(2023年4月〜2024年3月)に免除を受けた場合:
- 令和6年度(2024年4月〜2025年3月)から追納 → 翌年度(1年度後)
- 令和8年度(2026年4月)に追納する場合 → 翌年度から起算して3年度目(= 加算なし・3年度以内)
- 令和9年度(2027年4月)以降に追納 → 翌年度から起算して4年度目以降(= 加算あり)
加算率は政令(国民年金法施行令)で定められており、年度によって異なります。目安として年利3〜4%程度の加算が付きます。
追納の戦略的な考え方(FP視点):
追納するかどうかの判断基準:
1. 3年以内の追納は加算なしのため、実質的に「後払い」。老後の年金増額効果(終身)と保険料支払額を比較すると、健康で長生きするほど追納の「投資対効果」が高い。
2. 4年以上前の追納は加算が付くため実質的な「割増後払い」。加算率分のコストをかけてでも年金額を増やすかどうかは個人の状況(予想寿命・他の資産等)次第。
3. 学生納付特例期間は10年間追納可能。大学卒業後10年以内(概ね20代後半〜30代)に追納するケースが多い。最近の4年以内は加算なしのため、早期追納がお得。
部分免除と低所得者対策の変遷:
部分免除制度は2002年(平成14年)から現行の4段階(全額・3/4・半額・1/4)に整備されました。さらに2019年の年金生活者支援給付金創設(kokunen_33)と組み合わせることで、免除を受けた低所得者層に対する生活支援を重層化させるという政策的意図があります。
上位資格(年金アドバイザー2級)との接続:
年金アドバイザー2級では「過去10年分の部分免除を今から全額追納した場合の老齢基礎年金増額計算」が出題されます。社労士試験では「追納の手続き・加算率の有無の判定・部分免除と未納の違い」という制度理解レベルで対応可能ですが、実務相談では「追納すべきかの損益分岐点計算」まで求められます。
<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 国年法第90条の2(部分免除)・第94条(追納)に基づく。部分免除残額未納=未納期間(保険料免除期間不算入)の点が受験生頻出誤解。追納加算:翌年度起算3年度以内は加算なし・4年度目以降は政令加算率。学生特例も同ルール。一次ソース:e-Gov・日本年金機構公式確認済。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法第90条の2(部分免除)・第94条(追納)(https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。