社労士 国民年金法 問35:国民年金法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
国民年金の第1号被保険者の届出に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア第1号被保険者の資格取得の届出は、資格取得した日から14日以内に市町村長に提出しなければならない。
- イ第2号被保険者であった者が退職して第1号被保険者となった場合、その者は14日以内に市町村長に届け出なければならない。
- ウ第3号被保険者であった者が離婚によってその資格を喪失した場合、第1号被保険者への種別変更届を14日以内に市町村長に提出する義務がある。
- エ第1号被保険者が日本国内に住所を有しなくなった場合(国外転出)は、国民年金の被保険者資格を失うため、届出の義務はない。正答
- オ第1号被保険者が死亡した場合、世帯主または同居の親族が14日以内に市町村長に届け出なければならない。
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正答はエです。
第1号被保険者が国外転出した場合、住所要件(国内居住要件)を失うため任意加入の扱いになりますが、「届出の義務がない」という点が誤りです。国外転出の際も住所変更の届出に準じた手続きが必要であり、また任意加入を希望しない場合は喪失の手続きが求められます。
他の選択肢について、第1号被保険者の資格取得・種別変更・死亡のいずれの場合も届出の期限は14日以内(資格取得日・変更日・死亡日から)です。届出先は市町村長(住所地の市区町村窓口)を経由して厚生労働大臣に提出する形です。
第1号被保険者の届出の種類と期限の整理:
| 届出の種類 | 届出義務者 | 提出先 | 期限 |
|---|---|---|---|
| 資格取得届(第1号) | 被保険者本人 | 市町村長 | 資格取得から14日以内 |
| 種別変更届(→第1号) | 被保険者本人 | 市町村長 | 種別変更から14日以内 |
| 資格喪失届 | 被保険者本人 | 市町村長 | 喪失から14日以内 |
| 死亡届 | 世帯主または同居親族 | 市町村長 | 死亡から14日以内 |
第2号・第3号との届出経路の違い:
- 第2号被保険者(会社員・公務員)の資格取得・喪失届は、事業主を経由して厚生年金保険の適用事業所が届け出る(本人が市町村に届け出る必要はない)。
- 第3号被保険者(第2号の配偶者)の届出は、第2号被保険者の事業主を経由する(kokunen_36で詳述)。
- 第1号被保険者だけが市町村長経由で届け出る必要がある。
エの誤りの詳細:
国外転出すると国民年金の強制被保険者(第1号)の資格を失いますが、「海外在住の日本人は国民年金に任意加入できる」制度があります(任意加入被保険者・kokunen_47)。国外転出時の手続きを怠ると任意加入の機会を逃すことになるため、届出の手続きは必要です。
【第1号被保険者の届出制度の深層:住基システムとの連携・手続き省略と落とし穴】
国民年金の第1号被保険者制度は、1986年(昭和61年)の基礎年金制度導入時に確立されました。すべての国民を3号に分類し、全国民共通の基礎年金を付与するという制度設計の基盤となっています。
住民基本台帳との連携(実務上の重要点):
現代の実務では、住民票の転入・転出と連動して国民年金の被保険者資格の異動が自動的に処理されるケースが増えています。2013年(平成25年)以降、住民基本台帳法の改正により市区町村間での情報連携が強化され、転居時の国民年金手続きが簡略化されました。
ただし、転職(第2号→第1号)や離婚(第3号→第1号)などの種別変更は住民票では把握できないため、本人が市町村窓口で届け出る必要があります。
第2号→第1号変更(退職時)の実務的な落とし穴:
退職して厚生年金を喪失した場合、本人は14日以内に市町村長に種別変更届を提出する義務があります。この届出を怠ると:
1. 国民年金保険料の未納期間が発生する
2. 年金受給資格期間のカウントに空白が生じる可能性がある
3. 国民健康保険への移行も遅れる(健保の任意継続の場合も期限あり)
退職後の保険手続きは複数の制度を横断するため、社労士による支援ニーズが高い場面の一つです。
第3号→第1号変更(離婚・配偶者の退職等)の実務:
離婚により第3号被保険者の資格を喪失した場合、種別変更届を14日以内に市町村長に提出する必要があります。この届出を怠ると「第3号不整合問題」(kokunen_36参照)に発展するリスクがあります。
第3号不整合の特定期間救済措置(2013年創設)との関係:
過去に届出が遅れた第3号→第1号の種別変更については、「特定期間に係る保険料納付済期間特例」として救済措置が設けられています(平成25年改正)。この制度によって過去の届出漏れを遡及的に解消できますが、適用条件が複雑なため社労士の専門的な判断が必要です。
国外転出(エ)の精緻な理解:
国外転出した場合、第1号被保険者の強制加入資格は失われます(国民年金法第7条第1項第1号「国内に住所を有する日本人」が対象)。しかし以下の選択肢があります:
- 任意加入の継続(国民年金法附則第5条): 60歳未満の日本人は任意加入可能。在外邦人向けの措置で、老齢基礎年金の受給資格確保に利用できる。
- 任意加入しない: 海外滞在期間は「合算対象期間(カラ期間)」として受給資格期間には算入されるが、年金額には算入されない。
国外転出時に任意加入を希望する場合は、出国前または出国後に市町村窓口で手続きする必要があり、全く届出不要というわけではありません。
上位資格・実務との接続:
FP1級・年金アドバイザー2級では「第1号被保険者の届出漏れと未納の差異」「国外転出時の任意加入の手続きタイミング」が問われます。社労士実務では退職・離婚・国外転出のいずれのケースでも、クライアントへの適切な手続き案内が求められます。14日という短い期限を知らない一般の方が多く、手続き漏れによる年金空白を防ぐための専門的サポートが社労士の重要な役割です。
<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 国年法第12条(被保険者の届出)・第7条(被保険者資格の定義)に基づく。国外転出は強制加入資格喪失だが届出不要ではない(任意加入手続き等が必要)。届出期限14日・市町村長経由は条文値。e-Gov・日本年金機構公式確認済。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法第12条(被保険者の届出)・第7条(被保険者の資格)(https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。