国民年金法38国民年金法

社労士 国民年金法 問38:国民年金法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

老齢基礎年金の支給停止に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 老齢基礎年金の繰下げ申出を行わずに繰下げ待機期間中の者は、待機中の老齢基礎年金が支給されないが、これは受給権の放棄ではなく繰下げ後の増額分を留保している状態である。
  • 老齢基礎年金の受給権者が刑事施設に拘禁された場合であっても、老齢基礎年金は支給停止されない(拘禁による全部支給停止規定は20歳前傷病による障害基礎年金にのみ存在し、老齢基礎年金には適用されない)。
  • 老齢基礎年金の受給権者が労働基準法の規定による休業補償を受けている場合は、その間老齢基礎年金は支給停止される。正答
  • 65歳に達した者が老齢基礎年金と障害基礎年金の両方の受給権を有する場合、本人の選択により一方を受給することができ、他方は支給停止となる。
  • 繰下げ待機中に75歳に達した後で受給を請求する場合、令和4年改正により請求日の5年前にさかのぼって繰下げ申出があったものとみなして、5年分を遡及一括受給する取扱いがある。
正答:老齢基礎年金の受給権者が労働基準法の規定による休業補償を受けている場合は、その間老齢基礎年金は支給停止される。

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正答はウです。

労災の休業補償給付と公的年金(障害厚生年金等)との間には調整規定がありますが、老齢基礎年金が労働基準法上の休業補償を理由に支給停止されることはありません(国年法に該当する停止規定なし)。

アは正しい記述です(繰下げ待機中は支給されないが受給権の放棄ではない)。

イは正しい記述です。国民年金法では拘禁による全部支給停止規定は20歳前傷病による障害基礎年金(第36条の2第1項第1号)にのみ存在し、老齢基礎年金(および通常の障害基礎年金)には拘禁による全部支給停止規定はありません。

エは正しく、65歳以降の老齢基礎・障害基礎は併給調整(選択受給)の対象です(国年法第20条)。

オは正しく、令和4年改正で75歳まで繰下げが可能となり、5年前みなしによる遡及受給特例が設けられました。

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老齢基礎年金の支給停止事由の整理:

| 支給停止事由 | 停止の内容 | 根拠条文 |

|---|---|---|

| 繰下げ申出中の待機 | 待機中は支給されない(繰下げ増額分を留保) | 国年法第28条 |

| 老齢基礎年金と他の基礎年金の併給調整 | 受給権者の選択により一方が停止 | 国年法第20条 |

| 所在不明1か月以上 | 申請に基づく停止 | 国年法第73条 |

「拘禁停止」が老齢基礎年金にはない点(イの正しい根拠):

国民年金法上、拘禁による全部支給停止規定は「20歳前傷病による障害基礎年金(第36条の2第1項第1号)」と「障害基礎年金の20歳前傷病分」のみです。老齢基礎年金・通常の障害基礎年金・遺族基礎年金には拘禁による支給停止規定は存在しません(保険料の対価としての性格を重視)。

これは厚生年金保険にも拘禁による老齢厚生年金の支給停止規定がない点(kounen_41参照・本問改訂と整合)と共通の趣旨です。

ウの誤りの詳細(労基法休業補償との関係):

労災保険給付と年金との間には個別の調整規定がありますが、老齢基礎年金が労働基準法の休業補償(労基法第76条)を理由に支給停止されるという規定は国年法上ありません。

繰下げ制度の令和4年改正:

繰下げ上限が70歳→75歳に延長。75歳超で請求する場合、請求日の5年前に繰下げ申出があったとみなす特例が新設(オの内容)。

上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【老齢基礎年金の支給停止制度の体系的理解と「拘禁停止規定がない」点の意義】

老齢基礎年金の支給停止制度は、他の社会保障給付(生活保護・遺族基礎年金等)と比較して、停止事由が限定的なのが特徴です。

国民年金法における拘禁停止規定の限定性:

刑事施設への拘禁による全部支給停止規定は、国民年金法では「20歳前傷病による障害基礎年金」(第36条の2第1項第1号)にのみ規定されています。これは20歳前傷病が「保険料の納付を全く要件としない無拠出制給付(国庫財源)」であるため、公費による生活保障給付として拘禁中の停止が合理化されるためです。

一方、老齢基礎年金は「保険料を払った見返り」の性質(拠出制給付)が強く、拘禁中であっても受給権を維持するのが基本です。これは「保険料という対価を支払って得た権利は容易には剥奪されない」という財産権的な性格を反映しています。

併給調整(第20条)の仕組み:

65歳以上で老齢基礎年金と障害基礎年金(または遺族基礎年金)の両方の受給権を有する場合、受給権者の選択により一方を受給します。停止ではなく「選択」という法的位置づけです(エの内容)。

選択の典型例:

  • 老齢基礎年金(70,608円/月・令和8年4月)vs 障害基礎年金2級(同額)→ 一般には老齢基礎を選択
  • 障害基礎年金1級(88,260円/月・令和8年4月)vs 老齢基礎年金 → 障害基礎の方が高額なため障害基礎を選択

繰下げ制度の令和4年改正と5年前みなし請求(オの詳細):

2022年(令和4年)改正で繰下げ制度が大幅に改正されました:

1. 繰下げ上限の延長: 70歳 → 75歳(0.7%×月数の増額率が最大84%)

2. 5年前みなし受給特例の新設(70歳超対象):

- 70歳を超えて繰下げ申出をせずに「さかのぼって受給を請求する場合」

- 請求日の5年前に繰下げ申出があったとみなす

- ただし増額された通常額(5年前繰下げ申出があったみなしで計算)で5年分を一括受給

- 75歳到達後に請求した場合も「請求日の5年前に申出があったとみなす」

所在不明による支給停止(第73条):

老齢基礎年金には所在不明による申請停止規定があります(厚年法と類似)。所在不明1か月以上で配偶者等の申請に基づき停止可能(停止後の所在判明で遡って復活)。これは「制裁的」ではなく「行政管理上」の停止です。

労災・労基法の休業補償と年金の関係(ウの誤りの詳細):

労災保険給付と老齢厚生年金・障害厚生年金との間には個別の調整規定(労災保険法第14条の2等)がありますが、老齢基礎年金は労災との直接的な調整対象ではありません。労基法第76条の休業補償(使用者からの直接補償)も同様です。

社労士実務での老齢基礎年金管理:

クライアントの状況変化(家族の拘禁・所在不明・障害認定等)が年金にどう影響するかの判断は、社労士の専門領域です:

1. 拘禁の事実があっても老齢基礎・老齢厚生は支給継続(厚年も同様)

2. 65歳到達時の併給選択は損益計算で判定

3. 所在不明の場合は申請停止と後の復活手続きを案内

上位資格・実務との接続:

FP1級・年金アドバイザー2級では「繰下げ75歳・5年前みなし請求の損益分岐計算」が頻出です。社労士実務では「拘禁中の年金は基本的に止まらない」という事実誤認を正すクライアント説明が重要となります(一般には「年金が止まる」と誤解される)。

<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 国年法第20条(併給調整)・第28条(繰下げ・令和4年改正)・第36条の2(20歳前障害基礎年金の拘禁停止)に基づく。老齢基礎年金には拘禁による全部支給停止規定なし(拘禁停止は20歳前傷病による障害基礎年金のみ)。これは旧版で「国年法第71条=拘禁停止」としていたのを訂正したもの(第71条は遺族基礎年金の故意死亡関連条文)。労基法休業補償と老齢基礎年金の支給停止調整はない(ウ誤)。一次ソース:e-Gov・日本年金機構公式確認済。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法第20条(併給調整)・第28条(繰下げ)・第36条の2(20歳前障害基礎年金の拘禁停止は20歳前傷病のみ)(https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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