問題
20歳前の傷病による障害基礎年金に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はウです。
20歳前傷病による障害基礎年金の所得制限は、受給権者本人の前年所得を基準としつつ、受給権者の扶養親族等の人数に応じて所得制限の基準額が引き上げられます(国年法第36条の3)。扶養親族等が1人増えるごとに基準額が38万円加算(老人扶養親族等はさらに加算・施行令第5条の4)されるため、「扶養親族等の人数によらず一律」「扶養親族の数による加算はない」という記述は誤りです。
なお「扶養親族等の所得そのもの」は所得制限の判定に直接組み込まれません(あくまで本人所得+扶養人数による加算という構造)。
アは正しく、20歳前傷病は保険料納付要件が不要です。イは正しく、所得制限があります。エは正しく、刑事施設に拘禁されているとき(厚生労働省令で定める場合に限る)は支給停止(国年法第36条の2第1項第2号)。オは正しく、日本国内に住所を有しないときは支給停止(同項第4号)。
20歳前傷病による障害基礎年金の特徴整理:
通常の障害基礎年金との比較:
| 項目 | 通常の障害基礎年金 | 20歳前傷病による障害基礎年金 |
|---|---|---|
| 保険料納付要件 | あり(初診日前の一定期間) | なし |
| 所得制限 | なし | あり(受給権者本人の前年所得に基づく) |
| 支給開始年齢 | 認定時(20歳以後の初診日等) | 20歳に達した日(または障害認定日が20歳以後の場合は認定日) |
| 国内居住要件 | なし | あり(日本国内に住所を有しない間は支給停止) |
所得制限の仕組み(国年法第36条の3):
| 前年の所得 | 効果(その年の10月〜翌年9月) |
|---|---|
| 1つ目の基準額以下 | 全額支給 |
| 1つ目の基準額を超え、2つ目の基準額以下 | 2分の1停止 |
| 2つ目の基準額を超える | 全部停止 |
基準額は2つとも、扶養親族等の有無及び数に応じて政令(施行令第5条の4)で定められます。
ウの誤りの詳細:
所得制限の基準額は「扶養親族等の有無及び数」に応じて定められます(国年法第36条の3第1項)。扶養親族が1人増えるごとに約38万円が加算され、老人扶養親族・特定扶養親族等の場合はさらに加算されます。「人数によらず一律」「加算はない」という記述はこの構造を否定しているため誤りです。
なお「扶養親族の所得そのもの」は判定基準に直接含まれません(あくまで本人所得+扶養親族の数による基準額加算)。実務的には扶養親族の数による基準額調整=扶養家族の存在を考慮した制度設計となっています。
オの内容(国内居住要件):
20歳前傷病による障害基礎年金には、通常の障害基礎年金にはない国内居住要件があります(国年法第36条の2第1項第4号)。海外に住所を有する間は支給停止となります。これは「無拠出制給付(国庫負担)は国内居住者への支援に限定する」という政策判断によります。
【20歳前傷病障害基礎年金制度の設計思想と「保険料を払っていなくても受給できる」理由】
20歳前傷病による障害基礎年金は、保険料の拠出なしに給付を受けるという意味で「社会扶助的」な性格を持つ給付です。通常の社会保険給付は「保険料を払った見返りに給付を受ける」という保険原理に基づきますが、この制度は例外的な扶助原理を採用しています。
制度の位置づけ:
20歳前に傷病を発症した者は、国民年金への加入義務がない期間(20歳前)が初診日であるため、保険料を払いたくても払えない立場にあります。こうした者を年金の対象から外すことは社会保障の観点から不適切として、特例的に障害基礎年金を支給しています(国年法第30条の4)。
財源は保険料を前提とせず、国庫負担が通常より厚くなっています(費用の100分の20を別枠で国庫が負担し、残りも基礎年金の国庫負担の対象・国年法第85条第1項第1号・第3号)。全額が国庫負担というわけではありません。公費の比重が大きいことが、所得制限が設けられる理由の一つです(税金で賄う部分がある以上、資力のある者には制限する)。
所得制限の詳細な仕組み(精緻化):
所得制限の基準額(国民年金法施行令第5条の4・扶養親族等なしの場合):
- 前年の所得が3,761,000円を超えると:2分の1停止
- 前年の所得が4,794,000円を超えると:全部停止
扶養親族等が1人増えるごとに38万円が加算されます。老人控除対象配偶者・老人扶養親族は1人につき48万円、特定扶養親族・控除対象扶養親族(19歳未満)は1人につき63万円が加算されます(同条)。
なお、支給停止となる期間はその年の10月から翌年9月まで(前年の所得に基づき判定・国年法第36条の3第1項)です。
扶養親族の数が考慮される意味:
「配偶者・扶養親族がいる場合は生活費が必要」という考え方に基づき、扶養家族が多いほど所得制限の上限が緩くなります。これは「担税力」の考え方(所得税の人的控除と同じ発想)を社会保障給付の所得制限に応用したものです。
国内居住要件との関係(海外在住者への不支給):
20歳前傷病による障害基礎年金は、通常の障害基礎年金にはない「国内居住要件」が設けられています。海外に住所を有する間は支給停止となります。これも「税財源による扶助的給付は国内居住者への支援に限定する」という政策判断によるものです。
支給停止事由の整理(オの詳細):
20歳前傷病による障害基礎年金には、通常の障害基礎年金にはない以下の特別停止事由があります(国年法第36条の2):
1. 恩給法・労災保険法の年金たる給付など政令で定める給付を受けることができるとき(第1号): 支給停止。ただし障害基礎年金の額がその給付の額を超えるときは、超える部分は停止しない(同条第4項)など調整の定めあり
2. 刑事施設等への拘禁(第2号・厚生労働省令で定める場合に限る): 支給停止
3. 少年院等への収容(第3号・同上): 支給停止
4. 日本国内に住所を有しないとき(第4号): 支給停止
これらの調整は「無拠出制(公費の比重が大きい)給付として、二重の生活保障を避ける」という政策判断から設けられています。通常の障害基礎年金(拠出制)には拘禁・国内居住要件による停止はありません。
20歳前傷病の典型ケース(実務理解):
1. 先天性疾患(生まれつきの障害)
2. 10代での難病発症
3. 学生時代の交通事故・スポーツ外傷による障害
4. 精神疾患の初診日が10代のケース(統合失調症等)
社労士実務では、精神疾患の障害基礎年金請求で「初診日が20歳前か20歳後か」の判定が請求の成否を左右するため、初診日証明の取得が重要業務です。
上位資格との接続:
FP1級・年金アドバイザー2級では「20歳前傷病による障害基礎年金の所得制限の計算方法と扶養親族加算の具体的計算」が出題されます。社労士試験では「通常の障害基礎年金との相違点(保険料要件なし・所得制限あり・国内居住要件あり)」の3点セットが頻出です。
- 国民年金法第36条の3・第36条の2・第30条の4・第85条e-Govで原文を読む
- 労働者災害補償保険法e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法第30条の4(20歳前障害基礎年金)・第36条の3(所得制限)・第36条の2第1項第2号・第4号(拘禁・国内に住所を有しないとき)・第85条第1項第3号(国庫負担)(https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141)/国民年金法施行令第5条の4(所得制限額)(https://laws.e-gov.go.jp/law/334CO0000000184) 確認日: 2026-09-30 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

