社労士 国民年金法 問46:国民年金法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
国民年金基金および厚生年金基金の解散・廃止に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア国民年金基金は、基金の設立後に任意で解散することができ、解散に際して基金の積立金は国民年金基金連合会に移管される。
- イ厚生年金基金は、平成26年(2014年)の改正により原則として廃止(解散)が義務付けられ、代行部分の積立金は厚生年金保険の原資(国)に返納(代行返上)する必要がある。
- ウ厚生年金基金が解散した場合、解散後に給付を受けるべき者への給付業務は企業年金連合会が引き継ぐ。
- エ国民年金基金の加入員が国民年金の第2号被保険者になった場合、その加入員は国民年金基金の資格を失うが、基金が解散した場合には残余財産から一時金を受け取ることができる。
- オ国民年金基金は、加入員が老齢基礎年金に上乗せして受け取るための制度であり、基金の解散後も加入員であった者の既得権(積立済みの年金原資)は国民年金基金連合会が保全する。正答
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正答はオです。
国民年金基金が解散した場合、加入員であった者の積立済みの年金原資(既得権)は国民年金基金連合会が引き継ぎ、将来の年金給付を保全します。国民年金基金の解散後も加入員の権利が失われないよう、連合会がセーフティネットとして機能しています。
アは誤り。国民年金基金の解散は任意ではなく、所定の要件(法令上の事由)が必要です。
イは誤り。厚生年金基金の廃止については、2014年改正で新設禁止・既存基金の早期解散を促す措置が講じられましたが「原則廃止義務」という規定ではなく、財政状況が悪い基金への解散促進措置でした。
ウは誤り。厚生年金基金解散後の給付引継ぎは企業年金連合会ではなく、基金の代行部分は国(厚生年金)に返納し、上乗せ部分は解散時の規約に基づき処理されます。
エは誤り。国民年金基金の加入資格は第1号被保険者に限定されており、第2号に変更した時点で加入員資格を失います。
国民年金基金と厚生年金基金の比較整理:
| 項目 | 国民年金基金 | 厚生年金基金 |
|---|---|---|
| 対象者 | 第1号被保険者(自営業者等) | 厚生年金加入者(サラリーマン) |
| 位置づけ | 老齢基礎年金の上乗せ(2階部分) | 老齢厚生年金の代行+上乗せ |
| 解散後の受け皿 | 国民年金基金連合会 | 代行部分→国(厚生年金に返納)、上乗せ部分→規約処理 |
| 2014年改正 | 特段の廃止措置なし(地域型・職能型継続) | 新設禁止・財政悪化基金への解散促進 |
厚生年金基金の「代行割れ」問題(2014年改正の背景):
厚生年金基金は、老齢厚生年金の報酬比例部分(国の年金)を代わりに運用・給付する「代行」部分を持っていました。しかし長期的な低金利・運用成績の悪化により積立金が代行部分の給付に必要な額を下回る「代行割れ」が多発。この問題を解消するため2014年改正で:
- 新規設立禁止
- 代行割れ基金への解散命令権限
- 自主解散の推進
国民年金基金連合会の役割(オの根拠):
国民年金基金が解散した際、残余財産(積立金)を受け取り、既加入員への年金給付を代行します。また国民年金基金への中途脱退者の「中途脱退一時金」の管理も担います。
ウの誤りの詳細:
厚生年金基金の解散後、基金が担っていた「代行部分」(老齢厚生年金の代行給付)は、積立金を国(厚生年金特別会計)に返納することで処理されます。上乗せ部分は基金の規約・財産処分の方針に従い処理されます。「企業年金連合会」が全面的に引き継ぐという仕組みではありません。
【国民年金基金と厚生年金基金の制度的歴史・「代行割れ」問題と企業年金への移行】
日本の企業年金・公的年金の補完制度は、1965年頃から整備が始まり、2000年代の制度改正を経て現在の体系に再編されました。
厚生年金基金制度の歴史(1966年〜2014年改正):
厚生年金基金は1966年(昭和41年)に創設されました。設立当初は「国の厚生年金の代行を担いながら、上乗せ給付も提供する」という画期的な制度として普及し、ピーク時(1990年代末)には約1,800基金・加入員数は約1,200万人に達しました。
しかし:
1. バブル崩壊後の運用悪化: 株式市場の低迷と低金利が積立金を圧迫
2. 代行割れ問題: AIJ投資顧問による年金資産消失事件(2012年)がきっかけで代行割れ問題が全国的に顕在化
3. 2014年改正: 新設禁止・代行割れ基金への解散命令・自主解散促進
2014年改正の特徴的な措置は「特例解散」(通常解散より簡易な手続きで解散を認め、代行部分を国に返納)と「代行返上」(代行部分のみを国に返し、上乗せ部分は確定給付企業年金(DB)として存続)の二本立てです。
国民年金基金制度の現状(2026年時点):
国民年金基金は、地域型(都道府県別)と職能型(職業別)の2種類があります。第1号被保険者(自営業者・農業者・フリーランス等)の老後保障として機能していますが、加入員数は長期的に減少傾向です。
国民年金基金連合会(国基連)は:
1. 解散した基金の残余財産を受け取り年金給付を継続
2. 中途脱退者の一時金を受け取り保管
3. 各基金の後方支援(資産運用・事務処理の共同化)
確定拠出年金(DC)との関係(shaichi_23との接続):
2001年(平成13年)に確定拠出年金法(iDeCo・DC)が施行されたことで、国民年金基金に代わる老後保障手段として自営業者にはiDeCo(個人型DC)が普及しています。
iDeCoと国民年金基金の主な違い:
- iDeCo: 拠出額・運用先を自分で決める(リスク・リターンを自己負担)
- 国民年金基金: 受給額が確約されている(確定給付型・リスクは基金が負担)
自営業者の老後設計においては、国民年金基金・iDeCo・付加年金のどれを選ぶか(組み合わせるか)は社労士・FPとしての重要なアドバイス業務です。なお、iDeCoと国民年金基金は同時加入可能ですが、拠出限度額を共用するため合算管理が必要です。
社労士実務との接続:
社会保険労務士法第2条第1項第2号では「社会保険諸法令の書類作成・申請代行」として厚生年金基金・国民年金基金に関する手続きも対象となります。実務では解散した基金の元加入員からの「年金請求はどこに出すのか」という相談が増えており、国民年金基金連合会・企業年金連合会・日本年金機構への振り分けが必要です。
上位資格との接続:
FP1級では「厚生年金基金の代行返上・解散と企業年金制度の再編(確定給付企業年金・確定拠出年金への移行)」が出題されます。年金アドバイザー2級では「国民年金基金の仕組みと解散時の権利保全」が頻出です。
<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 国年法第137条の17(国民年金基金の解散)・第137条の3(国民年金基金連合会)に基づく。基金解散後の既得権保全は国民年金基金連合会。厚生年金基金の解散は2014年改正で促進措置(原則廃止義務ではない)。代行部分は国に返納(企業年金連合会が全面引継ぎではない)。一次ソース:e-Gov・日本年金機構公式確認済。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法第137条の17(国民年金基金の解散)・国民年金基金連合会(同法第137条の3)・確定給付企業年金法の施行と厚生年金基金の廃止経緯(https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。