国民年金法51国民年金法

社労士 国民年金法 問51:国民年金法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

老齢基礎年金の振替加算に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 振替加算は、昭和41年4月1日以前に生まれた者が65歳に達したとき、配偶者の老齢厚生年金に付いていた加給年金額の支給が停止した場合に、その者の老齢基礎年金に加算される。
  • 振替加算の額は、受給権者の生年月日が古いほど高額となる逓減方式が採用されており、昭和41年4月2日以後に生まれた者には振替加算は支給されない。
  • 振替加算が支給されるためには、振替加算の対象となる者が、老齢基礎年金の受給権を有し、65歳に達している必要があるが、老齢基礎年金の受給を繰り下げている場合でも振替加算は65歳から支給される。
  • 振替加算の対象となる者が20歳から60歳までの国民年金の強制被保険者期間の3分の2以上の保険料を納付している場合に限り振替加算が支給される。正答
  • 昭和41年4月1日以前に生まれた者が65歳に達した後に離婚した場合、離婚後も振替加算は継続して支給される。
正答:振替加算の対象となる者が20歳から60歳までの国民年金の強制被保険者期間の3分の2以上の保険料を納付している場合に限り振替加算が支給される。

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正答はエです。

「保険料納付割合(3分の2以上)が振替加算の要件」という記述が誤りです。振替加算に保険料納付割合の要件はありません。振替加算は配偶者の老齢厚生年金等から加給年金が振り替えられることで支給される加算であり、振替加算を受ける本人の保険料納付状況は関係ありません。

ア・イ・ウ・オはいずれも正しい内容です。振替加算は昭和41年4月1日以前生まれの者が対象(昭和41年4月2日以後は支給ゼロ)であり、生年月日が古いほど高額、老齢基礎年金繰り下げ中でも65歳から振替加算は支給、離婚後も継続支給されます。

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振替加算の要件と制度趣旨の整理:

| 要件項目 | 内容 |

|---|---|

| 対象者 | 昭和41年4月1日以前に生まれた者 |

| 必要な状況 | 配偶者の老齢厚生年金(退職共済年金含む)に付いていた加給年金額の対象者であった者 |

| 自身の年金 | 老齢基礎年金の受給権者で65歳以上 |

| 保険料要件 | なし(エが誤りの理由) |

| 加算額 | 生年月日が古いほど高額(逓減方式・昭和41年4月2日以後は0円) |

振替加算の仕組みの本質:

加給年金は、被保険者(夫)の老齢厚生年金に付加されますが、妻(対象者)が65歳になって老齢基礎年金を受け取り始めると、妻自身に年金受給が発生するため「夫側の加給年金」が停止します。この停止分を妻の老齢基礎年金に「振り替えて」加算するのが振替加算です。

ウ(正)の理解:繰り下げ中の振替加算:

老齢基礎年金の繰り下げ受給を選択している場合、繰り下げ受給開始まで老齢基礎年金は受け取れませんが、振替加算は65歳から(繰り下げ待機中も)支給されます。これは「振替加算は老齢基礎年金の受給権に付随する別の権利」という法的整理によるものです。

オ(正)の理解:離婚後の継続:

振替加算は65歳到達時点で要件を満たした時点で権利が確定するため、その後に離婚しても支給は継続されます(加給年金は離婚で消滅しますが、振替加算は別扱い)。

上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【振替加算制度の創設経緯・逓減方式の設計思想・廃止議論との接続】

振替加算は、昭和60年(1985年)の国民年金大改革の際に創設された制度です。この改革は「基礎年金制度の導入」と「女性の年金権の確立」を核心とするものでした。

創設の経緯(なぜ振替加算が必要だったか):

昭和60年改正前の年金制度では、サラリーマンの妻(専業主婦)は国民年金に任意加入できるものの、多くの女性が加入しておらず独自の老齢年金を持ちませんでした。夫の厚生年金の加給年金(当時は「家族手当」的な性格)が妻の生活を支える設計でしたが、妻が65歳になっても独自の老齢基礎年金がない場合に「夫の加給年金が停止→妻への支援がゼロ」となる問題が生じました。

振替加算はこの問題を解決するために「夫側の加給年金が停止したタイミングで妻の年金に加算する」設計で創設されました。

逓減方式の設計思想:

振替加算額は生年月日が古い者ほど高額となっています。これは昭和60年改正の施行(昭和61年4月)以降、女性も第3号被保険者として国民年金に強制加入することになったため:

  • 昭和61年以降に20歳になった女性:第3号被保険者として自動加入、老齢基礎年金を自力で積み立て可能
  • 改正前から主婦だった女性:任意加入していない期間が長く、老齢基礎年金が少額

生年月日が古い者は老齢基礎年金の受給額が少ない傾向があるため、振替加算で補填する額を多くする設計です。

生年月日別の振替加算額の範囲:

| 生年月日 | 振替加算月額(令和8年度概算) |

|---|---|

| 大正15年4月2日〜昭和2年4月1日 | 約16,700円/月 |

| 昭和20年4月2日〜昭和21年4月1日 | 約10,000円/月 |

| 昭和31年4月2日〜昭和41年4月1日 | 約300円〜2,000円/月程度(逓減) |

| 昭和41年4月2日以後 | ゼロ(振替加算なし) |

昭和41年4月1日以前/以後の境界の意味:

昭和41年4月1日以前生まれの者は、昭和61年4月(第3号被保険者制度開始)時点で20歳を超えていた世代です。第3号被保険者として加入できた期間が短いため、振替加算による補完が必要と判断されました。昭和41年4月2日以後生まれの者は、20歳以降のほぼ全期間で第3号被保険者として加入できるため、振替加算は不要(ゼロ)とされています。

廃止議論との接続(試験出題のトレンド):

振替加算は「世代間不公平」や「女性の就労を阻害する専業主婦優遇」として廃止議論があります。2027年(令和9年)度以降、振替加算は昭和41年4月1日以前生まれの者しか対象がいないため、自然消滅に向かう制度です(Wave5プランで「廃止2027は試験対象外」と明示)。令和8年度試験では現行制度(逓減・昭和41年4月1日以前が対象)が出題対象です。

社労士・FP実務との接続:

振替加算は「手続きしないともらえない」給付であるため、社労士による年金相談で見落としが多い給付の一つです。特に離婚後も継続支給(オの正の根拠)という点は、離婚した女性への年金相談で重要情報となります。FP1級では「加給年金と振替加算の関係・計算問題」が頻出です。

<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 国年法附則第14条・昭和60年法律第34号附則に基づく。振替加算に保険料納付割合要件はない(エ誤)。対象は昭和41年4月1日以前生まれ。繰り下げ中でも65歳から振替加算支給。離婚後も継続。一次ソース:e-Gov国年法・厚労省公式確認済。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法附則第14条・昭和60年法律第34号附則(https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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