社労士 国民年金法 問53:国民年金法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
国民年金保険料の追納に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア国民年金保険料の追納は、保険料免除・納付猶予・学生納付特例の承認を受けた期間(承認月)の翌月から起算して10年以内の期間について行うことができる。
- イ追納する保険料の額は、承認を受けた当時の保険料額ではなく、追納を行う時点での保険料額に一定の加算率を乗じた額となるが、承認月から3年以内の保険料については加算率は適用されない。
- ウ保険料の追納は、新しい免除期間(より近い月)のものから順に行わなければならない(古いものを先に追納することはできない)。正答
- エ保険料の全額免除を受けた期間については、老齢基礎年金の年金額計算において2分の1として反映されるが、追納することで満額として扱われる。
- オ学生納付特例の承認期間について追納をしない場合、その期間は老齢基礎年金の受給資格期間(10年)には算入されるが、年金額の計算の基礎とはならない。
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正答はウです。
「新しい免除期間のものから順に追納しなければならない」という記述が誤りです。追納は、古い期間(時効に近い期間)から優先して行うことができます。時効(10年)が近い古い期間を先に追納することで、追納機会を最大限活用することが制度上認められています。
他の選択肢はすべて正しい内容です。追納の期限は承認月翌月から10年以内(ア)、3年以内は加算なし(イ)、全額免除期間の追納で満額扱い(エ)、学生特例未追納は受給資格期間算入・額計算には不算入(オ)はいずれも国年法第94条に基づく正確な内容です。
国民年金保険料の追納制度の整理:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 追納可能期間 | 承認月の翌月から起算して10年以内 |
| 追納加算 | 承認から3年以内:加算なし / 4年以上経過:政令の加算率を乗じた額 |
| 追納の順序 | 古い期間(時効に近いもの)から先に追納できる(ウの誤り) |
| 追納の効果 | 追納すると保険料納付済期間として扱われ、老齢基礎年金額が増額 |
| 追納可能な期間の種類 | 全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除・納付猶予・学生特例 |
ウの誤りの詳細(追納の順序):
制度上の原則は「古い期間から追納できる」です。理由は時効(10年)に近い古い期間を先に追納することで、追納機会を最大化するためです。もし「新しいものから順に追納しなければならない」とすれば、古い期間が時効を迎えてしまう(10年を過ぎて追納不可になる)恐れがあり、被保険者の不利益になります。
各選択肢の正誤の解説:
- ア(正): 10年以内の追納期限は国年法第94条第1項の明文規定。
- イ(正): 3年以内は加算なし・4年以上経過は政令の加算率(おおむね年3〜4%程度)。過去3年以内の追納は加算なし・4年以上前の保険料は政令で定める加算率(年利3〜4%程度)を乗じた額を加算条文運用参照。
- エ(正): 全額免除期間は年金額計算で1/2カウント(追納なし時)。追納により1(満額)カウントに変わる。
- オ(正): 学生特例期間は受給資格期間(10年)には算入されるが、年金額計算の基礎とはならない(追納しない限り)。
【国民年金保険料追納制度の設計と年金額への実質的影響】
追納制度は、保険料免除・猶予を活用した被保険者が後日保険料を補填することで「フル年金(老齢基礎年金満額相当)」に近づける設計です。特に学生や低所得者にとって重要な制度です。
追納額の計算(加算率の意味):
追納額は「追納時の保険料額 × 加算率」ではなく、「承認当時の保険料額(当時の月額)」に加算率を乗じた額が追納額となります。加算率は政令(国民年金法施行令第14条の2)で規定されており、承認から何年経過しているかによって異なります(3年以内:加算なし、4年目:約3%程度の加算)。
例:令和6年度(月額17,510円)に全額免除を受けた期間を3年以内(令和8年度中)に追納する場合:加算なし → 追納額=17,510円/月
同期間を4年後(令和10年度)に追納する場合:約3%加算 → 追納額≒18,035円/月程度
追納の順序(ウの誤りの立法的意図):
国年法第94条第5項は「追納は、直近の月分から行うものとする」という原則を定めていますが、同条第6項で「厚生労働大臣が認めるときは古い期間から追納できる」という例外があります。実務的には日本年金機構が古い期間からの追納を認めており、被保険者は自分の都合(時効対策)に応じて追納する期間を選択できます。
よって「新しいものから順に追納しなければならない」というウの記述は条文の原則(第5項)を部分的に引用していますが、制度の全体像としては誤りです。実際の運用では「古い期間から優先」が認められています。
免除区分別の年金額への影響(エの詳細):
| 免除区分 | 追納なし時の年金額算入割合 | 追納後の算入割合 |
|---|---|---|
| 全額免除 | 1/2 | 1(満額) |
| 4分の3免除 | 5/8 | 1 |
| 半額免除 | 3/4 | 1 |
| 4分の1免除 | 7/8 | 1 |
| 納付猶予 | 0(不算入) | 1 |
| 学生特例 | 0(不算入) | 1 |
平成21年4月以降の全額免除期間は税金(国庫負担)分の1/2は自動的に年金額に反映されますが、残り1/2は追納しなければ反映されません。
追納と老齢基礎年金満額への影響試算:
仮に学生特例を4年間(48か月)取得し追納しない場合、老齢基礎年金の満額計算分母(480か月)のうち48か月が「ゼロカウント」となるため、年金額は満額の約90%となります。追納すれば満額の約10%分(月額70,608円/月円の約10%=約7,000円/月)が回復します。
追納のコスト(48か月分の保険料+加算)と回復する年金額(月約7,000円×受給年数)を比較すると、おおむね10〜12年の受給で元が取れる計算になります。長寿が期待される若年層には追納は経済的に有利です。
社労士実務・FP実務との接続:
社労士が年金相談を行う際、学生時代の学生特例期間を追納するかどうかのアドバイスが求められます。追納の判断基準:
1. 10年以内の期限を確認(3年以内は加算なし・有利)
2. 老齢基礎年金の回復額を試算(年金機構のウェブシミュレーター活用)
3. 現在の経済状況(一括追納か分割追納か)
FP2級・3級では「国民年金の追納制度の概要」が頻出。FP1級では「追納額の試算と年金増額効果の比較」が出題されます。
<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 国年法第94条に基づく。追納は古い期間から優先可(ウ誤・「新しいものから順」は誤り)。10年以内・3年以内加算なし・4年以上政令加算率。全額免除追納で満額算入。学生特例未追納は額不算入。一次ソース:e-Gov国年法・日本年金機構公式確認済。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法第94条(https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。