問題
障害基礎年金の額の改定請求に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
正答はエです。
「受給権者本人のみが請求できる・法定代理人は請求主体になれない」という記述が誤りです。成年後見人等の法定代理人は、本人に代わって障害基礎年金の改定請求を行うことができます。これは民法上の代理の原則に従うものです。
他の選択肢はすべて正しい内容です。改定請求の1年待機原則(ア)、例外(省令指定疾病は待機不要)(イ)、1級が2級の1.25倍(ウ・オ)はいずれも国年法第34条に基づく正確な内容です。障害の程度が重くなった場合に「増進請求」として自ら申し出ることができる制度です。
障害基礎年金の額の改定請求の整理:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改定請求(増進請求) | 障害の程度が増進した場合、2級→1級等への額改定を請求可 |
| 1年待機の原則 | 直近の診査日から1年経過後でなければ請求不可(国年法第34条第2項) |
| 1年待機の例外 | 傷病が厚生労働省令で定めるもの(悪化が急速・重篤等)は例外(同条第3項) |
| 請求主体 | 受給権者本人または法定代理人(エが誤りの理由) |
| 改定後の額 | 1級:年額1,059,125円(昭和31年4月2日以後生まれ・令和8年度) |
| 2級:年額847,300円(同) |
額の改定と拠出制障害年金の関係:
障害基礎年金は国民年金の「拠出制」に基づく給付であり、障害の等級(1級または2級)によって年金額が法定されています。障害の程度が変わった場合の対応:
- 増進(重くなった):改定請求(額の改定請求)
- 軽減(軽くなった):日本年金機構が定期的な診査(職権改定)で等級を下げる or 受給権消滅
職権改定との違い:
日本年金機構は職権(受給権者の申請なし)で障害の程度を見直し、等級を変更することができます。受給権者は「増進」の場合は積極的に改定請求することが認められています。
エの誤りの根拠(法定代理人の請求権):
障害者本人が意思能力を欠く状態である場合(重度の知的障害・認知症等)は、法定後見人・任意後見人が本人に代わって請求します。成年後見制度は障害者の権利擁護のために機能しており、年金請求もその対象です。
【障害基礎年金の改定請求制度の設計・1年待機の立法趣旨・省令例外の実態】
障害基礎年金の額の改定請求(国年法第34条)は、障害の程度が変化した受給権者が適切な等級の年金を受給できるようにするための制度です。
1年待機の立法趣旨:
「直近の診査日から1年経過後でなければ改定請求できない」という1年待機の規定は、以下の理由で設けられています:
1. 傷病の状態は日々変動するため、短期間での頻繁な改定請求を防ぐ
2. 診査(医師による障害程度の判定)の結果が安定して反映されるまでの期間を確保する
3. 行政の事務コストの合理化
ただし「悪化が急速で待機期間を設けることが不合理」な傷病については例外が認められています。
省令で定める例外傷病の範囲(イの詳細):
国年法第34条第3項の「厚生労働省令で定める傷病」は、国民年金法施行規則に列挙されています(第28条は削除済みの条なので根拠として引かないこと)。主な例外傷病:
- 癌(悪性腫瘍)の転移・再発
- 進行性の神経疾患(ALS・パーキンソン病等の重篤化)
- 人工透析の開始(腎不全の増悪)
- 四肢の切断・機能廃絶等の急激な悪化
これらの場合、医師の診断書により急激な悪化を証明すれば1年待機なしで改定請求できます。
改定請求の手続き:
1. 受給権者(または法定代理人)が「障害給付額改定請求書」を日本年金機構または市区町村に提出
2. 医師の診断書(所定様式)を添付
3. 日本年金機構が障害程度の認定
4. 認定された等級に応じた新額を適用
改定後の新たな年金額は改定請求月の翌月分から支給されます。
1級と2級の年金額の法定関係(オの詳細):
国年法第34条の規定により、1級の障害基礎年金額=2級の年金額×1.25と法定されています(国年法第33条の2)。令和8年度の数値:
- 2級:年額847,300円(昭和31年4月2日以後生まれ=老齢基礎年金満額×12か月)
- 1級:年額1,059,125円(2級×1.25=端数調整済み)
なお子の加算額(243,800円/人(1〜2人目)・81,300円/人(3人目以降))は1級・2級どちらの場合にも加算されます。
法定代理人による請求(エの誤りの詳細・成年後見制度):
成年後見人(家庭裁判所が選任)・保佐人・補助人・任意後見人が法定代理人として障害基礎年金の改定請求を行う場合、以下の書類が必要です:
- 成年後見人であることを証する書類(登記事項証明書等)
- 医師の診断書(所定様式)
- 本人確認書類
平成28年改正の成年後見利用促進法により、成年後見制度を活用した年金請求の支援が強化されています。社労士は成年後見人と連携して障害年金の改定請求を支援する場面があります。
増進請求をしない場合のリスク:
障害が重くなっても増進請求をしなければ等級は変わらず、受給額は旧等級のままです。障害基礎年金は受給権者自ら積極的に権利を主張する「申請主義」に基づきます。社労士は定期的な顧問訪問や相談を通じて、障害年金受給者の状態変化を把握し、適時に改定請求を促す役割を担います。
試験対策(紛らわしいポイント):
- 「増進請求は本人のみ→誤り(法定代理人も可)」
- 「増進請求は1年待機が絶対→誤り(省令例外あり)」
- 「1級は2級の1.5倍→誤り(1.25倍)」(健保や労災の一部給付と混同しやすい)
- 「改定後は請求月から適用→誤り(翌月から)」
- 民法e-Govで原文を読む
- 国民年金法第34条・第33条の2e-Govで原文を読む
- 国民年金法施行規則e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法第34条(https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

