社労士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

社労士 厚生年金保険法 問11|特別支給の老齢厚生年金

問題

社労士 | 厚生年金保険法 | 令和9年度(2027年度)試験対応・数値確認日 2026-10-01

特別支給の老齢厚生年金に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は イ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はイ(誤っている記述)です。

イの誤りは「男性の場合、定額部分が支給される最も若い生年月日区分は昭和36年4月1日以前生まれ」という部分です。

男性で昭和28年4月2日〜昭和36年4月1日に生まれた者の特別支給の老齢厚生年金は、生年月日に応じて61歳〜64歳から支給される報酬比例部分のみです(附則第8条の2第1項)。定額部分が支給されるのは、これより前の世代に対する経過措置や、障害者・長期加入者などの特例に該当する場合に限られます。

「昭和36年4月1日以前」は、報酬比例部分のみの特別支給が支給される最後の区分(64歳から)です。定額部分の区分と混同させる引っかけです。

特別支給の老齢厚生年金 生年月日別支給内容(男性・必須整理):

生年月日(男性)特別支給の内容支給開始年齢
昭和28年4月1日以前報酬比例部分(定額部分は生年月日に応じた経過措置による)60歳から
昭和28年4月2日〜昭和30年4月1日報酬比例部分のみ61歳から
昭和30年4月2日〜昭和32年4月1日報酬比例部分のみ62歳から
昭和32年4月2日〜昭和34年4月1日報酬比例部分のみ63歳から
昭和34年4月2日〜昭和36年4月1日報酬比例部分のみ64歳から
昭和36年4月2日以後特別支給なし(65歳から本来支給)65歳から

(61歳〜64歳の区分は附則第8条の2第1項。第1号厚生年金被保険者の女性は5年遅れで、昭和33年4月2日〜昭和41年4月1日生まれが61歳〜64歳:同条第2項)

各選択肢の解説:

  • ア(正): 特別支給は60歳から65歳への段階引上げの経過措置として設けられています(正確な記述)。
  • イ(誤・正答): 昭和28年4月2日〜昭和36年4月1日生まれの男性の特別支給は、61歳〜64歳から支給される報酬比例部分のみです(附則第8条の2第1項)。この世代でも、障害等級3級以上の障害の状態にある者が請求したとき(障害者の特例・附則第9条の2)などは定額部分が加わりますが、イは「特例に該当しない者」についての記述なので、特例は判定に影響しません。「昭和36年4月1日以前」は定額部分の区分ではなく、「報酬比例部分のみの特別支給が支給される最後の区分」(昭和34年4月2日〜36年4月1日生まれ・64歳から)であり、イは誤りです。
  • ウ(正): 昭和36年4月2日以後生まれの男性には特別支給の老齢厚生年金の支給がなく、65歳から本来の老齢厚生年金が支給されます。
  • エ(正): 受給要件として「厚生年金保険の被保険者期間が1年以上」かつ「老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たす」が必要(附則第8条)。
  • オ(正): 特別支給の老齢厚生年金にも在職中の支給停止が適用され、基本月額と総報酬月額相当額の合計が支給停止調整額(650,000円/月・第46条第3項の額)を超えると停止されます(附則第11条)。

【特別支給の老齢厚生年金創設の歴史的背景:1985年大改正と65歳への移行】

特別支給の老齢厚生年金は、1985年(昭和60年)の基礎年金制度導入に伴う経過措置として創設されました。それ以前の旧厚生年金保険制度では老齢年金の支給開始は60歳(男性)でしたが、基礎年金制度の導入と平均寿命の延伸を受けて、65歳支給を原則とする方向に段階的に移行することとされました。

この「60歳→65歳」への移行を急激に行うと、「昨日まで60歳から年金がもらえる前提で人生設計をしていた人が、翌日から65歳まで待たなければならない」という激変が生じます。これを避けるため、生年月日ごとに段階的に受給開始年齢を引き上げるという複雑な経過措置が取られました。

【定額部分と報酬比例部分の支給パターンが分かれる理由】

定額部分の廃止は、報酬比例部分より先に段階的に廃止されました。この「二段階の廃止」が理解を複雑にしています:

  • 第1段階(定額部分の段階廃止): まず定額部分の支給開始年齢が生年月日に応じて段階的に引き上げられ、その後の世代の特別支給は「報酬比例部分のみ」になりました。
  • 第2段階(報酬比例部分の段階引上げ): 昭和28年4月2日以後生まれ(男性)の報酬比例部分の支給開始年齢が61歳〜64歳に段階的に引き上げられ(附則第8条の2第1項)、昭和36年4月2日以後生まれで特別支給はなくなりました。

令和8年度(2026年度)には昭和36年4月1日生まれの男性も65歳に達しており、男性については特別支給の老齢厚生年金の経過措置は終了しています。ただし第1号厚生年金被保険者の女性は5年遅れのスケジュールで経過措置が継続中です(昭和41年4月2日以後生まれで特別支給なし)。

【女性のスケジュール(第1号厚生年金被保険者・男性より5年遅れ)】

生年月日(女性)特別支給の内容支給開始年齢
昭和33年4月1日以前報酬比例部分(定額部分は生年月日に応じた経過措置による)60歳から
昭和33年4月2日〜昭和41年4月1日報酬比例部分のみ生年月日に応じ61歳〜64歳から(附則第8条の2第2項)
昭和41年4月2日以後特別支給なし65歳から

女性の「昭和41年4月2日以後」は令和8年度(2026年)時点で最年少で60歳(1966年4月2日生まれが2026年時点で60歳)のため、令和8年度試験では「女性の特別支給の経過措置がまだ進行中」という状況です。

【在職老齢年金との相互作用(令和8年度のhot_topic)】

特別支給の老齢厚生年金(60〜65歳の期間)にも在職老齢年金制度が適用されます(選択肢オ)。令和8年度の在職老齢年金の停止調整額は650,000円/月(65万円)であり、これは令和7年度の51万円から大幅に引き上げられた激変点です(structural改正・hot_topic)。

60〜65歳の在職者で特別支給の老齢厚生年金を受給しながら就労している者は、基本月額と総報酬月額相当額の合計が65万円以下であれば年金が全額支給されます。令和7年度(51万円基準)では年金が停止されていた60代前半の高給与就労者が、令和8年度は65万円基準の適用で停止されにくくなっています。

この在職老齢年金と特別支給の老齢厚生年金の組み合わせは、社労士実務で「60代前半の在職者への年金プラン設計」という形で頻繁に問題になる重要論点です。たとえば総報酬月額相当額が60万円の場合、基本月額が5万円以下なら令和8年度は停止されませんが、基本月額が10万円なら(10万円+60万円−65万円)÷2=2.5万円が停止されます。このように合計額で試算して示せることが社労士の付加価値となります。

【「厚生年金被保険者期間1年以上」要件の落とし穴】

特別支給の老齢厚生年金の受給要件として「厚生年金被保険者期間1年以上」が必要です(選択肢エ・附則第8条)。これに対し、65歳からの本来支給の老齢厚生年金は「被保険者期間を有する者」であれば足り(第42条)、1か月の被保険者期間でも受給できます。この違いが混同されやすい点です。また「合算対象期間(カラ期間)を含む受給資格期間が10年以上」との区別も重要で、合算対象期間は受給資格期間には算入されるが「厚生年金被保険者期間」ではないため、合算対象期間だけが長くても「1年以上」要件は満たされません。

この問題の根拠根拠: 厚生年金保険法附則第8条(受給要件:60歳以上・被保険者期間1年以上・受給資格期間10年以上)・附則第8条の2(報酬比例部分の支給開始年齢の特例:生年月日に応じ61〜64歳)・附則第9条(額)・附則第11条(在職中の支給停止。支給停止調整額は第46条第3項の額) 参照した数値: 在職老齢年金 支給停止調整額:650,000円/月(65万円/月・令和8年度・一次確認: 日本年金機構)・(S36.4.2以後生まれ=特別支給なし=条文値) 確認日: 2026-06-08
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生年金保険法附則第8条(受給要件:60歳以上・被保険者期間1年以上・受給資格期間10年以上)・附則第8条の2(報酬比例部分の支給開始年齢の特例:生年月日に応じ61〜64歳)・附則第9条(額)・附則第11条(在職中の支給停止。支給停止調整額は第46条第3項の額) 参照した数値: 在職老齢年金 支給停止調整額:650,000円/月(65万円/月・令和8年度・一次確認: 日本年金機構)・(S36.4.2以後生まれ=特別支給なし=条文値) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

この問題の関連トピック

  • 特別支給の老齢厚生年金(生年月日別支給開始年齢・経過措置
  • 頻出度A

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