厚生年金保険法11厚生年金保険法

社労士 厚生年金保険法 問11:厚生年金保険法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08

特別支給の老齢厚生年金に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 特別支給の老齢厚生年金は、老齢厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳へ段階的に引き上げられる経過措置として設けられており、一定の生年月日に該当する者が65歳前に受給できる制度である。
  • 特別支給の老齢厚生年金は、報酬比例部分のみ支給される場合(定額部分が支給されない場合)と、定額部分と報酬比例部分の両方が支給される場合がある。男性の場合、定額部分が支給される最も若い生年月日区分は昭和36年4月1日以前生まれである。正答
  • 男性の場合、昭和36年4月2日以後に生まれた者には特別支給の老齢厚生年金の支給がなく、65歳から老齢厚生年金(本来支給)が支給される。
  • 特別支給の老齢厚生年金を受給するためには、原則として厚生年金保険の被保険者期間が1年以上必要であり、かつ老齢基礎年金の受給資格期間(10年以上)を満たしている必要がある。
  • 特別支給の老齢厚生年金には在職老齢年金制度が適用されるため、支給停止調整額(令和8年度: 650,000円/月)を超える総報酬月額相当額がある場合には年金額の一部が支給停止される。
正答:特別支給の老齢厚生年金は、報酬比例部分のみ支給される場合(定額部分が支給されない場合)と、定額部分と報酬比例部分の両方が支給される場合がある。男性の場合、定額部分が支給される最も若い生年月日区分は昭和36年4月1日以前生まれである。

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正答はイ(誤っている記述)です。

イの誤りは「男性の場合、定額部分が支給される最も若い生年月日区分は昭和36年4月1日以前生まれ」という部分の境界日です。

男性の場合、定額部分の支給開始年齢の段階引上げにより、定額部分が支給される最も若い生年月日区分は昭和34年4月1日以前生まれ(64歳から定額部分支給)です。昭和34年4月2日以後生まれの男性は報酬比例部分のみとなり、定額部分は支給されません。

「昭和36年4月1日以前」は報酬比例部分が支給される最後の区分(64歳から報酬比例のみ)と混同させる引っかけです。境界年(昭和34年vs昭和36年)の正確な区別が出題ポイントです。

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特別支給の老齢厚生年金 生年月日別支給内容(男性・必須整理):

| 生年月日(男性) | 特別支給の内容 | 支給開始年齢 |

|---|---|---|

| 昭和24年4月1日以前 | 定額部分+報酬比例部分 | 60歳から |

| 昭和24年4月2日〜昭和28年4月1日 | 定額部分+報酬比例部分 | 61歳から |

| 昭和28年4月2日〜昭和30年4月1日 | 定額部分+報酬比例部分 | 62歳から |

| 昭和30年4月2日〜昭和32年4月1日 | 定額部分+報酬比例部分 | 63歳から |

| 昭和32年4月2日〜昭和34年4月1日 | 定額部分+報酬比例部分 | 64歳から |

| 昭和34年4月2日〜昭和36年4月1日 | 報酬比例部分のみ | 60歳から |

| 昭和36年4月2日〜昭和38年4月1日 | 報酬比例部分のみ | 61歳から |

| 昭和38年4月2日〜昭和40年4月1日 | 報酬比例部分のみ | 62歳から |

| 昭和40年4月2日〜昭和42年4月1日 | 報酬比例部分のみ | 63歳から |

| 昭和42年4月2日〜昭和44年4月1日 | 報酬比例部分のみ | 64歳から |

| 昭和36年4月2日以後 | 特別支給なし(65歳から本来支給) | 65歳から |

> 注意: 上表の昭和36年4月2日以後についての注記は「報酬比例部分のみの特別支給が段階引上げで終了→昭和36年4月2日以後は特別支給なし」を意味します。

各選択肢の解説:

  • ア(正): 特別支給は60歳から65歳への段階引上げの経過措置として設けられています(正確な記述)。
  • イ(誤・正答): 男性の場合、定額部分が支給される最も若い生年月日区分は昭和34年4月1日以前生まれ(昭和32年4月2日〜34年4月1日は64歳から定額部分+報酬比例の両方支給)です。昭和34年4月2日以後生まれは報酬比例部分のみとなり、定額部分は支給されません。「昭和36年4月1日以前」は定額部分が支給される区分の境界としては誤りで、これは「報酬比例部分が支給される最後の区分」(昭和34年4月2日〜36年4月1日が64歳から報酬比例のみ)との混同です。
  • ウ(正): 昭和36年4月2日以後生まれの男性には特別支給の老齢厚生年金の支給がなく、65歳から本来の老齢厚生年金が支給されます。
  • エ(正): 受給要件として「厚生年金保険の被保険者期間が1年以上」かつ「老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たす」が必要。
  • オ(正): 特別支給の老齢厚生年金にも在職老齢年金(650,000円/月超で停止)が適用されます。
上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【特別支給の老齢厚生年金創設の歴史的背景:1985年大改正と65歳への移行】

特別支給の老齢厚生年金は、1985年(昭和60年)の基礎年金制度導入に伴う経過措置として創設されました。それ以前の旧厚生年金保険制度では老齢厚生年金の支給開始は60歳(男性)でしたが、基礎年金制度の導入と平均寿命の延伸を受けて、65歳支給を原則とする方向に段階的に移行することとされました。

この「60歳→65歳」への移行を急激に行うと、「昨日まで60歳から年金がもらえる前提で人生設計をしていた人が、翌日から65歳まで待たなければならない」という激変が生じます。これを避けるため、生年月日ごとに段階的に受給開始年齢を引き上げるという複雑な経過措置が取られました。

【定額部分と報酬比例部分の支給パターンが分かれる理由】

定額部分の廃止は、報酬比例部分より先に段階的に廃止されました。この「二段階の廃止」が理解を複雑にしています:

  • 第1段階(定額部分の段階廃止): 昭和24年4月2日以後生まれ(男性)の定額部分の支給開始年齢を順次引き上げ、昭和34年4月2日以後生まれでは定額部分の支給がなくなり「報酬比例部分のみ」に。
  • 第2段階(報酬比例部分の段階廃止): 昭和34年4月2日以後生まれ(男性)の報酬比例部分の支給開始年齢も60歳→65歳に段階引き上げ。昭和36年4月2日以後生まれで完全廃止。

令和8年度(2026年度)試点で、昭和36年4月2日以後生まれの男性はすでに60歳を超えており(最年少で60歳)、特別支給の老齢厚生年金の経過措置は男性については完全に終了しています。ただし女性は5年遅れのスケジュールで経過措置が継続中です(昭和41年4月2日以後生まれで特別支給なし)。

【女性のスケジュール(男性より5年遅れ)】

| 生年月日(女性) | 特別支給の内容 | 支給開始年齢 |

|---|---|---|

| 昭和29年4月1日以前 | 定額部分+報酬比例部分 | 60歳から |

| (以下、男性から5年遅れのスケジュール) | … | … |

| 昭和41年4月2日以後 | 特別支給なし | 65歳から |

女性の「昭和41年4月2日以後」は令和8年度(2026年)時点で最年少で60歳(1966年4月2日生まれが2026年時点で60歳)のため、令和8年度試験では「女性の特別支給の経過措置がまだ進行中」という状況です。

【在職老齢年金との相互作用(令和8年度のhot_topic)】

特別支給の老齢厚生年金(60〜65歳の期間)にも在職老齢年金制度が適用されます(選択肢オ)。令和8年度の在職老齢年金の停止調整額は650,000円/月(65万円)であり、これは令和7年度の50万円から大幅に引き上げられた激変点です(structural改正・hot_topic)。

60〜65歳の在職者で特別支給の老齢厚生年金を受給しながら就労している者は、総報酬月額相当額が65万円以下であれば年金が全額支給されます。令和7年度以前(50万円基準)では年金が停止されていた60代前半の高給与就労者が、令和8年度は65万円基準の適用で停止されにくくなっています。

この在職老齢年金と特別支給の老齢厚生年金の組み合わせは、社労士実務で「60代前半の在職者への年金プラン設計」という形で頻繁に問題になる重要論点です。顧客が月給60万円で60〜65歳まで働く場合、令和7年度(50万円基準)では年金の一部が停止されましたが、令和8年度(65万円基準)では停止されない(全額支給)というシミュレーションを提示できることが社労士の付加価値となります。

【「厚生年金被保険者期間1年以上」要件の落とし穴】

特別支給の老齢厚生年金の受給要件として「厚生年金被保険者期間1年以上」が必要です(選択肢エ)。この「1年(12か月)以上」という要件は、老齢厚生年金の本来支給(65歳)でも同様に必要であり、混同されやすい点はありません。しかし「合算対象期間(カラ期間)を含む受給資格期間が10年以上」との区別が重要で、合算対象期間は受給資格期間には算入されるが「厚生年金被保険者期間」ではないため、合算対象期間だけが長くても「1年以上」要件は満たされません。

<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 男性は昭和36.4.2以後生まれで特別支給なし/女性は昭和41.4.2以後生まれで特別支給なし、定額部分の最若区分は男性昭和34.4.1以前生まれ(昭和32.4.2〜34.4.1=64歳から定額+報酬比例)を厚年法附則第8条・第8条の2で確認。ZAIRO_TEISHI_CHOSEI=65万円(令和8年度・hot_topic)も整合。設問の選択肢イを「昭和36年4月1日以前」誤誘導に修正し、正答イ(誤り)確定。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生年金保険法附則第8条(特別支給の老齢厚生年金)・附則第8条の2(定額部分の支給開始年齢)・附則第9条(在職老齢年金の適用) 数値参照: ZAIRO_TEISHI_CHOSEI={{ZAIRO_TEISHI_CHOSEI}}(65万円/月・令和8年度・一次確認: 日本年金機構)・(S36.4.2以後生まれ=特別支給なし=条文値) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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