問題
厚生年金保険料に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はウ(誤っている記述)です。
ウの誤りは「被保険者期間に算入されないため、当該期間に対応する年金額は減額される」という後半部分です。産前産後休業中に保険料が免除された期間も被保険者期間のまま(第19条)で、休業前の標準報酬月額にもとづいて年金額の計算に算入されます(第43条第1項)。そのため、この期間によって将来の年金額が減ることはありません(不利益なし)。免除の根拠は厚生年金保険法第81条の2の2です。
育休・産休・産後パパ育休の保険料免除比較(必須整理):
| 休業種別 | 根拠条文 | 本人分 | 事業主分 | 免除期間の年金額への影響 |
|---|---|---|---|---|
| 産前産後休業 | 厚年法第81条の2の2 | 免除 | 免除 | なし(被保険者期間として算入) |
| 育児休業等 | 厚年法第81条の2 | 免除 | 免除 | なし(被保険者期間として算入) |
| 産後パパ育休 | 厚年法第81条の2(「育児休業等」に含まれる) | 免除 | 免除 | なし(被保険者期間として算入) |
各選択肢の解説:
- ア(正): 厚生年金保険料率は18.3%で平成29年9月分以降固定。段階引上げは平成29年9月分で完了済み。
- イ(正): 育児休業等の期間中は被保険者本人分・事業主負担分ともに免除(厚年法第81条の2)。免除は「開始した日の属する月から終了する日の翌日が属する月の前月まで」なので、納付は終了日の翌日が属する月の分から再開されます。
- ウ(誤・正答): 産前産後休業中の免除(厚年法第81条の2の2)は保険料の徴収をしないという特例で、その期間も被保険者期間のまま(第19条)です。老齢厚生年金の額は被保険者期間の月数と平均標準報酬額で計算され(第43条第1項)、給付の対象から外れるのは保険料の徴収権が時効で消滅した期間だけです(第75条)。したがって免除期間も休業前の標準報酬月額で年金額の計算に算入され、「被保険者期間に算入されない」「年金額は減額される」は誤りです。育児休業等(第81条の2)の免除期間も同じ扱いです。
- エ(正): 厚生年金の標準報酬月額上限は650,000円/月(第32級・令和8年度)。68万円への引上げは2027年9月施行で令和8年度試験対象外。
- オ(正): 第81条の2の「育児休業等」は第23条の2第1項で「育児・介護休業法第2条第1号に規定する育児休業」等と定義され、同号の育児休業は同法第二章(出生時育児休業を定める第9条の2を含む)による休業です。したがって産後パパ育休(出生時育児休業・2022年10月創設)も「育児休業等」に含まれ、保険料が免除されます(「準用」ではなく、そのまま含まれる)。
【厚生年金保険料率固定化の歴史:2004年改革から平成29年完成まで】
厚生年金保険料率の固定(18.3%)は、2004年(平成16年)の年金制度大改正で決定された「保険料固定方式」の完成形です。
改正前(旧制度)では、給付水準を維持するために保険料率を都度引き上げる方式(「給付費用方式」に近い形)でした。これにより「将来も保険料が上がり続けるかもしれない」という不信感・不安感が生じ、年金制度への信頼が低下していました。
2004年改革は発想を逆転させ:
1. 保険料率を上限(18.3%)で固定: 平成16年から年0.354%ずつ引き上げ、平成29年9月分に上限18.3%に到達→以後固定。
2. 給付水準をマクロ経済スライドで自動調整: 保険料収入の範囲内に給付を収まるよう、受給者の年金額の上昇を抑制する仕組み。
この「保険料固定×給付自動調整」のセットが現在の年金制度の根幹です。18.3%という数字は「これ以上は上がらない」という意味で保険料の安定性を担保する重要な数値であり、社労士試験の頻出ポイントです。
【産前産後休業中の保険料免除の政策的意義(2014年4月施行)】
産前産後休業中の保険料免除制度は、2012年(平成24年)改正で導入され2014年(平成26年)4月施行です。育児休業中の免除よりも遅い導入でした。
制度導入前(〜2014年3月)の状況:
- 産前産後休業中(産前6週・産後8週)は就業不能でありながら保険料を納付する義務があった
- この期間に収入がなく保険料の捻出が難しい(特に事業主にとっても負担)
- 「産休中も保険料を取られる」という制度的不公平感
制度導入後(2014年4月〜):
- 産前産後休業期間中の保険料が本人分・事業主分ともに免除
- 免除された期間も被保険者期間であり、休業前の標準報酬月額で年金額が計算されるため将来の年金額は変わらない
- 社会保険の観点から「産前産後休業は就業の妨げがない」という政策シグナル
【育休保険料免除と「手取り10割」の仕組み(hot_topic連動)】
2022年(令和4年)10月の産後パパ育休制度創設に合わせて、育休保険料免除の適用範囲も拡大されました。
育休中の「手取り10割」(実質)の考え方:
```
育休給付金(雇保): 給付率67%(最初の180日)
出生後休業支援給付金(雇保・2025年4月〜): 両親がそれぞれ14日以上育休を取る等の要件で13%上乗せ(合計80%・最大28日間)
非課税: 育休給付金は所得税・住民税の課税対象外
保険料免除: 育休中は厚生年金・健保の保険料免除(本人分・事業主分とも)
→ 給付率80%に非課税と保険料免除の効果が加わり、休業前の手取りとおおむね同水準になる
```
このように、産後パパ育休と組み合わせた「両親の育休取得」と保険料免除を合わせた設計が近年注目されています。
【産後パパ育休期間中の保険料免除における注意点(月単位ルール)】
育児休業等の保険料免除は、厚年法第81条の2第1項で次のとおり判定されます。産後パパ育休(最大28日)も同じルールです。
1. 開始日の属する月と「終了日の翌日」が属する月が異なる場合 → 開始月から「終了日の翌日が属する月の前月」までが免除(月末時点で育休中の月が免除)
2. 同じ月の中で始まり終わる場合 → その月の育休等の日数が14日以上なら、その月が免除(2022年10月改正で追加)
具体例:
- 9月25日〜10月12日の育休 → 終了日の翌日(10月13日)が属する月の前月=9月までが免除。9月分は免除、10月分は徴収
- 10月1日〜10月14日の育休 → 同じ月の中で14日以上なので10月分は免除
このように、開始・終了のタイミングで免除される月が変わるため、社労士実務では「月末をまたぐか」「同月内で14日以上か」を確認して育休の設計を助言することが付加価値になります。
- 厚生年金保険法第81条の2e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生年金保険法第81条の2(育児休業等期間中の保険料の徴収の特例。産後パパ育休=出生時育児休業も「育児休業等」に含まれる)・第81条の2の2(産前産後休業期間中の保険料の徴収の特例) 参照した数値: 厚生年金保険料率(第1号厚生年金被保険者・平成29年9月分以降固定):18.3%(平成29年9月分以降固定・一次確認: 日本年金機構 https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20150515-01.html)・厚生年金 標準報酬月額 上限(第32級):650,000円/月(令和8年度・一次確認: 日本年金機構) 確認日: 2026-09-30 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

