問題
老齢厚生年金の支給の繰下げ(第44条の3)に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はアです。
老齢厚生年金の受給権者で、受給権取得日から1年を経過した日前に請求していなかった者は、支給繰下げの申出をすることができます(第44条の3第1項本文)。ただし受給権取得時に他の年金給付(老齢基礎年金・付加年金・障害基礎年金を除く)の受給権者だったときは申出できません(同項ただし書)。アはこれを正確に記述しています。
イは誤りで、繰下げの支給開始は「申出のあった月の翌月から」です(3項)。ウ・エ・オも条文と異なり誤りです。
第44条の3(支給の繰下げ)の要件整理:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申出できる者 | 老齢厚生年金の受給権取得日から1年経過日前に請求していなかった者 |
| 除外事由(1項ただし書) | 受給権取得時に他の年金給付(老齢基礎年金・付加年金・障害基礎年金を除く)の受給権者だったとき、又は取得日から1年経過日までの間に他の年金給付の受給権者となったとき |
| 支給開始 | 第36条1項にかかわらず、申出のあった月の翌月から(3項) |
| 加算額の基礎期間 | 受給権を取得した日の属する月の前月までの被保険者期間(4項) |
| みなし繰下げ(5項) | 受給権取得日から5年経過日後に請求し、かつ申出をしないときは、請求日の5年前の日に申出があったものとみなす。ただし取得日から15年経過日以後にあるとき等はこの限りでない |
| 2項1号 | 10年経過日前に他の年金給付の受給権者となった者→当該給付の支給事由が生じた日に申出があったものとみなす |
| 2項2号 | 10年経過日後にある者(1号を除く)→10年経過日に申出があったものとみなす |
各選択肢の解説:
- ア(正): 第44条の3第1項本文・ただし書の文言どおり。
- イ(誤): 支給開始は「申出のあった月の翌月から」(3項)。「申出のあった日の属する月から」は誤り。
- ウ(誤): 5項本文はみなし繰下げを定めるが、ただし書により受給権取得日から15年経過日以後にあるとき等は適用されない。「常に請求日の属する月から支給される」は誤り。
- エ(誤): 4項の加算額は「老齢厚生年金の受給権を取得した日の属する月の前月まで」の被保険者期間を基礎とする。「受給権を取得した日以後」は誤り。
- オ(誤): 「10年経過日後にある者」に適用されるのは2項2号(10年経過日に申出があったとみなす)である。オの記述は2項1号(10年経過日前に他の給付の受給権者となった者→当該給付の支給事由発生日に申出があったとみなす)の要件と結論を取り違えている。
【繰下げ申出の「1年待機」が持つ意味】
第44条の3第1項は、老齢厚生年金の受給権取得日から1年を経過した日前に請求していなかった者に対して繰下げの申出を認めています。裏を返せば、受給権取得日から1年を経過した日前に請求した者は繰下げの申出ができません。1年を経過した日後に申出をした場合でも、2項により、10年を経過した日前に他の年金たる給付の受給権者となった者は「その給付を支給すべき事由が生じた日」に、10年を経過した日後にある者は「10年を経過した日」に、それぞれ申出があったものとみなされます。オは、この1号と2号を取り違えています。
【他の年金給付の受給権者であることの除外(1項ただし書)の趣旨】
第1項ただし書は、老齢厚生年金の受給権を取得したときに既に「他の年金たる給付」(老齢基礎年金・付加年金・障害基礎年金を除く他の年金たる保険給付又は国民年金の年金たる給付)の受給権者であった場合、又は取得日から1年を経過する日までの間に他の年金給付の受給権者となった場合には、繰下げの申出ができないと定めています。障害厚生年金や遺族厚生年金などはここでいう「他の年金たる給付」に当たりますが、老齢基礎年金・付加年金・障害基礎年金は括弧書きで除かれているため、これらの受給権を有していても老齢厚生年金の繰下げの申出は妨げられません。
【支給開始時期の特則(3項)】
通常の年金の支給開始は第36条1項により「支給すべき事由が生じた月の翌月から」ですが、繰下げの場合は第36条1項にかかわらず「当該申出のあつた月の翌月から」支給されます(3項。5項のみなし申出の場合を含む)。附則第7条の3の繰上げ(「請求があつた日の属する月から」)と、「翌月から」か「その月から」かが異なる点は、イのようなひっかけで問われます。
【加算額の計算基礎期間(4項)】
第4項は、繰下げ申出者の老齢厚生年金の額を、第43条1項及び第44条により計算した額に、「老齢厚生年金の受給権を取得した日の属する月の前月までの被保険者期間を基礎として第四十三条第一項の規定の例により計算した額」及び「第四十六条第一項の規定の例により計算したその支給を停止するものとされた額」を勘案して政令で定める額を加算した額とすると定めています。加算額の基礎は受給権取得月の前月までの被保険者期間であり、エの「受給権を取得した日以後の被保険者期間」ではありません。また、在職中であれば第46条1項により支給停止されたはずの額が勘案される点も、条文から読み取れるポイントです。
【みなし繰下げ(5項)】
第5項は、受給権取得日から5年を経過した日後に老齢厚生年金を請求し、かつその請求の際に繰下げの申出をしなかった場合には、請求日の5年前の日に申出があったものとみなす制度です。3項により、支給はそのみなし申出のあった月の翌月から始まります。ただし、受給権取得日から15年を経過した日以後にある場合や、5年前の日までの間に他の年金給付の受給権者となった場合はこの限りでなく、無制限に遡ってみなし繰下げが適用されるわけではありません。
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生年金保険法第44条の3(支給の繰下げ)(https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115#Mp-At_44_3) 確認日: 2026-09-30 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

