厚生年金保険法21厚生年金保険法

社労士 厚生年金保険法 問21:厚生年金保険法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

厚生年金保険の被保険者期間の計算に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 厚生年金保険の被保険者期間は、月単位で計算され、資格取得した月から資格喪失した月の前月まで(資格を取得した月と喪失した月が同月の場合はその月)を算入する。
  • 厚生年金保険の被保険者資格喪失日は、退職の翌日(退職日の翌日)であり、被保険者期間には退職した月の前月までが算入される。
  • 同一月内に厚生年金保険の資格取得と資格喪失が生じた場合(同月得喪)は、その月を1か月として被保険者期間に算入する。
  • 厚生年金保険の被保険者期間が合計6か月以上ある者は、国外転出等の一定要件を満たす場合に、脱退一時金を請求することができる。
  • 70歳以上の者は厚生年金保険の被保険者にはなれないが、事業主と労働者が合意した場合は任意加入の特例として継続加入することが認められている。正答
正答:70歳以上の者は厚生年金保険の被保険者にはなれないが、事業主と労働者が合意した場合は任意加入の特例として継続加入することが認められている。

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正答はオです。

オの誤りは「任意加入の特例として継続加入できる」という部分です。70歳以上は厚生年金保険の被保険者になれず、任意加入の制度もありません(厚生年金保険法第9条・第10条)。国民年金には60歳以降65歳まで任意加入の制度がありますが、厚生年金には70歳以上の任意加入は存在しません。

ア〜エは正しい記述です。被保険者期間は月単位で取得月から喪失月前月まで(ア)、喪失日は退職翌日で退職月前月まで算入(イ)、同月得喪は1か月算入(ウ)、6か月以上で脱退一時金の受給資格(エ)はいずれも正確です。

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厚生年金保険の被保険者期間の計算ルールの整理:

基本ルール(厚生年金保険法第19条):

| 状況 | 算入月 |

|---|---|

| 通常(取得月と喪失月が異なる) | 取得月〜喪失月の前月(例:4月取得・10月喪失 → 4〜9月の6か月) |

| 同月得喪(取得月=喪失月) | その月を1か月として算入(ウの正しい根拠) |

資格喪失日の確認(イの根拠):

退職日(例:9月30日退職)の翌日(10月1日)が資格喪失日です。被保険者期間は「喪失月(10月)の前月」=9月まで算入。退職した9月の保険料は徴収対象です(退職月の保険料は1か月分徴収・翌月控除)。

同月得喪の保険料の扱い(実務重要点):

同月に取得・喪失した場合、被保険者期間に1か月算入されます。ただし保険料については複雑な取扱い(同月得喪は事業主が徴収し後日返還請求できる等)があります。2015年(平成27年)改正で同月得喪の保険料徴収ルールが整理されています。

脱退一時金の受給要件(エの根拠):

日本を離れる外国人等が受給できる脱退一時金の要件:

| 要件 | 内容 |

|---|---|

| 国籍要件 | 日本国籍を有しないこと |

| 被保険者期間 | 合計6か月以上 |

| 公的年金受給権 | 受給権を有しないこと |

| 国内居住 | 日本に住所を有しないこと |

| 請求期限 | 国内居住を失った後2年以内 |

※令和3年改正で従来の3年から上限が最大60か月(5年分)に引き上げられました。

オの詳細(70歳以上の扱い):

厚生年金保険は70歳到達月に資格を喪失します(第14条第4号)。70歳以上で就労していても厚生年金の被保険者ではなく、健康保険は原則として後期高齢者医療制度(75歳以降)または健保継続(75歳未満は就労先の健保)に移行します。任意加入の規定はありません。

上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【被保険者期間の計算:1か月単位制の精緻な理解】

厚生年金の被保険者期間が「月単位」で計算される意味を深掘りします。

日単位でない理由:

国民年金・厚生年金の年金額計算は「何か月加入したか」に基づきます(標準報酬月額×加入月数を基礎にした計算)。1日でも加入した月を1か月とカウントするため、「3月15日から6月14日まで」のような加入は4か月(3・4・5・6月)ではなく、喪失月(6月の前月)=5月まで算入で3か月(3・4・5月)となります。

日割り計算がないため、資格取得・喪失のタイミングが月の前半か後半かで被保険者期間が変わります。これが「月末退職か月途中退職か」という退職日の選択において重要な意味を持ちます。

【同月得喪の特殊処理と2015年改正の影響】

同月得喪(同じ月に資格取得と資格喪失が生じる)は、転職・短期就労・試用期間のみの就労などで発生します。

2015年(平成27年)10月改正前:

同月得喪でも保険料が徴収され、事業主への返還もなかったため「1日しか在籍しなかったのに1か月分の保険料」という問題がありました。

2015年10月改正後:

同月得喪の場合、国民年金の第1号被保険者期間等がその月にある場合は、厚生年金の保険料が還付される制度が整備されました。ただし「同月内に別の会社に就職・厚生年金加入した場合」は前の厚生年金の保険料が不要となり返還請求が可能です。

この改正は実務上の事務負担を増やす面もあり(事業主が還付手続きをする必要がある場面)、社労士として正確に対応できることが重要です。

【脱退一時金の60か月上限化(令和3年改正)と実務的意義】

外国人の脱退一時金の支給上限が令和3年(2021年)改正で「36か月→60か月(5年分)」に引き上げられました。これにより長期在留の外国人労働者がより多くの脱退一時金を受け取れるようになりました。

脱退一時金の計算式(概要):

脱退一時金額=標準報酬月額の平均×支給率(被保険者期間月数に応じた率)

60か月上限の意味:どれだけ長期間(10年・20年)在留して保険料を払っていても、一時金として返還されるのは最大60か月分相当にとどまります。残りの期間分は「日本の年金制度への拠出として日本に残る(老後に日本への帰国・または社会保障協定の対象国への帰国による年金受給ができれば活用できる)」となります。

社会保障協定との関係:

日本は30か国以上と社会保障協定を締結しており(2026年時点)、協定締結国の国民は「脱退一時金を受け取らず日本の年金受給権を維持する」か「脱退一時金を受け取って帰国」かの選択ができます。社労士は外国人労働者への年金相談で、社会保障協定の有無・脱退一時金の損得計算を提供することが重要な業務となっています。

【70歳以上就労者の社会保険の実務的処理】

70歳以上の就労者は:

  • 厚生年金:加入不可(任意加入もない)
  • 健康保険:75歳未満であれば就労先の健保(または協会けんぽ)に加入
  • 後期高齢者医療:75歳以降は強制移行(健保・国保から離脱)

70歳以上75歳未満の就労者は「厚生年金非加入・健保加入」という特殊な状態になります。健保の保険料は事業主と労働者(本人)が折半で負担しますが、厚生年金保険料は発生しません。

この実務知識は企業の人事担当者や経営者への助言において頻繁に活用されます。社労士は70歳到達前に「70歳以降の社会保険上の変化」を事前に説明する義務があります。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生年金保険法第19条(被保険者期間の計算)・第14条(資格喪失日)・第附則第29条(脱退一時金・6か月要件)(https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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