厚生年金保険法22厚生年金保険法

社労士 厚生年金保険法 問22:厚生年金保険法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

厚生年金保険の標準報酬月額の定時決定(算定基礎届)に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 定時決定は毎年7月1日現在の被保険者について行われ、その年の4月・5月・6月に受けた報酬の平均額をもとに標準報酬月額を決定するものである。正答
  • 定時決定において4月・5月・6月の各月の支払基礎日数がすべて17日以上である場合にのみ、3か月の平均報酬をもとに定時決定を行うことができる。
  • 支払基礎日数が17日未満の月がある場合、その月は報酬の計算から除外し、残りの月の平均をもとに算定する。
  • 4月・5月・6月のすべての月で支払基礎日数が17日未満の場合は、定時決定を行わず、前年度の標準報酬月額が翌年8月まで継続して適用される。
  • 定時決定によって決定された標準報酬月額は、その年の7月から翌年8月までの1年2か月間適用されるが、随時改定が行われた場合はこの期間内でも標準報酬月額が変更される。
正答:定時決定は毎年7月1日現在の被保険者について行われ、その年の4月・5月・6月に受けた報酬の平均額をもとに標準報酬月額を決定するものである。

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正答はアです。

アは正確な記述です。定時決定(算定基礎届)は毎年7月1日現在の被保険者に対して、その年の4・5・6月の報酬の平均をもとに標準報酬月額を決定します。

イは誤り。17日以上が必要なのは「3か月すべて」ではなく、いずれかの月が17日以上であれば算定の基礎とします(1か月のみ17日以上でもよい)。ウは概ね正しいですが「17日未満の月は除外して残りで平均を計算」という方法は正確です(ただし全月が17日未満の場合は除く)。エは誤り。全月が17日未満(短時間労働者は11日未満)の場合でも、前年の標準報酬月額をそのまま使用するという扱いではなく、別途の扱いがあります。オは誤り。定時決定の標準報酬月額はその年の9月から翌年8月までが適用期間です(7月からではない)。

標準試験対策の基準レベル

定時決定(算定基礎届)の完全整理:

基本スキーム:

| 項目 | 内容 |

|---|---|

| 対象 | 毎年7月1日現在の全被保険者(資格取得者・随時改定該当者を除く) |

| 算定期間 | 4月・5月・6月に実際に支払われた報酬 |

| 届出期限 | 7月10日まで(算定基礎届を日本年金機構等に提出) |

| 適用期間 | 9月から翌年8月(オの誤りの根拠:7月からではなく9月から) |

支払基礎日数の扱い:

月給制(日数17日):

| 状況 | 取扱い |

|---|---|

| 3か月すべて17日以上 | 3か月の平均報酬で算定 |

| 一部の月が17日未満 | 17日未満の月を除外し残りの月で平均を算定(ウの正しい根拠) |

| すべての月が17日未満 | 従前の標準報酬月額をそのまま使用(定時決定は行わない) |

短時間労働者(パートタイム等)の場合は17日未満ではなく11日未満が除外基準となります。

アの正しさの確認:

「毎年7月1日現在の被保険者について4・5・6月の報酬の平均で決定」は厚生年金保険法第21条に基づく正確な記述です。

オの誤りの詳細(適用期間9月〜8月):

定時決定で決定された標準報酬月額はその年の9月(9月分の保険料から)適用されます。7月・8月は前年の定時決定(または随時改定)の標準報酬月額が引き続き適用されます。

算定基礎届を7月に提出→日本年金機構が9月から適用される新しい標準報酬月額を通知→9月分の保険料(10月控除)から新月額が適用、という流れです。

上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【定時決定の仕組みと実務上の問題点】

厚生年金保険・健康保険の保険料は標準報酬月額に保険料率を乗じて計算されます。標準報酬月額は実際の報酬を一定の等級(厚生年金は32等級・健保は50等級)に当てはめた「報酬のクラス分け」です。

定時決定は「毎年9月から翌年8月まで適用する標準報酬月額を決定する」という年次更新作業であり、4〜6月の報酬平均を計算基礎とします。

【4〜6月の問題:「保険料対策の罠」】

4〜6月は定時決定の基準月であることは広く知られており、「4〜6月の残業を減らして標準報酬月額を低く抑える」という行為(社会保険料の節約目的)が実際に行われることがあります。

  • 問題点: 標準報酬月額を意図的に低くすると、将来の老齢厚生年金・障害厚生年金・遺族厚生年金が減額される。また傷病手当金・出産手当金も標準報酬月額を基準に計算されるため、低い標準報酬月額は自分自身の保障を薄くするリスクがある。
  • 社労士の立場: 単純に「節税」として勧めるのではなく、長期的な年金受給額への影響・傷病時の給付への影響を説明した上で判断を依頼者に委ねることが適切。

【支払基礎日数の意味と除外処理の実務】

「支払基礎日数」とは、その月に労働者が出勤・有給休暇・就業すべき日数の合計です(欠勤・無給休暇は含まない場合がある)。

17日未満の月が生じるケース:

1. 育児休業・介護休業の取得: 育休中は通常17日未満(無給期間が長い)

2. 病気・怪我での長期欠勤: 無給欠勤日数が多い月

3. 月の中途入社・退社: その月の就労日数が少ない

4. 短時間労働者: 週労働時間が短い場合(11日未満が基準)

17日未満の月の除外処理の意味:

実際より低い(または高い)報酬月が計算基礎に入ることで年間の通常報酬を反映しない標準報酬月額になることを防ぐため、正常な就労月のみで平均を計算します。

【随時改定(月変)との関係】

定時決定は毎年1回ですが、その間に「固定的賃金(基本給・役職手当等)の変動」が生じた場合は随時改定(月変)によって標準報酬月額が変更されます(Wave3 H4での詳細扱い)。

定時決定で9月から新しい標準報酬月額が適用されても、その後に固定的賃金が2等級以上変動する場合は途中で随時改定が行われます。オはこの随時改定については正しく言及しています(「随時改定が行われた場合はこの期間内でも変更される」部分は正確)が、適用開始が「7月から」という点が誤りです。

【国際比較・制度の特徴】

日本の厚生年金の「標準報酬月額制度(等級制)」は、毎月の実際の報酬ではなく等級別に区分された報酬を使って保険料・給付を計算するという特徴があります。この等級制は、毎月の保険料計算の事務負担を軽減するための合理的な工夫ですが、「等級の境界付近では実報酬の少しの差で保険料が大きく変わる」という不連続性の問題もあります。

社労士として算定基礎届の作成・提出を代行する業務(2号業務)では、4〜6月の各月の支払基礎日数を正確に把握し、支払基礎日数17日未満の月の除外処理を適切に行うことが必要です。また育休取得者(育休中の保険料免除と標準報酬月額への影響)など特殊ケースの対応も実務では頻出です。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生年金保険法第21条(定時決定)・第23条(随時改定)・厚生年金保険法施行規則第22条(支払基礎日数)(https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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