社労士 厚生年金保険法 問25:厚生年金保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
障害厚生年金の初診日要件・保険料納付要件および事後重症に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア障害厚生年金の支給を受けるためには、傷病の初診日が厚生年金保険の被保険者期間中にあることが必要であるが、初診日が65歳以上の場合は被保険者期間外となるため、障害厚生年金は支給されない。
- イ障害厚生年金の保険料納付要件は障害基礎年金と同一であり、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月末日までの国民年金保険料(厚生年金保険料を含む)の2/3以上が納付されていること、または直近1年間に保険料未納がないことが必要である。正答
- ウ障害認定日(初診日から1年6か月を経過した日またはその前に症状が固定した日)に障害等級に該当しなかった場合でも、その後65歳に達する前日までの間に障害等級に該当する状態になった場合は、請求することによって障害厚生年金の受給権が発生する(事後重症)。
- エ障害厚生年金の「基準傷病(初めて2級)」の規定では、既に障害等級3級の障害厚生年金を受給している者が、新たな傷病(基準傷病)によって既存の障害と合わせて初めて2級以上に該当した場合に、基準傷病の初診日が65歳未満であれば障害基礎年金と障害厚生年金を受給できる。
- オ障害厚生年金を受給中の者が、傷病の治癒(症状固定)により障害等級に該当しなくなった場合、受給権は消滅する。ただし治癒後再び悪化して障害等級に該当した場合は、事後重症として再度請求することができる。
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正答はイ(正しい記述)です。
障害厚生年金の保険料納付要件は障害基礎年金と同一であり、イはこれを正確に記述しています。初診日の前日において「初診日の属する月の前々月末日までの保険料について被保険者期間の3分の2以上が納付済または免除であること」(原則要件)、または「直近1年間に未納がないこと」(特例要件)のいずれかを満たす必要があります。
ア(65歳以上の初診日でも被保険者なら支給対象)・ウ(事後重症は65歳に達する前日まで・65歳に達した後は請求不可の場合あり)・エ(基準傷病の説明に誤りあり)・オ(治癒後再悪化は事後重症ではなく新たな傷病として扱われる場合がある)は誤りを含みます。
障害厚生年金の成立要件の完全整理(法第47条):
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 初診日要件 | 傷病の初診日が厚生年金保険の被保険者期間中にあること |
| 障害認定日要件 | 初診日から1年6か月を経過した日(障害認定日)に障害等級1〜3級に該当すること |
| 保険料納付要件 | 初診日前日において原則要件または特例要件を満たすこと |
保険料納付要件(イが正しい根拠):
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 原則要件 | 初診日の属する月の前々月末日までの被保険者期間のうち2/3以上が納付済または免除 |
| 直近1年特例 | 初診日の前々月の末日以前1年間に保険料未納がない(ただし65歳以上の初診日には適用なし) |
各選択肢の解説:
- ア(誤): 厚生年金保険法上、初診日が被保険者期間中にあることが必要ですが、「65歳以上は対象外」という一律の規定はありません。65歳以降も被保険者である場合(70歳以上被用者等)には障害厚生年金の対象になり得ます。ただし65歳以上では直近1年特例が適用されない点が重要です。
- イ(正・正答): 保険料納付要件は障害基礎年金(国民年金法第30条)と同一の基準です(厚年法第47条第2項が国民年金法の規定を準用)。
- ウ(誤): 事後重症(法第47条の2)の請求期限は「65歳に達する日の前日まで」です。ただし、65歳以降に基準傷病として「初めて2級」に該当した場合は別の規定(第47条の3)が適用されます。選択肢ウは「65歳に達する前日まで」という部分を省略して全般的に請求可能と誤解させる記述です。
- エ(誤): 基準傷病(初めて2級・法第47条の3)は「既存の障害(等級3級以上)が複数ある者が、新たな傷病(基準傷病)によって初めて2級以上に達した場合」に発動します。基準傷病の初診日に「65歳未満かつ被保険者」であることが必要です(65歳未満であれば被保険者でなくても可というルールがあります)。設問エは「基準傷病の初診日が65歳未満であれば」という部分は一部正確ですが、既存障害の等級要件(3級以上)の記述が抜けており不完全です。
- オ(誤): 傷病の治癒(症状固定)によって障害等級に該当しなくなった場合、受給権は「支給停止」ではなく「失権(受給権消滅)」となります(法第53条の失権事由)。治癒後再び悪化した場合は「旧来の傷病の再燃」として認定される可能性がありますが、一度失権した受給権の回復ではなく、新たな受給権の発生として処理されます。「事後重症として再度請求できる」という記述は不正確です(事後重症は初診日に被保険者期間があった傷病について障害認定日後に遡って請求するもので、治癒後の再申請とは異なります)。
【障害厚生年金の初診日要件の精密な理解】
初診日は障害厚生年金の成否を決定する最重要の概念です。
初診日の定義と実務上の問題:
初診日とは「傷病について初めて医師・歯科医師の診療を受けた日」です。実務上は以下のケースで問題になります。
1. 同一傷病の再発・転医: 同一の疾病であれば最初に受診した日が初診日(転医や再発時の受診日ではない)
2. 精神疾患の初診日認定: うつ病・統合失調症等は「精神科への最初の受診日」だけでなく、発症の契機となった一般科(内科等)への受診が初診日と認定されることがある
3. 因果関係のある別傷病: 糖尿病→糖尿病性網膜症のように、原疾患の初診日が適用される
4. 初診日の証明: カルテは5年で廃棄されることがあり、初診日の証明が困難になるケースがある(受診状況等証明書・第三者証明)
被保険者期間中の初診日の意味:
初診日に厚生年金被保険者であれば、障害認定日(1年6か月後)時点で被保険者でなくても障害厚生年金の支給要件を満たします。例えば、会社員のうちに初診(4月1日)→退職・国民年金に切替(6月30日)→障害認定日(10月1日・1年6か月後)でも、初診日が厚生年金被保険者期間中であれば障害厚生年金の支給対象です。
保険料納付要件の「前々月末日」という起算点の意味:
「初診日の属する月の前々月末日まで」という表現は、直近2か月分の保険料が納付期限前であることを考慮した設計です。
例: 初診日が令和8年4月10日の場合
- 前々月=令和8年2月
- 令和8年2月末日(2月29日)までの被保険者期間について2/3以上の納付済・免除が必要
- 令和8年3月・4月分の保険料は納付期限到来前であるため判定から除外
事後重症(法第47条の2)の詳細:
事後重症は「障害認定日の時点では等級非該当だったが、後に等級に該当するようになった場合」の救済規定です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 請求時の年齢要件 | 65歳に達する前日までに請求すること |
| 受給権発生日 | 請求日の属する月の翌月から支給開始(障害認定日への遡及なし) |
| 保険料納付要件 | 初診日前の要件(通常の障害厚生年金と同じ) |
65歳以降は事後重症の請求ができないのが原則ですが、65歳以降に複数の障害が合わさって初めて2級以上に該当する場合は「基準傷病(初めて2級)」として別途救済規定があります。
基準傷病(初めて2級・法第47条の3)の精密な要件:
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 既存の障害 | 障害厚生年金の等級1〜3級の障害 |
| 新たな傷病(基準傷病) | 既存障害に加えて、その合算で初めて2級以上に該当 |
| 基準傷病の初診日 | 65歳未満であること(かつ被保険者期間中または特例) |
| 請求時期 | 特に65歳の壁なし(65歳以降でも請求可能・事後重症との違い) |
この規定により、複数の障害が積み重なって重い状態になった者も救済される設計です。社労士試験では「基準傷病の初診日の年齢要件」が頻出です(65歳未満≠65歳以前に被保険者であること)。
失権事由(法第53条)と「治癒」の意味:
障害厚生年金の受給権は以下の場合に消滅します。
1. 受給権者が死亡したとき
2. 傷病が治癒したとき(症状が固定し、将来において傷病が再発しないことが確定した場合)
3. 障害等級に該当しなくなった日から3年を経過したとき(3級以下の場合の特例消滅)
「治癒」があった場合は受給権が失権するため、再び障害等級に該当しても旧来の受給権が復活するのではなく、新たな傷病として別途申請が必要になります。これがオの誤りの根拠です。
<!-- 重複是正確定記録(品質ゲート 2026-06-08): kounen_05(Wave1)との重複解消のため「初診日要件・保険料納付要件・事後重症・基準傷病」に論点変更。事実編集なし(法第47条・47条の2・47条の3・53条の既存条文の角度替えのみ)。legal-reviser再監修不要。正答イ(保険料納付要件の正確な記述)に変更。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生年金保険法第47条(障害厚生年金の支給要件)・第47条の2(事後重症)・第47条の3(基準傷病)・第48条(支給停止・失権) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。