厚生年金保険法27厚生年金保険法

社労士 厚生年金保険法 問27:厚生年金保険法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

厚生年金基金の代行返上および解散に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 厚生年金基金は、厚生年金保険法に基づき設立された法人であり、「代行部分」と呼ばれる老齢厚生年金の一部を国に代わって給付する機能(代行機能)を有していた。
  • 厚生年金基金が代行部分の給付機能を国に返還する「代行返上」が認められたのは、平成13年(2001年)以降であり、これにより多くの基金が代行返上を行って確定給付企業年金(DB)や確定拠出年金(DC)に移行した。
  • 厚生年金基金が解散した場合、解散時に積み立てた年金資産は企業年金連合会に移管され、加入員等の将来の年金給付の基礎となる。正答
  • 平成26年(2014年)の厚生年金保険法改正により、新たな厚生年金基金の設立が禁止されるとともに、既存の基金については一定の要件を満たさないものは解散を命じられる可能性がある制度が整備された。
  • 厚生年金基金の代行部分に相当する責任準備金を国(日本年金機構)に返納した後も、基金は独自の上乗せ給付(プラスアルファ部分)を継続して行うことができる。
正答:厚生年金基金が解散した場合、解散時に積み立てた年金資産は企業年金連合会に移管され、加入員等の将来の年金給付の基礎となる。

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正答はウです。

ウの誤りは「解散した場合に積み立てた年金資産が企業年金連合会に移管され」という部分です。厚生年金基金が解散した場合、資産は企業年金連合会に移管されるのは代行部分に相当する責任準備金であり、上乗せ部分(プラスアルファ)の資産の扱いは別の処理となります。また「加入員等の将来の年金給付の基礎となる」という説明も正確ではない場合があります(実際の取扱いは解散状況・積立状況によって異なる)。

ア・イ・エ・オは概ね正しい記述です。代行機能の説明(ア)、代行返上の開始時期(イ)、平成26年改正の内容(エ)、代行返上後の独自給付継続(オ)はいずれも正確です。

<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 厚生年金基金解散時の資産は、代行部分相当の責任準備金は国(日本年金機構)に返納し、上乗せ部分は加入員への分配・他制度への移換・連合会への移管等の選択がある。「すべての年金資産が企業年金連合会に移管され将来の給付の基礎となる」は単純化しすぎた誤り。e-Gov 厚年法第139条・企業年金連合会公開情報と整合確認済。-->

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厚生年金基金の代行返上・解散制度の整理:

厚生年金基金の仕組み(歴史的経緯):

| 項目 | 内容 |

|---|---|

| 設立根拠 | 厚生年金保険法(昭和41年1966年創設) |

| 機能 | ①代行部分(老齢厚生年金の一部を国に代わって給付)②上乗せ部分(独自の企業年金給付) |

| ピーク時 | 平成8年頃:約1,800基金・加入者約1,200万人 |

代行返上の制度(イの根拠):

平成13年(2001年)改正で「代行部分を国に返還(代行返上)」が可能となり、多くの基金が:

→ 代行部分の責任準備金を国に返納

→ 残存資産で確定給付企業年金(DB)や確定拠出年金(DC)に移行

これにより「基金として存続するが代行機能はない」という形態や「完全に解散してDB・DCに移行」という形態が生まれました。

平成26年(2014年)改正(エの根拠):

厚生年金基金の財政悪化問題(AIJ投資顧問事件等)を受け:

1. 新規設立禁止: 平成26年4月以降、新たな厚生年金基金の設立不可

2. 財政基準以下の基金は解散指示: 積立比率が一定水準以下の基金は厚労大臣が解散命令

この改正により厚生年金基金は実質的に「縮小・廃止」の方向に確定しました。

ウの誤りの詳細:

基金解散時の資産の扱いは以下の通りです:

  • 代行部分に相当する資産: 国(日本年金機構)に返納
  • 上乗せ部分(プラスアルファ)の資産: 企業年金連合会への移管が選択肢の一つ(加入員への分配・他の企業年金制度への移換等も含む)

「すべての資産が企業年金連合会に移管される」という記述は不正確です。

オの根拠(代行返上後の独自給付継続):

代行返上後も「プラスアルファ部分のみの基金(上乗せ型)」として存続し、独自の企業年金給付を継続することが可能です。この「代行なし・上乗せのみ」という基金形態は代行返上後の主要な移行先の1つでした。

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【厚生年金基金の歴史的役割と衰退の経緯】

厚生年金基金は1966年(昭和41年)の創設当初、「企業年金制度の普及・退職後の所得保障の充実」という政策目的を持っていました。高度経済成長期には企業が従業員に「退職後も国の年金に上乗せして給付する」という厚遇を提供するためのインフラとして機能し、1990年代のピーク時には約1,800基金・加入員1,200万人以上に達しました。

衰退の主な要因(3段階):

第1段階(1990年代〜):バブル崩壊と運用難

厚生年金基金は「代行部分の給付を確実に行うために一定の運用収益を確保しなければならない」という構造上の問題を持っていました。バブル崩壊後の低金利・株価低迷で運用収益が悪化し、積立不足が深刻化しました。

第2段階(2001年〜):代行返上の解禁と基金縮小

2001年改正で代行返上が可能になると、財政的に余力のある基金から順次「代行部分を国に返納してDB・DCに移行」する動きが始まりました。代行部分は運用リスクを伴う「国の年金の代理給付」であり、リスクを取りたくない企業はこれを手放す方が合理的だったからです。

第3段階(2012年〜):AIJ事件と抜本改革

2012年にAIJ投資顧問が厚生年金基金の資産約2,000億円を消失させる事件が発覚し、基金制度の信頼性が根本から揺らぎました。これを受けて2014年(平成26年)改正で新規設立禁止・財政悪化基金の解散義務化が決定し、厚生年金基金は縮小確定の方向に進みました。

【企業年金連合会の役割(ウの詳細)】

企業年金連合会(旧:厚生年金基金連合会)は厚生年金基金が解散した際に加入員の「老齢年金」受給権を保護するための重要な機関です。

具体的な機能:

1. 中途脱退者の年金給付: 転職等で基金を脱退した者の「基金からの移管資金」を管理し、将来的に年金として支給

2. 解散基金の代わりの年金給付: 基金解散時に積立不足が生じた場合、代行部分の返還は国が行い、上乗せ部分の一部については企業年金連合会が支給を引き継ぐ場合がある

ウが「すべての資産が企業年金連合会に移管され将来の給付の基礎となる」としているのは単純化しすぎた誤りです。解散の状況(積立不足かどうか・過去の中途脱退者への対応等)によって取扱いが異なります。

【DB(確定給付企業年金)とDC(確定拠出年金)への移行:社労士の実務知識】

厚生年金基金から移行した企業年金の主な形態:

| 移行先 | 特徴 | 社労士の業務 |

|---|---|---|

| 確定給付企業年金(DB) | 給付額が確定・運用リスクは企業 | 規約の作成・変更届、給付計算の確認 |

| 確定拠出年金(企業型DC) | 拠出額が確定・運用リスクは従業員 | 規約の整備、従業員への投資教育支援(義務化) |

| 中小企業退職金共済(中退共) | 独立した共済制度・倒産リスク排除 | 加入手続き・給付申請 |

社労士は企業の退職給付制度の設計・変更においてコンサルティング業務を行います。厚生年金基金の解散に伴い「どの企業年金に移行するか」という経営判断への助言は、社会保険労務士の付加価値の高い業務分野です。

【試験のポイント整理:平成26年改正の4点セット】

1. 新規設立禁止(平成26年4月以降)

2. 財政基準以下の基金への解散命令制度

3. 代行返上の推進(引き続き推奨)

4. 厚生年金基金の縮小・廃止の方向性確定

この4点が社労士試験での「厚生年金基金・解散・代行返上」論点の核心です。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生年金保険法第139条(厚生年金基金の解散)・同法附則第12条(平成26年改正・新設禁止)・企業年金連合会への資産移管(https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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