問題
厚生年金保険の費用の負担(国庫負担・保険料)に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はイ(誤っている記述)です。
国庫が負担する厚生年金保険事業の事務費用(第80条第2項)は「予算の範囲内で、事務の執行に要する費用」ですが、実施機関(厚生労働大臣を除く。共済組合等)によるものは除かれます。共済組合等が行う事務の執行費用は、国庫負担ではなく各共済法の定めによって別に負担されます(第80条第3項)。「含まれる」とするイは条文と逆です。
ア(基礎年金拠出金の2分の1)・ウ(実施機関の費用負担は共済各法による)・エ(保険料の徴収目的に基礎年金拠出金を含む)・オ(事務費は予算の範囲内)はいずれも条文どおりです。
厚生年金保険の費用負担の2本柱(第80条・第81条):
| 負担者 | 対象 | 根拠 |
|---|---|---|
| 国庫 | 基礎年金拠出金の2分の1 | 第80条第1項 |
| 国庫 | 厚生年金保険事業の事務費(厚生労働大臣が行う事務に限る) | 第80条第2項 |
| 実施機関(厚生労働大臣を除く) | 自らが納付する基礎年金拠出金+自らの事務の執行費用 | 第80条第3項(共済各法の定めによる) |
| 政府等(保険料) | 厚生年金保険事業に要する費用(基礎年金拠出金を含む) | 第81条第1項 |
イの誤りの核心(事務費の負担区分):
第80条第2項は「(実施機関(厚生労働大臣を除く。)によるものを除く。)」と明記しており、国庫が事務費を負担するのは厚生労働大臣が行う事務に限られます。共済組合等(実施機関)が自ら行う事務の執行費用は、国庫負担の対象外で、共済各法(国家公務員共済組合法・地方公務員等共済組合法・私立学校教職員共済法)の定めるところによります(第80条第3項)。
ウ・エ・オの確認:
ウは第80条第3項そのものです。エは第81条第1項(保険料の徴収目的に「基礎年金拠出金を含む」)のとおりです。オは第80条第2項の「予算の範囲内で」という文言のとおりです。
【国庫負担の二層構造(拠出金負担と事務費負担)を条文の主体で読み分ける】
厚生年金保険法第80条は「国庫負担等」の見出しのもと、性質の異なる2つの国庫負担を定めています。
第1項:基礎年金拠出金の2分の1負担
厚生年金保険の実施者たる政府(厚生労働大臣)が負担する基礎年金拠出金の額の2分の1に相当する額を、毎年度、国庫が負担します。これは厚生年金保険が国民年金の基礎年金給付費を支える基礎年金拠出金制度(国民年金法第94条の2)の一部であり、対象は「厚生年金保険の実施者たる政府」が負担する部分に限られます(実施機関である共済組合等が納付する基礎年金拠出金の負担は、共済各法の定めによります=第80条第3項)。
第2項:事務費の負担(主体の限定に注意)
国庫は、第1項の費用のほか、毎年度、予算の範囲内で「厚生年金保険事業の事務(基礎年金拠出金の負担に関する事務を含む。)の執行」に要する費用を負担します。ただし括弧書きで「実施機関(厚生労働大臣を除く。)によるものを除く。」と明記されており、国庫が負担する事務費は厚生労働大臣が行う事務の執行費用に限られ、実施機関である共済組合等が行う事務の執行費用は含まれません。
第3項:実施機関の費用負担は共済各法へ委任
実施機関(厚生労働大臣を除く。)が納付する基礎年金拠出金、およびその実施機関が行う事務の執行に要する費用の負担については、厚生年金保険法自体には具体的な規定を置かず、「この法律に定めるもののほか、共済各法の定めるところによる」として、国家公務員共済組合法・地方公務員等共済組合法・私立学校教職員共済法にそれぞれ委ねています。
「実施機関(厚生労働大臣を除く。)」とは:
第1項〜第3項に繰り返し出てくる「実施機関(厚生労働大臣を除く。)」は、第2号〜第4号厚生年金被保険者の事務を行う国家公務員共済組合連合会・地方公務員共済組合連合会等・日本私立学校振興・共済事業団などを指します。第1項が国庫負担の対象を「厚生年金保険の実施者たる政府が負担する基礎年金拠出金」とし、第2項が事務費から「実施機関(厚生労働大臣を除く。)によるもの」を除き、第3項がその実施機関の分を共済各法に委ねる、という3つの項が同じ区分でそろっています。国民年金法第94条の2も、基礎年金拠出金を「厚生年金保険の実施者たる政府」が負担するもの(第1項)と「実施機関たる共済組合等」が納付するもの(第2項)に分けて定めています。
保険料(第81条)との関係:
第81条第1項は「厚生年金保険事業に要する費用(基礎年金拠出金を含む。)に充てるため、保険料を徴収する」と定めており、保険料の使い道に基礎年金拠出金が明文で含まれています。第80条の国庫負担は「基礎年金拠出金の2分の1」(第1項)と「厚生労働大臣が行う事務の執行費用(予算の範囲内)」(第2項)に限られる点が、本問の正誤を分ける急所です。
- 厚生年金保険法第80条e-Govで原文を読む
- 国民年金法第94条の2e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生年金保険法第80条第1項〜第3項(国庫負担等)・第81条第1項(保険料)(https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115#Mp-At_80) 確認日: 2026-09-30 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

