社労士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

社労士 厚生年金保険法 問30|厚生年金の脱退一時金

問題

社労士 | 厚生年金保険法 | 令和9年度(2027年度)試験対応・数値確認日 2026-10-01

厚生年金保険の脱退一時金に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は ウ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はウです。

脱退一時金の請求期限は、日本国内に住所を有しなくなった後(実質的に出国後)2年以内です(厚生年金保険法附則第29条第1項第3号)。この2年を過ぎると請求できなくなるため注意が必要です。

アは誤り。脱退一時金は日本国籍を有しない者(外国人)を対象とする制度で、日本国籍を持つ者は受給できません。イは誤り。厚生年金の脱退一時金は厚生年金保険の被保険者期間で、国民年金の脱退一時金は第1号被保険者としての期間で、それぞれ6か月以上かを判定し、合算できません。エは誤り。支給額は被保険者期間(月数)に応じて計算される(月数が多いほど額が大きい)。オは誤り。計算に用いる月数の上限が60か月になったのは令和3年(2021年)4月1日施行の政令改正で、「平成21年(2009年)改正」は誤りです。

厚生年金保険の脱退一時金の完全整理:

支給要件(附則第29条):

要件内容
国籍日本国籍を有しないこと(外国人のみ対象)
被保険者期間厚生年金保険の被保険者期間が6か月以上
受給資格期間老齢厚生年金の受給資格期間(10年)を満たしていないこと(第42条第2号に該当しない)。障害厚生年金等の受給権を有したことがないこと(第1項第2号)
住所日本国内に住所を有しないこと(第1項第1号)
請求期限最後に国民年金の被保険者の資格を喪失した日(その日に国内に住所があった者は、その後初めて国内に住所を有しなくなった日)から2年以内(第1項第3号)

支給額の計算:

被保険者であった期間の平均標準報酬額×支給率(附則第29条第3項)。支給率は、保険料率の2分の1に被保険者期間に応じて政令で定める数を掛けた率で(同条第4項)、その数の上限は60(60か月以上)です(施行令第12条の2)。

オの誤りの詳細(改正時期の訂正):

  • 施行令第12条の2の表で上限が60となっているのは、令和3年(2021年)4月1日施行の改正後の版です(オが「平成21年(2009年)改正」としているのは誤り)
  • 5年を超えて厚生年金に加入していても、計算に使われるのは60か月分までです

社会保障協定との関係:

社会保障協定の内容は国ごとに異なり、年金加入期間の通算を含む協定の相手国の方は、脱退一時金を受け取らずに加入期間を将来の年金のために残すという選択が意味を持つ場合があります。

イの誤りの詳細(国民年金との脱退一時金の独立性):

厚生年金の脱退一時金と国民年金の脱退一時金は独立した制度です。両方の受給要件を満たせば両方の脱退一時金を受け取ることができますが、期間の合算はできません(それぞれ独立に6か月以上の要件判定)。

【厚生年金の脱退一時金制度の存在意義と「不公平解消」の政策的課題】

脱退一時金制度は、「短期在留の外国人が日本の年金の受給資格期間を満たせないまま保険料を支払うだけになる」という問題に対応するために設けられた制度です(附則第29条は「当分の間」の措置として定めています)。

制度の基本的な不公平の構造:

日本人の会社員なら定年まで厚生年金に加入し老齢厚生年金を受け取れますが、短期在留の外国人の場合:

1. 数年間日本で働き厚生年金保険料を支払う

2. 受給資格期間(10年)を満たさないまま帰国すると、日本の老齢年金を受け取れない

3. 保険料を支払ったのに給付につながらない「掛け捨て」状態になる

このため、出国時に「払い戻し(脱退一時金)」を請求できるようにしたのが同制度です。

【60か月上限(令和3年4月施行)の意義と残る問題】

令和3年4月1日施行の施行令改正後、計算に用いる月数の上限は60か月です(施行令第12条の2)。

改正の効果:

  • 5年間(60か月)加入した外国人は、5年分の保険料拠出に見合う計算で受け取れる
  • 在留期間が長い外国人労働者ほど、上限の影響を受けにくくなった

残る問題点:

  • 60か月を超えて加入していても、計算に使われるのは60か月分まで
  • 受給資格期間(10年)を満たすと脱退一時金は請求できない(附則第29条第1項本文)。その後は日本の老齢年金を受け取る立場になるため、帰国後の受給手続が課題になる
  • 社会保障協定の相手国でない国の国籍者は、加入期間の通算という選択肢がない

【社会保障協定の活用(制度の最前線)】

社会保障協定(二国間協定)は「二重加入の防止」と「年金通算」を目的としています:

二重加入防止:

日本企業が海外に社員を派遣した場合、派遣国でも社会保険加入義務が生じる「二重加入」問題を回避するため、一方の国でのみ加入することを認める。

年金通算:

加入期間の通算を含む協定の相手国については、日本での加入期間と相手国での加入期間を合算して「受給資格期間(10年)を満たす」ことができます。これにより単独では10年に達しない期間しかなくても、合算で年金受給権を取得できる場合があります。ただし、脱退一時金を受けると、その計算の基礎となった期間は被保険者でなかったものとみなされる(附則第29条第5項)ため、通算には使えなくなります。

協定の相手国と、通算を含むかどうかは国ごとに異なるため、日本年金機構・厚生労働省の公表で個別に確認します。

社労士の外国人雇用における役割:

外国人労働者を雇用する企業の社労士は:

1. 社会保障協定の有無の確認と適用手続き

2. 脱退一時金の受給要件・請求手続きの説明

3. 長期在留者の年金受給権保全(帰国後も日本の年金を受け取るための手続き)

という専門的な業務を担います。外国人労働者の受入れ制度の見直しが続くなかで、脱退一時金と社会保障協定の説明は社労士の重要業務になっています。

【国民年金の脱退一時金との比較(kokunen_23との接続)】

項目厚生年金の脱退一時金国民年金の脱退一時金
対象者外国人(日本国籍不可)外国人(日本国籍不可)
被保険者期間要件6か月以上6か月以上
期間の算入上限60か月(施行令第12条の2)60か月
請求期限出国後2年以内出国後2年以内
被保険者期間の数え方厚生年金保険の被保険者期間第1号被保険者としての保険料納付済期間等
根拠条文厚年法附則29条国年法附則9条の3の2

両制度は要件の形がよく似ていますが、期間はそれぞれの制度の中で数え、合算はしません(選択肢イの論点)。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生年金保険法附則第29条(脱退一時金。請求期限2年は第1項第3号、額は第3項・第4項、受給の効果は第5項)・同法施行令第12条の2(支給率に用いる数・上限60。令和3年4月1日施行の改正後)・国民年金法附則第9条の3の2(国民年金の脱退一時金)(https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115) 確認日: 2026-09-30 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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  • 厚生年金の脱退一時金(外国人・6か月・60か月上限・2年以内請求
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