問題
厚生年金保険の3号分割(特定被保険者及び被扶養配偶者についての標準報酬の特例)に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はア(誤っている記述)です。
第78条の14第1項ただし書は、請求ができなくなる場合を「当該特定被保険者が障害厚生年金(当該特定期間の全部又は一部をその額の計算の基礎とするものに限る。)の受給権者であるとき」と限定しています。つまり、障害厚生年金の受給権者であっても、その額の計算の基礎に特定期間が含まれていなければ、3号分割の請求は妨げられません。「常にできない」とするアは条文の限定を無視した誤りです。
ウ(特定被保険者・被扶養配偶者の定義)・イ(特定期間の限定)・エ(改定の方法・2分の1)・オ(将来効)はいずれも条文どおりです。
3号分割(第78条の14)の要件と効果の整理:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 請求できる者 | 特定被保険者の被扶養配偶者(第3号被保険者であった者) |
| 対象期間(特定期間) | 特定被保険者が被保険者であった期間かつ被扶養配偶者が第3号被保険者であった期間 |
| 請求できない場合 | 請求日に特定被保険者が、特定期間の全部又は一部を額の計算の基礎とする障害厚生年金の受給権者であるとき、その他厚労省令で定めるとき(施行規則第78条の17) |
| 改定の方法 | 特定期間の各月ごとに、双方の標準報酬月額・標準賞与額を特定被保険者の額の2分の1にそれぞれ改定・決定 |
| 効力発生 | 請求のあった日から将来に向かってのみ効力を有する(遡及なし) |
アの誤りの核心(除外事由の範囲の限定):
第1項ただし書の括弧書き「(当該特定期間の全部又は一部をその額の計算の基礎とするものに限る。)」は、除外事由の適用範囲を絞る重要な限定です。障害厚生年金の受給権者であっても、その障害厚生年金の額の計算に特定期間が使われていない場合は、この除外事由に該当せず、3号分割の請求は妨げられません。
合意分割(第78条の2)との違い:
3号分割は当事者の合意も家庭裁判所の決定も要さず、被扶養配偶者の請求により、特定被保険者の標準報酬の2分の1で双方を改定・決定します。合意分割は、按分割合について当事者の合意または家庭裁判所の決定が必要です。
【第78条の14を、法律・省令・附則の3層で読む】
3号分割は、第78条の13の「被扶養配偶者を有する被保険者が負担した保険料について、当該被扶養配偶者が共同して負担したものであるという基本的認識」の下に置かれた制度です。
① 特定期間(法第78条の14第1項・平成16年改正法附則第49条)
特定期間は「当該特定被保険者が被保険者であつた期間であり、かつ、その被扶養配偶者が当該特定被保険者の配偶者として第三号被保険者であつた期間」です(イのとおり)。さらに、平成16年改正法(平成16年法律第104号)附則第49条により、平成20年4月1日前の期間は特定期間に算入されません。
② 請求できない場合(法第78条の14第1項ただし書・施行規則第78条の17)
法律は「当該請求をした日において当該特定被保険者が障害厚生年金(当該特定期間の全部又は一部をその額の計算の基礎とするものに限る。)の受給権者であるときその他の厚生労働省令で定めるとき」としています。これを受けた厚生年金保険法施行規則第78条の17第1項は、次の2つを定めています。
- 第1号:請求日に特定被保険者が障害厚生年金の受給権者で、特定期間の全部又は一部がその額の計算の基礎となっている場合(政令の規定により、その特定期間に係る被保険者期間がその請求から除かれている場合を除く)
- 第2号:離婚が成立した日・婚姻が取り消された日等の翌日から起算して5年を経過した場合(令和8年4月1日現在の施行規則。補正・審判等の場合の特例は同条第2項・第3項)
③ 障害厚生年金の額の計算の基礎とは(第51条)
障害厚生年金の額は、障害認定日の属する月後の被保険者であった期間を計算の基礎としません(第51条)。したがって、たとえば障害認定日が特定期間の始まる前にある障害厚生年金であれば、特定期間はその額の計算の基礎になっておらず、ただし書に当たりません。アはこの限定を無視して「常にできない」としているため誤りです。
④ 将来効と年金額の改定(第78条の14第5項・第78条の18)
改定・決定された標準報酬は、請求のあった日から将来に向かってのみ効力を有します(オのとおり)。老齢厚生年金の受給権者について改定・決定が行われたときは、改定後の標準報酬を額の計算の基礎とし、請求のあった日の属する月の翌月から年金の額を改定します(第78条の18第1項)。
社労士試験での位置づけ:
「障害厚生年金の受給権者=3号分割不可」という単純化した理解は誤りであり、「特定期間が当該障害厚生年金の計算の基礎になっているかどうか」という限定を正確に押さえることが、この分野で誤答を避ける鍵です。
- 厚生年金保険法施行規則第78条の17e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生年金保険法第78条の14第1項〜第5項(特定被保険者及び被扶養配偶者についての標準報酬の特例)・第51条・第78条の18第1項(https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115#Mp-At_78_14)・厚生年金保険法施行規則第78条の17(https://laws.e-gov.go.jp/law/329M50000100037)・平成16年改正法附則第49条 確認日: 2026-09-30 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

