厚生年金保険法38厚生年金保険法

社労士 厚生年金保険法 問38:厚生年金保険法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

厚生年金保険の保険料率および保険料の免除に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 厚生年金保険の保険料率は、平成29年(2017年)9月以降18.3%に固定されており、それ以降は段階的な引上げは行われていない。
  • 育児休業等期間中(育休期間)の保険料については、被保険者本人負担分・事業主負担分の双方が免除される。
  • 産前産後休業期間中の保険料免除は、平成31年(2019年)4月から施行された制度であり、育児休業等期間中の免除とは別に設けられている。
  • 産前産後休業期間中の保険料が免除された場合、当該期間中の標準報酬月額は0として年金額の計算が行われるため、将来の老齢厚生年金に影響する。正答
  • 育児休業等期間中の保険料が免除された場合、その期間中の標準報酬月額・標準賞与額は通常通り(免除前と同水準)として年金額の計算に算入される。
正答:産前産後休業期間中の保険料が免除された場合、当該期間中の標準報酬月額は0として年金額の計算が行われるため、将来の老齢厚生年金に影響する。

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正答はエです。

産前産後休業期間中の保険料が免除された場合、「標準報酬月額が0になって年金額に影響する」という記述は誤りです。産前産後休業期間中の保険料免除では、当該期間の標準報酬月額・標準賞与額は免除前と同水準のまま年金額の計算に算入されます(保険料を払わなくても年金額への算入は通常通り)。

アは正しく、保険料率は2017年9月から18.3%に固定されています。

イは正しく、育休期間中は被保険者・事業主双方の保険料が免除されます。

ウは正しく、産前産後期間の免除は2019年4月から施行されました。

オは正しく、育休期間中の標準報酬月額は通常通り年金計算に算入されます(保険料を払わなくても年金額は変わらない)。

標準試験対策の基準レベル

厚生年金保険の保険料免除の比較:

| 免除の種類 | 対象期間 | 施行時期 | 被保険者負担 | 事業主負担 | 年金額への算入 |

|---|---|---|---|---|---|

| 育休等期間中の免除 | 育児休業・育児休業終了前2週間(子が3歳未満期間) | 1994年〜 | 免除 | 免除 | 通常通り算入 |

| 産前産後期間の免除 | 産前42日〜産後56日(多胎妊娠は産前98日〜) | 2019年4月〜 | 免除 | 免除 | 通常通り算入 |

エの誤りの詳細:

産前産後期間の保険料免除は、育休期間中の免除と同様に「保険料は払わなくていいが、年金計算上は払っているのと同じ扱い」です。標準報酬月額が0になるわけではなく、免除期間中の従前の標準報酬月額が年金額の計算に算入されます。

産前産後期間の免除(2019年施行)の具体的な適用範囲:

  • 産前:出産予定日(または出産日)の42日前から(多胎の場合は98日前から)
  • 産後:出産日(出産が予定日後の場合は出産日)の翌日から56日後まで
  • 申出: 事業主が出産予定日や出産日の届出をする必要あり

保険料率18.3%固定(ア)の詳細:

2004年(平成16年)改正で「保険料率の段階的引上げ計画」が法制化され、毎年0.354%ずつ引き上げられてきました。最終的に2017年(平成29年)9月に18.3%に到達し、その後は固定されました。これは「マクロ経済スライドを組み合わせることで将来の給付と保険料のバランスを確保できる」という判断によります。

上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【18.3%固定の財政的意味と「産前産後免除2019」創設の政策的背景】

厚生年金の保険料率18.3%(2017年9月固定)は、「支払われる年金額(給付)と徴収する保険料(収入)のバランスを長期的に保てる水準」として計算・設定されたものです。

18.3%固定の財政的根拠:

2004年(平成16年)改正では「保険料率を段階的に引き上げ最終的に18.3%に固定し、以後はマクロ経済スライドで給付を調整する」という「100年安心の改革」が実施されました。

この改革の前提:

  • 保険料率の上限を18.3%と法律で固定(これ以上は上げない)
  • 給付側(年金額)はマクロ経済スライドで抑制(現役世代の人口減少・平均余命延長を自動的に反映)
  • 国庫負担(国の税負担)を2009年度から1/3→1/2に引上げ(消費税財源)

マクロ経済スライドとの連動(1.9%%・令和8年度):

令和8年度の国民年金改定率(1.9%%)はマクロ経済スライドが発動した結果です。マクロ経済スライドが発動すると、賃金・物価の伸びよりも年金額の伸びが抑制され、長期的な財政バランスが保たれます。

産前産後期間の保険料免除(2019年施行)の創設背景:

産前産後免除は2019年4月の施行でしたが、立法経緯は2016年の年金改革法に遡ります。

創設の社会的背景:

1. 少子化対策(妊娠・出産のコスト軽減)

2. 「産前産後も厚生年金保険料を払わなければならない」という負担感の解消

3. 育休期間中の免除(1994年〜)との公平性確保(産前産後も休業に準じた期間なのに保険料負担があった不均衡)

育休免除との違い(精密な理解):

育休期間中の保険料免除(育休法による育児休業・育児休業終了前2週間)と産前産後休業中の保険料免除は別の条文・別の制度ですが、効果(保険料免除+年金算入維持)は同じです。

適用範囲の違い:

  • 育休免除: 子が3歳になるまでの間(育児休業・育児休業終了前2週間)
  • 産前産後免除: 産前42日〜産後56日間

両方が重複する場合(産後56日以内で育休に入った場合)は産前産後免除が優先して適用されます。

賞与への免除の適用(育休・産前産後とも):

賞与についても同様に保険料免除が適用されます。ただし以下のルールがあります:

  • 育休: 月末時点で育休中であれば、その月に支払われた賞与の保険料が免除
  • 産前産後: 産前産後休業期間中に支払われた賞与の保険料が免除

賞与への免除も「年金計算への算入は通常通り維持」です(エの誤りはエの設問が産前産後のものなので同様に正答)。

社会保障の「出産応援」政策としての位置づけ:

産前産後期間の保険料免除は「出産育児一時金(50万円)」「子育て支援金(2026年度〜・0.23%%)」「育休給付金(67%・出生後支援13%)」と並ぶ「出産応援」施策の一つです。

社労士は従業員が産前産後休業・育休を取得する際に、保険料免除の手続き(事業主による申出・届出)を適切に支援することが重要業務です。手続き漏れにより従業員が余分な保険料を負担することは、事業主の信頼失墜につながります。

上位資格との接続:

FP1級では「産前産後・育休中の社会保険料の取扱いと年金額への影響(実際には影響なし)」が頻出です。社労士試験では「育休免除・産前産後免除の申出タイミングと対象期間の違い」が重要です。社労士実務では人事担当者への「産前産後免除は自動ではなく事業主の申出が必要」という周知が実務上の落とし穴として重要です。

<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 厚年法第81条の2(育休免除)・第81条の2の2(産前産後免除・2019年4月施行)に基づく。産前産後免除中の標準報酬月額は通常通り算入(0にはならない)=エ誤。18.3%は2017年9月固定。一次ソース:e-Gov・日本年金機構公式確認済。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生年金保険法第81条の2(育休期間中の保険料免除)・第81条の2の2(産前産後期間の保険料免除・平成31年施行)(https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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