厚生年金保険法41厚生年金保険法

社労士 厚生年金保険法 問41:厚生年金保険法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

厚生年金保険の老齢厚生年金の支給停止に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 老齢厚生年金の受給権者が刑事施設に収容(拘禁)された場合、拘禁中であっても老齢厚生年金は支給停止されない(厚年法に老齢厚生年金の拘禁停止規定は存在しない)。正答
  • 老齢厚生年金の受給権者の所在が3年以上不明な場合に限り、配偶者等の申請に基づき所在不明期間の年金支給を停止することができる。
  • 在職老齢年金(在老)による支給停止は、65歳以上の在職者に限って適用され、65歳未満(60〜65歳の特別支給の老齢厚生年金受給者)には在老による停止は適用されない。
  • 老齢厚生年金の受給権者が日本国外に移住した場合、海外居住中は支給停止される。
  • 在職老齢年金の支給停止調整額(令和8年度650,000円/月円)を超えた部分の年金は、在職中は全額が支給停止される。
正答:老齢厚生年金の受給権者が刑事施設に収容(拘禁)された場合、拘禁中であっても老齢厚生年金は支給停止されない(厚年法に老齢厚生年金の拘禁停止規定は存在しない)。

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正答はアです。

厚生年金保険法には、老齢厚生年金の受給権者が刑事施設に拘禁された場合に全部支給停止とする明示規定は存在しません。厚年法第73条の2は「自己の故意の犯罪行為・重大な過失等に起因する障害・死亡」への給付制限規定であり、拘禁による停止は規定していません。よってアの記述は正しい内容です(国民年金の老齢基礎年金も同様)。

イは誤り。所在不明による支給停止(厚年法第78条の8)の期間要件は「1か月以上」(3年ではない)です。

ウは誤り。在老は60歳以上(特別支給の受給者も含む)に適用されます。

エは誤り。海外居住中も老齢厚生年金は支給されます(老齢厚生年金に国内居住要件はない)。

オは誤り。在老は「超過分の1/2が停止」であり全額停止ではありません。

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老齢厚生年金の支給停止事由の整理:

| 支給停止事由 | 根拠 | 停止の内容 |

|---|---|---|

| 在職老齢年金(在老) | 厚年法第46条 | 基本月額+総報酬月額相当額が650,000円/月円超の場合、超過分の1/2停止 |

| 所在不明1か月以上 | 厚年法第78条の8 | 配偶者等の申請に基づく停止(所在判明で復活) |

| 故意の犯罪行為等による給付制限 | 厚年法第73条の2 | 全部または一部不支給(故意犯・重過失の場合) |

| 併給調整(他年金との選択) | 厚年法第38条等 | 一方を選択し他方を停止 |

※老齢厚生年金には拘禁による全部支給停止規定は存在しない(障害厚生年金についても直接の拘禁停止規定は限定的)。

ウの誤り(在老の適用年齢):

在職老齢年金は60歳以上に適用されます。65歳以上だけでなく60〜64歳の「特別支給の老齢厚生年金」にも在老の仕組みが適用されます(ただし65歳未満の在老と65歳以上の在老では支給停止調整額が異なる場合がありました・現在は統一されています)。

エの誤り(海外移住は支給停止なし):

老齢厚生年金には国内居住要件がありません(国民年金の20歳前傷病障害基礎年金等とは異なる)。海外に移住しても老齢厚生年金は受給できます(海外送金手続きが必要)。

オの誤り(在老は全額停止ではなく1/2停止):

在老の停止は「超過額(基本月額+総報酬月額相当額 - 650,000円/月円)の1/2」です。全額停止となるのは超過額が年金月額の2倍を超えた場合(=基本月額全額が停止)ですが、一般的に「超過分の1/2停止」の説明が適切です。

所在不明1か月以上(イの誤り):

所在不明による支給停止(厚年法第78条の8)の期間要件は「1か月以上」(3年ではない)です。配偶者・親族等の申請に基づき年金機構が支給を停止できます。停止後に所在が判明した場合は停止を解除して遡って支払われます。高齢者の認知症・行方不明等のケースで適用される規定です。

上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【老齢厚生年金の支給停止の多面的な理解:拘禁・在老・所在不明の政策的背景と実務】

老齢厚生年金の支給停止には「制裁的な停止(拘禁)」「経済的調整(在老)」「行政管理上の停止(所在不明)」の3つの性質が混在しています。

刑事拘禁時の老齢厚生年金(アの正しい根拠):

厚年法には老齢厚生年金の刑事拘禁による全部支給停止規定は明示的に存在しません(厚年法第73条の2は「自己の故意の犯罪行為・重大な過失」による障害・死亡に対する給付制限規定で、拘禁停止とは別物)。老齢基礎年金にも同様に拘禁停止規定がないため(国年法では20歳前傷病による障害基礎年金にのみ存在)、刑事拘禁中であっても老齢厚生年金・老齢基礎年金は基本的に支給されます。

これは「保険料を払って得た拠出制年金は財産権的性格が強く、容易に剥奪されない」という考え方を反映しています。

在職老齢年金(在老)の設計思想:

在老の最大の論点は「働いて収入がある者に年金を全額支払う必要はない」という考え方です。具体的には:

```

支給停止額 = (基本月額 + 総報酬月額相当額 - 650,000円/月円) × 1/2

基本月額 = 老齢厚生年金月額

総報酬月額相当額 = 標準報酬月額 + 標準賞与額/12

```

令和8年度の調整額は650,000円/月円(2026年4月改定・旧50万円から65万円に引上げ)。この引上げにより、「65万円まで基本月額+報酬月額相当額があっても在老による停止はゼロ」となり、多くの中所得の在職高齢者が年金の全額受給が可能になりました。

在職定時改定(kounen_39)と在老の複合影響:

在職定時改定により年金額が毎年増えると、在老の計算における「基本月額」が上昇します。これにより:

1. 年金増額(在職定時改定効果)

2. 在老の停止額増加(基本月額増加による)

3. 純粋な手取り増加 = 年金増額 − 停止増加

このトレードオフの計算が、就労継続の意思決定において重要なファクターです。

所在不明停止の実務(厚年法第78条の8・1か月以上):

高齢者の認知症による行方不明・施設入所後の連絡途絶等で「年金がどこへ振り込まれているかわからない」状況が生じることがあります。所在不明が1か月以上継続した場合、家族(配偶者・親族)が年金機構に申請することで支給を一時停止し、所在確認後に解除・遡及払いが行われます。

社会保険料免除との関係(拘禁中):

拘禁中の被保険者については、厚生年金の保険料免除規定はありません(育休・産休とは異なる)。ただし刑事施設への収容によって就労不能となり国民年金第1号となった場合は、申請免除・法定免除(生活保護受給者等の特定の場合)の適用が考えられます。

海外移住と老齢厚生年金受給(エの補足):

海外在住者が老齢厚生年金を受給するには:

1. 住所変更の届出(外国の住所)

2. 海外送金の手続き(外国の銀行口座指定)

3. 1年ごとの現況届の提出(生存確認)

社会保障協定締結国(ドイツ・アメリカ・フランス等)では、協定に基づいた手続きが簡略化されているケースがあります。海外居住によって支給が自動停止されることはありませんが、現況届の提出を怠ると支給が保留されることがあります。

上位資格との接続:

FP1級では「在老による停止額の計算(基本月額・総報酬月額相当額・調整額を用いた計算)」が毎回出題される定番問題です。年金アドバイザー2級では「拘禁・所在不明・在老の支給停止の比較(適用要件・停止の範囲・復活の条件)」が頻出です。社労士試験では在老の「超過分の1/2停止」(全額停止ではない)の正確な理解が重要です。

<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 厚年法第46条(在老・超過分1/2停止)・第73条の2(自己の故意の犯罪行為等による給付制限・拘禁停止ではない)・第78条の8(所在不明1か月以上・申請停止)に基づく。改訂前は「老齢厚生年金は拘禁中全部停止(厚年法第73条の2)」を正解としていたが、厚年法第73条の2は故意犯罪行為等への給付制限規定であり、拘禁による老齢厚生年金の全部支給停止規定は厚年法に存在しないため修正。アを「拘禁中であっても支給される」を正答に変更。所在不明停止は1か月以上(1年・3年ではない)。在老は60歳以上全体に適用(65歳以上限定ではない)=ウ誤。海外移住は停止なし=エ誤。在老は1/2停止(全額ではない)=オ誤。一次ソース:e-Gov・厚年法・日本年金機構公式確認済。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生年金保険法第46条(在職老齢年金)・第73条の2(自己の故意の犯罪行為等による給付制限)・第78条の8(所在不明による支給停止・1か月以上)(https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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