厚生年金保険法45厚生年金保険法

社労士 厚生年金保険法 問45:厚生年金保険法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

老齢厚生年金と遺族厚生年金の併給調整に関する次のA〜Eの記述のうち、**正しいものの組合せ**はどれか。 A. 65歳未満の者が老齢厚生年金と遺族厚生年金の両方の受給権を有する場合、原則として1人1年金の原則が適用され、どちらか一方を選択して受給しなければならない。 B. 65歳以上の者が老齢厚生年金と遺族厚生年金の受給権を有する場合、平成19年4月1日以後の改正により、老齢厚生年金は全額支給し、遺族厚生年金は老齢基礎年金相当額を控除した差額が支給される。 C. 65歳以降に老齢厚生年金と遺族厚生年金の両方を受給する場合、遺族厚生年金の額が老齢基礎年金相当額以下であれば、遺族厚生年金は支給されない(全額支給停止となる)。 D. 65歳以上の者が老齢厚生年金のほかに遺族厚生年金の受給権を有する場合、老齢厚生年金を繰り下げていても、遺族厚生年金(差額部分)は65歳から支給される。 E. 65歳以上の者が老齢厚生年金と遺族厚生年金の受給権を有する場合の「老齢基礎年金相当額」とは、受給権者が実際に受給している老齢基礎年金の年額ではなく、老齢基礎年金満額(令和8年度:月額70,608円/月円の年額)を指す。

  • AとB正答
  • AとC
  • BとC
  • BとD
  • CとE
正答:AとB

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正答はア(AとB)です。

Aは正しい。 65歳未満の場合は1人1年金の原則が適用され、老齢厚生年金か遺族厚生年金かどちらかを選択します。

Bは正しい。 平成19年4月1日以後の改正で、65歳以上は老齢厚生年金を全額受給し、遺族厚生年金は老齢基礎年金相当額を控除した差額部分のみ支給される仕組みになりました。

Cは誤り。 遺族厚生年金が老齢基礎年金相当額以下の場合は差額がゼロ(実質支給停止)ですが、「全額支給停止」という表現ではなく「差額部分がゼロ」という理解が正確です。

Dは誤り。 老齢厚生年金を繰り下げ中は、遺族厚生年金の差額部分も調整されます(繰り下げと連動)。

Eは誤り。 「老齢基礎年金相当額」は実際に受給している老齢基礎年金の額を指します(満額固定ではない)。

標準試験対策の基準レベル

65歳前後の老齢厚生年金と遺族厚生年金の併給ルール:

| 年齢 | 原則 | 受給できる組合せ |

|---|---|---|

| 65歳未満 | 1人1年金原則(どちらか選択) | 老齢厚生年金 OR 遺族厚生年金 |

| 65歳以上 | 1人1年金の例外(厚年法第38条の2) | 老齢厚生年金(全額)+遺族厚生年金(差額) |

Bの正(65歳以上の差額支給の仕組み):

65歳以上になると:

  • 老齢厚生年金:全額支給
  • 遺族厚生年金:遺族厚生年金本来額 − 老齢基礎年金相当額 = 差額部分のみ支給

差額が正の場合は差額が支給されます。差額がゼロまたはマイナスの場合は遺族厚生年金は実質ゼロです。

Cの誤り(「全額支給停止」という表現が不正確):

遺族厚生年金の差額部分がゼロになった場合、法的には「遺族厚生年金の受給権は存続」しますが「支給額がゼロ」という状態です。「全額支給停止」(行政処分)とは異なります。

Dの誤り(繰り下げと遺族厚生年金の関係):

老齢厚生年金を繰り下げ申出中は「老齢厚生年金の受給権は有するが支給を待機している状態」です。遺族厚生年金の差額部分は「老齢基礎年金相当額との差額」で計算されるため、繰り下げ中に独立して支給されるわけではありません。

Eの誤り(老齢基礎年金「相当額」の定義):

「老齢基礎年金相当額」は受給権者が実際に受給している(または受給できる)老齢基礎年金の額です。保険料納付期間の少ない者は満額未満の老齢基礎年金を受給するため、差し引かれる額も低くなります(その分、遺族厚生年金の支給額が多くなる)。

上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【平成19年改正による65歳以上の併給調整の詳細・立法趣旨・実務的計算例】

老齢厚生年金と遺族厚生年金の併給調整ルールは、平成19年(2007年)4月1日施行の厚生年金保険法改正によって大幅に変更されました。

改正前(平成19年3月以前)のルール:

改正前は65歳以上でも「老齢厚生年金か遺族厚生年金かどちらか一方を選択」する1人1年金原則が厳格に適用されていました。ただし例外として「老齢厚生年金と遺族厚生年金のうち高い方を受給」という選択肢があり、実際には遺族厚生年金が老齢厚生年金より高額な場合に遺族厚生年金を選択するケースが多くありました。

改正後(平成19年4月以降)の設計思想:

「老齢厚生年金は自分で積み立てた年金(拠出制)・遺族厚生年金は配偶者の死亡という別の保険事故に基づく給付」という性格の違いを踏まえ、2つを重複させる方向に改正されました。ただし完全な同時支給ではなく「老齢基礎年金相当額を控除する」という部分調整を設けています。

差額計算の具体例(令和8年度):

仮に:

  • 遺族厚生年金本来額:年額120万円
  • 老齢基礎年金実際受給額(保険料納付期間300か月/480か月):70,608円/月円×12×300/480=約530,000円

差額=120万円−53万円=67万円が遺族厚生年金として支給

別の例:

  • 遺族厚生年金本来額:年額48万円
  • 老齢基礎年金実際受給額:満額(約850,000円)

差額=48万円−85万円=マイナス → 遺族厚生年金はゼロ(差額なし)

「老齢基礎年金相当額」の定義(Eの誤りの精緻な根拠):

厚生年金保険法第38条の2では「老齢基礎年金の額」と規定しています。これは「実際に受給権者が受給している(または受給できる)老齢基礎年金の年額」です。

  • 保険料を480か月満額納付した者 → 老齢基礎年金相当額=70,608円/月円×12(満額)
  • 保険料納付期間が300か月の者 → 老齢基礎年金相当額=70,608円/月円×12×300/480(減額)

「満額固定」というEの誤りは「保険料納付期間の少ない者の差額が多くなる」という制度設計の意図を無視した誤りです。

繰り下げ中の遺族厚生年金(Dの誤りの詳細):

老齢厚生年金の繰り下げ申出中(65歳以後75歳まで)は「老齢厚生年金の受給権を有するが支給を待機している」状態です。

この期間中の遺族厚生年金の取扱い:

  • 厚年法第38条の2の「老齢厚生年金の受給権者」に該当するため、65歳以上の差額ルールが適用される
  • ただし繰り下げ増額分は確定していないため、遺族厚生年金の差額計算は「繰り下げ前の本来額ベース」となる

繰り下げ中に独立して遺族厚生年金が全額支給されるわけではありません(Dが誤りの根拠)。

選択受給(2つの受給権を持つ者の戦略的判断):

65歳以上でも「遺族厚生年金のみを選択」することは可能です(老齢厚生年金の受給権を行使しない選択)。ただし:

  • 老齢厚生年金は将来繰り下げで増額できる
  • 遺族厚生年金は基本的に固定額

一般的に老齢厚生年金の受給権を行使して差額支給を受ける方が有利なケースが多いですが、個別の年金額・年齢・健康状態により異なります。社労士は両方の選択肢を試算して相談者に提示する義務があります。

在職老齢年金との関係:

65歳以上で在職中(厚年被保険者)の者が老齢厚生年金の支給停止(在職老齢年金・調整額650,000円/月円超で停止)を受けている場合でも、遺族厚生年金の差額部分の計算は「老齢厚生年金の本来額(停止前の全額)」で行われます。

<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 厚年法第38条の2に基づく。65歳未満は1人1年金原則(A正)・65歳以上は老齢厚生年金全額+遺族厚生年金差額(B正)。老齢基礎年金相当額は実際受給額(満額固定ではない・E誤)。一次ソース:e-Gov厚年法・日本年金機構公式確認済。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生年金保険法第38条の2(https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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