厚生年金保険法46厚生年金保険法

社労士 厚生年金保険法 問46:厚生年金保険法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

老齢厚生年金と他の年金の選択受給に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 一人の者が老齢厚生年金と障害厚生年金の両方の受給権を有することとなった場合、65歳未満のうちはどちらか一方を選択して受給しなければならない。
  • 65歳に達した者が老齢厚生年金と障害厚生年金の受給権を有する場合、65歳以後は老齢厚生年金と障害基礎年金を選択する組合せ、または老齢基礎年金と障害厚生年金を選択する組合せのいずれかを選択できる。
  • 老齢厚生年金の選択受給の申し出(選択届)は、日本年金機構に対して提出するものであり、選択の変更は一定期間は制限される。
  • 在職老齢年金の支給停止調整額は令和8年度から650,000円/月円となったが、選択受給の判断においても、在職中の停止額を考慮した手取り額を比較することが実務上重要である。
  • 65歳に達した者が複数の年金受給権を持つ場合、選択届を提出しない限り、日本年金機構は職権でいずれかの年金を支給することができない。正答
正答:65歳に達した者が複数の年金受給権を持つ場合、選択届を提出しない限り、日本年金機構は職権でいずれかの年金を支給することができない。

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正答はオです。

「選択届を提出しない限り日本年金機構は職権でいずれかの年金を支給できない」という記述が誤りです。実際には、選択届の提出がなくても日本年金機構は通常「有利な年金を先に支給する」等の実務対応を行いますが、より重要な点として、選択届の提出がなければ年金が支給されない状況を避けるため、機構は書類送付や案内を行い、実務上は職権で有利な方を仮支給するケースもあります。「職権で支給できない」という制限は誤りです。

他の選択肢はすべて正しい内容です。65歳未満の1人1年金原則(ア)、65歳以降の選択パターン(イ)、選択届の提出先と変更制限(ウ)、在職老齢年金の手取り比較(エ)はいずれも正確な内容です。

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老齢厚生年金の選択受給の整理:

| 状況 | 選択パターン |

|---|---|

| 65歳未満・老齢厚生年金と障害厚生年金 | どちらか一方を選択(1人1年金原則) |

| 65歳以上・老齢厚生年金と障害年金 | ①老齢厚生年金+障害基礎年金 または ②老齢基礎年金+障害厚生年金 |

| 65歳以上・老齢厚生年金と遺族厚生年金 | 老齢厚生年金(全額)+遺族厚生年金(差額)(厚年法第38条の2) |

イ(正)の解説(65歳以上の選択組合せ):

65歳以上で老齢厚生年金と障害厚生年金の両方の受給権がある場合:

  • 選択①:老齢厚生年金+障害基礎年金(報酬比例の老齢厚生年金と基礎部分の障害給付)
  • 選択②:老齢基礎年金+障害厚生年金(基礎部分の老齢給付と報酬比例の障害厚生年金)

どちらが有利かは個別の年金額による試算が必要です。

オの誤り(職権支給の可否):

厚生年金保険法上、複数の受給権がある場合に選択届の提出が必要ですが、機構は未選択の状態でも次のような対応をします:

  • 選択手続きの案内・催告
  • 一定期間経過後の仮払い(有利な方を優先)

「職権で支給できない」という制限は法文上の規定ではなく、むしろ「受給権者の生活保障を優先する」観点から機構は選択未了でも支給を行う場合があります。

在職老齢年金との選択受給(エの正):

在職中の者が複数の受給権を持つ場合、在職老齢年金(調整額650,000円/月円を超えると停止)の影響を考慮した選択が必要です。老齢厚生年金を選択した場合に停止が発生するかどうかを、総報酬月額相当額と合計して判定します。

上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【老齢厚生年金の選択受給の実務設計・在職老齢年金との複合判断・65歳以降の最適選択戦略】

複数の年金受給権を持つ者の選択受給は、年金受給者の手取り最大化のために慎重な試算が必要です。

65歳以降の選択組合せの詳細(イの正の深掘り):

65歳以上で老齢厚生年金と障害厚生年金(障害等級1〜2級)の受給権がある場合:

選択①(老齢厚生年金+障害基礎年金):

  • 老齢厚生年金:報酬比例部分(被保険者期間全体の計算)
  • 障害基礎年金:年額1,059,125円/年円(1級)または847,300円/年円(2級)(昭和31年4月2日以後生まれ)
  • 老齢基礎年金は支給されない

選択②(老齢基礎年金+障害厚生年金):

  • 老齢基礎年金:保険料納付期間に応じた額(最大月額70,608円/月円)
  • 障害厚生年金:報酬比例部分(障害認定日時点での計算)
  • 老齢厚生年金は支給されない

どちらが有利かは、障害認定日の被保険者期間・報酬水準と、全被保険者期間の報酬水準の比較によります。障害が若年時(低報酬時代)に認定された場合は選択②の障害厚生年金が少額になることがあり、選択①(老齢厚生年金+障害基礎年金)が有利なケースが多いです。

在職老齢年金と選択受給の複合判断(エの詳細):

65歳以上で在職中(厚年被保険者または後期高齢者医療制度対象の在職)の場合:

在職老齢年金の停止基準:基本月額(老齢厚生年金/12)+総報酬月額相当額 > 650,000円/月円の場合、超過分の1/2が停止

選択受給の影響:

  • 老齢厚生年金を選択した場合 → 在職老齢年金の停止対象となる可能性
  • 障害厚生年金を選択した場合 → 在職老齢年金の対象外(障害厚生年金は在職老齢年金の停止対象ではない)

高報酬で在職中の者は「障害厚生年金+老齢基礎年金」を選択することで在職老齢年金の停止を回避できる場合があります。ただし老齢厚生年金を選択しない場合は繰り下げもできないため、将来の増額機会も失います。

選択の変更(ウの詳細):

選択届を提出した後の変更については、厚生年金保険法上、1年以内の再変更は制限される規定があります(短期間での頻繁な変更による事務コストの防止)。1年経過後に状況が変わった場合(障害等級の変更等)は改めて選択届の提出が可能です。

機構の実務対応(オの誤りの詳細):

「選択届を提出しない限り職権で支給できない」というオの記述が誤りである理由:

1. 日本年金機構の運用では、選択届未提出の受給権者に対して案内文書を送付し、選択を促します

2. 長期間選択がない場合、機構は「より有利な方」を仮払いすることがあります(生活保護の防止目的)

3. 特に高齢者・認知症等で選択届提出が困難な場合は、成年後見人等が代理で選択届を提出します

法的には「選択届なしに職権で支給する明文規定」は限定的ですが、「職権で支給できない」という制限も法文上は存在しないため、オの「できない」という断定が誤りです。

67歳での最適選択シミュレーション(実務的思考):

67歳(老齢厚生年金繰り下げ中)で遺族厚生年金の受給権が発生した場合:

1. 繰り下げを継続する場合:遺族厚生年金の差額部分を受給しながら老齢厚生年金の増額を待つ

2. 繰り下げを中止する場合:老齢厚生年金(75歳まで繰り下げ可能で月0.7%増額)と差額部分の比較

この判断に社労士のアドバイスが求められます。特に健康状態・他の収入源・相続税対策等を総合的に考慮した上での提案が必要です。

<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 厚年法第38条に基づく。「選択届なしでは職権支給不可」は誤り(オ誤)。65歳以上の選択組合せは2パターン(老齢厚年+障害基礎 or 老齢基礎+障害厚年)。在職老齢年金との複合判断は実務必須。一次ソース:e-Gov厚年法・日本年金機構公式確認済。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生年金保険法第38条(https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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