厚生年金保険法47厚生年金保険法

社労士 厚生年金保険法 問47:厚生年金保険法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

老齢厚生年金の支給繰下げと加給年金に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 老齢厚生年金の支給を繰り下げた場合、繰り下げ申出をした時点から、加給年金額は繰下げ増額率と同じ増額率で加算されて支給される。
  • 老齢厚生年金の支給繰下げを申し出た場合、繰り下げ待機期間中は加給年金額も含めて老齢厚生年金全体が支給停止となるため、繰下げ増額率は加給年金には適用されない。
  • 老齢厚生年金の支給繰下げを申し出た者が、繰下げ待機期間中に配偶者(加給年金の対象)が65歳に達して加給年金の支給が停止された場合、繰下げ申出の取消しができる。
  • 老齢厚生年金を75歳まで繰り下げた場合、繰下げ増額率は84%(月0.7%×120か月)となるが、加給年金額もこの増額率で増額されるため、加給年金額は423,700円/年円×1.84倍となる。
  • 老齢厚生年金の支給繰下げを申し出た期間中は加給年金が支給されないが、繰下げ開始(繰下げ後の受給開始)以後は加給年金が支給される(ただし加給年金の支給停止事由が生じていない場合に限る)。正答
正答:老齢厚生年金の支給繰下げを申し出た期間中は加給年金が支給されないが、繰下げ開始(繰下げ後の受給開始)以後は加給年金が支給される(ただし加給年金の支給停止事由が生じていない場合に限る)。

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正答はオです。

老齢厚生年金の繰り下げ待機期間中は加給年金は支給されません。繰り下げ後(老齢厚生年金の支給開始後)は、加給年金の支給停止事由(配偶者が65歳に達して振替加算への移行等)が生じていなければ加給年金も支給されます。

ア・エは誤り。加給年金には繰下げ増額率は適用されません(加給年金は老齢基礎年金満額の一定割合で算定される定額であり、繰り下げで増額しない)。

イは一部正しいが「繰下げ増額率は加給年金には適用されない」は正しい。「待機期間中は全体が支給停止」も正しいが、正答はオです。

ウは誤り。繰下げ申出後に加給年金が停止しても繰下げ申出の取消しはできません(繰下げ申出は一度行うと原則変更不可)。

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老齢厚生年金の繰下げと加給年金の関係の整理:

| 期間 | 老齢厚生年金(本体) | 加給年金 |

|---|---|---|

| 65歳〜繰下げ申出前 | 待機(支給なし) | 支給なし(待機中) |

| 繰下げ後(受給開始) | 増額支給(月0.7%×繰下げ月数) | 増額なし(本来額で支給) |

| 配偶者が65歳到達後 | 増額支給継続 | 停止(振替加算へ移行) |

繰下げ増額率が加給年金に適用されない理由:

加給年金は「配偶者・子の扶養を支援する目的の定額給付」であり、老齢厚生年金の報酬比例部分とは性格が異なります。繰り下げは「受給開始を遅らせることへの補償」という観点から本体(報酬比例部分)のみに適用されます。加給年金に繰下げ増額率を適用すると「配偶者の扶養期間の長さと無関係に加給年金が増額される」という不合理が生じます。

ウの誤り(繰下げ申出後の取消し不可):

厚年法第44条の3の規定では、繰下げ申出は一度行うと原則として取消しや変更はできません。これは「繰り下げることで後から損をするかもしれない」というリスクを受給権者が認識した上で申出を行う制度設計です。

オ(正)の詳細(繰下げ後の加給年金支給再開):

繰下げ後に老齢厚生年金の受給が開始されると、加給年金の支給停止事由(配偶者の65歳到達・配偶者の被保険者期間20年以上等)がなければ加給年金(年額423,700円/年円・昭和18年4月2日以後生まれの受給権者)が支給されます。

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【老齢厚生年金の繰下げ戦略と加給年金の関係・最適化判断のフレームワーク】

老齢厚生年金の繰下げは「長寿の場合に有利」という一般的な理解がありますが、加給年金の扱いを含めると判断が複雑化します。

繰下げ増額の計算(基礎知識の確認):

老齢厚生年金の繰下げ増額率:月0.7%×繰下げ月数

  • 66歳受給開始(12か月繰下げ):本体+8.4%
  • 70歳受給開始(60か月繰下げ):本体+42%
  • 75歳受給開始(120か月繰下げ):本体+84%

加給年金への適用:なし(令和4年4月改正でも変更なし)

加給年金を含めた損益分岐点の計算(実務的思考):

仮に老齢厚生年金(本体):年額120万円・加給年金:年額423,700円/年円(配偶者・昭和18年4月2日以後生まれ)の場合:

65歳受給開始(繰り下げなし):

  • 65歳〜配偶者65歳まで(仮に10年間):本体120万円+加給423,700円/年円=年約164万円

70歳受給開始(5年繰り下げ):

  • 65〜70歳の間:ゼロ(加給年金も含めてゼロ)
  • 70歳以降:本体120万円×1.42=年約170万円(加給年金は支給停止事由が発生していれば支給なし)

繰り下げた5年間の逸失額(65〜70歳の受け取りゼロ)が、増額分で回収されるまでの損益分岐点(繰り下げ後約14〜16年)を考慮すると、「加給年金が得られた5年間の損失」も合わせた計算が必要です。

加給年金を捨ててでも繰り下げが有利なケース:

  • 長寿が見込まれる(80歳以上まで生存の予測)
  • 配偶者がすでに65歳以上(加給年金が元々支給されない状況)
  • 在職中で在職老齢年金の停止が大きい(停止されるよりも繰り下げた方が後の増額が大きい)

加給年金を優先して繰り下げをやめる(65歳から受給)が有利なケース:

  • 配偶者が65歳未満であと10年以上加給年金が支給される
  • 健康状態が良くない(損益分岐点まで生存できないリスク)
  • 年金以外の老後資産が十分ある(繰り下げの緊急性がない)

令和4年改正(75歳繰り下げ延長)の影響:

令和4年(2022年)4月改正で繰り下げ上限が70歳から75歳に延長されました。ただし75歳まで繰り下げた場合の加給年金の取扱いは変わらず「繰下げ待機中はゼロ・繰下げ後は支給停止事由がなければ支給」です。

繰下げ申出後の取消し不可(ウの誤りの法的根拠):

厚年法第44条の3第1項では「老齢厚生年金の受給権を有する者は、厚生労働大臣に申出をすることによって、当該老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができる」と規定し、一度申出をすると原則的に撤回できません。ただし「特別の事情(重篤な傷病等)」による例外的な取消しが認められる場合があります(行政不服申立で争う余地あり)。

社労士・FP実務での加給年金を含む繰下げ相談の鉄則:

1. 配偶者の年齢・健康状態の確認(加給年金の残存期間)

2. 健康状態・家族歴からの長寿予測

3. 65歳時点での在職老齢年金停止額の試算

4. 総受取額の損益分岐点計算(複数シナリオ)

単純な「繰り下げると得」ではなく、加給年金の逸失を含めた総合的な損得計算が社労士の専門的アドバイスとして求められます。

<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 厚年法第44条の3・第44条に基づく。繰下げ待機中は加給年金支給なし・繰下げ後は停止事由なければ支給(オ正)。加給年金に繰下げ増額率は適用されない(ア・エ誤)。繰下げ申出後の取消し原則不可(ウ誤)。一次ソース:e-Gov厚年法・日本年金機構公式確認済。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生年金保険法第44条の3(繰り下げ)・第44条(加給年金)(https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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